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パチンコパチスロと依存問題関連記事まとめ
2019.12.26
『元々の社風がのめり込み対策になっていたんです』ぱちんこ依存問題をニラクさんから学ぼう!【DMMぱちタウン合同企画・リカバリー学園】
あしの パチンコパチスロと依存問題関連記事まとめ ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
パチンコリカバリー学園。それはDMMぱちタウンとパチ7が合同で開設した『ぱちんこ依存問題対策』について学ぶための秘密の学校です。前回はRSN(リカバリー・サポート・ネットワーク)の平田氏を招いて両媒体のライター・演者陣が座学で基礎を学ぶ形でした。今回はなんと福島県郡山市にある「株式会社ニラク」さんの本社に伺い『店舗側の依存(のめり込み)対策』について詳しいお話を聞いてまいりました。 はい。今回のテーマ。ちょっと語弊があるかもしれませんが、つまりはこういう事です。
「ホール側ってのめり込み対策で、どんなことやっているの? つか、ちゃんとやれてるのかな?」
と。これです。で、これがなぜ「ニラク」さんとつながるのか。これにはピンと来る方もいらっしゃるかも知れませんが、実はニラクという法人さんは業界内では「のめり込み対策のトップランナー」なんです。活動実績がちょくちょくネットニュースなどにも取り上げられておられるなど、その道ではかなり先駆的な事をやってらっしゃる事で有名だから、なんですね。
果たしてニラクさんはどんな取り組みをされているのか。そしてなぜ、その取り組みに注力するに至ったのか。そこの所を見ていきましょう──!
まずはリカバリー学園ハニートラップ梅木先生の挨拶から! どうぞ!
「さぁ始まりました! 第2回! パチンコ! リカバリー学園んんんん!」
「わぁ……声量すごいですね……!」
「ありがとうございます! さて、『DMMぱちタウン』と『パチ7』が合同で、いわゆる『ぱちんこ依存問題』について一緒に勉強していこうじゃないかというこの企画──『リカバリー学園』というのですけど、今日はその第2回目ですね。そして今回はなんと初の課外授業ということで、我々はこちら、福島県郡山市にある『株式会社ニラク』さんの本社に来ています。はい拍手ッ!』」
リカバリー学園とは!
ぱちんこ業界における「依存症問題」についての理解を深めるため、DMMぱちタウンとパチ7によって合同で開設された秘密の学校である。前回のレポートでは、講師としてお招きしたRSNの平田氏による授業の内容をお届けしたのだが、第2回目である今回は果たして──。
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「編集長、まず話を伺う前に僕がちょっと疑問に思うのが、なぜ今回ニラクさんなんでしょう?」
「うん。前回はRSNの平田さんから、依存問題の基礎的な部分を伺ってみんなで勉強したんでだけど、じゃあ次は実際の現場──ホール側の取り組みはどうなってるんだろうというのが気になったんだよね。だからどこかの法人さんに聞いてみようとは前から思ってたのだけど、どこに聞くかと言うと、やっぱりニラクさんの取り組みは外せないと思って、で今回お邪魔したわけです。やっぱり、御社が最先端……ですよね?」
「……とは言われるんですけど、僕らはそうは思ってないんですよね」
「はい。思ってないです。まだまだ勉強させて頂いてる段階で──」
──編集長が言う「ニラクさんの取り組み」というのに関しては少し解説が必要かもしれない。実はニラクさんはCSR(社会責任活動)の一環として、依存問題への取り組みを率先して行われている事で知られている法人さんだ。どこかで耳にされた方もいらっしゃるかもしれないけれど、顕著なところでは2019年より開催されている「依存対策啓発セミナー」なんかが好例だろう。
通常、こういったセミナーはあくまで自社内の社員向けに行われるのが当たり前なのだけど、ニラクさんのそれは「ぱちんこ事業者が行う依存対策と地域の支援・取組みについて、互いに共有する場を目指す」という趣旨のもとに行われているとの事。つまり、自社内だけではなく、他の法人や業界関係者・さらには自治体の社会福祉部門の職員さんをはじめ、一般の方々からも参加を受け付けておられるのだ。
特筆事項としては、地域の福祉団体さんも登壇する、といった連携協力体制が出来ているというところ。これは単純にセミナーをやって、姿勢を見せるだけ、というのとは、明らかに一線を画す活動。
ちなみに今回お話を聞かせていただくニラクさん側の担当者はこのお二人。
▲依存問題の最前線で戦うお二人。
法務部の武田裕明さんと戸田有希乃さんだ。
「あれ、戸田さん緊張されてます?」
「してますね……」
「そうなんですか? だって色々メディアとかに取材されてますよね?」
「いえ、これが初なんですよ」
「え、そうなんですか!」
「え? 初? なんか、こんな格好でごめんね……!」
▲なんかごめんね。な二人。
☆『企業文化が依存問題対策だった』って?
「早速お二人に聞いてみたいのですが、今編集長が『ニラクさんの取り組みは外せない』と言ってましたけども、ニラクさんってやっぱり他のホールさんと違うというか、独特なんですか?」
「そうですね。ここまでやってる法人というのは業界内ではあんまり無いかも知れないですね」
「それはまた、なぜなんでしょう。なぜそこまで力を入れて、のめり込み対策をやってらっしゃるのか……」
「一言でいうと、今思うと、元々ニラクがそういう会社だから。つまり、企業文化だったから。になりますね」
「ん? 企業文化? 会社として、そういう風に『のめり込み対策をしなさい!』って、常々言ってきてるという事ですか?」
「というわけでも無いんですよね。ほんとに社風です。ニラクは、お客様に気軽に声をかける、コミュニケーションをとるってことを自然にやられていたんですね。中には『無理しないで遊んで下さいね』と心配する声かけをしたりする人もいたんです。で、会社としてのめり込み対策に取り組んで行く時に、今までの社風とすごくマッチしたんですよね」
「『帰ったほうがいいよ』って言うんですか……? どうなっとんねん、当たらへんやないかい! みたいなお客さんとか……」
「そうです。無理しないでくださいねって。アルバイトさんとかもそういう風に言ったり。普段からコミュニケーションをしっかり取っているんで、お客様も素直に聞いてくれるんですよね。別に会社としてそういう風にしなさいって言ってるわけじゃないんですけど。だから企業文化みたいなものだと思います。ホントにそういう社風なんですよ。それが、ある意味でお客様を守る……みたいなカタチだったんだなって」
「社風かぁ……。社風とか企業文化だと、たしかに『やらされてる感』はあんまり無いかもしれないですね。うーん、その発想いいですね。中小ホールさんで、元々そういうスタンスのところも多そうですし。文化にしちゃうって発想。まぁそれこそ一朝一夕では、ですけど。でも、ぶっちゃけ、企業としての利益活動とは真逆じゃないですか。のめり込み対策って。一生懸命やったってそれが単純に利益を生むものじゃない。現場のスタッフさんからは反発とか無かったんですか?」
「ありました。『のめり込みなんて、自己責任でしょう』って。いきなり方向転換をしたって感じるという方もいましたね。みんな実際に話したら『ホントは分かってるんだけどね』って言ってくれたんですけど、最初から両手を挙げて歓迎……という感じではなかったですね」
「ニラクはこういう会社だから、まだ逆風も静かだったと思いますよ。『明るく 楽しく 面白く』がウチの文化ですからね」
「いい会社じゃないですか……」
「あと、僕ちょっと小耳に挟んだんですけど、戸田さん、ラスベガスでのめり込み対策を勉強されたんですよね?」
「あ……私の秘密が……(笑) はい。行きました。けど、以前はホールで働いていたんです」
「あ、もともとホールスタッフさんだったんだ……」
「そうなんですよ。私は常連のお客様とコミュニケーションを取ったり、そういう接客するのが好きでよくやってたんです。そこである常連様の背中が、なんだか日に日に悲しく見えてきた事があったんですね。お爺ちゃんだったんですけど……。『出ない』とか『負けた』とか、半分愚痴で半分日常会話みたいな。そういうお話をしてたんですけど、なんかだんだんこう……元気が無くなってきて。打ってる背中が楽しそうではないなと。そういう風に思えてきて、気になったんですよね。ただその時の自分にはあんまり出来ることはないな、と思って。で──、ニラクを辞めようと思ったんです」
「おっと! そりゃまた極端な……」
「つまり、ひとりの常連さんがだんだん負けていって落ち込んでいく様子をみて、だけどわたしにはどうする事もできないと思って、イヤになり──!」
「はい、無力感を感じたんです。ぱちんこ業界を変えたり、遊技はもっと楽しいものだと思って貰えるようにする力が私には無かったし、その方法も分からなかったので。ああもう自分はこの業界向いてないのかもと思って」
「うわー……。すごいなこの話。やっぱりそういう苦悩があるんだ、ホールの中の人……」
「ありますね。それで辞めようと思いつつ、ある時、海外のカジノの事を聞いたんですね。そこでのめり込み対策についてちょっと分かってきて。あ、海外のカジノは上手にやってるんだ、みたいな。あ、これ何かヒントになるかも知れないって。あのお爺ちゃんに手を差し伸べる術がここにあるかも──。当時はまだ今ほどのめり込み対策がクローズアップされてなかったんですね。IR推進法が制定される前の話ですし。だからこれをやれば、もしかしたら自分にも何かを変えられるかもって。そう思ったんです」
「これはちょっと予想外の話ですね……。すいません。こんな服で来てしまって」
「俺もマスクでごめんなさいホント……。外からの、世の中の圧があったから、ではなく、自発からなんですねぇ。そこから戸田さん、どういったアクションを起こされたんですか?」
「ニラクには『創新塾』という人財育成プログラムがあって、戸田はその中でこの『のめり込み』『依存の問題』をテーマにしたんです。それがきっかけでラスベガスに勉強しに行くことになったんですよ」
「え、そんな!?」
「これも企業文化ですか!?」
「実際はそんなスムーズじゃなくて、紆余曲折ありましたけどね……」
「今は資本関係はないので説明がややこしいのですが、数年前にラスベガスのホテルに投資をしていて、そこのホテルで研修をしてきたんです」
「実際どうでした、ラスベガス?」
「最初の三ヶ月は、カジノの運営について全体的に知るために色んな仕事をしました。それこそホテルでベッドメイキングとかも。アメリカはベッドも大きいし家具もいっぱいあるから、ヘトヘトになるまで拭いたり。後半の三ヶ月で自分で色々動いて、のめり込み対策について勉強してましたね。歩き回って、色々お話を聞いて──。結構大変でした」
「会社のお金で行ってますしね……。プレッシャーもあったんじゃないですか?」
「ありました! 結果出さないと! って。焦ってましたね」
「じゃあもう、焦ってベッドメイキング……」
「違うんだ! これは違うんだ! 私がやりたいことは違うんだ! って思ってました(笑)」
「ラスベガス行かれてたのって、いつ頃の話なんですか?」
「いつでしたっけ……?」
「なんで私に聞くの」
「もう記憶がなくなるほどキツかったんですね(笑)」
「でもさ、普通、今後依存対策が絶対求められるから『よし、今からのめり込み対策やっとけば、ポジション作って出世できるぞ』とか、そういう目的でラスべガス行ったと思うじゃない。俺なら絶対そういう下心持つし。でもさ、お爺ちゃんの為だもん。お爺ちゃんの背中の為だもん」
「あはは(笑)」
「実際、戸田は世の中の動きとは関係なく言い始めたんですね。他方で会社の経営陣は、CSRの観点から依存対策が必要だと早くから考えていましたし、良い意味でタイミングが合ったんだと思います」
「追い風ですよ。ほら、時代が戸田さんを応援してくれたんです!」
「ね。時代がついてきてるよなぁ。戸田さんもう、アイドルとかいいじゃないですかね。依存症アイドル──」
「やめなさい……。名前がおかしいでしょそれ……」
▲あの日見たお爺ちゃんの背中を戸田さんは忘れない。
☆のめり込み問題の水際。ホールでの取り組みについて。
Q:どこからが依存なの?
「じゃあここからは、こちらから色々質問をしていきたいと思います。まずは『どこからが依存なのか』という質問なんですけど、どうでしょう。さっきのお爺ちゃんの話でもそうですけど、これって一番むずかしいじゃないですか。外からみて依存かどうかはなかなか判断しづらい。じゃあ誰が判断するかというと、やっぱり現場で見てるホールのスタッフさんの役割は大きいと思うんですよね。実際、その辺ってどうでしょう? どうやって判断しているか……」
「これはもう生活に支障が出ているかどうか。そこでしか見てないです。要するに『適度な』のめり込み……これは特に問題がないんですよね。実際、ぱちんこってのめり込んで頂いてナンボ、という部分が絶対あるんですよ。そこを完全に否定してしまうと、ただの綺麗事になってしまう。支障が出ない範囲で遊んでいただきたいな、と思っています。それこそニラクの経営理念である『明るく楽しく面白く』ですね。それで幸せにするって言ってるのに、不幸な人が生まれるのは真逆なので──来てもらって心から楽しんで頂いて、それで生活に支障がなければ一番いいですよね」
「私もある程度は『のめり込んで頂いて結構!』と思ってます。その方が楽しいから。ぱちんこは入社してから打つようになったんですけど、私の場合はぱちんこが若干肌に合わないというか、そんなにのめり込めないんです」
「肌に合わないんだ!(笑)」
「あ、いけない。楽しいんですよ。楽しいんですけど、そこまで自分にマッチした遊びではないなと思うんですね。そういうのって個人の特性であったり、あるいは日常生活でストレスを抱えているかいないかであったり──。諸々マッチしちゃうと過度にのめり込んで生活に支障が出ることがあるんですけど、『適度に』のめり込んでいるお客様は絶対に私よりもぱちんこを楽しんでると思います。なので、のめり込みそのものが悪いとか、そういう風には私は思いません。あくまでも、生活に支障がでているその状況が問題だと思っています」
▲武田さんも元現場の方。コミュニケーション能力が高い。
Q:ぱちんこはなぜ叩かれるのか。
「戸田さんはカジノの現場をしっかり見て帰って来られたと思うのですが、ぱちんこってやっぱりカジノや他の公営競技と比べて、のめり込みやすかったりするんでしょうか?」
「いや……それはもう完全に『人による』としか言えませんね。ただ、ぱちんこはお店の多さと身近にあるという事で足を運びやすい、というのはあると思います。公営競技も今はオンラインで出来るので、そっちのほうが気をつけないと危険というか、問題が出てくるのではと思います」
「ぱちんこに関しては遊技人口がだいたい1,000万人、逆に言うと世の中ではぱちんこをやらない人が90%以上なんですね。だから実態を知らない方もたくさんいて、分からないものはとりあえず叩いちゃえみたいな、そういうのはあるんじゃないでしょうか。あとパチンコホールって、もの凄い儲かってるみたいなイメージがあるみたいなんですけど、実際、そんな事ないですよね。──まあ積極的にそういう情報を出してないのもあるのですが、やっぱりイメージは良くないですよね」
「ああ、イメージといえば。車内放置に関しても、実は他の商業施設なんかでもある筈なんですよね。でも依存症だ、のめり込みのせいだって言われるのは、ぱちんこだけじゃないですか。考えて見ればすごくないですか。最近はホールの駐車場に警備員さんがいるんだもん……」
「私達も一時間に一回まわってました。スモークとかあると車の中が見えないので、こうやって懐中電灯を持って──」
「それだけやってる業種って他にあんまりないと思うんですけど、どうでしょう。そういう活動をやっていくなかで、悪いイメージが払拭出来てるという手応えみたいなのは、ありますか?」
「手応えはまだないです……。でも、しっかりやってるんだなという認知を広げないと……。ぱちんこって、今まで『閉じこもっていた業界』だと思うんです。なんでも業界内で完結していって──。でも今はそういう時代じゃなくて、こういう試みをやってます、こういう事に取り組んでいますというのを、まず外部にどんどん発信していかないといけないと思っていて。そうやって、イメージを良くしていきたいです」
「いやもう、おっしゃる通り……。全くその通りだなぁ……。戸田さんがおっしゃってる事って、どのホールも一定基準はやってる部分ですよね。ただ、ニラクさんはそれ以上の事をやっているじゃないですか。なぜニラクさんはここまで力を入れてやっていらっしゃるんでしょうか」
Q:ニラクさんののめり込み対策における原動力とは。
「たとえば、ニラクには依存問題を知るためのEラーニングの教材があるんですが、それを現場に導入するときに私たちは店舗を全部回ったんですね。全社員・アルバイトスタッフも含めてレクチャーして、今後はこういう風にしてくださいって。あの教材で重要なのって『お客様をよく見ること』なんですけども、最初は『のめり込みなんて、自己責任でしょ』って言ってあんまり協力的じゃなかったスタッフも、教材を見て説明したら『あ、今までやってる事と変わらないんだね』って、凄い納得してくれて。あ、これなら協力できるって。そういう風に言ってくれるんですね。やっぱり社風というか、普段からそれをやってるという、下地がちゃんとあったんですね」
▲我々もニラクさんのEラーニングで勉強しました。
「お客さんをよく見ること……。よく見て、問題があったら、帰ってもらうと」
「そうですね。それはもう昔から──」
「僕もしょっちゅう打つんですけど、ユーザーの目線で見てると、あんまりホールがのめり込み対策に取り組んでる感じがしないんですよね。そういう意味ではさっきおっしゃってた『帰った方がいいよ』みたいな声掛けって、わかりやすくていいのかなと思って……。それって研修とかで教えたりとかされてるんですか」
「いや、しないです。マニュアル化出来るものではないので。なので『お客様をよく見る』ことがまず大事……。それで普段と違う行動をされてる方を見つけたら、お声掛けするか、行けないんだったら行ける人に行って貰う。それでトラブルになったとかそういう報告は今の所一度もないですね」
「よく見てれば、やっぱり『あ、あの人今日ちょっと使いすぎてるな』とかが分かるものなんですか? 『使いすぎメーター』みたいなのがお客さんに付いてれば簡単なんですけど、ないじゃないですか」
「あ、そのメーター欲しいですね(笑) でもメーターがなくても、普段からしっかり話していれば結構分かりますよ。あとは関係性というか、お客様との距離感ですね。例えば今の私が店舗に行って『帰ってください』というと揉めると思うんですけど、コミュニケーションをちゃんとしてる、変な言い方かも知れませんが『昔の時代の、お客様と近い接客』をしてるスタッフが言うと納得してもらえたり。信頼関係がしっかり出来てれば『また明日来るよ』って笑顔で帰っていただけるんです」
「信頼関係というのは、相手のことを知らないと生まれないと思うんですけど、やっぱりホールの方ってお客さん一人ひとりをしっかり把握されてるものなんですか?」
「うちはいい意味でアナログな店舗で──それこそお客様をよく見てるので、ある程度は把握してます。だから変な話、年金を使って1パチで遊ばれているお客様とかは特に気をつけています。休憩室でちょっと休んだ方がいいんじゃない。みたいな事は言っています。とりあえず帰った方がいいんじゃないって。また今度いらして下さいねって。そんな声がけをするスタッフもいますね」
「企業文化が違うホールだと真逆ですよね。極端に言うと、限界までぶっこ抜け! みたいな」
「それ……どこの事をいってるんですか(笑)」
「ニラクのアナログな接客文化は、のめり込み対策という意味でもすごいプラスに作用してます」
「あー……。僕もニラクさんで打つ時、よく店長さんらしき人がホール内で常連さんと喋っているのを見ますね。あの人30分くらい話してるけど大丈夫なんかなぁ……って」
「(笑)」
「でもやっぱり難しいのが、お客様の事を把握してても、変化に気づけ無い事もあるんですよ。お話好きな方だったりするとコミュニケーションは取りやすいんですけど、そうじゃなかったり。あとトラブルを抱えている人ほど黙って遊技されたり。悟られないように静かに遊ばれるんですね。だからもう観察──。お客様の事をよく見てどんな人か把握して。異変があったらお声掛けして──……」
Q:ニラクさん独特の取り組みはありますか?
「ニラクさんは去年(2018年)5月に『のめり込み対策基本方針』というのを制定されましたよね? 行政とか支援団体じゃなくて、ホール側からこういう宣言が出るというのはたぶん初だと思うんですよ。これすごいなと。これは現状どの程度進んでいらっしゃるんですか」
▲ニラクさんの「のめり込み対策基本方針」
「従業員の教育の部分はある程度終わっていて、あとはケアであったりリマインドなんですけど、今我々が一番力を入れているのが『地域セーフティネットの整備』の部分ですね。要はぱちんこ店だけでは専門的なケアが出来ないので、地域にある福祉団体であるとか施設と協力して、本当に問題を抱えた方が困った時にすぐ行けるように、我々がしっかり繋がりをもっておくと──」
「それは例えばRSNのような役割という事ですか?」
「そうです。それを店舗でできればなあと。お客様からホールスタッフに相談があった時に、応えることが出来るようにしたいですね。しっかり我々がお客様の顔を見て、年配の方であればお茶でも飲みながら相談してあげたいというのがあって。でも我々には問題を抱えた方を助けるためのノウハウであるとかツールすら無いし、まずはそれから作っていこうと。もちろん自分たちだけで出来る事には限りがあるので、地域を巻き込んで情報を共有しながら、ですね」
「なるほど……。それで社会福祉センターさんとかと共同でセミナーなどをやったり、という流れになってるんですね──」
実はニラクさんは翌日、郡山市と社会福祉法人郡山市社会福祉協議会の後援のもと「パチンコ依存対策勉強会in郡山」を開催される予定となっており、この日はその準備の隙間を縫っての取材であった。実際の勉強会は「ギャンブル依存関連事業の取り組み」などの基本的な知識から「自立支援相談窓口について」などの情報。さらには「借金問題解決の基礎知識」などの実践的な講演など盛りだくさんの内容だったようだ。参加費は無料。しかもこれが初開催ではなく第二回目で、今後も定期的に開催されるとの事だ。
「あと店舗の取り組みでちょっと気になってる事があって、『自己申告・家族申告プログラム』なんですけど。これは自分で『入店を断って下さい』っていうと、ホントに断るんですよね? これちゃんとやってるホールさんの話を是非聞いてみたくて……。ニラクさんの実績とかって聞いても大丈夫ですか?」
「つい最近、自己申告の入店制限申し込みが一件ありました」
「それはどういうお客さんだったんですか?」
「もともとお店の常連様だったんですが、店舗のすぐ近くに引っ越しをされたみたいで。足を運びやすくなって、お金を使い過ぎるのを心配されていたんですね。ご家族も心配されてたようですが、家族会議を終えて、ご本人も納得して店舗に自己申告に来られたと。お店としては『例えば時間制限なんかもありますよ』という話をしたんですが『いやー来ちゃうから止めてくれ』と」
「それはもう週何回までとかではなく──」
「はい。もう来たらとりあえず声を掛けて追い出してくれと。4つのプログラム(遊技金額制限・来店回数制限・時間制限・入店制限)のうちで一番ハードな──」
「うわぁ……でもそれってニラクさんだけかもですもんね……他の店舗に行ってなきゃいいなぁ……」
「実際、入店制限ってどうやってやるんですか? いわゆる出禁じゃないですか──」
「そうです。ちゃんと『この方が見えたら入店をお断りしてね』ってアルバイトスタッフにも説明して。単なる出禁じゃなくて、自分の意思で入らないと決めた方なので、しっかりした対応をしてねって──」
「事業者としては相当な負担だと思うんですけど、やっぱりそこはしっかりやらなきゃいけない事だし、これちゃんとやってるのは本当に凄いと思います……」
「なので、予防やそのシステムを作るのが大切なんですよね。海外のカジノはそういう仕組がしっかりしてるので、それを日本版に落とし込んでやっていけば、自己申告まで行く手前で止める事ができるので……。私がラスベガスから持ち帰ったのは、そういう部分なのかなと思います」
▲実際やると大変な自己申告プログラム。
Q:のめり込み対策について、他のホールに思うことはありますか?
「いや……。特に無いですね。今は他と比べる必要はないと思っています。戸田の話もそうですし、社風の話もそうなんですけど、ニラクの場合はのめり込み対策が内側から出てるんですよ。だから風適法──法律のための対策じゃないというのはかなり大きいと思います。繰り返しになっちゃいますけど、経営理念である『明るく楽しく面白く』ですよね。のめり込み対策もこのために能動的に動いてる部分があって、だから現場も協力的にやってくれてると思います。なので、他のホールについて思う事は特に無いですし、比べられないです」
Q:最後に。のめり込み対策にゴールはありますか?
「ゴールはないです。どれだけやっても100%にはならない。ただ、私達がやっている仕事にはある程度ゴールはあって、それは従業員全員が正しい知識を持ってお客様の問題に対応できるようになったとき。日々の仕事にそういった意識を持って取り組めるようになったときが、ひとつのゴールかなと思います」
▲笑顔が素敵なお二人でした。
☆まとめと今後の展開!!
約2時間に渡る課外授業を終えた我々。お話を聞かせて下さったニラクの武田さん・戸田さんに挨拶を済ませ、屋外へと出る。
「さあ、編集長。どうでしたか今回のリカバリー学園。最後にシメの感想をお願いします」
「月並みな意見だけど想像以上に『ちゃんとやってんだな』というのが大きいね。やらされてやっているわけじゃないってのがね。個人的に心を打たれたのは戸田さんがのめり込み対策に興味を持つきっかけになった『お爺ちゃんの背中』かな。だってそれで一旦辞めようと思っちゃうんだぜ……?」
「やっぱり、ホールで実際にお客さんの対応をしてると、そういう事もあるんでしょうね。しかしそれがきっかけでラスベガスまで行って──」
「な。あとは企業文化。社風だよね。やっぱさ、上からおさえつけてただ『のめり込み対策をしなさい!』って言われると、面倒臭いしやる気も出し辛いじゃん。でも元から企業文化としてのめり込み対策に近いことをやってたというのは大きいよね。話を聞いた感じでは、お客さんを守る文化、みたいなのが最初っから根付いてるもん。社風と合致してさ。いまこうやって注目されるくらい、のめり込み対策の最前線をひた走ってるわけじゃない。凄い不思議な……というか、上手く噛み合ったなぁと思ったよ……」
「実際、他のホールさんでもこういうエピソードって絶対ある筈なんですよね。そう考えると、ちょっと我々ユーザーからしても心強いというか……。あ、やってくれてるんやって。なかなか見えづらい部分なんですけど、今回の話を聞いて僕なんかはすごく安心できましたね」
「声を掛けるだけで、ある種の対策になっているってのは、勇気が持てるよね。あとはメディア側が、そういう取り組みとかをちゃんと広げて行くっていうのが大事だなと思った。いや良かったよ、今回の話を聞けて……」
▲取材を終え、少し大人になった二人。
リカバリー学園。第二回目。いかがでしたか。前回は依存問題・のめり込み対策の総論的な部分をみんなで一緒に学びましたが、今回は実際の現場である「ホール」の取り組みについて、株式会社ニラクの担当者お二人にお話を伺いました。
当たり前ですが、「現場」はニラクさんだけじゃありません。今は日本全国のホールが程度の差こそあれ、同様の取り組みを実施あるいは検討されている所だと思います。どうせ打つなら楽しく。負けるにしても明るく。結局「遊技」なのですから、人生を捨ててまでやるもんじゃない。日々の業務に忙殺される、ホール経営に携わる人にとっては綺麗事に聞こえるかも知れませんが、ぱちんこ業界そのものの根底にある「イメージの悪さ」を払拭するのには、たぶんこういう取り組みがすごく大切なんじゃないかなと思います。
ニラクさんの場合はたまたま元からそういう「社風」「企業文化」が根付いていたとの事ですが、これって、全国の中小ホールさんにとっても、大きなヒントになるんじゃないかなと、僭越ながらそう思います。
以上。第二回リカバリー学園でした! 次回は──またワチャワチャした事になりそうな予感が……! 乞うご期待!
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- あしの
- 代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。
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