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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2020.09.15
期待を裏切り、超えたマシン。~初代・エウレカ~
カミさん「じゃあ行ってくるね~」
――「いってらっしゃ~い」
カミさん「夜は遅くなるから、ご飯は先に食べちゃってて」
――「分かったよ。気を付けて行ってきてね」
玄関先でカミさんを見送り、さらにベランダに出て手を振る。カミさんが仕事に行く際の決まり事だ。そしてカミさんの姿が見えなくなるや、スグに自室に戻り、流れるように据え置きゲーム機の電源を入れた。
――「さて、ラスボスと決着をつけに行きますか」
そう、この頃の俺はまるでヒモのような生活を送っていた………。
荒れた生活。
仕事が無いわけではなかった。担当機種である「緑ドン~花火の起源探求之巻~」は、導入から2ヵ月が経った今なお高稼働を維持しており、担当するページ数も多いままだ。しかし、仕事といえばソレとたまの動画出演程度。ヒマを持て余していたのである。
それならパチスロを打てばいいじゃない。
もちろん俺もそう思い、原稿料が入ると連日緑ドンを打ちに出掛けた。遠征すれば高設定を使うホールも少なくないが、そういった優良店はライバルが多く、ピン(1人)打ちの俺が易々とツモれるほど甘くなかった。
機種モノライターにとって最も重要なのは稼働量。勝ち負けなど関係ない。とにかく打ち続ければ、勝ち方や演出法則が見えてくる。
緑ドンさえ確保できれば御の字。もはや勝ち負けなど気にしていられない。そうやって立ち回りを放棄し打ち続けると、給料が入って1週間もすれば軍資金が尽きる。結果、自宅に引き籠ってゲーム三昧。それがここ2ヵ月のお決まりになりつつあった。
1ヶ月ほどプレイしているRPGは、いよいよクライマックスを迎えていた。しかし、推奨レベルに達しないまま無理に進めたせいか、ボスに辿り着く前のザコにボコられ全滅。大きな溜め息が漏れた。
――「…なんか違うんだよなぁ」
青ドン・赤ドン・緑ドン……。攻略ライターとしての仕事ぶりは、十分評価してもらっていると思う。しかし、ネタ探しのために打ち続けるほど資産が減るという現状。
これも攻略ライターの宿命だが……やっぱり勝ちてぇ!! しっかり高設定狙いで立ち回ってこそパチスロだろ! しかし、ピンで優良店の緑ドン・高設定をツモるとなると…。
今にして思えば至極単純。担当機種以外でしっかり立ち回り、余裕があるときに担当機種を打ち倒せば十分だ。しかし当時の俺はまだ若く、担当機種の稼働量において、絶対ライバル他誌のライターに負けてはならないと思っていた。
そう、当時の俺はイタいほどストイックだった。
ゲームをコンテニューする際、ふと翌日の予定を思い出した。電源を入れたまま放置していたPCでメールBOXを開くと、案の定、明日の案内が届いていた。
――「13時から、8階大会議室か…」
スグにメールBOXを閉じ、再びゲーム用のブラウン管テレビに視線を移す。
1年ほど前から始まった定例会議は、編集部員とライターを集めて行われる。強制参加ではナイものの、まだ新米に位置する俺がサボるわけにはいかない。
――「まあ、予定があるだけマシか…」
イスの背もたれに思いきり体重を預け、コントローラーを緩く握った。
魔法の言葉。
編集長「……と、次号の流れはこんな感じです。では次に、各メーカー担当から次機種について」
メーカー担当とは?
各メーカー広報さんとの連絡役・窓口となる編集部員のこと。取材スケジュールを申し込むほか、メーカーとのコラボ企画を提案したりすることもある |
編集部員A「〇〇から〇〇が来月中旬にリリースされます」
編集部員B「〇〇からは〇〇の続編が……」
緑ドンのページが無くならない限り、俺に大きな機種は回って来ない。それに興味をソソられるようなタイトルもない。俺にはあまり関係のない話だ――
U氏「え~、サミーからエウレカセブンってアニメのタイアップ機が出まーす」
U氏は最近まで連載ページの担当をしてくれていた先輩である。「えうれか」? 聞いたことすらないアニメだ。
U氏「かなりチカラが入っているようで、なにやらボーナスでもARTでもない『第3のボーナス』を搭載しているそうで……」
――「は!?」
一瞬にしてザワつく会議室。
編集長「ボーナスでもARTでもない!? なにソレ? AT?」
U氏「いや~、それがまだ現段階ではなんとも……」
先輩ライター「またサミーがトンデモナイ台出して来んのか?」
――「マジか……」
U氏「いや、本当に何か分からないけど」
この会議に参加している面々は、2020年現在のアラフォーにあたる世代である。全員の脳裏には、あの4号機「獣王」の衝撃が浮かんでいたに違いない。
先輩ライター「サミーがハンパな台でそんなこと言うわけない」
――「たしかに。サミーならきっと……」
先ほどまで大人しかったライター陣も、新しいドラクエの発売日が発表された少年のように目をキラキラとさせている。もちろん俺も例外ではなかった。
大きく時代が変わる!! そんな興奮が身体中を駆け巡った。
好きかも。
エウレカの情報は導入日が近づくにつれ明らかになったが、どの攻略誌を読んでも、肝心の『第3のボーナス』に関する記述が見当たらない。結局、有力な情報を得られぬまま導入日を迎えた。
しかし、むしろこのほうがイイ。本当に斬新なシステムであれば、事前情報がないほど衝撃がデカいハズだ!
ワクワクしながら迎えた初打ち当日。基本的な打ち方程度は分かっている。あとはどこで『第3のボーナス』が発動するかだ!
▲5号機「パチスロ交響詩篇エウレカセブン」(サミー)
2009年の9月にデビューしたボーナス+ART機。ボーナスはいずれも擬似ではないリアルボーナスで、赤BIG・白BIG・REGの3種類。平均獲得枚数は赤BIGが303枚、白BIGが204枚、REGが30~50枚となっている。
肝心のARTは純増約1.4枚/Gのセット数管理。1セットは50Gで、もちろんセット数の上乗せもアリ。セット終了時に残りストックがあれば、即発動or潜伏経由で次セットがスタートする |
実戦開始から2時間――
なるほど、ゲームの流れは悪くない。従来機のARTはボーナス後か周期的に訪れるCZから突入していたが、エウレカはそうじゃない。4号機のATみたいに、通常時のレア役から前兆経由で突入するケースもある。
これはたしかに新しい。なによりボーナス非当選のレア役でもARTへの入り口になり得るのが嬉しい。レア役成立後の高確・前兆挙動は今のところスカばかりだが、それでも期待感があるだけマシだ。
そして、通常時に突如発生する押し順当て「ねだるな勝ち取れ!」もイイ。押し順正解なら突入リプレイが揃ってイキナリARTに突入する。連チャンは望めないものの、その神出鬼没感が堪らない。
初打ちゆえ設定の高低は分からないが、適度にボーナスが当たってくれているため、深いハマリは1度もない。投資8,000円から下皿プレイが続いている。
2度入ったARTはいずれも単発。50Gを駆け抜けて終了だった。今のところドカンと出るイメージはナイが、かの「第3のボーナス」さえ射止めれば……。いや、まずは普通のARTに入れておきたい。持ち玉も寂しくなってきたし、1度は上乗せを体験しておき――
台「ジュババババババ!!!」
――「な、なにごとー!?」
リール上にリプレイ・リプレイ・チェリーが一直線に揃い、いきなりARTがスタート! 押し順当ての「ねだるな勝ち取れ!」も発生していなかったが……。
――「……ヤバい。イイぞ」
数ゲーム前の変なリプレイ揃いでRT状態がアップし、そこで突入リプレイが成立した。普段であれば「ねだるな勝ち取れ!」が発生するシーンだが、あえて発生させずにイキナリ突入リプレイが揃うパターンも存在するというわけか!
――「…コレは好きかも」
そしてART開始から間もなく、レバーONでアラート音が鳴り、液晶には赤い目玉のような敵キャラが出現。チェリー対応なのだろう。期待を込めつつリールを止めると、予想通り強チェリーだった。
――「ボーナスが当たってくれりゃ最高なんだけど」
そしてBETボタンを押すと――
台「ジュババババババ!!!」
――「おおん!?」
リール窓の右側にある「コンパク・ドライブ(役モノ風サブ液晶)」が白くフラッシュ。そして色が基本の緑からオレンジに変化した。困惑する俺。
――「ん!? コレが上乗せか!」
直後に発展した連続演出は失敗。ボーナス同時当選はナシということだろう。まあ、上乗せてくれただけでもありがた――
台「ぱわわ、ぱわわ、ぱわわ……」
またしてもレバーONでアラート音。しかし、液晶に出現した目玉のような敵キャラは白だ。あまりアツそうには見えない。いつもの通り左リールにBARを狙うと…
台「ジュドォ~ン!」
――「ええ!? ちゅ、ちゅ、ちゅ…中チェじゃん!!」
レア役対応のカットインすら発生せず、地味な白いザコ敵で中チェが降臨するとは!! 中チェはかなりアツいレア役だと攻略誌に書いてあったハズだ。これもBETで上乗せるのでは―――!?
が、期待に反し上乗せ告知は発生せず。
――「は? もしや目押しミスか押し順ミスで中段に…なわけないか」
液晶では中チェ成立ゲームから即発展した連続演出が続いている。が…
――「ん? ハズレだ」
さっきまでしつこく続いていたリプレイが途切れた。いや、ART中のハズレは何度か確認しているが……次ゲームもハズレ!
――「リプ確落ちてんじゃない? ってことは……」
案の定、主人公が乗る機体が勝利しボーナス告知が発生!
――「はぁ~、これだからボーナス+ARTは!!」
さらに出てきたボーナスは獲得枚数が多い赤BIG。そして赤7を揃えた瞬間から流れ始める美しいメロディー。
――「な…なにコレ…イントロからヤベェ…」
名曲「sakura」である。もちろんこのときは曲名など知るはずもなかった。
――「何だこの曲…はじめて聴いたのに…なんか泣きそう」
BIG中に白7が揃えばARTセット数を獲得するが、ココでは1度も揃うことなく終了。そして準備中を経てARTに復帰した際、液晶を見ると…残り50Gから再スタートしているではないか!
――「なるほど。ART中のボーナス当選で上乗せというか、再スタートみたいな感じになるわけだな」
突入リプレイが揃うと50G間のRTへ。その間がARTとなっているため、ボーナス後に残りゲーム数から再スタートということはナイ。セットの頭から再スタート。これが地味に嬉しい。
周りを見回しても、ドカンと出玉を積んでいる台はナイ。「第3のボーナス」らしきトリガーが発動した様子もない。それでも―――
幻。
結局この日は閉店近くまで打ちきった。そして悟ったのである。
「第3のボーナスなど存在しない」と。
期待した「市場が一変するような新システム」はなかった。そこにあったのは、基本に忠実なボーナス+ART機。むしろプレーンでお手本のようなボーナス+ART機だった。
しかしながら、そのなんと美しいことか。
ARTに比重を置きすぎない、絶妙な出玉バランス。終日打ってもドエラい一撃は見られなかった。派手さはナイが、サミーの情熱が痛いほど伝わってきた。
ムダに煽りすぎない控えめな演出。一瞬で非日常へと連れて行くBGM。その全てが頭から離れず、帰路も退屈することはなかった。
「第3のボーナス」は幻だった。
しかし、そんなものは必要ですらなかった。もしも極端な出玉トリガーを搭載していたら、あの絶妙なゲームバランスを保てないだろう。
勝ちてえ! 高設定をツモって勝ちてえ!! しばらく立ち回りを放棄し腐りきっていた俺。そんな俺に火を点ける機種が遂に現れた! こんなにワクワクしたのはいつぶりだろう――。
この日は深夜になっても興奮が冷めず、ほぼ徹夜で再びホールへと向かったのだった。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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