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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2021.09.14
スターの勝ち筋~新鬼武者~
【前回のお話】 |
新鬼武者のシマは、徐々に熱気を帯び始めていた。朝イチこそ空席が目立ったが、開店から30分を過ぎると1つ、また1つと席が埋まっていく。狙い台をハズした人や、変判を終えた人が流れて来ているのだろう。
肝心の俺はといえば、上乗せぶんを含め表示された1セット目のARTゲーム数は150G。それを消化しきると、お待ちかねの「鬼武侠」へ。
鬼武侠は、いわば後乗せ告知演出だ。上乗せは直乗せと後乗せの2つに分けられ、リール窓の下に玉を獲得すれば後乗せとなる。
桜玉から出てきたゲーム数は……やはり+100G。200~300Gの上乗せも期待したが、さすがにそこまで神懸かり的な展開ではないらしい。
それでも1セット目から250G以上の継続が確定。油断できるほどの状況ではないが、スタートとしては100点と言っていい。あとはボーナスが絡んでくれるかどうかだ。
ART「蒼剣ラッシュ」の純増は約1.4枚/G。いくら上乗せしても、ボーナスを引けなければ出玉の爆増は望めない。ボーナスを平均以上に引いて、やっと真価を発揮するのがボーナス+ART機だ。
ARTゲーム数は淡々と減り続け、遂には残り50Gをきった。もちろん次セットへ継続する可能性もあるが、このままボーナスが絡まず終わる恐れもある。
大騒ぎした割にこの程度か。そう内心で自虐し覚悟を決めた頃、久々にスイカが成立。しかし演出は弱めで、上乗せ告知も玉獲得もナシ。
ここに来て上乗せナシか。そう肩を落としレバーを叩くと……
――「ああ! 見てください、これ!!」
最強フラグ。
――「押し順ナビ出てるのに敵キャラがいない!」
押し順ナビ発生時の液晶には、なにかしら敵キャラが出現する。基本は足軽だが、なにも出現せず押し順ナビだけが浮かんでいる。
――「これ告知来ますよ」
予想通り次ゲームでボーナス告知が発生。ARTゲーム数を使い切る直前で、なんとか待望のBIGを射止めた。そしてBIG後25Gほどで継続バトルへ。単発でも仕方ないと覚悟を決めていたが、危なげなく切り抜け2セット目へ。
が、2セット目はノーチャンスのまま残り10G以下に。あとは継続バトルに賭けるしかない。そう思ったのだが……
――「おっ、白ガッチャ!」
ガッチャも敵キャラの一種で、主に小役ナビの役割だ。上乗せ期待度は足軽より遥かに高い。さて、なにを引いたのか。強チェリーか、それともまたスイカか。期待を込めつつリールを止めると……
――「えっ!?」
チェリーは非出現で、スイカも非テンパイ。同時当選期待度が約94%、非同時当選なら必ず上乗せとなる「1枚役」だろうか。これは思わぬ拾い物を……
――「は? なんだコレ!!?」
突入リプレイが揃って桜玉(+100G以上)を獲得! ボーナス同時当選+3ケタ上乗せ確定の超プレミアフラグである。その確率……
1/21845.3!!
確率1/4096の1枚役なら最高に嬉しい。そう思っていたが、その遥か上を行く超プレミアフラグ! 出てきたボーナスはREGだったが。
――「このボーナス後に桜玉がある安心感よ」
俺はたしかな手応えを感じていた。プライベートなら、こういった激重フラグを引くことも割とある。収録に比べ遥かに稼働時間が多いためだ。
しかし、カメラが回っているところで見せられてこそ、はじめて動画出演者として価値がある。狙ってできるものではないが、そういった運も動画出演者には求められる。
U先輩やA先輩はそういった奇跡を幾度もカメラ前で披露し、今日に至っているのである。
ART機だけを攻めると決め、あまり得意でない新鬼武者に飛び込んだからこそ巡ってきたこのチャンス―――
勝てる!
今日もU先輩に勝てるぞ!!
いくらU先輩とて、まさか俺以上の展開に恵まれているハズがない。さりげなく背中合わせのシマにいるU先輩の様子を見ると……
――「あれ? Uさんは?」
カメラマン「別のシマに移動したみたいだよ」
――「ええ!? なんですって?」
スターの立ち回り。
執拗に新鬼武者にこだわり、今シーズンを戦ってきたU先輩。そのU先輩が、本日のイベントの主役である新鬼武者をヤメた……!? 1/3で5・6ジマかもしれないのに?
「これ!」と決めたら火だるまになっても打ち続ける人物だ。なにか確信があって移動したとしか考えられない。
エウレカやリンかけ日本Jr.に空きが出たのか? いや、その程度で移動するU先輩じゃない。もっと決定的ななにか……
――「ごめんなさい、少し離れます」
三脚からカメラを外そうとするカメラマンを手で制し、カメラを置いたまま席を立った。どこに行った? あのU先輩が移動するところなんてあるのか?
ARTコーナーを見て回るが、その姿はナイ。普段であれば収録中に銭湯へ行くような傾奇者だが、さすがに決勝進出&番組残留がかかった最終戦でそれはないだろう。
トイレにでも行っているのか。そう思い自分の席に戻ろうとしたとき、意外なところでU先輩を見つけた。
30Φコーナーだ。
沖ドキの登場により沖スロ=荒波マシンといった印象になったが、これはそれよりずっと前の話。5号機初期から続く「どノーマル」時代の真っ只中である。
まさかこの時代に「お注射されている」なんてことはナイはず。そんな「どノーマル」の沖スロにU先輩が座る理由は!? 沖スロのシマのデータ表示器を見て回っていると、U先輩とバッチリ目が合った。
U先輩「なんだよ。私はキミと話してるヒマなんてないんだ」
軽く笑みを含みつつ声を掛けてきたが、プレイを続ける手は止めていない。すでにブン回し態勢だ。データ表示器を見る限り、出ているようでもないが。
――「どうして沖スロなんスか? それも……」
U先輩「なんだ? ハイハイをバカにしてんのか?」
――「いやいや、そうじゃないっスけど」
U先輩が打っていたのは「ハイハイ‐30」という機種。王道のハナハナシリーズではなく、少しマイナーなパイオニアの機種だ。
U先輩「いいのか? 余裕こいてて」
――「いやいや、なんで沖スロに移動したのか気になりまして」
U先輩「このシマを見てなにも感じない?」
――「このシマ……!?」
沖スロはハナハナとハイハイの2機種のみで、台数は合わせて15台ほど。全台稼働中だが、店内の稼働率はどんどん高くなっている。埋まっていても不思議ではナイが……
――「ああっ!」
U先輩「お、気付いた?」
異端の発想。
ハナハナは大半が箱を積んでいる状況。そして出ていない台もボーナス合算は良好で、REGに偏って展開負けしているように見える。設定そのものは良いのかもしれない。
そこで思い出した。この店のまだ発動していない「今月の公約」。
ハナハナ&ハイハイ ALL5&6
それが発動した!? 常連客もそれを察知して沖スロジマに集まり、みなブン回しているというわけか!!
U先輩「あ、当たりました。少しハマったけど追加投資ナシ」
本当に公約が発動しているのかは分からない。しかし、ハイハイまでもがフル稼働となると、たしかに異様な気がしないでもない。そしてこのU先輩の落ち着きよう。
一通りカメラへのリアクションを終えたU先輩が、俺に向け口を開いた。
U先輩「ハイハイの割は6でも108%だって」
――「108%? それじゃあ……」
U先輩「枚数ポイントの3,000枚も厳しいって思うだろ?」
――「そうですね、実戦時間を考えると」
U先輩「だが、それはあくまで平均」
――「平均?」
U先輩「まず6であることが前提。そのうえで平均を上回る勢いで出す」
――「なっ!? そんなこと……」
異端の上振れ狙い!!
ただの愚行にも思えるが、パチスロを打っていると上振れすることなど珍しくない。そしてU先輩には自信があるのだろう。これまで幾度となく難局を乗り越えてきた経験から、その偶然を必然にする自信が。
U先輩「この台が6で予想設定を当て、3,000枚以上を出してラッシーに勝てば……」
――「6当てで+3pt、枚数で+1pt、俺に勝利で+3ptだから……」
U先輩「合計7pt。俺の今シーズンはトータル11ptになるわけだ」
――「なっ? 11pt!?」
俺の現在のポイントは9pt。今日の差枚数がプラス域だとして、U先輩に敗れれば+2pt止まり。11ptでU先輩と並んでしまう!!
U先輩「私がすべきことは決まった。キミも頑張って」
――「……ありがとうございます」
たった一戦で今シーズンを振り出しに戻す気か! 針に糸を通すような極めて難しい勝ち筋だが、U先輩にはそれを遂行しきる自信があるというのか――!?
U先輩の算段がすべて実る可能性は低い。極めて低い。でもそんな無茶を幾度も通して来たからこそ、業界トップの人気ライターとして君臨しているわけである。
このリードを守り抜くしかない。これだけ優位に立っていながら負けたら、今後どれだけ戦ってもU先輩に勝てる気がしない。
格付けなどとうに決着しているが、せめて一矢でも報いる存在にならなければ。
防衛戦。
席に戻り一呼吸置いて、再びARTを消化しはじめた。俺がすべきことは、とにかくこのARTを終わらせないこと。
当然ゆっくり回そうがブン回そうがボーナスや上乗せの当選率は変わらないが、このARTを大事に大事に育てたい。そんな気分だった。
またもや桜玉はミニマムの+100G。が、その後は継続にも恵まれボーナスも絡みはじめる。上乗せの傾向から、まず奇数設定は間違いないという状況。あとは5であることを祈るのみだ。
そして7セット目の継続バトル――
――「ぐあ~、遂に終わっちまったか……」
ARTは908G継続、1,806枚の獲得で終了。十分すぎる結果だが、打っているのは荒波マシン・新鬼武者だ。まだ安全圏とは言い難い。
ここで勢いを失うようならそれまで。高設定の可能性も低いだろうし、俺の演者としての資質もその程度ということだ。願わくばもう1発。さっきと同程度の一撃がほしい。
そんなことを考えながら久々の通常時を回していると、ART後30Gもしないうちに中段チェリーが出現(強チェリーよりやや強い小役)。その後スグにスイカを引くと、前兆ステージである百鬼モードへ!
が、これはあえなくスルー。そう簡単には勝たせてくれないらしい。大きく出玉を削られるかもしれない。そう覚悟したのだが……
ART終了から110Gを超えたあたりでスイカ。その後、ベルが揃うと「ボボボボボ…」と高確確定の入賞音が発生! スイカの前から高確にいたのか、それともスイカで高確に上がったのか。高設定の高確スイカなら――
祈るようにレバーを叩いていると、百鬼モードへ移行してART告知が発生! 前回ARTから150Gほどしか経っていないため、さっきほど続かずとも十分嬉しい。手堅く500枚くらい獲得できれば――
1セット目はなにもできずに駆け抜け。そして2セット目を半分ほど消化したところで、スイカから滅玉(紫)を獲得(+30G以上)。そして次ゲームのレバーを叩くと……
みの吉「ボタンを連打するでござる」
――「きたーーー!!」
上乗せの次ゲームでボーナス期待度の高い演出。新鬼武者において、俺が最も好きな瞬間だ。これが赤BIGで、さらにBIG中……
台「ジュバババババ!」
――「はじまったコレ!!」
BIG成立時のART抽選に当選。ART初当たりをストックしたため、現在消化中のARTが継続抽選に漏れても、スグに次のARTが新たな継続率でスタートする。
そしてBIG後の鬼武侠で紫玉から+100G! 浜崎あゆみの「Startin’」が流れ始める。
――「はまさきぃ~!! くぅ~、たまんねえ~~~」
そして直後に「赤文字の敵ゼリフ」を確認し、当該セット継続+67%継続以上が確定。
――「さすがに負けない。この展開で負けはないっスよ」
設定差がある共通ベルの出現率は、相変わらず設定5の近似値で推移している。しかしこうなってしまっては、もはや設定うんぬんではない。どれだけ出せるか。シンプルにその一点のみ。
仮にU先輩が設定6をツモっていても関係ない。差枚数で圧倒し、1つでも多くの枚数ポイントを獲得するだけだ――!!
激戦の果て。
U先輩「といったわけで、今回もラッシーくんの圧勝となりました」
――「ありがとうございます」
俺の2回目のARTは4セット終了と期待外れだったが、それでも上乗せに恵まれ1,400枚超の出玉を獲得。その後もボーナスとARTを重ね、最終的な収支は……
総投資 3,000円
獲得枚数 4,889枚
差枚数 +4,739枚
5,000枚には届かなかったものの大満足の結果となった。対するU先輩は…
総投資 41,000円
獲得枚数 55枚
差枚数 -1,995枚
作戦は1つもハマらず大敗。沖スロコーナーの公約は発動しておらず、15時を迎える頃にはほとんどが空き台に。その後、U先輩は新鬼武者へと戻ったが……。
U先輩「ラッシーくん、何ポイント獲ったの?」
――「現状、勝利・枚数・プラス収支で+6ptですね」
U先輩「さらに設定予想もしちゃう?」
――「終日粘ったからしようと思います」
頼みの綱の中段ベル出現率は低設定域まで低下。しかし高確スイカからのART突入率が良好だったため設定5と予想した。もちろんイベントの主役機種であることも加味しての判断である。
U先輩「なるほど。まあ、キミの決勝進出はすでに決定的ですから」
――「さすがに…ですね。ありがとうございます」
U先輩「私が視聴者に言いたいことは1つだけ」
――「なんでしょう?」
U先輩「スミマセンでした!! それだけ」
――「ハハハ」
U先輩「もう謝るしかないよ今シーズンは」
かくして俺は1戦を残し決勝進出を決定的なモノとした。参戦して2シーズン目に訪れた優勝のチャンス。優勝など自己満足にすぎないかもしれないが、それでも俺にとっては憧れ続けた頂だ。
このチャンスを逃したら、次はいつ巡ってくるか分からない。2度と巡って来ない恐れもある。
なにより前シーズンでは歯が立たなかったU先輩に勝てたことが嬉しかった。もちろんそれは、U先輩の助言があったからこそ。
そして負けてもなお腐ることなく、それを笑いに変えるU先輩。知った風に能書きをたれ、結果すべてのアテがハズれるという美しさすら感じる負け方。華があると言うべきか、もはや職人技とも言える芸当だ。
U先輩は、勝っても負けてもエンターテイナー。それを思い知らされたシーズンだった。
ちなみに俺が終日粘った新鬼武者は、後日「設定1」と判明。いたずらに勝ち点を1pt減らす結果となってしまったが、その無様さもまた笑ってもらえたならそれでいい。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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