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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2022.06.28
パチスロライターに“なってしまう”まで。episode.17(大花火の登場)
等価交換で4 年前に登場した『クランキーコンドル』をタコ粘る。そんな前時代的な立ち回りをしていた1999年の暮れでしたが、ついに時代が変わります。
▲ウルトラマン倶楽部3&初代B-MAX
ここまでも『ウルトラマン倶楽部3』や『アステカ』や『B-MAX』など大量の出玉を獲得しやすい機種が登場するようになっていました。それにより等価交換営業が増えていくこととなりました。もちろん、凄い機種たちですが、前衛的だったと申しますか。ポップでないと申しますか。難易度も含めて万人向けとは言い難いものでもありました。
大ヒット機種で、大量出玉を獲得しやすい機種が登場したら、雪崩を打ったように等価交換営業のホールばかりになるのではないか。それが現実となります。『大花火』の登場です。
▲大花火
『花火』も人気を獲得し、認知度の高いキャラクターとなったドンちゃん。ポップなのはそれだけでなく、技術介入の難易度もそうでした。
BIG中の技術介入手順は、ビタ押しに自信のある人は「中段にBARをビタ押しして、100%成功となる」手順。目押しに少々自信のない人は「3連ドンちゃんをアバウトに押して、75%で成功扱いにしてくれる」手順。2種類を選べたのです。目押しが苦手な人も1回のBIGで711枚取れることもあります。
これは後々の経験則もありますが。時代を変えるのは、ユーザーの(技術的な)間口が広く、それでいて大量獲得できる機械です。さらに、予告音的な『B-MAX』など前身機があればなお良し。『吉宗S』にとっての『シェイク』のようなものですね。すんません、ストック機時代を知る人にしか伝わらない例えで。
★通常時のリールも絶品
▲大花火のリール配列
大ヒット機種となったのは、目押しが苦手な人にも支持されたからではありません。まったく新たな楽しみを提供するのではなく、それ以前のスタンダードから考えても優秀で、平均400枚獲得するBIGを持った一般的なノーマル機を打っていた人からも人気を博したことも大きかったと考えます。
というか、設定1でも出玉率100%近く。BIG1発で711枚(平均600枚強)。こんな優秀なスペックならば、放っておいても楽しみは発見されていくものですけどね(笑)。
私が好きだったのは、左リールにBARの2つ下の青七を中段でビタ押しする手順。ボーナス成立ゲームとハズレは1コマスベって「BAR・リプ・青七」で停止します。鉢巻リールが作動して、ハズレ対応の「一尺玉とハズレ以外は、その時点でボーナス確定」です。
ちなみに、その場停止(中段青七)は、リプレイor三尺玉。ここからの小役ハズレは、ボーナス成立後。頑張って前のゲームの出目を思い出します。3コマスベって「山・三尺玉・BAR」が停止すると山or成立後のREG。レア小役の山の目押しの回数を減らせます。
ユニバーサル系の機種の左リールって、1つのフラグに対して1本のスベリコマしか用意されていない(1本テーブル)んですよ。5号機では“単一制御”しか認められなくなって「出目のバリエーションが……」と心配する向きもありましたが、ユニバーサル系は昔から単一制御でも面白い機種を作っていたのです。その最たる例が『大花火』なのではないでしょうか。
★佐々木的“大量獲得タイプ”の考え方
メディアで仕事をするかもしれなくなりましたが、この時は一介のパチスロ生活者なわけで。いや、今でも上のような説明を覚えているくらいには打ちましたよ。ただこの当時、稼働のメイン機種にはしていなかったです。
設定6のBIG確率は、1/240.94。これは400枚タイプでも同じです。ならば平均獲得枚数が多いほうを打つべき。出玉率の高い機種を打つべき。それは間違いありません。ただ、これは設定6を打てる前提です。
『大花火』は大量獲得タイプなので、設定1のBIG確率は1/431.16。それに対して400枚タイプの通常機種は1/280前後となっていました。確率通りに引けたとして、初期投資が抑えられるのは後者です。出玉率が同じならば、どちらでも良いじゃないか。そう言えるのは、完全等価交換で際限なく時間とお金がある場合でしょう。
低交換率のホールもある時代でしたので、初期投資は抑えたい。完全等価交換だとしても、打ち初めて30分後に急用で呼び出されるかもしれません。そんな時に『大花火』だと確率の逆数の431Gをまだ回せずに引けていない可能性も高くなります。とにかくマイナス域にいる時間を減らしたいという思いはありましたね。種銭が尽きたらそこでゲームオーバーですから。理論値はプラスでも、軌道に乗る以前でヤメてしまっては結果的にマイナスで終わりますから。
▲ニューゲッターマウス
『クランキーセレブレーション』が好きだったのも『ニューゲッターマウス』に期待しているのも、初当たりが大事な時代に育ったからです(笑)。
逆に、大量獲得タイプのほうが効率的という考え方もあります。BIG確率が1/280程度だと1日にBIGを30回近く消化することになります。それに対して『大花火』なら20回弱に。10回ほど少ない分だけ通常時を回せることになります。通常時の試行を増やせる=同じ出玉率でも日当を上げられる。そういうことになります。
とはいえ問題もあります。BIGの回数が少ないということは、1回のミスが大きく響くことも覚悟せねばなりません。当時からプレッシャーに弱かったですからね。これが毎日ですから。精神的に耐えられないと思ったのもあります(笑)。
なので、「出玉率が同じだからどちらでも良い」ということはありません。打っているホールの交換率、打てる時間、ミスする頻度……などなど、人によって環境や条件は異なります。これは偉そうにどちらのほうが良いと言えない問題ですね。あくまで私は“私の条件だから”普通のBIG枚数のタイプのほうが良いとなったのです。
と、ウダウダ考えていたことは、ライターになってから生かされているかな。万人に当てはまること以外に「どうすべき」とか書かないのは、打つ人にとって条件は同じでないし、正解もまた違うからです。
“優良店”なんて最たるものですね。朝イチから打つ人と、夕方からしか打たない人、ジャグばかり打つ人、跳ねる系のATが大好きな人……これが全部同じホールでとか無理です。また、そのホールの特性に合わせて打つ機種を変えられるタイプか、好きな機種で勝ちたいのか。その気分の割合によっても変わってくることでしょう。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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