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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2022.11.01
パチスロライターに“なってしまって”episode.5(雑誌同士の化かし合い)
自分のページを作るのと編集としての作業を3号やって、悩みが出てきました。日々を追われるだけで、いつまで経ってもページの作り方が上手くならないのです。そりゃそうです。毎号20ページ以上は担当しています。勉強する時間がナッシングなのです。
編集は月々固定のお給料制。勉強したいからページを減らしてくれと言うと、その分のページを他の人がやることになって経費がかかってしまいます。なので、非常に前向きに編集を辞めさせてもらいました。「月に10ページくらいにして勉強したい。それで今のお給料というわけにいかないから、ページ単価にしてくれ」と。それを許してくれた当時の『必勝パチスロファン』編集長に感謝。
編集の仕事をやらなくなると言っても、そんなに大きく変わることはありませんでした。締切直前には、全員で原稿のチェックもしていましたし。とかく我々のような人種は、勉強するためと言っても空いた時間を無駄にするだけで、結局勉強しないことも多いのですが。ページ作りがよほど楽しいと思ったんでしょうね。大手誌などを買い込んで、ちゃんと研究に明け暮れました。
もちろん、まだまだのデキでしたが、ここから普通の雑誌のようなレイアウトが組めるようになった気がしています。これがなかったら、間違いなく今の自分はいないでしょう。というか、レイアウトってストーリーですから。レイアウトを組めない人は、文章も書けないと思っております。
▲『大江戸桜吹雪』(平和:2000年9月)
まともなレイアウトを考えるようになった記念すべき(自分的な)一機種目が『大江戸桜吹雪』。いわゆるノーマルタイプですが、BIG終了後100Gのカウントダウンが発生し、その中でBIGを引くと“BIG中に小役ナビが出る”スーパーBIGとなって獲得枚数がアップする仕様でした。この頃、このような仕様が多かったですね。AT機時代への夜明け前って感じです。
なかなか面白かったんですよ。この機種にはある特徴がありました。BIG成立ゲームから数ゲーム揃えられないのです。その間に4thリールなどの演出が発展していきます。ただし、BIG→BIGの1G連チャンに限って1G目に揃えられます。凄い。芸が細かい(笑)。
今から思えばRTですな。BIG後は1GだけのRTに突入。そこでは成立したボーナスをそのまま揃えられるリール制御。普段は内部的にBIG成立でRT 突入。そのRT間はBIGが揃わないリール制御となっています。
また、王道のユニバーサル系とはリール配列が違っていまして。だから攻め方も変わるのです。リーチ目もユニバっぽくないのです。探り甲斐がありました。
覚えているのは最初のデータ取りですかね。取材は受け付けてもらえたので、素材や写真はありました。ただ、この頃の雑誌と言えば、実戦データが欠かせなかったのです。新装初日に打たなければ、掲載できないスケジュールでした。台を確保できなければ終わりです。なら徹夜で並ぶしかありません。雑誌とはそういうものでした(笑)。
★2000年一番の手応え
この頃のライターは、何かしらの手順を発見することに命をかけておりました。誰が担当しているかは知りませんが、他誌の内容がウチよりも詳しければ負けた感じがしましたし、優っていれば内心勝ち誇っていました。今は動画など和気藹々としていますが、その当時は控えめに言ってバチバチでした。私も早く代名詞的な手順を発見したい。そう思っていました。
▲『ブルース・リーXX』(高砂電器産業:2000年10月)
そんな時期に担当になったのが、高砂電器産業の『ブルース・リーXX』。この機種のリール配列にはとんでもない特徴がありました。普通に打っているとメイン小役とレア小役がダブル入賞する形となるのです。歯応えありそうですな。小役のダブル入賞といえば、岡崎産業の『コア』。こちらはダブルで入賞してくれたので、目押しが正確ならばベースを大きく上げられました。
なんとかダブル入賞してくれないものか。探っていくとどうやってもダブル入賞はしないようです。それどころか、入賞するとダブルになってしまう位置を押すと、どちらの小役も取りこぼしてしまいます。ベースダウンです、しかし、中押しで特定の位置を狙えば、残りリールは適当打ちでも、その取りこぼしを簡単に回避できました。
さらに、中リール中段BAR停止で「ボーナスorチェリー(だったっけかな)」となりますが、それはボーナス成立後。中押しをすると“ボーナス成立ゲームはハズレと同型”演出の発展も楽しみ方が増えました。というか、導入直後は全誌で私が一番詳しかった自信はあります(笑)。
早速、編集長に電話します。「ブルース・リーですが、かなり詳しく書けるので4ページ予定でしたがもう少しください」と。結局5ページになりました。
ただ、この発見を凄いとユーザーさんに思わせるには、もう少しこちらに近付いてもらわなければなりません。シマを見渡して誰も中押しなんぞしていません。この“成立ゲーム限定”の話を理解するには、まず中押しは当たり前のようにやっていてもらわないといけないのです。
ウチの雑誌の次号までの間で、一気に中押しが拡散される方法を必死で考えます。インターネットです。正確にはインターネットそのものではなく、とある大手雑誌の編集部が情報収集用に見ていたパソコン通信(私の出身母体)の掲示板です。うん、過去にネタをパクられたことがあったのでそうと知っていました。
ウチは月に1回の発行ですが、その雑誌は月に2回の発行。間で発売される増刊のようなものがあります。そこで食い付かせよう。弱小とはいえこちらも同業者ですから、締切などのタイミングはなんとなく分かります。
余計な大量検証をさせないように、ギリのギリで中押し手順を投下。それを読んだかは分かりません。しかし、カラーページに比べれば、短時間でねじ込める白黒ページにバッチリ、思った通りに掲載されました。あとはそれを上回るページを自分たちの雑誌で作るのみ!
我ながら悪いページではなかったと思います。内容も見栄えも。しかしですね。2000年秋頃の機種で『ブルース・リーXX』を思い浮かべる人なんぞゼロに近いでしょう。如何せんマイナー機だったのです。設置されているホールが少なかったのです。こうしてまったく話題になることもなく『ブルース・リーXX』を扱うページはなくなりました。チ〜ン。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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