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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2023.05.30
パチスロライターに“なってしまって”episode.19(SINボーナスという存在)
2007年の年明けから“SINボーナス”が気になりまくります。いや、この時にいろいろ考えたんですけど、実際のところは今でも分かっていないです(笑)。私は出てきた機種を見て推測するしかできません。出てきた機種を見て、開発者の解釈というか、できることの一端を考えるしかありません。
4号機までのSINボーナスは“役物”という正式名称でした。SINボーナスが入賞すると、1Gだけの“1枚がけで15枚払い出す”ようなプチボーナスを消化できました。まさに1Gだけのボーナスだったのです。
その役物が廃止され、5号機からは“普通役物”に変更されました。1Gだけのボーナスという特徴ではなくなり、素人には揃ったところで何が起きているのか分からない代物となったのです。
▲『新日本プロレスまでもがパチスロ機』(平和:2007年1月)
最初に5号機版のSINを搭載した機種は何だったか忘れましたが、新しいSINの特徴を使ったのが『新日本プロレスまでもがパチスロ機』でした。
この機種は割と高い確率でSINを抽選し続けます。5号機からできたボーナス2種BB(第二種特別役物・MB)を消化している途中でSINが成立すると、そのゲームを最後に2種BBがパンクするようになっていたのです。
2種BB消化中にSIN・REGが成立するとパンクする。遊技機規則には書かれていません。内規としての処理です。さすがにそういった特徴を持った機種が出てこなければ気付かないことです。そうやって学ぶのを繰り返して理解を広げるしかありません。
2種BBをSINでパンクさせるメリットは、ボーナスの平均獲得枚数を下げられるので、それだけボーナス確率を高められる。遊びやすい機種を作りやすくなる。そういうことだったかと思います。
しかし、この『新日本プロレスまでもがパチスロ機』。当時のユーザーからはあまり評価されませんでした。
2種BBがパンクするからボーナス確率を高められている。だから引けたのかもしれないとは考えずに「せっかく引いたボーナスがパンクさせられて枚数が少なくなる」という不満だけ感じられてしまったのです。
また、ボーナス後はRTから開始しましたが、メダルが増える仕様ではなく。減少するスピードがゆっくりになっている間に連チャンさせてねといった具合。当時は“減るRT”への拒絶反応が大きかったですね。なんせユーザーはそれまでの4号機のイケイケ感に慣れています。今ならマイルドな分、遊びやすい仕様と思えるのでしょうが。
平均ボーナス獲得枚数を下げるために使われたSINを通常時に抽選しないわけにはいかなく。そこに設定差があったため中押しでSINをチェックして設定を推測もされました。
★山佐らしい細かい心遣い!?
『新日本プロレスまでもがパチスロ機』のSINで設定推測をしていましたが、どうにも気になっていたことがありました。4号機以前のSINを知る人間からすると、SINの次ゲームはプチボーナス中であり、ボーナス中ということは次のボーナスを抽選できないのでは? ということでした。
▲『戦国無双』(山佐:2007年8月)
その疑問を晴らしてくれたのが『戦国無双』でした。ボーナス後のRTを伸ばすゲーム性となっており、RTの終了役(出目)はSIN。権利獲得中はSINを回避する色ナビが出るようになっていました。権利がなくなったら、すぐに陥落するようにSINの確率は高めです。つまり、たくさん成立するということ。SINの次ゲームがボーナス中扱いならば、かなりのゲーム数が無抽選となってしまいます。
この頃、山佐は携帯サイトで“開発者に質問できる”という企画をやっていまして。私もお忍びでシレッと参加させていただいていました(笑)。「SINの次ゲームはBIGを抽選していますか?」このド直球な質問に対するお返事は「気にしなくて大丈夫ですよ」でした。多くは言えない開発者のギリギリの回答でしょう。
老舗パチスロメーカーらしい工夫と感じました。RT終了出目となる役を小役としてしまうと、それだけ“小役を取りこぼしながら打つ”ことになります。『新日本プロレスまでもがパチスロ機』の評判よろしく、1Gあたりの増加枚数が競われていた時代。RT終了出目をSINにすれば1Gあたりの増加枚数も減りませんし、損した感もありません。
この後の機種から得た知識もありますが、 SINの次ゲームでも普通にボーナスを抽選しております。抽選しなければ「そのゲームだけボーナス確率が変動している」となってしまいます。ボーナス中はボーナス確率を変えても良いとわざわざ遊技機規則に書かれていますからね。そういうことです。
★ちょっとしたお目溢し?
▲『ドリスタ~ミントのヒロイン救出大作戦~』(ネット:2007年9月)
こんな面白い使い方があるのか! と思ってはみたもののこのアイデアはこれっきり。「今回は通したけど、やっぱりダメよ」と言われたんだろうなと想像しているのが『ドリスタ~ミントのヒロイン救出大作戦~』です。
この機種は通常ゲームの1枚役入賞時にRT突入となるのですが、1枚役はSIN入賞後の1Gしか抽選されません。4号機までの感覚では「SINの後は特別なゲーム」となりますし、SIN入賞時だけ抽選するものがあっても何も不思議には思わなかったです。
これならこんなゲーム性も作れる……なんて妄想しまくりましたが、同じような発想の機種はまったく現れず。おそらくNGとなったのでしょうね。理由までは分かりません。『ルパン三世〜世界解剖〜』のように過激なシステムを作れるから封じられたのかもしれませんし、まったくそんなことは関係ないかもしれません。私が聞いたのは、SIN入賞でボーナス確率を変動させられないのと同様、小役確率の変動も認められないとのことでした。
携帯連動でポイントを貯めるとCDをプレゼントという企画。ネットはOKでしたが、大都技研もやろうとしたら警察に怒られた記憶。お目溢しされやすいメーカーなのかもしれませんね。禁止を考えられる前、世に先駆ける企画力と実行力があるメーカーとも言えますが。
4号機では『サハラ』で大量獲得の先鞭をつけ『クロスCT』でCT機時代に。『ブラックジャック777』でストック機時代の幕も開けました。ここからもネットの発想は紹介していくことになります。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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