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あのときオレはクズだった　第22回　~第2部ガイド編~

田中（クズプロ田中→クズ田中→田中）あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~

フジコを求めて西へ東へ。オレのフジコはああどこに……

　塾長おじさんのプッシュもあって、仙台に先行導入されているフジコ2。その遠征実戦のメンバーに入ることができた、当時21歳の見習いスロライター・クズプロ田中。当日の朝、上野駅の新幹線乗り場でメンバーと待ち合わせ、杜の都・仙台へと向かったのだった。

　メンバーは塾長、ういち、中武一日二膳、ひやまっち、まりも(敬称略)、そして自分の計6名。このメンバーで仙台に会社の金で行き、しかも新しいパチスロを打つことでお金をもらうことができるという、最高の1泊2日がスタートしたわけだ。

　行きの新幹線でういちさんがチケットをなくし、仙台駅で駅員とひともんちゃく起こすというプチサプライズこそあったものの、一同は無事に開店前の仙台に到着。事前に調べていた設置店情報を頼りに、まだ肌寒い仙台の目抜き通りを設置店に向かって歩いていった。

　さっそく、6人で開店待ちを行う……と思っていたら、塾長が口を開く。

｢なにかあったときのために、2チームに別れよう。オレと桧山くんとまりもは、この近くにあるもうひとつの設置店へ行くから｣

　設置台数が6台以上あって、並んでいるのは自分たちだけ。黙っていても台は取れるのに、なにかあったときのためとはなんだろう。そんなことを思いながらもとりあえず納得し、開店までの時間を潰す。そして、開店。ゆっくりと店内になだれ込み、3人並びで新台、フジコ2を無事に確保した。

｢データ取りのやり方、わかるよね？　まずは通常時のコイン持ちを調べるために、このパチパチ君を使ってすべての小役をカウント。DDTで1000G、おやじ打ちで1000G打って、それぞれ小役が揃った回数を数えて。これをもとに、DDT打法実践時はプラス○ゲームというコイン持ちを算出するから｣

　そういって黙々と台に向かって打ち始めると、早くもメモ帳になにかを書いている。なんだかわかんないけど、かっこいいぞ。

　なんというか、もっと連れスロ感覚でわいわいやりながら打つものだと思っていたのだけど、その姿は真剣そのもの。演出が発生するたびに、新しい出目が停止するたびにメモ帳にペンを走らせる姿は、ホールの中では明らかに他の客とは異なる異質な存在だった。だが、異質を感じているのは自分だけではなかったようで、開始からわずか2時間。店員が自分たちのもとに近づいてきて、こう言った。

｢すみません、うちデータ取るの禁止なんで、ヤメてもらっていいですか｣

　データを取るのが禁止って、いったいなんだろう。何ゲームでビッグが当たった。1000Gでベルが30回揃った。そんなことを調べられて店が困ることなんてないと思うんだけど。正直、そう思ったのだけど、横のふたりは何も言わずメモ帳とパチパチ君をバッグの中にしまっている。

　塾長がなぜ、ふた手に別れようと言ったのかがわかった。

　誌面上では憧れの目で見られることすらあるスロライターだが、当時の主な仕事は、華やかさには程遠い地味なデータ取り。ホールによってはこうやって拒絶されることもあるわけで、大事なのは、いかに確実にデータを取って帰るか。冷静に考えたとき、リスクを分散させるためにふた手にわかれたのは適切な判断だと思った。

｢いまゴッシー(塾長)に電話したら、あっちは大丈夫みたい。俺たちはとりあえず普通に打って、当たったゲーム数に関しては頭のなかで覚えておいて、トイレとか外でまとめて書いちゃえばいいから｣

　ういちさんはそういって、何事もなかったかのように再び打ち始めた。

｢左リールにBAR絵柄を狙って、ぬるっとスベったときのアツさったらないよね!!｣

｢やっぱタイプライター予告が最強っしょ！｣

｢勝ちデータのほうがスーパービッグ比率が高いんだけど、これって設定差あるのかな？｣

　実戦終了後に晩メシを食いに行った地下の牛たん屋では、さっきまでの真剣な目つきとは打って変わって、パチスロ好きの少年のような瞳をした6人が、今日打って感じたことを思い思いに話していた。

　データ取りは目立たないようにひっそりと、それでいて確実に行い、それが終わったらみんなで合流して、感じたことを言い合う。なるほど、雑誌というのはこうやって作られていくんだなあ。

「……で、田中はどうすんの？」

　あ、ボクは、明日は演出を中心に掘り下げていこうと思っていますけど……。

「いや、そういうことじゃなくて。仙台まできて、このままホテルに戻ってひとりで寝るのかってこと」

　……そんなもん、行くに決まっているじゃないですか!!

　明日も朝から仕事はある。仕事はあるが、その内容はパチスロを打つこと。二日酔いだろうが寝不足だろうが、そんなものは大した問題ではない。ああ、こんな遊びのような仕事があっていいんだろうか。本日の勝ち金を握りしめ、夜のフジコを求めて街へと繰り出したのだった。

あのとき打っていた「不二子2」

【メーカー】平和　【販売年月日】2002年5月　【タイプ】Aタイプ（ツインBB大量獲得機）　
【田中氏のコメント】
フジコ2といえばビタ押しを要するリプレイハズシをしてなんぼのマシン(ノーマルビッグ時)。当時は自分も目押しに自信があったのだけど、隣で打つ中武さんのハズシを見て、もう目押し自慢は一生ヤメようと思ったものである。ひやまっちと中武さんの目押しは、別格。正直、人間のレベルを超えている。

(c)モンキー･パンチ/TMS・NTV (c) HEIWA

クズの成績表：★☆☆☆☆（やだ、かっこいい）

いやぁ、クズ要素がカケラも無いじゃないか。
契約違反だ、このクズヤローと言いたいところだが、憧れのガイドの仕事をライターとして始めたウブイ感じ、やる気が溢れる感じをビンビンに感じるので、今回はヨシとします。

次回は全国のクズさんたちのクズエピソード全てを過去にするようなヤツを頼みますよ。

田中氏の素晴らしき活動はコチラから！

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田中（クズプロ田中→クズ田中→田中）: 代表作：あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~

パチスロ好きが高じて21歳の時にパチスロ必勝ガイドにてライターデビュー。若手時代は勝ちキャラだったものの徐々にクズっぷりを発揮し、昼はギャンブル、夜は酒をモットーに活動を行う。30歳で思い立ってフィリピンに英語留学へ行き、2012年の2月より世界の子ども支援を行うNPO法人セブンスピリットを設立。フィリピンのセブ島でNPO活動をしながら執筆も行っている。

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