時代～鈴虫の一分～第6話～ゴッド凱旋

鈴虫君時代～鈴虫の一分～

朝7時過ぎに目が覚めた。仕事の日なら汗とよだれの臭いが混ざった枕にもう一度吸い込まれたくなるが、予定のない日ほど二度寝に誘われないのはなぜなのか。そういえば、こどものころから平日は学校に行くのが億劫だった。明後日まで寝ていたい日が何度もあったが、日曜日だけは不思議と早起きしたもんだ。

打ちに行くか…。東京は10時オープンだが、神奈川は9時オープン。電車に20分も揺られれば神奈川に行けるので、身支度をして喫茶店で朝食を食べれば開店時間にちょうどいいぐらいか。地元の北海道も9時オープンだったから、この早さはなつかしい。

朝食をゆっくり楽しみすぎて開店から10分後に入店すると、新台の北斗修羅とまどマギ2は埋まっていた。それはわかるが、凱旋も空き台が残りわずかな状況だった。これは何かあるなと、目の前の空き台に腰を下ろすと投資千円でリプ3からG-STOPに突入した。

ツモった。頭の中でアメージンググレイスがフライングで流れた。残念ながらAT当選とはならなかったが、再びリプ3からG-STOP当選と、この台はそうまでして俺に勝たせたいのか。結局、初当りは600Gまで待たされることになる。殺す気か。

投資は3万弱で設定は悪くなさそう。俺がもっとも嫌うパターンである。もし、あと2万使っても何も起こらなかったら悪いホール、悪い台だと認定して二度と来ないことを誓い実戦続行。次の当りは総投資47本。黄7の3連からだった。

もう許してくれないだろうか。ついに、台に対して許しを乞うようになったか、俺も終わったな。AT中に赤扉が出現したけれど、こんなの罠。左に7、中に2が止まる落語のオチのようなパターンを見せて心を折る凱旋スタイルに幾度となく弾かれてきたから、人生初の赤扉フリー打ち。

777

GODGODGOD

俺は無表情のままだった。こんなことたまにはあるよね。まあ、めずらしくもなんともないしと、羨ましそうにこちらを見る両隣をさらりとかわすような態度をとる。内心、えぐるようなガッツポーズを繰り出しているからね。この瞬間だったら普段できるはずのないバック転ができて、体操の内村より完璧な着地をしていたはずである。

それでも投資ぶんの回収は約束されていない。きっかり6発で終われば軽傷で済んだレベル。せめて、あと2、3発上乗せしてチャラまでは戻したいところで、赤7が揃った。最低でも1発はほしい。すぐに1発を揃え、低いハードルをクリアしてホッと一息ついたときに黄7から上乗せ告知が発生した。これエクストラじゃ…。

早く、早く、次の黄7、いやいや、ゲーム数を戻さなきゃいけないから赤7もほしい、とにかく何でもいいからこいやっ。まるで吐き気と腹痛が同時に襲ってきたようなパニック状態。次の黄7で派手な効果音と一緒に上乗せが発生したときに確信した。もう漏らそうと。

都合赤7が6発、黄7による上乗せが7発の計13発。チャラどころか、勝ちが、それも大勝が見えてきた。パチスロにおいて地獄からの生還が見えたときの喜びほど心がゾクゾクとなる瞬間はない。喜びというより安心といったほうが正解か。この店、俺と波長が完全に合っている。忘れかけていたが、台の設定も悪くない。あとは安心の象徴ともいえる大量のコインを持って楽しむだけだ。

このATで7千枚のコインを獲得し、ひさびさに別積みも体験したが、まだまだ今日という日は終わらない。この直後、俺の打つクソ台は天井に向かって突き進みだした。絶対に無抽選だろと思われる1300Gを消化してから、謎の斜め黄7の連発、とどめには中段黄7まで引く暴れっぷりで人を殺しにきている。1400Gでブラックホール演出が3連したときは十字を切って覚悟を決めたが、奇跡的にスルーして天井に到達、V揃いとなって第一段階をクリアした。

投資は追加して56本である。7千枚のコインが飲まれるわけねーだろとの指摘があるだろうが、たしかに飲まれちゃいない。別積みの4箱はがっちりキープしたまま、手元のコインがなくなったから、現金投資に切り替えたのである。もちろん、打っているホールは等価交換だ。別積みのコインを戻してもらう屈辱、途中でコインを戻して天井を蹴られたときのダメージを考慮しての選択である。現金投資を見た気を使える店員さんが、耳元で「1箱ほど戻しましょうか？」とささやいてきたけれど、丁重にお断りした。

この天井は5連で終わり、MAXの出玉からは大幅に減らすも十分逃げ切っている。いろんなことがあったし、そのうえで勝てたのはうれしいこと。年に一度あるかないかの上へ下へ振れる展開で、最終的に勝てたのはいい経験である。

今回はホールの新規開拓をする意味もあった。冷静に考えると、設定がどうだったかわからない。結局、通常時の王道ルートからの初当りはゼロ。リプ3からのG-STOPは5の2と、これは強い。もう何がなんだかわからないけど、全体的に悪くなさそうだから、通ってみる価値はありそうだ。

夜に知人と待ち合わせがあったので、コインを一度流して、時間つぶしに良さそうな履歴のマイジャグを打った。すると、近くの店員がこちらを見てなにやらひそひそ話をしているではないか。どんな内容かだいたいわかるよ。あいつ、さっきまで凱旋で派手なことをやっていたのに、急にジャグラーかよ、守りに入っちゃったし、もしくはどんだけパチスロ好きなんだよってことを話してんだろ。恥ずかしくてもうこの店には行けない。

鈴虫君の実戦結果

【今回の実戦】
実戦機種：ミリオンゴッド-神々の凱旋- （データ不明）
ゲーム数	出来事	投資など
G数不明	GOD揃い SGGエクストラ	投資：56,000円回収：5000枚くらい

【ここまでの収支】
勝敗	収支
2勝4敗	+8200枚

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鈴虫君: 代表作：ほぼ週刊勝利人、負け人相談室、時代～鈴虫の一分～

北海道釧路市出身。大好きなパチスロを打って楽に暮らせると思い込みライターになる。パチスロ必勝ガイドを中心に多岐にわたって活躍している…わけではなく、他人のおこぼれにあやかろうと必死にしがみついている。好きな機種はカイジとニューパル。

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