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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2017.10.10
5号機の発展を名機で振り返る(2007年編)
この10月から新規に設置されるのは、5.9号機となりました。なんて言われてもピンとこないかも。だって、まだ5.9号機というものを体感していないのですから。それにしても、ここまでの新機種ラッシュがどうしたことか、静まり返っております。「新台購入費用が高いから出せない」と言ってたホールさん、10月は出すんですよね(笑)。
5.9号機の内規が6号機にも引き継がれるのか、個人的に気になっていますが。まだわからないので華麗に放置しておきたいと思います。
そんなわけで、5号機の振り返り企画の第二弾。2007年編です。2007年といえば、4号機が完全に撤去された年にあたります。それもあって、新台入れ替えの需要がピークを迎えていました。発売リストをざっと眺めたところ、登場したのは約150機種。パチ7にもありますが、機種図鑑のようなページが2日に1機種以上のペースで増えていく計算になります。もちろんページを作るには取材が必要。写真の選別やライティングなどなど。正気の沙汰ではございません。
いや、しかし。この年はホールでもかなり打ってたんだよな。
佐々木が選ぶ5号機No.1機種
『スカイラブ』(2007年2月:SNKプレイモア)
この機種が登場したからです。うん、5号機で一番好きだと思います。
システムはボーナス+RTで、CZを経由してRTはループします。RTが連打するためのストックなどございません。実にシンプル。これだけ見れば『超お父さん』と同じなのですが、CZの周期が約100Gと短くなっているのが特徴です。
ボーナス後とRT後はCZ。ここでベルが入賞すれば33Gの完走型RTに。チェリーが入賞すれば99GのダメRT(通常ゲーム)に。リプレイが入賞すると5GのダメRT(プチ通常ゲーム)となります。
通常時の特定出目契機のRTは、途中でほかの特定出目が出現してもRT書き換え不可。この使いかたの上手さは、いまでも5号機No.1ではなかろうか。
……と、言葉にするのは簡単で。10年も経てば、マニアなら当たり前に思えることかもしれません。でもね、なんのヒントもなしに、パズルを解かなきゃならなかたんですよ。完全解明した瞬間、脳汁がドバドバでした。特にリプレイの存在が厄介。似たループ型RT機はいくつかありましたが、これはまったくの新しい発想でしたから。
手順も秀逸。逆押し下段赤7狙いは、下段赤7停止で1確となるだけでなく、それ以外のボーナス種別も一発で察知可能。一般的な変則押しは中押しで『スカイラブ2』にも継承されましたが、「逆押しは把握していなくて。効果が絶大だったのでなくしました。ゴメンナサイ」とメーカーの方に言われましたとも。右赤系ボーナスのときに同時当選するスイカを取りこぼしますが3枚だし。3枚掛け専用機なので、取っても意味ないんですよ。設定推測にも使えませんでしたし。
ちなみに、遅れ演出はチェリーorボーナスですが、チェリー濃厚の出目となったら左リールをカラ回し。カラ回しで自動停止する場合は、小役が揃ってはいけないので、ダメRTにいくチェリーをワザと取りこぼせることも。こうやってCZを延命できたりもしたのです(ほかには『キューティーハニー』にもあったね)。
ダメだ。『スカイラブ』の話は朝までかかる。いったんほかの機種に行きます(笑)。なんで5号機No.1と思うか。ループ型RT機が主役とならなかった理由については、また後ほど。
2006年のアイデアをブラッシュアップ
前回、リプパン方式について触れましたが、その延長線上。アイデアをブラッシュアップしていく時期が2007年だったように思えます。ホップ・ステップ・ジャンプなら、ステップの部分。
リプパンといっても、幅が広いですからね。純粋に小役や特定出目を手順に酔ってハズすタイプ。陥落する出目をナビによって回避させるタイプ。押し順タイプかどうかの違いはありますが、後者は今に繋がるゲーム性といえるでしょう。大きく違うのは“ボーナスがARTの契機になっている”機種がほとんどだったことです。通常時から入ったARTがロングになって……というのは、もう1つの発見を待つことになります。それは、また次回以降に。
さて、ブラッシュアップとはどんなものでしょう。ちょっと振り返ってみたいと思います。
『リングにかけろ1』(2007年3月:銀座)『戦国無双』(2007年8月:山佐)
『リングにかけろ1』は、前年の『スパイダーマン2』と同様にハイスペック。開発がサミーだけに、奇跡のスペックが型式試験で適合するまで頑張ったのでしょう。いや、これも素敵なブラッシュアップですよ。ここらへんの機種が頑張りすぎて、リプパン方式が作りにくくなってしまいましたけど(笑)。
システム的に驚いたのは『戦国無双』。選ぶキャラによって継続方式が変化するというのもありますが、思考ルーチン的には“SIN入賞によるRTパンク”を挙げたいです。
実は、この2つはリンクしています。パワーのあるスペックでネックになるのは、ボーナスだけでなく小役関連の数値も大事になってきます。例えば、ARTがチェリーで終了するなら、本来獲得できるはずの小役を取りこぼさなければなりません。必然的に1Gあたりの純増枚数は下がるのです。
それを避けるために登場したのがSIN。山佐の携帯サイトで、開発者さんに質問できる企画があったんですけど。一般人のフリをして「SIN入賞の次ゲームはBIGを抽選してくれますか?」と聞いてみたりもしました。結果「気にしなくて大丈夫」とのこと。SIN入賞後であろうが、ボーナスの確率を変動させてはいけないことを学べました。山佐さん、ありがとう(笑)。
ちょっとだけでも語りたい迷機たち(2007年Ver.)
『トンdeピース』(2007年9月;ラスター)
RT中に2種BBが成立した場合は、その2種BB消化中もRTがパンクせずに進行することも許される。わけわかめな方もいらっしゃると思いますが、実は大事な発見でした。後に『戦国BASARA2』のBASARA目や『ドンちゃん祭』に応用されていくことになります。
通常時に成立した2種BB中は、CZ周期までのゲーム数を減らすため、リプレイが揃う可能性のある押し方で。RT中に成立した場合は、RTの残りゲーム数が減らないよう全力で小役奪取など、知識介入が楽しかったのですが……いかんせん、全体的な出玉率が低く。認知されないまま終わりました。
『ドリスタ』(2007年9月:ネット)
SIN入賞後は、RT突入となる1枚役成立のチャンス。逆に言えば、それ以外からRTに入らないんですけどね。実は、SIN後に小役確率が変動するのはこの機種のみ。型式試験に適合した後に「やっぱダメ」となったと予想します。ほんとSINって面倒くさい。それだけに、役構成でSINを見たら「なにかシステムの肝になっている」ということなのです。
2007年のヒット機種は?
『アイムジャグラーEX』(2007年1月:北電子)
皆さまご存知すぎて語ることがありません(笑)。4号機のジャグラーが撤去されていく時期に颯爽と登場。BIGの枚数が減るなど細かい部分は同じではありません。それでも多くのジャグリストをホールに引き止めた功績はあまりに大きいですね。あ、個人的には『ラブリージャグラー』(2007年7月)派です(汗)。
『2027』(2007年7月:JPS)
多くの機種がボーナス後RTを伸ばそうとしている中、この機種は“ボーナス成立時”のRTを利用していました。なので、ART非突入時や終了時はREGが入賞して(要目押し)終了します。このボーナス内部保有時のRTを使う発想は、ずっと先に進化することとなります。
というかJPSはこの年もほかに『グルグル爆侍』『アストロ球団』とか。前年の『小麦ちゃん』から神がかっていました。
この年は『スカイラブ』三昧
メーカーの営業資料でやたらと使われている言葉が「完成度の高さ」だったりします。それに釣られてライターも書きがちなんですけどね(笑)。ただ『スカイラブ』を経験しちゃったもので、なかなか使いたくない言葉になってしまいました。“パチスロとしての完成度”のハードルが上がっちゃいまして。
『スカイラブ』って、システムは1/2の文化なんですよ。CZ中にRT突入となるベルと99Gの通常ゲームに陥落するチェリーは1:1。それだけでなく、約100Gで周期CZは、設定1のボーナス合算確率は約1/199の1/2です。また、メジャーな中押し手順では、一番嬉しい瞬間の上段青7停止時に、BIGとREGの比率が1:1となっていました。
局面ごとに現実的な確率と戦う。このあたりは『リノ』にも通じると思っています。作り方じゃないですよ、パチスロの趣向です。
しかし、ね。あまりにも黄金比率すぎたんです。続編となった『スカイラブ2』はCZからのRT突入率を1/3に。面白くないわけではありません。それでも、1/3に下がったメリットがわかりにくく、ちょっとした成功体験の減少から人気は上がりませんでした。結局は、シリーズを追うごとにARTやATと形を変えていくことに。ハイライツから出るのかしら? 個人的には、5.5号機の間に出てこなくてホッとしています。
ほかのメーカーが同じような1/2のループ式RT機を作らなかった理由は、ARTの時代になっていくと踏んだのが大きいかもしれませんけどね。ホップ・ステップ・ジャンプならステップの部分と書きましたが。それと同時にジャンプの予備動作として、しゃがんでいる状態でもあったのです。
話を初代『スカイラブ』に戻しまして。演出もまた素晴らしいんですわ。意味なく発生するように見えるバトルにも役割があったり。周期CZが近付くにつれ背景が「昼→夕→夜→作戦会議」となりますが、リプレイの存在によってズレてしまうこともあります。もうじきCZなのにまだ昼だよ……なんて時の戦艦バトルは、ボーナス関係ありません。一気に背景を夜まで引っ張るのが役割です。なんてな時に、たまたまのヒキでズドンとリーチ目が出たり。
もちろん、ボーナス察知バリバリの逆押しをしているとバトルで当たることはありません(笑)。たまにバトルで勝って驚きたいなら順押しするだけのこと。楽しみ方に合わせて打ち方を変えればいいんです。こういう懐の深さがなければ、“パチスロとしての演出完成度”は語りたくないかな……なんちゃって。
ということで。私にとって、なにはなくとも『スカイラブ』な2007年でした。そのほかリプパンの応用以外の機種は、ボーナス+RTやノーマルが多かったですね。なにげに初代『ハーレムエース』もこの年でした。
2008年、パチスロが今の形に向けて動き始めます!
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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