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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2018.03.13
5号機の発展を名機で振り返る(2014年編)
パチスロが世に出るには、保通協(保安通信協会)での厳しい検査を経なければなりません。そこでチェックするのは、遊技機規則を遵守しているか。また、1月に発表された内規にも准じているかです。
その決まった新内規で受け付けてくれるのは4月1日から。ATやARTを搭載するのなら、自由度の高い新内規でと思うのは当然のことでしょう。保通協のHPを見たら、3月の持ち込み予約がゼロ件でした(笑)。
ホールも認定やらみなし機撤去やらが落ち着いたばかり。購買意欲もないでしょうし。当面、大きな変化は起きないことでしょう。このコラム的にはネタがなくて困るんですけどね。
いや、ほんと。この5号機振り返りはもう少しあとに取っておくんでした。もう2014年。早いものです(笑)。
アクセルATの登場!
『激闘!西遊記』(2014年1月:KPE)
20コマAT機という汎用性の高い基礎システムができ、あとは出玉のバランス調整だけで数年は続いていくことになるのだろう。これから先、なかなかシステムの発見はなくなるかな。そんな溜め息を吐く間もなく「え、なんで?」と唸らされました。KPE『激闘!西遊記』の“アクセルAT”です。
5号機版AT機と同様に1Gあたり3.0枚の純増なのに、通常ゲームのリプレイ確率が普通だったのです。たかがリプレイ、されどリプレイ。ベースを削れれば、それだけほかの要素に出玉を割くことができます。
どのように作っていたか。ベテランほど盲点となる部分を突いたものでした。
基本的な構造は、それまでのAT機と同じ。通常ゲームは内部成立したボーナスを隠し持ったまま遊技していくことになります。AT機では2種BB(第二種特別役物・MB・CB)として、ボーナスの純増枚数をゼロにしていました。通称ゼロボ。型式試験では、高確率でボーナスを揃えるものの枚数は増えません。よって、加速度の高いATを付けても出玉率が基準の中に収まってくれました。
一方のアクセルATは、2種BBではなく1種BBで作られています。通常機種のBIGにあたるボーナスです。どちらも共通するのは、規定枚数の払い出し到達で終了となること。しかし、1種BBは、消化中のハズレを簡単に作ることができます。ゼロボを上回る“減るボ”としていたのです。
ほかにも隠し要素はあるかもしれませんが、基本はこれだけ。ゼロボが認められるんなら減るボも簡単に想像できそうじゃない?
4号機よりも自由度の減った5号機となって、各メーカーともいろいろ考えました。ボーナスの終了条件が規定払い出し枚数の到達となっているのに目を付け、ボーナス中にコインが減って、ボーナスが終了するとコインがモリモリ増える機種も考えられていたらしいのです。お上に呼び出されて「ふざけてるのか、おい?」で終わったそうです(笑)。
これを知ってしまっていたばかりに、減るボは考えにくかったんですよ。現にとあるメーカーの方は「ダメと言われたものも、時期が過ぎた頃にしつこく質問状を出さないとね」と言っておりました。
さてさて、この『激闘!西遊記』。激しいスペックを生み出すためベースを削りましたが、その分は最大天井が256Gと初当たりの優遇に回されています。ゼロボ生みの親となった『エージェントクライシス』も、一撃性能はさほどではありませんでした。肝入りの新システムは、まずユーザーからボコボコに叩かれないよう遊びやすくするのも、よくあることのようです。
この頃は、1Gあたりの純増枚数が自主規制で3.0枚と決められていたので、一撃性能に回されることとなっていきました。しかし、本気で作れば純増8.0枚クラスも余裕だとか。6号機の内規では3.0枚の規制がなくなります。そうしてもらったのも、今ある技術で十二分なものを作れるからにほかありません。
なので、6号機の大半はアクセルAT仕様になると予想しています。
2014年のヒット機種
『バジリスク-甲賀忍法帖-絆』(2014年1月:エレコ)『アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-』(2月:ミズホ)
アクセルATが他メーカーにまで浸透するまでは時間がかかります。ということで、序盤は通常ゲームもリプレイ確率が高い通常のAT機が支えていくことに。このあたりになるといまでも現役の機種が多く、皆さんお馴染みのことでしょう。
しかし、いまでこそ人気機種の『バジリスク絆』も、導入当初の評判は芳しくありませんでした。この導入のタイミングは『バジリスクII』から3年後。“検定切れにともなう入れ替え”が狙いだったのです。ART機だった『バジII』と比べれば、やや遊びにくいのも事実。新機種購入費用の回収をホールが急ぐようになったのもあり、扱いが良くなかったのも不評の原因だったでしょう。
それが一段落してからですね。「3ベル・6ベル」などで大人気となったのは。扱い方次第で人気機種にも不人気機種にもなる。これほどわかりやすい例はないかと思います。
このあとにも凄いヒット機種も控えていますが、時系列のほうが伝わりやすいかと思うので、それは後ほど。
アクセルATへの模索!?
『ンゴロポポス』(2014年3月:大都技研)『やじきた道中記乙』(8月:メーシー)
アクセルATに触発されてか、そもそもAT機よりもベースを下げられるよう模索していたか。大都技研・ユニバーサルといった大手メーカーから異色システムの機種が登場してきたのも2014年の特徴です。
『ンゴロポポス』は、通常ゲームとARTの切り替わり段階で、3枚がけと2枚がけのどちらで遊技すべきか指示が出るようになっていました。そこでゼロボを消化して……。ボーナス絵柄を狙ったりハズしたりと『エージェントクライシス』のような複雑なものに。ATは押し順ナビに従うだけでしたが、激しいスペックもあって、かなり打つ人を選ぶ機種だったのは否定できません。個人的には、これでAT初当たりが軽いマイルドVer.を作っていただきたかったです。
『やじきた道中記乙』は、常にボーナスを隠し持った状況で遊技するので、一見すると普通のAT機に近いですが、一工夫が追加されていました。まだボーナスが成立していない“工場出荷状態”は、2枚がけ専用。ボーナスを内部保有した段階から3枚がけとなります。
アクセルATにこの“かけ枚数”の手法も組み合わせられるのかしらん? 6号機で純増枚数競争が勃発したら、また見直されるのかもしれませんね。
アクセルATの最高傑作が早くも登場!
『沖ドキ』(2014年8月:アクロス)
各メーカーともアクセルATの模索を始めたなと思ったのも束の間。早くも最高傑作が登場します。『沖ドキ』です。これも現存する大ヒット機種なので、特に説明は不要でしょう。
3号機以前の裏モノから発展してできた4号機のストック機。そのエッセンスを存分に詰め込んでおりますな。光ればOK、連チャンしてくれればOK。実にシンプルです。
様々な上乗せなど要素が多いと、初手としての興味を惹きやすいのは確か。機械説明の資料が多いほどホールの機種選定担当者もよく読んでくれます。でも、毎日のように打つユーザーは違います。“なにか起こせるか”ということが大事なんですね。
完全告知の光り物でベースも低いアクセルAT機。打ち手は選びます。ただ、選んでくれるユーザーがしっかりいれば問題ないのです。ベースを削るのもゴチャゴチャと余計な上乗せなどがないのも。すべては光らせるため。同じことの繰り返しのほうが、パブロフの犬のような効果が出るんですよ。
AT機への規制が始まる
純増3.0枚のAT機が主流となり、さらにベースを削れるアクセルATも登場。相変わらずノーマルやRT機はほとんど導入されず、作られず。過激な方向に舵を切った矢先でした。
2014年9月1日。警察庁より「保通協での出玉試験方法を変更する」という通達とともに、様々な指摘事項をまとめた通達が出されました。詳しくは、パチスロ5.9号機への規制の流れでまとめてありますので、興味のある方は是非に
https://pachiseven.jp/articles/detail/1553
ペナルティの禁止や、純増傾斜値(ボーナス込みの1G純増)2.0枚といった規制が始まり、ここから5.9号機や6号機への流れとなっていきます。
『アレジン』(2014年12月:藤商事)『リング-呪いの7日間-』(7月:藤商事)
私がヤバいと思ったのは、藤商事の『アレジン』でした。12月導入ですが、発表会は8月と規制の前でした。警察の動きを察知しての前倒し発表だったのかはわかりませんが。
この年、藤商事は『リング』でパチスロも躍進を遂げましたが、まだまだパチスロは発展途上というイメージを持たれて不思議ではない立ち位置でした。そこがアクセルATの再現に成功したということは、多くのメーカーが作ってくると想像できてしまいます。「ああ、これは近いうちに規制が入るな」そう確信した発表会でもありました。
と、藤商事をディスっているように聞こえるかもしれませんが。この年あたりから評価は鰻上りでございます。本気を出すというか、長年の努力が噛み合い出した時期だったということですね。
さてさて、次回は2015年? もう最近すぎますし規制の話ばかりになっちゃうんですよね。また考えます。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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やじきたはAT機では珍しくAT中のハズレを搭載していて未だにその理屈がわかりませんでした。もしかして狙えばボーナス揃えられたのかしら……
見事に張り紙で「遊技禁止」と。残念!