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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2018.12.11
『光明』~5号機時代の始まり~
【前回のあらすじ】
5号機パチスロ第1弾「新世紀エヴァンゲリオン(以下、エヴァ)」の導入日。S先輩と俺は某ホールの先頭に並んでいたが、目当てのエヴァがバラエティーコーナーに2台しか導入されず、まさかの台確保失敗! エヴァの空き台を求め、神田の街を彷徨い歩くことに。記念すべき5号機初の導入日。主役であるエヴァに空き台などあるはずがナイ。あるはずナイのだが……。 |
俺とS先輩は手分けして近隣のホールを回り、ケータイで連絡を取り合うことに。我々が朝イチ並んでいたホールは、神田の中でも特に導入台数が少なかったようだ。では、なぜそんなホールに並んだのか。
かのホールは、神田界隈でも不人気だった。だからこそ、我々編集にとっては好都合。誌面に載せる新装実戦において、最も優先すべきは台確保のしやすさ。いくら新装初日から高設定を使うホールであっても、台を確保できないようでは意味がナイ。収支など二の次で、実戦データを採ることこそが重要なのだ。
ちなみにライターではなく編集部員であれば、編集部から「実戦費」を借りることもできた。しかしながら、編集部は猛者揃い。実戦費を借りること=恥という風潮が根強く、実際に借りる者はほとんどいなかった。要するに高設定を追わない新装実戦でも、基本的には自腹なのである。5号機のノーマルタイプであるエヴァなど、まだ可愛いもの。4号機ストック機時代は、新装実戦で多くの悲劇が生まれている。かくいう俺も、幾度となく10万近い負けを経験している。
★プレイヤーの顔。
午後1時――
5店舗ほどをグルグルと巡っているが、空き台は一向に見つからない。それはそうだ。そんな簡単に空くようでは、これから先の5号機時代が思いやられる。俺とS先輩は一旦合流し、昼食を取ることにした。
――「もう…諦めますか」
S先輩「さすがに早いよ」
――「導入初日ですよ? さすがに空かないんじゃ」
S先輩「そうだけど、打ってるお客さんの顔見た?」
――「顔…ですか?」
俺はただ機械的に空き台を探していた。初めて一般ユーザーが5号機と対峙し、どんなリアクションをしているか。メディアの人間として見るべきは、むしろこっちだったのかもしれない。
S先輩「楽しそうに打ってる人が皆無なんだよね」
――「…まだ3時間ではなんとも」
S先輩「出てる台あった?」
――「いえ、さっぱりです」
S先輩「ボーナス確率重いもんなぁ」
――「コイン持ちは良いんですけどね」
S先輩「コイン持ち良くても当たらないと」
――「ですよね~、たしかに」
▲5号機「新世紀エヴァンゲリオン」(ビスティ)
設定 | BIG | REG | 合算 |
1 | 1/451.9 | 1/1310.7 | 1/336.1 |
2 | 1/428.3 | 1/1236.5 | 1/318.1 |
3 | 1/397.2 | 1/1170.3 | 1/296.5 |
4 | 1/374.5 | 1/1110.8 | 1/280.1 |
5 | 1/358.1 | 1/1057.0 | 1/267.5 |
6 | 1/358.1 | 1/1057.0 | 1/267.5 |
初代エヴァはボーナス確率が総じて低い。本格的に5号機時代が到来すると、この手のスペックは珍しくなくなったが、4号機のストック機に慣れきった当時のプレイヤーにとっては衝撃的なバランスだった。なお、設定5と6のボーナス確率は一緒だが、出玉率には大きな差が生じる。理由は以下の通りだ。
設定 | 50枚あたりG数 | 出玉率 |
1 | 45.5G | 97.3% |
2 | 45.6G | 99.1% |
3 | 45.7G | 101.5% |
4 | 46.4G | 103.9% |
5 | 47.9G | 106.5% |
6 | 52.6G | 109.2% |
通常時のベル・スイカ確率には大きな設定差が存在し、いずれも高設定ほど優遇されている。設定5・6はボーナスの当たりやすさこそ一緒だが、コイン持ちが大きく異なるため、出玉率に約3%もの差が生じるのだ。
とっくに昼食を終えていたが、俺とS先輩は動かない。不毛な空き台探しを続けるかと思うと、立ち上がることさえ億劫だった。
――「アキバに移動します?」
S先輩「う~ん、台数は多いだろうけどね」
――「エヴァ好きがヤメない恐れもありますもんね」
S先輩「このまま神田で探そう。空きそうな気がするし」
――「…分かりました」
定食屋を出ると、また二手に分かれてホールを巡った。1店舗、2店舗…やはり空き台はナイ。とはいえ出ている台はほとんどなく、プレイヤーの大半は意地になって打ち続けているように見える。たしかにこれなら空き台が出るかもしれない。そんな風に思っていると、右ポケットのケータイがバイブした。
★初めての5号機。
M店で1台を確保したらしい。聞けばプレイヤーが昼食前と何人か入れ替わっているとのこと。つまりホール状況はお察しということだが、背に腹は代えられない。俺も行きますと短く伝え、件のM店へと向かった。
M店のエヴァコーナーに着くと、S先輩はすでに着席しており、サンドに千円札を入れるところだった。スグに後ろから声を掛ける。
――「やりましたね!」
S先輩「いや~、幸か不幸か」
S先輩の頭上にあるデータ表示器に目をやると、総ゲーム数2700GほどでBIG3回REG1回。ボーナス合算出現率は、驚愕の約1/675だ…。
――「…初日から派手にヤッてますね」
S先輩「それにコレ、投資2K目だしね」
――「ええ? 早い! 電話もらってから3分くらいなのに」
S先輩「ベルが全然落ちないんだもん」
――「まあ、開店から4時間半で空く台ですからね」
S先輩「まあ、仕事(データ採り)だからしゃーない」
――「頑張ってください」
S先輩「ラッシーも、この店決め打ちで良いと思うよ」
――「え!? 探さなくていいと?」
S先輩「この店が1番客の入れ替わり早いから、ほどなく空くと思う」
――「マジすか…じゃあ適当に打ってるんで、空いたら呼んでください」
S先輩「了解」
S先輩とは別のフロアに移動し、大好きな「麻雀物語2」に着席。いやね、俺だって仕事(データ採り)はしたいよ? でも空かないんだから仕方がない。これは遊びではナイ。仕事のための必要な行為なのだ! さ~て、思う存分前兆演出を楽しませてもらいますか!! 肩を叩かれたのは、打ち始めてから30分後だった。
S先輩「隣空いたよ! スグ来て」
――「…あっ…はい」
すでに7千円を使い、もうすぐ513Gから始まる「濃いゾーン」だ。そんなに早く空くわけがナイ。そう高を括っていたのが裏目に出た。
S先輩「てか、なんでストック機打ってんだよバカ」
――「だってAタイプのラインナップが……」
S先輩「いーから早よ来い!」
――「俺の7千円が……」
かくして少しばかり不本意な形で、初めて5号機と対峙することに。ちなみにすでにショールーム試打を経験していたので、あくまで「ホールでの初実戦」ということになる。
俺が着席した初代エヴァは総ゲーム数3100Gほどで、BIGが6回、REGが3回。ボーナス合算出現率は約1/344だ。S先輩の台よりはマシだが、それでも設定1のボーナス確率を下回っているため設定はお察し。俺は先程の7千円が戻って来ないことを静かに悟った。
S先輩は1度BIGを引いたらしく、下皿に300枚ほどメダルがある。設定1とて、4号機とは比較にならないほどコイン持ちが良いのだ。BIG1回でしばらくは遊べる。しかし……、
S先輩、なんてツラしてやがる。
あんなに設定1の北斗(初代)を楽しそうに打つS先輩が、まるで40kmほど走ったような表情だ。マラソンじゃねーんだぞ!!
すると、ふと先輩の手が止まった。
――「ん? どうかしました?」
S先輩「…これなにかな?」
S先輩の液晶を覗き込むも、判然としない。
――「う~ん…スイカっぽいですね」
S先輩「でも、左リールでスイカ蹴ってるよ」
このとき液晶に出ていたのは、加持リョウジのスイカ畑。 記憶が確かならプレミアだ。しかし当時はエヴァというコンテンツが今ほど身近でなく、知識が皆無の我々は、そのアツさに気付けなかった……。
S先輩「ん!? 上段リプテンパイがハズレたぞ」
――「たしかに普段はテンパったらリプですね」
3Gほどで青BIGを揃えるS先輩。
S先輩「やっぱり当たってた!」
――「さっきのスイカみたいな画面、プレミアだったんすかね」
S先輩「分からん…面白さも分からん」
――「当たったんだから、テンション上げていきましょーよ!」
ちなみにS先輩はココから数年を経て、なかなか立派なアニオタに成長することとなる。まあ、俺も人のこと言えないくらいアニメを観ていますがね……。
肝心の俺はと言えば、待てど暮らせどBIGが当たらない。度々連続演出には発展するものの、連続演出中にハズレ目が出まくるのだから、アツくなりようがない。やはりショールームで打った設定6とは大きく違う。
これはなかなか…。
俺は出しかけた言葉を飲み込み、淡々とサンドに千円札を突っ込んだ。
★絶望のマック。
午後11時――。
実戦を終えた我々は、実戦店のそばにあるマックに入った。実戦データをテキストにまとめ、メールで送るためである。いつもなら居酒屋に入るところだが、俺が翌日の早朝から仕事のため、軽く食べるだけにしたのだった。ちなみにS先輩はポテトSとコーラのみである。
――「食欲ないんすか?」
S先輩「いや~、しんど」
――「そんなダメでした?」
S先輩「まあ、出玉はしょうがないよね」
――「そりゃ5号機ですもん」
この日、S先輩は18000円負け。俺も26000円負けだった。
S先輩「僕がガッカリしたのは制御」
――「やっぱり…ですか」
S先輩「出目が素直すぎるよ。当たりハズレがスグに分かるもん」
――「連続演出がムダですもんね」
たしかに4号機と5号機の違いにおいて、特に大きいのがリール制御だ。4号機は1つのフラグに対し、複数のテーブルを持つことが可能だったため、複雑なリール制御が可能だった。対して5号機は、1つのフラグに対し1本のテーブルしか認められていない。
例:スイカ成立時に特定箇所をビタ押しした場合
4号機なら…
35%…1コマスベリ
35%…2コマスベリ
25%…3コマスベリ
5%…ビタ止まりでスイカこぼし
選択されたテーブルにより制御が変化。「フォロー可能な範囲に押したのに揃わない」という、意地悪な制御すら可能だった。
対する5号機は…
100%…1コマスベリ
こんなイメージ。ご存じの通り今では様々な工夫により複数の制御があるように見せることも可能となっているが、5号機当初はこの「テーブル1本」が、多くのコアプレイヤーを絶望させたのである。
――「たしかにコレはキツいですね」
S先輩「パチスロ…もう終わりなのかな」
――「ヤメてくださいよ。俺、ライターになって結婚もするのに」
S先輩「あ~あ、ラッシーも就職か……」
――「ちょ~…まあ、いずれ制御もどうにかなるんじゃないっすか?」
S先輩「何を根拠に」
――「根拠なんてナイっすけど、規則の裏を突くのがパチスロの歴史なんで」
S先輩「それはそうだけど……聞いちゃったんだよね」
――「え? 何をです?」
S先輩「エヴァの開発者が『5号機規則じゃ、こんな仕様しか作れない(※)』って言ったらしいんだよね。又聞きだけど」
※必ず最後まで読んでください
――「うそ…そんな…」
S先輩「今日はずっとその言葉が頭から離れなくて」
――「それはたしかにキツい」
S先輩「まあ、仕方がない。とりあえず俺は決めたよ」
――「転職を……ですか?」
S先輩「違うわ! 撤去のその日まで、全力で4号機を楽しむ!!」
――「お、おう…頑張ってください」
S先輩「さて、明日一緒に打ちに行かない?」
――「俺、エヴァのページ作んなきゃいけないんで」
S先輩「マジメだなぁ」
――「明日から徹夜っすよ。『出目検』上がって来るし」
『出目検』とは、出目検索ソフトのようなもの。シミュレーターのリール制御版といったところか。当然市販はされていないので、誰かが制御解析を基に自作していたと思われる。ソフトには制御の完全な解析が入っており、各フラグ成立時に特定箇所を押した際の正確なスベリコマ数を割り出せる。
また、入力した出目がリーチ目になるか否かや、リーチ目になる条件(どこを押した際の何コマスベリか、成立ボーナスは何なのか、など)も調べられる。なお、出目検が存在していたのは十数年前までの話だ。
S先輩「エヴァの出目検ね…需要あるかな」
――「きっと求めている人もいますから」
この日は先輩と別れて直帰し、翌朝からエヴァのページ作りがスタート。そして夜には予定通り出目検があがってきた……。
★かすかな希望。
初の5号機パチスロということで、エヴァのページ数は相応に多かった。RT付きとはいえほぼノーマルタイプのため、制御でもつつかないとネタが足りない。なにか面白い事実が分かればいいのだが、昨日打った感触だと期待は……。
時刻はすでに11時を回っていた。編集部には先輩が1人いるだけで、ほぼ貸切状態である。眠い目をこすりながら出目検を回し始めた。
ふん……なるほど。
左リール枠内に赤7下のチェリーを狙って……
この青BIGも黄色BIGも下段赤7の形か……
う~ん…。
先輩「何か面白いの見つかりそう?」
――「今のところ特には…」
先輩「まあ、5号機制御だもんね」
――「あまり期待は…」
メモを取りながら、第2・第3停止も見ていく。
上段リプレイハズレ…昨日、S先輩が出していたリーチ目だ。これは青BIGか。で、中段ベルハズレもリーチ目。これが黄BIGで……
ん!?
待てよ…
上段リプレイハズレが青BIGで、
中段ベルハズレが黄BIG……!?
まさか左リールチェリーからのチェリー否定は……
――「おおっ!!」
やっぱり! 赤BIGだ!!
正確には上段リプレイハズレは赤BIG、左リールチェリー出現からのチェリー否定はREGの可能性もあるが、リプレイ否定≒青BIG、ベル否定=黄BIG、チェリー否定≒赤BIGとなる!
先輩「どうした?」
――「リプ否定は青BIG、ベル否定は黄BIG」
先輩「チェリー否定は赤BIG?」
――「そうです!」
先輩「へ~、なかなか気が利いてるな」
――「ですよね! これはフラグ察知にも役立ちますね!」
これがあのリーチ目法則を見つけた瞬間だった! もちろん見つけられたのは出目検のお陰であって、俺の発見ではナイ。でも、正直「終わっている」と思っていた5号機のリールに、ほんのわずかだが光明を見たような気がして嬉しかった。
このリーチ目法則はスグに記事にし、あっという間にエヴァの常識として広まることとなった。 ボーナスフラグの種類を増やせば、そのぶんリーチ目法則にバリエーションを持たせることができる。複数のボーナスフラグは判別に手間がかかるが、こういったメリットもあるのだ!
エヴァは決して惰性で作られたワケじゃない。ちゃんと計算し尽くされ、リーチ目にもこだわって作られていたのだ!! このリーチ目法則は、開発からプレイヤーへのメッセージでは!? 「5号機もリールで楽しませるぞ」というサインなのかも。
ちなみに開発者が放ったという『5号機規則じゃ、こんな仕様しか作れない』という言葉は、ただのウワサだったと思われる。俺は今日に至るまで業界の開発関係者にこの件のことを訊いているが、1人とて「聞いたことがある」という人物はいなかった。きっと5号機時代に不安を抱いた業界関係者かプレイヤーが、勝手に作りだしたウワサなのだろう。
常にプレイヤーより遥か先を見据えているパチスロ開発者。5号機が始まったこのとき、すでに数年後のART時代を見ていたのかもしれない。
今となっては5号機の「テーブル1本」制御も嫌いじゃない。複雑な制御であっても、考えれば答えに辿りつけるから。4号機の制御は少々乱暴に言うなら「テーブルを増やすだけ」だから、労せず複雑にできたわけ。5号機で複雑に練られた制御のほうが美しいと感じますね。開発者の苦労が感じられるから。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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