【第5回】お題～お互いをパチスロ機に例えたら？～鈴虫君編

【クズと虫。とは】
元クズ田中氏と鈴虫君氏が同じテーマをそれぞれの視点で語るという連載企画。第5回は「お互いをパチスロ機に例えると？」です。ちょっとセンスが問われるテーマですね。

田中氏をパチスロ機に例えると？

書き手のセンスが問われそうなお題をもらい、さてどうしようかと、頭を悩ませているが、結論は出ている。しかし、その前にお題の意味をもう一度よく考えたい。

　田中さんをパチスロ機種に例えるなら…このお題は大きく分けてふたつの選択肢がある。まずは、ゲーム性がその人のイメージに合うかどうか。わかりやすい例を挙げると、荒々しい人ならミリオンゴッド、穏やかならジャグラーといったように、出玉などを性格に結びつけるものと、もうひとつはタイアップキャラを重ねてしまうもの。栗田貫一から連想するパチスロ機種がルパンしかないのと同じで、ズバッと決まればこちらに勝るものはない。

　よって、今回は後者のタイアップキャラと田中さんを重ねることにしたわけだが、ゲーム性を選択した場合の候補を挙げておきたい。パッと思いついたのはビンゴをはじめとする周期抽選の台。普段は死んでいるかのように物静かな人なのに、時が来たら急に活発にしゃべりだしたり行動に移す姿は、まさに人間周期抽選。田中さんの一番の理解者であるルーキー酒井さんが、ビンゴやくざと呼ばれるほどビンゴを愛しているのは田中さんと重なる部分があるからだと思っている。

　では、本筋のタイアップキャラをあてはめてみるとどうだろうか。ベタといわれようが、これしか思い浮かばない。そのキャラは…

「カイジ」

　ギャンブラーの教科書カイジである。思い起こせば、ギャンブル中の田中さんの口からはカイジのセリフに似た言葉がよく出てきたし、むしろ、先取りしていたような気もする。ギャンブルの負けはギャンブルでしか返せないとか、ひりつく勝負がしたいとか、けして、帝愛の兵頭や利根川のほうには回れないセリフを聞いてきた。その片鱗は「あのとき俺はクズだった」の番外編③で確認してほしい。

　いつだったか、この人は狂っているなと思ったのは、設定投入パターンを見極めて毎日のように高設定を掴み、このままいけば城が建つほど勝ちを積み重ねていたのに、その作業に飽きて放棄したというのだ。狂気の沙汰である。我々は勝つことを目標に、いやらしい言いかたをすればお金を求めて勝負をかける。いったい、あんたは何のためにやっているんだと、不思議に思えて仕方なかった。

　たしかに、過程を楽しむ部分は共感できる。公営ギャンブルの予想にしろ、パチ屋との駆け引きにしろ、決まったときはゾクゾクするし、最終レースで負債を回収したときの高揚感は麻薬である。絶望からの生還、危険エリアから安全エリアへの移動、そのときの刺激が強すぎて、もう一度、味わいたくなるのだ。

　しかし、田中さんはもう一歩先、自ら破滅を欲するタイプ。棺桶に片足どころか半身を預けるようなスタイルで、見ているこちらがひやひやする。稀に圧倒的閃きで、先のパチスロしかり、ボートレースで勝ちを重ねていたころもしかり、カイジの良い部分である才能も発揮するが、なんだかんだでカイジは片手の指がごっそりなくなったり、耳を切ったりと肉体の一部を失っているのも事実だ。周りが知らないだけで、田中さんをレントゲンにかけたら写るべきはずの臓器が確認できない可能性だってある。

　生粋のギャンブラーの行きつく先は破滅しかない。一時的に大金を手にしても、そのお金はギャンブルで溶かす。仮にそこでヤメられるような人間は、どの道を選択しても成功できる人だ。俺には水晶が映し出すよりも先に田中さんの破滅が見える。ギャンブルで負けたあとに、居酒屋で愚痴るぐらいがちょうどいいんだから、この先、どうか無理だけはしないでほしい。早いところ美心みたいなかわいい彼女を見つけて、幸せな家庭を築いてくれれば安心である。