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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2019.02.19
『 アウェー』~パチスロだよ黄門ちゃま~
時は少し遡り2004年末。 まだ俺が新人編集の頃だ。
当時、プライベート稼働で頼りにしていたのは「吉宗」「北斗の拳」「主役は銭形」「キングオブキングパルサー」あたり。イベントに合わせて狙う機種を変えるので、「お見事!サブちゃん」や「忍者くん妖怪絵巻」、「ガッツだ!!森の石松」などもよく打っていた。 仕事ではまだビッグタイトルを担当させてもらえず、先輩のデータ採りを手伝う機会が多かった。
そんな折、大阪への出張を言い渡された。業務内容はもちろんデータ採り。最新機種「パチスロだよ黄門ちゃま」が、全国に先駆け大阪(関西圏?)に導入されたためだ。パチスロ攻略誌は情報のスピードが命。関東への導入を待っていられないので、大阪へ向かうことになったというわけ。
▲4号機「パチスロだよ黄門ちゃま」(平和)
2004年末にリリースされたAタイプストック機。RT解除(=ボーナス放出)契機は①規定ゲーム数消化、②スイカ解除に当選、③完全ハズレ(確率1/65536)の3つで、メインとなるのは①の規定ゲーム数消化だ。
重要なのはボーナス後3G間の演出。そこで「確変」に突入すれば連チャン確定のうえ、以降は確変が50%でループする。なお、通常時のモードは通常とハマリの2種類で、各々アツいゾーンや天井ゲーム数が異なる。 ちなみに設定6だけは極端にハマリモードへ移行しづらく、通常モードもほぼ384G(+前兆ゲーム数)までにボーナスを放出すると言った特徴があった。スペック面はそれほど優秀ではなかったが、設定6の分かりやすさからイベントなどでは重宝されたマシンだ。 |
出張など、編集部に入って2日目の夜に愛知へ行ったきりだ。今回は前乗り(前日の夜に現地入りし、ホテルなどに宿泊すること)なので、少しばかり遊ぶ時間もある。まだ23歳・遊び盛り。当然「何か」を期待せずにはいられなかった。
編集部員10人で東京駅に集合し、昼過ぎの新幹線で新大阪へ。そこから地下鉄に乗り換え、実戦店の最寄り駅へ向かった。聞いたこともない小さな駅。おそらくこのデータ採りがなければ、生涯で1度も降りることはなかっただろう。そう思わせる駅だった。
ホテルへのチェックインを済ませると、まずはみんなで夕食を兼ねた飲み会へ。とはいえ深酒は許されない。翌日の新装初日で台を確保するため、夜中から交代で並ぶことになっていた。5台を確保するために10人も連れてきたのは、もちろん編集1人1人の負担を減らすためである。
なお、ホテルの部屋は2人部屋で、宿泊費と交通費は編集部持ち。飲食代やその他は各自といった感じだ。ちなみに編集部員だけが使うことを許される実戦費は、誰も申請しなかったため、全員が自腹実戦である。全く状況が分からない初見のホールでも、仕事とあらば文句も言わず自腹で打つ。覚悟というほど大ゲサではないが、パチスロ雑誌の編集はそういったことに抵抗がない人間でないと務まらないのかもしれない。
★夜の期待値。
飲み会を終え、ゾロゾロと宿泊先のホテルを目指す一行。しかし妙だ。心なしか人数が減っているような…。
――「あれ? Kさんは?」
虎さん「ああ、夜の店に行ったよ。あとUも」
――「夜の店!?」
虎さん「そうか、ラッシーも興味あるか」
――「なくはないですが…」
虎さん「まさか23にもなって行ったことないの?」
――「だってボッタクリとか恐いじゃないすか」
虎さん「無料案内所行けば大丈夫だよ」
――「…妙に詳しいですね」
虎さん「へっ、俺を誰だと思ってんだよ」
虎さんは得意気に笑う。
――「え!?」
虎さん「得意なのはパチスロだけじゃねーぜ?」
――「なに得意気に言ってんすか!」
虎さん「今ナンボ持ってる?」
――「明日の軍資金として多めに用意しました」
虎さん「だからいくらだって?」
――「じゅ…12万です」
虎さん「それだけあれば十分だ」
――「十分て! 行く気満々じゃないすか!」
虎さん「なーに、任せとけって」
俺も23歳、言うなれば「全盛期」だ。もちろん興味はあったが、俺にとって夜の店はホールより遥かに怖かった。ボッタクリに美人局。そんなマイナスイメージが強く、行く気にならなかったのである。 しかし、今日は違う。 隣には心強い(?)味方がいるのだ!
虎さん「新台を打つ前に重要なのは何だ?」
――「何を唐突に? …情報ですかね」
虎さん「そう! まずは情報だ」
虎さんは颯爽とヒラヒラのビニールカーテンをくぐり、無料案内所に入って行った。俺も黙ってあとに続く。 虎さんは早くも案内人らしき人物と話している。
虎さん「システムは?」
虎さん「ふむふむ、総額で?」
虎さん「キャストの年齢層は?」
――「…(めっちゃ質問するじゃん)」
間違いない! 虎だ!
虎の眼をしているッ!!
その表情は真剣そのもの。 稼働中と全く変わらない! 夜も期待値至上主義。 勝つためなら努力を惜しまない。 それが虎さんなのだ。
虎さん「よし、行こう」
――「決めたんすか?」
虎さん「ああ。だが、ここからが本番だ」
――「はぁ」
虎さん「いいか? 写真は言わば演出だ」
――「演出!?」
虎さん「ガセもある…というか基本はガセだ」
――「…はい」
虎さん「あとスリーサイズもアテにするな。全て+20と思え」
――「+20cm!? サバ読むにも程あるでしょ!」
クッ…なんて頼もしいんだ。ホールで頼もしいことは分かっていたが、まさか夜の街でもこんなに頼もしいとは!! 編集部に入って1年弱。すでに先輩たちの全てを知ったつもりでいたが、まだ俺の知らない一面もあるんだな。虎さんの横顔を見ながら、そんなことを思っていた。
そして、いざ店舗へ。
店員さんは優し気で上品な印象だった。もっと厳つい大男を想像していたが…。
虎さん「いいか、+20の法則だ(小声)」
――「はい(小声)」
さすがに詳細な内容は書けないので割愛。
※至ってノーマルです。本当に。
店員さん「では、最後にお名前とケータイ番号を…」
――「五十嵐です。電話番号は090の~」
虎さん「田島です」
――「えっ!?」
虎さん「田島です。電話番号は090の~」
いやいや、アンタ「田島」じゃないじゃん!!
店員さん「ありがとうございます。では、お時間が来ましたらお電話致しますので…」
受付の店舗を出て、目的地へ向かう俺と虎さん。
虎さん「バッカ! 本名言うヤツがあるか!」
――「そういうのは先に言ってくださいよ」
…などなどありまして、11時くらいには無事に宿泊先のホテルへ。まさかアノうがい薬に、あんな使い方があるとは。ホテルに戻ってからはスグにシャワーを浴び、並びの時間まで少し仮眠。
…え? 夜遊びの感想? 一応パチスロコラムなので、どうかご容赦を。好感度なんてとっくにドブに流したから、今さらどうということはないけどね。
それにしても、昔の業界には遊び上手な人が多かったなぁ。最近はこの手の話を全く聞かなくなったもの。まあ、単純にみんな年取ったり、家庭を持ったせいでしょうが。
★アウェーの洗礼。
俺の並び当番は、1度目が3~5時。その後ホテルに戻り、2~3時間仮眠して再び8時から先輩と交代。そのまま開店を迎えて台を確保し、昼過ぎまでデータを採る。その後、また先輩と交代する手はずだ。
データ採りに行くことは、実戦店に伝えていない。この店に決めたのは設置台数の多さと、並び順入場だったからだ。つまり、設定が期待できるか否かは分からない。店構えは…とてもじゃないが人気店の雰囲気ではない。しかし、店先には気になるポスターが。
1月○日、阪〇タ○ガース ○○選手来店!!
当時は来店などあまり一般的でなかったため、今でもハッキリと覚えている。プロ野球選手をイベントで呼ぶくらいなら、体力があるホールと予想できるが…。
大阪と言えど、やはり冬の寒さは厳しかった。寒風に晒されながらひたすら座っているだけだから、余計に寒く感じたのかもしれない。
5時から再びホテルへ戻り、仮眠しながら冷えた身体を温めた。そして8時にまたホール前へ。ゲームボーイアドバンスや先輩との会話で時間を潰し、やっと開店時間の10時を迎えた。
開店時間になっても客はまばら。「3時から並ぶほどでもなかったのでは?」とは思ったが、大阪まで来て「台が取れませんでした」は通用しない。当然、先頭から5人は全てウチの編集部員だ。難なく黄門ちゃまを5台確保し、いよいよ実戦がスタート。ちなみに設置台数は全部で8台だったと記憶している。
設定変更時は必ず通常モードへ移行する。通常モードなら設定1~3でも256G以内に70%以上でボーナスが放出されるが、それが判明するのはまだまだ先のこと。導入初日だけあり全台が早い当たりを射止め、上々のスタートとなった。が――
2時間後――
もうすぐ先輩との交代の時間だなと思った頃、ポンと肩を叩かれた。振り向くと、そこにはやや強面の店員が!
店員「兄さんたち、そのメモ何?」
――「いや…ただ実戦のデータをメモして」
店員「メモ、やめてくれんか?」
――「えっ!? な…なんでですか?」
俺は困惑した。東京・神奈川・埼玉あたりでも常に打ちながらデータを採っているが、メモを採るななどと言われた試しは1度だってナイ。わざわざ大阪まで来て、午前3時から並んだのだ。データを採らないわけにはいかない!
店員「なんでなんてあらへん」
――「そう言われましても…」
店員「ヤメて言うたらヤメて。迷惑やわ」
――「はぁ…」
店員「ヤメてくれんかったら出てってもらうで」
――「いやいや、それはイヤです」
常連さんから苦情があったのかもしれない。小さな店だ。見慣れない奴等が新台の大半を押さえ、メモを採りながら打っている。そりゃおもしろく思わない常連さんがいても不思議ではない。しかし、こちらも交通費・宿泊費を使っているのだ。簡単に退くわけにはいかない。一旦ホールの外に出て、先輩たちと相談することにした。
Kさん「とりあえずメモ帳に書くのはムリだね」
Uさん「追い出されかねないもんな」
虎さん「ケータイのメールに打ち込めばいいんじゃね?」
――「天才っすね!」
Tさん「じゃあそれで。ミスりそうで怖いけど」
当時はもちろんガラケーだ。メモ帳機能くらいならあったかもしれないが、誰も使ったことがないため、メールの本文にメモすることにした。
10分後――
久々の確変突入で気を良くし、鼻歌交じりでケータイにメモしていると、またしても肩を叩かれた。やはりあの強面である。
店員「なぁ、メモやめぇ言うたやんな?」
――「え? ケータイにメールを打ってるだけで…」
店員「ええ加減せんとホンマ追い出すで?」
――「…分かりました」
★攻防の果て。
店外にて2度目の作戦会議。新幹線の時間は8時半新大阪発。7時半には店を出て、新大阪に向かわねばならない。実戦データは短くとも5000Gが鉄の掟。あまり手を止めている時間はない。この出張データ採りを仕切るTさんが口を開いた。
Tさん「メモはその場で採らなくていい」
Kさん「もう俺らマークされてるからね」
Tさん「ケータイをイジるのもナシだ」
虎さん「つまり…」
Tさん「メモが必要になったらトイレに入って、個室でケータイにメモを採ろう」
Kさん「でもみんなトイレに行くとまた言われるから、俺は店外に出ようかな」
虎さん「じゃあ俺も店外出るわ」
――「俺はトイレが近いのでトイレへ」
Tさん「各々次の交代する相手に引き継いでね」
全員「了解です」
こうして当たってはトイレに行き、また当たっては店外へ出るという作業が始まった。ちなみに我々が座っていない黄門ちゃまは、人が座ってはヤメての繰り返し。あまり稼働せず、常に空き台がある状況だ。空き台待ちがいて、店側に苦情が来ているといった雰囲気でもない。
きっと店側からすれば不気味だったのだろう。普段はメモを採る客など1人もいないのに、この日はいきなり5人。データを雑誌に掲載する際、店名を出され悪く書かれたら…。いや、そもそも雑誌のデータ採りでなく、なにか攻略法的なものがあったら…。データを採られ慣れていないからこそ、不気味でしかたなかったのだろう。なお、ホール名を誌上に晒し叩くようなことはありえない。アポなしとはいえ、こちらはデータを採らせていただいている身だ。たとえ設定状況がどんなに酷かろうと。
ちなみに事前に許可を取らないのには、当然理由がある。実戦台を用意してもらうわけにはいかないからだ。それがたとえ全て設定1だとしても、常連さんからは不満が出る。なぜ新台を打たせてくれないんだ。新台を余所者に取られなきゃいけないんだと。それを回避するためのアポなしだったが、やはり大阪は少し空気感が違いましたね。東京と同じ感覚で行った我々が甘かった。
トイレと外を幾度となく往復し、どうにか5000G×5本のデータ採りを達成。無事に全員揃って予定通りの帰路についた。実戦結果は正確に覚えていないけど、あまり良くなかったと記憶している。設定配分に自信がなかったのも、メモを採ってほしくない理由の1つ だったのかもしれない。
余談になるが、空き時間で別のホールを覗きに行ったら「変則打ち禁止」や「リプレイハズシ禁止」の貼り紙が! そのホールだけのハウスルールだとは思うけど、そんな店でもお客さんがいることに衝撃を受けましたね。これが大阪かと! やっぱりパチスロの文化も少し違うんだなと感じました。ご存じの通り交換率も悪かったし。
今では一般のプレイヤーでもメモを採る人が増えましたね。SNSやブログが広く浸透したからでしょう。たまに出目や演出をメモしている人も見掛けます。その探究心はホントに素晴らしいと思う。ホール側からすればジャマかもしれないけど、SNSやメディアで新たな楽しみ方が広がれば、メジャーでない機種でも盛り上がる可能性がありますから。どうか寛容な心で見守っていただけると嬉しいです。
ちなみにメモ帳への物理的なメモはヤメました。基本的にはスマホのテキストアプリにメモしています。でも収録なんかでメモしていると「アイツ、パチスロ打ちながらスマホいじってる! パチスロ好きじゃねーんじゃね?」なんて言われたりするんですよね。みなさん、時代はペーパーレスですよ~!
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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