新着記事
- パチセブントップ
- パチンコ&パチスロコンテンツ
- ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
- 『ペタピンで利益が出るのは何故悪いのか』並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング『山会議』に潜入してみた!
ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
2019.04.02
『ペタピンで利益が出るのは何故悪いのか』並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング『山会議』に潜入してみた!
新潟で大学生生活を満喫中の友人がいて、先日久々に会う機会があった。 向こうでもパチスロ打ってるかい? と尋ねると、彼は「マンションの近くに良いお店を見つけたのでそこで打ってる」と返して来た。 いい店。ちょっと気になったので深く聞いてみると、どうやら「並ばせ屋山本さんが見ている店」であるとのこと。
曰く、近所のホールはどこもパッとしないけど、件の店だけは朝から並びが発生してるらしい。
▲並ばせ屋山本さん。
現役のパチンコ・パチスロ打ちで能動的に情報を集めている方なら、絶対に一度は聞いたことがある名前だと思う。筆者はその時点で氏に関する情報をあまり持っていなかったので、友人の言葉には「なるほどね」と返す以外に無かったのを覚えている。 なんとなく悔しくなって後日情報を集める為にSNSを見ていると、どうやら氏が主催するユーザー参加型セミナー『山会議』があるらしいではないか。
情報をたどる限り、今回開催される並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング……その名も「山会議」は、もともと就職先としてのパチンコ・パチスロ業界を考えたり、あるいはホール攻略の思考法などをユーザーと一緒にフリートーク形式で語り合う、という意図のもと企画されたようだ。
ただ実際には議題は何でも良いとの事。話したい事を話し、聞きたい事を聞く。山本氏もまたユーザーやファンの生の声を聞きたいのだ。 |
面白そうだ。渡りに船とはまさにこの事。早速取材を申し込んでみた。
というわけで。今回は3月17日に名古屋にて開催されたユーザーミーティング「山会議」の模様をレポートしたいと思います。 ホールコンサルタントの方がやるミーティングっていわゆる会員制のセミナーなんかのイメージが強いけれど、ユーザーが誰でも参加できるというのはなかなか珍しい気がする。少なくとも筆者は参加するの初めて。
では早速内容にいってみよう。 記念すべき第1回「山会議」の模様はこんな感じでした──!
★2010年の7月は奇跡のタイミングだった。
「5号機への完全移行のタイミングが2007年9月ですよね。その前の5月から7月に出た台が『エヴァまご』『青ドン』『2027』『戦国無双』『マジハロ』です。これらって5号機初期の時代を作った名機達だと思うんですが、これだけの機種が完全移行のタイミングで新台として出てるんですよ。
これ僕は奇跡のタイミングだったと思ってます。そして僕的には5号機の歴史ってここを境に時代が分かれてて。それ以前が黎明期だったと思っているんですね。で、今日は折角みなさんに来ていただきましたし、普段から気になってる事をお聞きしたいんですが、その黎明期ってみなさんは何を打ってましたか?」
各々の自己紹介が終わり、山本氏から飛び出した最初の議題はこれだった。 ミーティングの流れは決まっておらず、各々が発言したい内容をそのまま議題に挙げて膨らませていく。いわゆるブレインストーミングに近い形式だった。したがってレジュメなども用意されていない。 筋書きがないフリートーク。それだけに何が飛び出すか分からない緊張感があったが、最初の議題はパチスロ打ちなら誰でも答える事ができる簡単なものだったので、ちょっと安心した。
質問を受けて筆者を含む参加者たちは口々にそれぞれの答えを述べた。中には『サンダーVスペシャル』や『シェイク2』という声もあるにはあったが、やはり当時ホールにまだあった『俺の空』『秘宝伝』『ハナハナ』といった4号機を推す声が目立ったのが印象的だった。 答えを受けて山本氏が続ける。
「そうですよね。黎明期の台は差枚で1,000枚出すのがやっとだったんですよ。それが『2027』で一撃3,000枚とか。マジハロなんかは5号機最初の万枚機かなと思うんですけども、これでやっとホールも5号機に力を入れるようになって。『エヴァまご』なんかは僕のホールは毎日設定使ってましたし、ユーザーさんも5号機に本腰を入れる事ができたんじゃないかなと思っています」
たしかにそうだ。 そういえば筆者も黎明期は『俺の空』と『秘宝伝』ばっかり打ってた気がする。あとは『アラジン2エボリューション』や、あと『ウイニングポスト』もあの頃か……? ミーティング最序盤は5号機黎明期の機種の思い出話を皮切りに、和気あいあいと当時のホールの様子や設定に関する話をする感じだったのだが、ここまではただのアイスブレイクである。自己紹介の延長だ。
ちなみに、ユーザーミーティングとは言え『並ばせ屋山本』さんのイベントである以上、やっぱりホール関係者や現役店長、コンサルタントの方の参加比率が高かった。必定、トピックも徐々にホール運営に関するものに寄っていくことになるのだけど、このミーティングの本番は、まさにそこからだった。
筆者なんかはこの時点ですっかり気を抜いて『あ、すっごい楽しい会だな』くらいに思ってたけども──この5分後には久々に脳みそがフル回転する事になったのだった。
★『ベタピン放置の方が儲かる』現象についてどう思うか。
「質問です。 設定狙いのユーザー比率はどれくらいだと思いますか?」
これは当日山本氏から実際に出た質問である。 半分くらいかな? 筆者の答えはこれである。 本当はもうちょっと居てもいいけども、いわゆる『ガチ勢』が少数なのは分かるとして、お年寄り以外で設定狙いじゃない人、というのが自分の中ではあんまり想像が出来ない。いわゆる『ファン勢』とか『養分』と呼ばれてる人だって、ある程度は設定を気にしてるんじゃなかろうか。 ところがだ。
山本氏の答えは『大体1~2割』であるとの事だった。
しかも周りの現役店長やホール関係者、コンサルタントの方々は全員当たり前の顔で頷いている。
そ、そんなに少ないんですか?
「少ないです。圧倒的に設定不問のユーザーが多い。だから『とりあえず新台をぶっ込んどいた方が稼働が上がる』というのが昔からあるんですね。要は設定を使ってお客様を呼び込むより、単純に新台だけ入れて、あとはベタピンで営業した方が儲かるんですよ。もちろん僕らは設定を入れて大行列を作って……というやり方をしてますが、そうじゃないホールもあるという事です。機械を買うのって、言い方は悪いですけど誰でも出来るんです。そしてその誰でも出来る事で利益が出るならそれでいいじゃないって。これどう思いますか?」
新台だけ買ってあとはベタピン。それで儲かるならそれでいいのか。いや、でも流石に潰れるんじゃないだろうか。 みなさん、これどう思いますか? ホールがやっていけるか、いけないか。
この質問のタイミングで、山本氏と筆者は思いっきり目が合っていた。 思わずそむけたが発言を促されてしまう。なんとなく学生時代を思い出した。覚悟を決め、トンチンカンな答えにならないように気をつけながら、思い切って口を開いた。
「僕は経営などに関わった事が一切ないので分かりませんが、例えばそういうぶっこ抜き営業をやってるホールって、どこかのタイミングで地元民が一切寄り付かなっちゃうイメージがあります。お客さん3人くらいしか居ないとか。おじいちゃんおばあちゃんでもその状況をみると『ヤバイぞ』って思って寄り付かなくなったり。そういうしわ寄せは来るのではないでしょうか」
我ながら意外と良い答えだと思ったが、どうやら実際は違うらしい。
「ホール運営に携わってる僕らからすると、それは違うんですね。印象論に過ぎません。実際はオール1でも経営が成り立ってしまう。それはあらゆるデータが証明してます。例えば立地条件。ハコの大きさ。そしてネームバリュー。それらが揃っていればよっぽどじゃない限り、どんな営業してもある程度は利益が出ます。
ただ、利益が出るからといってそれが『良い』わけは無いんですね。僕なんかも自分でパチスロ打ってる人間なんで、お客さんがなんでその店に行くのか不思議でしょうがないんですけども──要するにユーザー側が求めるものと運営側が提供しているものにギャップがあるんです」
ギャップ。
いくら設定狙いのユーザーが少ないとは言え、最低でもボーナスを引いたりATを消化したり、何らかの遊びは求めてる筈である。その期待値が低いベタピン店に通ってしまうのは、確かに認識にギャップがあると言わざるを得ない。
「このギャップというのは、実は簡単に埋める事ができるんです。ユーザー側の動向を変えればそれですぐ解決します。つまり、優良店にちゃんと人が集まるようにする。実際、稼働が良ければ薄利多売でも利益は出るんですよ。だから今は一時的に利益を度外視して稼働重視。そういう意識が高いホールも上位2割くらいはあります。そういう地域ではユーザー側もただ新台を打てればいいやみたいな風潮は徐々に減ってきています。そうすると周りも新台入れても利益が取れなくなって、いよいよ設定を入れざるを得ない。
だから、新台であとはベタピンというお店も、20年くらいかけてようやく設定が入るようになってきているんですね。僕らはそういう『設定の歴史』みたいなのが分かるんですが、大事なのはユーザーがちゃんと優良店を応援してあげる事だと思います。だから、良いお店があったら拡散してあげて下さい」
ギャップを埋める為にはユーザーの意識を変える事。 ベタピン店が淘汰されないのはそこに通うユーザーが存在するからだ。 ならば優良店を拡散して『設定が入っている店』がある事を周知すればいい。というか、それしかない。
「あとは、ここ3年くらいでスロパチさんとかオフミーさん、それから僕らみたい人たちが、言葉は悪いけど取材企画的なものをやる事によって、設定を派手に使う、というホールがめちゃくちゃ増えて来たんですね。今はもう下火になっていますが、この3年間というのは非常に大きかった。ユーザーもホールも、設定を使うとこうなるんだ! というのが分かってきたんです」
この話はとても興味深かった。 つまり、広告規制後に広がった各種媒体のライターイベント(取材・来店など)は、現状はどうあれこの3年ほどでユーザーの意識改革を促す結果に繋がったという事である。この辺は若干センシティブな話なので誤解のないように書かせていただくと、つまり店舗側が能動的に広域に向けて情報発信する事が出来なくなった事が、逆に設定を入れる努力を促す方向に繋がった、というふうに筆者は受け取った。
「スロパチさん、オフミーさんや僕らのやった事によって、全体の1~2割の設定狙いのユーザーがまず反応して行列を作って、次にそれを見た設定不問のユーザーもそのお店に集まってきて──。こういう流れができるんですね。設定不問のユーザーはもちろんのこと、設定狙いのユーザーも実は高設定の可能性があるホールで打ちたいだけで、ガチガチに立ち回って稼ぎたい、という人は僅かなんですよ。もちろん一部はガードを固めて徒党を組んでやってる人もいますが、大半はそうじゃない。一日楽しめればそれでいい……みたいなユーザーも多い。彼らは利益を落としてくれるんです。
僕らがやった事によって実は『設定狙いのユーザーも大切なお客様だ』というのが多くのホールに分かってもらえたんです。これはとても大きい。20年間変わらなかった事がこの3年で一気に変わってきてる。凄いですよね」
設定狙いのユーザーも大切なお客様! これは至言だと思う。そして同時に『新台だけ入れてあとはベタピンの方が儲かる』というパラドックスに対応するための前向きな回答のように思えた。
状況が変わってきたとは言えまだまだベタピン店は多い。 これだけ機械単価が高くなり、寿命が短くなってきたのに、未だ新台重視の営業から脱却できないホールが散見されるのはなぜだろう。 その疑問に対して山本氏の答えはこうだった。
「ホールの経営って動くお金が億単位なんですね。だからその中で出玉って実は大したことないんです。1億の出玉を出すとかも出来る。でもそれでも稼働が上がらない事がある。1億出したら流石にパンパンになってよって思うじゃないですか。実際はそうじゃないんですね。でも、機械を1億円分買ったら稼働は確実にあがる。そういう現状があるのは分かってください。だからこそ。頑張ってるホールは応援してあげてください」
★皆が知りたい核心! 『高設定ってホントに入ってるの?』
「今、僕の手元にある14,600台のデータでは『Re:ゼロ』の456投入比率が大体20%くらいなんですね。6の比率が約4%。まあまあな数字だと思います。でも例えば4を3台削れば6を1台増やせる。みなさんこれはどっちがいいですか?」
高設定って入ってるの? というシンプルな誰かの問いに対し、さらっと山本氏が応えた言葉に、筆者は耳を疑った。 456って20%も入ってるの……?
「入ってます。今手元にあるデータは全国のホールから集めたものなんですが、普通にこのくらいは入ってます。ただ中間設定を打つチャンスを広げるか6を固めるかでお店の方針は違うので、そこをお聞きしたいんですよね。例えば数字で出すとこうなります。みなさんどっちのお店に行きたいですか」
どちらも出率は計算上ほぼ同じである。みなさんはどっちだろうか。
ちなみに参加者の間では意見が真っ二つに割れた。筆者はケース①。これはどちらが正しいとかそういう答えはない議論なので参加者は各々『設定』に関する思いを語った。印象的だったのはとある参加者のこんな言葉だった。 曰く、設定にあまり詳しくないお客様は「6かどうか」よりも「1じゃない」事を喜ぶ傾向がある。との事。筆者なんかはまさにコレだ。 そしてこの議論から、話は思わぬ方向に飛ぶ事になった。
「ちょっとこれ専門的な話になっちゃうんですけど──出玉を2,500枚くらい(3箱目に突入)はしっかり積んでちゃんと見せましょうねという景品金額5万円理論があるんですね。パンパンの稼働で安定してIN(使われた枚数)が20,000枚行くようなお店なら、4でも誤爆して6に見えてきたりしますし、2,500枚のメダルを積んで貰う事も簡単なんですね。だから中間設定が多めになる傾向があります。
一方で競合店があって稼働が落ちてきているホール。例えばINが行っても14,000枚とか。そういうホールは、確実に分かる所に固めて入れて、わかりやすく全台系にしたり。なんなら全6の機種を作って積んでもらうしかない。だから経験上そういうお店は6の比率が高まる傾向があるんですよ。INが20,000枚いくなら、実は6って要らないんですね」
衝撃の事実だ。 稼働が良い店ほど6を使うと思い込んでたが、たしかに満稼働に近いお店なら薄利多売に舵を切る事も充分に考えられる。つまり中間設定多め。先程で言えばケース①になる。
一方で稼働が少ないならそもそも6が炙られないケースも出てくる。そうするとまずは炙って貰う事が最優先になるので、中間設定を削ってでも6を投入して分かりやすい所で客寄せパンダになって貰うのが最適解になるのだろう。 なので先程の問いに関しては、稼働が良い店ならケース①が。稼働が良くない店ならケース②が正解という事になる。
この辺のロジックは我々ユーザーの立ち回りにもなんとなく活かせそうな気がする。
「あとは台によっても違います。ちゃんと2,500枚積んでもらえる台に投入するのも大切で……例えば具体的な機種名を出しちゃいますけど『G1優駿倶楽部2』はデータ上の出率が設定6で103.4%なんですね。『Re:ゼロ』は設定4で102.9%。だけど平均最大到達点(一番出てる瞬間の差枚の平均値)はREゼロの4の方が高いんです」
「『G1優駿倶楽部2』の6は一番出てる所の平均がそもそも2500枚に届いてない。だからこの機種で出玉を見せるなら積極的に6を使って、少しでも長い時間積んでもらうしかない。中間使ってる場合じゃないんですね。『REゼロ』の場合は4でも2,500枚を越えるタイミングがあるんで、それも視野に入れていける。こういう考え方ですね。
あとは……全国のホールのデータを見てると機種ごとの出率で100%を越えてるのとか、下手したら103%の機種まであるんですよね。これって絶対何か狙ってるじゃないですか。完全に456確定画面を出しに行ってるみたいな。設定を感じてほしい! ってホールからの声が完全に聞こえてきませんか? なので設定が入ってるか入ってないかでいうと、今は完全に入っていると。データが示す所では、それが答えになります」
★昔なつかし『7枚交換』のお店は是か非か。
次にある参加者の方からこんな質問が飛び出した。 7枚交換のお店があったら、みなさん遊びにいきますか? そういう、平均設定高めのお店で暇つぶしで遊ぶのはありかなしか。 どうだろう。
パチ7ユーザーのみなさんもちょっと考えてみてほしい。 筆者はこの時点では「全然あり」だと思っていたが、山本氏の答えは真逆だった。
「僕はこれは『なし』ですね。これは数字から理由を見ていったほうが良いと思うので……計算してみましょうか。11割分岐営業をベースにして考えて……。機種はどれにします? 『絆』にしましょうか。11割分岐だと101%が粗利のライン。14割分岐だと104%ですかね? とりあえずこれでいいですか?」
周りの参加者の方々当たり前のように頷く。 正直筆者は全くついていけず。なのでここからはICレコーダーを聞きつつ調べた注釈を入れつつ解説しよう。
11割分岐営業というのは、5.5枚交換でプラマイゼロになる営業の事だ。50枚借りて55枚交換すればチャラ。これが出率で考えると101%になる。それを下回ればユーザーの赤。上回れば店の赤だ。 14割分岐は7枚交換の事。50枚借りて70枚交換すればチャラ。これだと104%まで出率を上げる事ができる。
・11割分岐 5.5枚 101%が分岐ライン
・14割分岐 7.0枚 104%が分岐ライン
ついでに絆の各設定のデータがこちら。これはメーカー発表の出玉率になる。
【バジ絆の出玉率(メーカー公表値)】
・設定2 98.6%
・設定4 106.6%
・設定6 119.2%
絆が10台あるとして、設定と出率を幾つかのケースで計算してみるとこうなる。
11割分岐の採算ラインである101%で動かせるのはケース②まで。 14割分岐であれば全てのケースがギリギリでいける。もちろん貯玉・再プレイは無しと考えた場合であるが、これは……10台中6台が設定4。しかも1の投入が無し。7枚交換はやっぱありなんじゃないか……?
「では次に、設定1で平均いくら負けるかの計算をしてみましょう。これはまあ最悪を想定してキツめの台にしましょうか。じゃあ97.5%の出玉率でINが10,000枚と想定します。等価だと簡単ですね。2.5%分がマイナスなので……250枚負け。5000円負けですね。7枚だとちょっと電卓が必要ですが……10,715円負け。倍以上負けますね。
そして最後に、実際のホールの設定投入比率に当てはめて考えてみます。たとえば僕の場合は456の投入には黄金比があって、状況にもよりますが、だいたいこんな感じでやってます。もちろん1にも振った上でですね。14割だと……どうなるだろう。現実的なラインとしては──」
「これですね。交換率が下がると台の見切りも早くなるので、突っ込んでいられない。下で利益が取れないから6に振りづらくなる。200台として等価だと設定6が14台。まあこんなもんですね。11割だと設定6が25台。一気に増えます。そして7枚だと……32台。たった7台しか増えない。これが実情に即したギリギリの所かな……。1を掴んだ時の負け額は倍ですよ? 交換した時のリターンも少なくなる。でも6は7台しか増えない。どうですか? 打ちたいですか? 僕はたかだか7台のために14割分岐営業にするのは絶対無しだと思います」
5.5枚と比べて7枚交換は、たったそれだけの違いなのである。 筆者は説明を聞くまでは完全にもっと変わると思ってた。それを伝えると、山本氏は力強く頷いた。
「そうでしょう。そこに齟齬があるんです」
と答えてくれた。ユーザーは7枚交換に夢を見る傾向がある。7枚なのだから、平均設定は高いはず。6もいっぱい入っているはず。だが実際は見切りが早くなるので下の設定が回されない。したがって上も入れづらい。5.5枚と比べると僅かな差になる。結果、夢が破れて通わなくなる。昔は巷に溢れていた7枚交換のお店が淘汰されていったのには理由があった。
「もちろん、4号機の頃で……たとえば設定6で140%あるような台を7台の為に狙いにいくのは『あり』だったと思います。それに7枚だとベタピンで放置して2日貯めれば大きく還元もできます。特定日に70台入れたりとか。そういうのは面白いかなと思いますけど、単純に7枚にしたから人がバンバンくるかというと、難しいと思います」
★『拡散』が一番大事! ホールの利益と業界の今後について。
ミーティングの締め括りは「ホールの利益について」だった。 実際の所、ホールは儲かっているのだろうか。最近は色々と暗い話が多いのでなんとなくあんまり儲かってなさそうな気がするのだけど……。
「現状、なんだかんだ儲かってます。業種としてはですね。ただ、今は設定1でも利益が取れない機種が増えていて、だんだん厳しくなっているのも事実です。具体的に言うと『番長3』『鏡』『ディスクアップ』あたりですかね。特に『番長3』は打ってる分には下のほうはむちゃくちゃキツイように感じるじゃないですか。対決は8ゲームくらい欲しいと思いませんか?(笑)
でも実際はあれでも甘いんですよ。しかもあの台の5とか6って結構見かけますよね。あれは実はユーザーから信用してもらうために無理やり入れてるんですね。でも下が甘いから全然回収できない。多くのホールが『番長3』は年間通じて赤ですよ」
番長3が赤。 これは実体験としてなんとなく想像していたので素直に納得だ。 判別中に誤爆してそのまま万枚出して勝ち逃げ、というケースを何度か目撃しているからである。
「ただでさえ最近は玉単価が下がって吸い込みが弱くなってるのに、そのくせ甘い。1が回されれば相対的に456を使えるようになるのに、1でも98.4%とか98.5%とか……。個人的には1は97%台であってほしいです。そして出来るなら2で98.5%とか。そうすれば、2をベースに使っていけるんで奇数・偶数の設定差が活かしやすいんですね。2で100%越えてくると使いづらいので、2の先に4を見せる……みたいな追いかけ方が楽しめないんですよ。しかも6がエクストラになってる台は4と6が繋がってないから、2が殺されるともう偶数を入れる意味がない。2の先に4、4の先に6が見えてる台だったら、2でも追いかけてくれる。
上を入れる為には下を動かす必要がある以上、甘きゃいいって訳でもないんですよ。あとは確定系演出の出し方もそうですけど、一度メーカーは我々に話を聞くべきだと思います。メーカーは機械作りのプロですけど、我々は設定の使い方のプロですから──」
設定の使い方のプロ。 これはちょっとかっこいいな……と思った。
氏はもう20年以上この業界に関わって、ひたすら設定と向き合い続けた人である。恐らく色々な失敗もあっただろう。試行錯誤を繰り返しながら、今では「並ばせ屋」とまで呼ばれる存在になっている。数字と向き合い、人と向き合いながら、ホールの利益を確保しつつ、ユーザーに楽しんでもらい、果ては業界の未来を考える。
たかだか設定と侮る事なかれ。6つの数字を上げたり下げたりすることで、それだけの事を同時並行して実現してしまえるというのは、ちょっとロマンティックだな、とすら思った。
最後に、山本氏に業界の未来について聞いてみた。
「いい話もあります。たとえば『Re:ゼロ』は5号機中期からの1,000機種近い台の中で、初期稼働が歴代2位なんですよ。めちゃくちゃ良い。ナンバー1は『番長2』なんですけども、それに迫る勢いで良い。年一とかそういうレベルじゃなくて、想像を越える良さです。その数字を信用しないわけにはいかない。だから我々も『Re:ゼロ』は戦略的に使っていこうと思ってます。そういう明るい話もある。
でも、パチスロはまだしもパチンコは若年層があんまり居ないじゃないですか。もちろん総数としてホールの数が減っていくというのもあるのですけど、客観的に見て今後は決して明るくないですよね。業界的に今後もこの規模を維持していくのには、努力が必要になるのは間違いないと思います」
繰り返しになりますが──と言葉を区切って、山本氏は続けた。
「やっぱりユーザーと運営のギャップを埋める事。優良店に人を集めて、ユーザー・ホールの両方に成功体験をしてもらう事が大事ですね。それにはホールの努力もそうだと思いますが、ユーザーも優良店を拡散したり、単純にベタピンの店に通わなくしたり、そういう部分で一緒になってやっていける部分は絶対にあるので、お願いしていきたいと思っています……」
さて。 以上が第1回『山会議』のレポートだ。 最初はユーザーとして業界の裏話でも伺えたら良いなあ程度のカジュアルな気持ちで参加してたのだけど、気付いたら脳みそをフル回転させながら一緒に計算したり考えたりして、あっという間に2時間が経過していてびっくりした。
話題の中で山本氏が繰り返し言っていたのは「拡散」や「データ公開」の大事さについてだった。良い店を良いとアピールして人を集める事。広告規制で両手・両足を縛られたホールは今、頑張ってもそれをアピール出来ない状態になっている。だからこそ、ユーザー側のアクションが求められている。拡散すること。データを探して吟味する事。優良店を見極める事。
新台だけ買ってあとはベタピン放置でいい……みたいな旧態依然としたホールが淘汰されずに残ってしまっているのは、やっぱり歯がゆい。でも何も氏はそんなホールに「潰れてしまえ」と言ってるわけではないのだ。むしろ変わって、そして生き残って欲しいのである。
設定を入れたら人が来る。薄利多売でも営業ができる。 そんな当たり前の事を、まずは全てのホールに理解して貰うためにはどうすれば良いか。そういう事だ。
山本氏の理論はとても優しい。──筆者はそういう形で理解した。
なお、この『山会議』のようなフリートーク形式のユーザーミーティングは初開催だったとの事で、山本氏側も探り探りの運営だったようだ。この辺りは回を重ねるごとに洗練されて行くのだろう。もちろん今後も日本全国で場所を変えながら継続してやってゆくとのことだったので、もし次回お近くで開催される事があれば、皆さんも日頃から思っている事を山本氏に直接訊いてみてはどうだろうか。
参考:『並ばせ屋山本オフィシャルウェブサイト』 http://narabaseya.com/
13
62
共有する
- あしの
- 代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。
本日の人気記事
パチ7の特集&漫画コンテンツ
パチ7 パチンコパチスロ新台機種情報
パチンコ定番機種
P CYBORG009 RULE OF SACRIFICE VS SCARL BODY EDITION 199
P中森明菜・歌姫伝説~BLACK DIVA 楽~80~89ver.
Pフィーバー 機動戦士ガンダムユニコーン 再来-白き一角獣と黒き獅子-
PAこの素晴らしい世界に祝福を!「このゆる甘99に祝福を!」
Pアズールレーン THE ANIMATION 異次元トリガー
Pコードギアス 反逆のルルーシュ Rebellion to Re;surrection
パチスロ定番機種
スマスロバジリスク~甲賀忍法帖~絆2 天膳 BLACK EDITION
パチスロ交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION ZERO TYPE-ART
2024年11月18日導入予定
パチンコ
パチスロ
Lダブルアタック2 withOZS-1000&RAPHAEL
2024年12月2日導入予定
パチンコ
Pゴジラ対エヴァンゲリオン セカンドインパクトG
Pフィーバー機動戦士ガンダムSEED LT-Light ver.
P GO!GO!郷〜豪遊の5〜
2024年12月2日導入予定
パチスロ
2024年12月16日導入予定
パチンコ
eゴジラ対エヴァンゲリオン2
パチスロ
チワッス!
7枚はマジで感心しました。分かりやすく話すってすごいなぁ……!
経営側の思考から見る台探しをしないとね。と言いながら趣味打ちしちゃうからなあw
7枚交換の考え方はなるほどでした
チワッス!
今回自分はほぼ山本さんに関する知識無しで取材に臨んだのですが、俺みたいな素人でも話を聴いたら即座に「この人は正しい事を言ってる」と分かるレベルでデータを用意して下さってました。やっぱ数々の人気店を作ってきただけあって、ちょっとした話題の一つ一つにしっかり論拠があって信頼できる感じというか。次回開催される時は取材抜きでユーザーとして行ってみたいと思いました!
チワッス! 最近コンサルタントの方の話を連続で聴いてるんですが、すろさんの仰る通りあんまりパチスロに詳しくないオーナーさんってめちゃ多いみたいですね……。
ちなみに俺は去年一年間で打った中で「確実に6」だと分かった台は3台でした。少ない! ほんとは分かってないだけでもうちょいあったかもしれませんが、そういう意味では今回の「投入率」の話題が一番衝撃でした!