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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2019.05.21
6号機を席巻するAT機の功罪
6号機への遊技機規則改正から1年3ヶ月が経ちました。ボーナス獲得枚数と出玉率が減少した遊技機規則に愕然とし、AT機も復活できる緩い内規に喜び。粛々と検定・認定切れの5号機を撤去しながら、6号機の導入が進んできています。どれくらい6号機が導入された機種があるのか調べてみました。全部で22機種のようです。
疑似ボーナスにするか、AT機らしいゲーム数上乗せ型にするか“出玉の見せ方”こそ違えど、その大半はAT機となっています。ざっと見てみましょう。漏れていませんように……なむなむ。
☆6号機リスト(2019年5月時点)
▲6号機序盤は大都技研が主役に!
■『HEY!鏡』(大都技研:AT)
■『チェインクロニクル』(サミー:条件付きAT)
■『戦コレ![泰平女君]徳川家康』(コナミ:AT)
■『ぱちスロ ゲッターロボ』(京楽:ボーナス)
■『スーパーリノXX』(山佐:リノタイプ)
■『ロードオブヴァーミリオンRE:』(七匠:AT)
■『聖闘士星矢 海皇覚醒スペシャル』(三洋:AT)
■『蒼天の拳 朋友』(サミー:条件付きAT)
■『島漢』(平和:AT)
■『GI優駿倶楽部2』(コナミ:AT)
■『パチスロ ヱヴァンゲリヲンAT777』(ビスティ:AT)
■『アナザーハナビ弥生チャン』(ユニバーサルブロス:AT)
■『RE:ゼロから始める異世界生活』(大都技研:AT)
■『パチスロおそ松さん−驚−』(D-light:AT)
■『CTザクザク七福神』(山佐:ボーナス+ART)
■『ドンちゃん2』(アクロス:ボーナス+RT)
■『パチスロ猛獣王』(サミー:AT)
■『マイフラワー-30』(北電子:AT)
■『黄門ちゃまV女神盛』(オリンピア:AT)
■『ギャラガ』(メーシー:AT)
■『パチスロ ボンバーパワフル3』(SANKYO:AT)
■『天晴モグモグ風林火山』(NET:AT)
ここまで導入された6号機は22機種。コインの増えるボーナスを軸としたゲーム性の機種は『ぱちスロ ゲッターロボ』『CTザクザク七福神』『ドンちゃん2』の3機種のみ。ボーナスは揃えられるが、通常ゲーム中はハズしながら打たなくてはならない“条件付きAT機”は『チェインクロニクル』と『蒼天の拳 朋友』の2機種。残る17機種は“普通のAT機”となっています。
ちなみに、いま判明している今後導入予定機種の『ガールズ&パンツァーG』『パチスロ鉄拳4』『天元突破グレンラガン』『SATちゅら沖S』『スーパードラゴン』もすべて、普通のAT機。ボーナス単体では300枚も出せませんからね。このような流れになるのは当然のことでしょう。
☆そもそも『AT機』ってなに?
AT機は4号機の規制緩和時に出てきました。小役の獲得を容易にするナビ演出が出る区間を『アシストタイム』と言います。略してAT。リプレイ確率がアップする区間は、リプレイタイムでRT。ナビが出てリプレイ確率もアップすれば、アシストリプレイタイムでARTとなります。当初4号機の『ディスクアップ』ではARと表記されていたりしましたけど。
5号機では『ね〜ね〜島娘』や『パチスロ鉄拳デビルVer.』からAT機が浸透していきました。そのAT中も通常ゲーム消化中もリプレイ確率は1/4程度と高くなっていましたが、通常ゲームと比較して高くなっているわけではないからAT機で良いんじゃない? という空気感がありました。
実際にリプレイ確率が1/7.3(遊技機規則上の下限)となったのは『激闘!西遊記』以降のアクセルAT機から。いや、このあたりの話は散々振り帰りで書いていますし、細かいニュアンスを気にする人も少ないでしょうからバッサリ割愛させていただきます。
▲2枚がけと3枚がけのボーナスが存在。
押し順で6択などの小役を用意しておいて、必要な時にナビを出せば良いんでしょ? いやいや、そんな単純なものではありません。普通に打っていたら揃うことがなくてもボーナス搭載は必須なのです。
ボーナスなしで、単に小役だけで出玉を作ろうとすると、1Gあたりの純増速度は約2.4枚が限界です。いやこれ、5号機の時の話か。出玉試験の長期出玉率が下がったので、2.4枚よりも低くなるはずです。作られることがないスペックなので、計算する気がおきませんけど(笑)
出玉率の試験のうちシミュレート試験は、成立したボーナスを必ず揃えます。このボーナス中にコインが減少(減らしすぎたらダメなどの規定もあります)してくれれば、その分だけAT発動中のコイン増加に割くことができる。こういう考え方です。
これによって、5号機時代は自主規制上限の1Gあたり3枚の純増を実現していました。当時から、自主規制がなければもっと純増を上げられるという話は出ていましたが、それを純増8枚という形でやってのけたのが『RE:ゼロ』ということになります。とはいえ、基本は変わらないわけです。短期から長期に至るまで4段階で出玉率の幅が設定されています。その枠の中でしか出すこと(出さないこと)ができないわけです。
2枚がけで成立するボーナスを内部保有させて、3枚がけで遊技させるなど、細かい技術もあります。また、5.9号機から加わった有利区間の概念をどう見せていくのかという違いもあります。ただ、基本システムは同じです。AT機はAT機です。
☆『AT機』のメリット。
■ボーナスよりも一撃の枚数を出せる
■潜伏や前兆など演出を見せやすい
■押し順ナビタイプであれば敷居が低い
■粗利を高く設定できる
6号機となってボーナスで出せる枚数が減少しました。AT機にも一撃2400枚純増の上限はありますが、純増300枚も出せないボーナスとは比べ物になりません。また、ゲーム数やセット数上乗せという嬉しい瞬間も見せることができます。
また、ボーナスと違って一発抽選である必要がありません。タイアップなどの液晶があって当然の時代に、一発抽選はそぐわないのです。煽っても当たってないのがわかったり、ハズレのつもりで賑やかせていたのに、本当に当たってしまったり。実はボーナス邪魔じゃない? 『モンキーターン』や『押忍!番長2』あたりを経て、パチスロはこのような流れになりました。
出玉も演出も見せることができる。目押しに慣れていない初心者が感じるであろう敷居の高さの軽減を担うのが押し順ナビです。当たっても目押しができなくて枚数を損してしまう。こういった“もう打たない”と思わせる原因を取り除きました。その割に新規ユーザーが増えていないというのもありますけどね……。少なくとも、パチスロがそうなったあとに始めた世代も増えているので(なんせ2002年あたりからこの傾向があるので)、離脱者を無駄に増やさないことには一役かっているように思えます。
そして、最後のが一番大事かな。射幸性があるのでホールの収益の軸となれることです。ボーナス主体タイプは、本当に薄利多売になりますから。そのような機種が中心となってしまうと、現在のビジネスモデルでホールはやっていけないのです。
おい、佐々木。いつからAT機マンセーに転向しやがった? と言われそう。しかし、事実です。地域住民の息抜きとなる射幸性の低い機種を大事にしてくれるホールは、現代感覚のホールに負けて淘汰されるかビジネスモデルを変えていきました。悲しいことですが。あ、プライベートで打つのは、相変わらずボーナス主体タイプばかりです(笑)
☆『AT機』のデメリット。
■ボーナス成立の出目の変化がない
■RT状態の推移など出目の変化がない
■初当たりの喜びが少なくなりがち
■ユーザーが疲弊しやすい
普通に遊技していれば、ボーナスが揃うことはありません。当然、リーチ目などを見せるのも難しくなります。特殊リプレイで1セット上乗せ確定とか、出来なくはありませんが。小役ハズレでリーチ目になる時など「なんかの間違いでハズれろよ!」とストップボタンを押すことも、「本当にハズれたよ!」と喜ぶことも多くはないでしょう。連続演出の妨げになるような当たり方ですから。
それに付随しますが。常にボーナス保有中を消化することになります。ボーナス成立後の状態。ここではRT状態を遷移させることができないので、特殊リプレイ確率アップなどの特殊区間を作ることはできません。いや、出来なくはないですけどね。通常ゲーム中も変則押しをすると簡単に揃ってしまうタイプであれば。6号機もペナルティは禁止(全押し順で最低出玉率をクリアできればOKですが)されていますし。
要は、リールを眺めたい人にとっては単調なのです。小役が揃ったらそれは入賞であり、何も揃っていないのに意味があるのこそ出目と思うようなタイプの人種にとっては。
さてさて、メリットとして射幸性で粗利が取れると書きましたが。それはユーザーにとって“楽しめる”話ではないでしょう。粗利が出てないと出玉の余裕がなくなるから……はごもっとも。ただ、日常からフラっと楽しみにくい状況となっていきます。そういう薄利多売のところで遊びたい人が住みにくい世の中となりそうです。
広告規制もますます厳しくなっている折り、“気軽に打てない”となっていくのは、さらなる閉塞感を生み出してしまいそうです。そして、射幸性が上がるほど初当たりで喜べる回数が低下します。当たらないか、当たってもショボいのを抜けてからスタートラインか。うーん。
AT機だらけになるのは予想通りですし、仕方ないとも思います。しかし、一辺倒すぎるのも困りもの。ここまでのラインナップを見て、そう強く感じた次第です。個人的には、北電子が疑似ボーナスのAT機を作ったことに注目しています。ジャグはどうなっていくんだろう……。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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