初めてのOFF会でパチンコした日 in 広島

僕がインターネットを始めた20年ちょっと前、SNSなんて物は勿論存在しておらず、アナログ回線で繋いだ向こう側に、他のネットユーザーとの関わりを感じることは今よりずっと難しかった。それでも二つだけ、簡易的に誰かを感じることが出来る場所。

それが "掲示板" と "チャットルーム"

前者で言うとnifty、後者で言えば僕が利用していたのはチャットプラザ（通称チャプラ）と呼ばれるチャットルームの集合体サイトだった。
（※チャプラはなんと今でも跡地が→http://www.chatplaza.ne.jp/）

夜11時を過ぎると僕はここの「中国地方部屋」に入り、ハンドルネームを入力して、まだ速度的に難のあるタイピングで色々な人と会話をした。部屋の常連になって半年、誰かがふとこんな事を書いた「俺たちもオフ会をやらないか？」

オフ会。普段使用しているネットデバイスの電源をOFFにして会うからオフ会。それくらいの知識は僕にもなんとかあった。インターネットが今よりずっとオタク趣味の代名詞で、不透明なコンテンツだったあの頃、怖さもあったが皆に会いたいと思う気持ちがずっと強かった。

いつも下ネタばかりを話す腹垂れ侍さんにも、顔文字のウザイちくわさんにも、色んな違法サイトの情報を書き連ねる雪姫さんにも僕は本当に会ってみたかったのだ。

会場は中国地方一番の大都市広島。当時の僕のハンドルネームは岡山県民（通称オカケン）チャット上でわざわざ岡山弁を使うウザガキだ。僕は本当に色んな妄想をして岡山から広島行きの鈍行列車で集合場所に向かったんだ。


待ち合わせの場所に行って見ると明らかに「おおきなオトモダチ」が二人いる。恐る恐る声をかけてみればハラ垂れさんとちわくさんだった。雪姫さんはバックれた。二人は立派な社会人で、僕は高校生になろうかと言う所、今でもかもしれないが当時だと余計に珍しかったこともあり、二人はオフ会会場の居酒屋でも大変に良くしてくれた。その日はハラ垂れさんの家に三人で泊まって、朝が来るまで延々とくだらない話をした。その中でパチンコの話が出て、明日はいっちょ皆で勝負に行こうか！となったのである。

今考えればオフ会で未成年を引きつれ居酒屋に行き、喫煙も黙認し、翌日朝からパチンコ屋に誘う。炎上フルコース待ったなしの出来事だけど、いろんな事がふわふわと緩かった。それくらいに思って欲しい。

当時並んで打った台を今でも良く覚えている。奥村の1回権利、モンキッキDXだ。正確に言うとちくわさんはスロットコーナーへ行ってしまったので、僕は腹垂れさんと二人で耳打ちで会話しながら打ったんだ。不思議なことにどれくらい勝って、どれくらい負けたのかは良く覚えてない。

今では本名も知らない誰かとパチンコを並んで打つのも当たり前だし、なんなら収支を合算して打つ事も珍しくない。趣味パチンコと名乗って批判されることもあれば、「俺も俺も」と同種と繋がることも容易くなった。色んな事が当たり前になって、色んなことが当たり前じゃなくなった。

それでも尚、強烈に記憶に残るあの頃の様々な初めて。散々パチンコパチスロではいろんな事をやったし、見てきたけど、これからも新たな始めてに出会える事を祈っています。

11