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若年性パチンコ研究脳
2020.12.25
研究#03-3:『突破型小当りラッシュ』という発明! 小当りラッシュが生み出す新時代のゲーム性!
メリークリスマス! どうも、ここ数年クリスマスイブは丸1日仕事だし、その事を支障と感じたことが一度も無いライターraraです。よって今回も平常運転。小当りラッシュ機に関しての最終回になります。
まずは前回までのおさらい。2016年より始まった小当りラッシュ機の歴史は、CRGANTZによって発明された“回収する電チュー”と“ドキドキゲートの流用”によって成熟を迎えました。ですが、その圧倒的完成度が故にジャンル全体に対する頭打ち感も出てしまった……というところ。これだけだとなんのこっちゃだと思いますので、詳しくは過去2回をご覧になっていただけますと。
さて、GANTZ(17年1月リリース)が大きな成功を収めた小当りラッシュ業界ですが、次に大きな話題になる機種が排出されたのは半年以上経った17年の11月。この間の小当りラッシュ機リリースは僅か3機種。
特図2の変動口デザインが餃子の王将2や常夏蝶々と同じで一部の人間が喜んだことでお馴染み『ロボゲイシャ』、史上最も増えない小当りラッシュとして長期間君臨していた『ドンキホーテ』、9年ぶりの新作がまさかのライトスペックのみで逆に本気を感じた『水戸黄門Ⅲ』という大変魅力的なラインナップで、それぞれについて書きたい事はあるのですが……今回は涙を飲んで割愛します。(史上最も増えない小当りラッシュに関しては、つい最近にG1優駿倶楽部甘が更新しました。なんなら減ります。)
そんな閉塞感さえ漂う状況で『すべての、引き弱たちへ。』という挑発的なキャッチコピーを引っさげた台が話題になりました。西陣の『CR桃剣斬鬼』です。
★とにかく小当りラッシュの性能がウリ! だけど……
1回転当たりの“公称”純増が驚異の30個。そのうえ高確率中の大当り確率は1/71.2。小当りラッシュ1回の期待値はなんと2000発オーバー! 800発程度であったGANTZとは比べ物にならない性能と言えます。
まあ、2400発の“大当たり“を積んでいたGANTZに対し、こちらの大当りで得られる出玉は、ほぼ450個固定の為当然と言えば当然です。そのうえラッシュへの突入率も厳しい。
見ての通り全ての状態でRUSH突入率は低め。特に通常時とRUSH中からは絶望的な数字です。
ここまで突入率を絞ったのは、小当りラッシュの性能を極限で上げるため。上でも書いたように、小当りラッシュ1回の公称期待値はGANTZの約3倍。他の全てを削り一点集中させた、まさに究極の小当りラッシュ特化仕様!
……なのに、肝心の小当りが公称通りに増えないという致命的な欠点があり、桃剣が大人気台となることはありませんでした。
しかし桃剣にはもう1つ『あまり注目されていなかった新システム』が搭載されていたのです。今回の本題はここ!
★革命的な発明『突破型小当りラッシュ』
各振り分け表に5%だけ存在する「7or2R確変 電サポ回数100(※)」という意味深な振り分けがその新システム。
桃剣はGANTZ式の小当りラッシュを採用している為、電サポ作動中は電チューに邪魔されてアタッカーまで球が届きません。
ここで重要なのが、電サポは規定回数の消化で終了させる事が出来るということ。通常の確変機で確変中に電サポが規定回数の消化で終了するとしても、それは単なる潜伏、メリットはありません。しかし小当りラッシュ機は別。『電サポの規定ゲーム数を大当たりを引かずに駆け抜けることで、小当りラッシュに突入させる』ことが出来るのです! その可能性がある振り分けがこの5%なんです。
100回転の消化中は単なる時短のような顔をしておいて、電サポが終了する100回転目で、驚愕の小当りラッシュ突入! となるわけです。
遊技者のテンションが最も落ちる電サポ終了のタイミングで、いきなり最高の状態である小当りラッシュに飛ばされるという驚愕のサプライズ! 今までにない全く新しいゲーム性です。新時代の幕開け!
……と僕は本気で思っていたんですが、この電サポを引く振り分けは、前述の通り特図1、特図2ともに僅か5%。その上、確変中の大当たり確率である1/70を100回転耐えなければ突入しない、という絶妙なハードルの高さ。実際に体験した人は殆どいないのじゃないでしょうか。事実、この画期的要素に注目が集まることはありませんでした。なんと勿体ない……。
それに、桃剣の電サポ回数は100回で固定です。演出的な魅せ方も「時短100回をスルーしちゃった……と思ったら内部的には確変だったよ! 小当りラッシュスタート!!」というやり口。
ですが、電サポの回数は100回転以内なら自由に弄ることが出来ます。そしてその回数を告知してしまえば、ユーザーにとって目に見える目標が完成します。回数を告知した上で、滅多に出てこないおまけとしてではなく、メインの要素に据えてしまえば、全く新しいゲーム性を持った機械が誕生するのでは……?
ちなみに、僕はこの仕組みの事を勝手に「突破型小当りラッシュ機」と呼んでいます。課せられたノルマ回転数を減らし切るってなんか突破感あるなって……この仕組みに名前が付いているのを見たことが無いので、とりあえずこの記事内では「突破型小当りラッシュ機」で統一させていただきます。
さて、そんな妄想をしてから約1年。ほんとうに出ました。サンスリーから2018年8月に登場した『CRボウリング革命P★LEAGUE』です。版権チョイスのクセが凄い。
スペック表にある“小当りRUSH発動カウンター付き”という聞き覚えのない振り分けこそが、電サポ付きの確変。最初に告知される規定の回転数大当たりを引かない事で、電サポが終了して小当りラッシュ機に昇格します。
電サポの回数は『10、30、50、70、100の5種類』で、確変中の大当たり確率は『1/94.6』 桃剣よりもかなり成功を体感しやすい作りですね。今度こそ、このシステムが話題になってくれるかも!? とスペックを見た時点で僕は本気で思っていたのですが、こちらもイマイチ話題にはならず。
なんでしょうね。擬似連しただけで当たったとしか思えない音が鳴ったりするのがいけなかったのでしょうか。まあ、冷静に考えると導入自体少なすぎたので、その時点で厳しかったといいますか、やはり版権のチョイスがニッチに過ぎた気がします。最初SANYOのオリジナルかと思っていたら本当に深夜番組であると聞いてびっくりしちゃったよ。
嗚呼、どこかのメーカーがこのスペックを大型版権で出してくれないだろうか……。
そんな事を考えていたおり、2020年の3月にDaiichiから登場したのが「P天昇!姫相撲」です。
★『天昇姫相撲』本物の前兆演出の正体は『突破型小当りラッシュ』
▲史上最も※による注釈が付けられているスペック表
実質大当たり確率1/400、旧MAX機並のポテンシャル。そして史上初、パチンコなのに本物の先読み……もとい、前兆を採用している事で話題になった機種です。保留4個という常識の枠を飛び越えて、最大16回転の前兆で煽って、本当に16回転目で大当たりが炸裂! というパチスロのようなシステム。
その『前兆の正体こそが突破型小当りラッシュ』だったのです。
本来、パチンコの先読みはどんなに頑張っても保留内で行う事になります。潜伏期待度や、状態に関する演出を長いG数かけて行う台はあっても、保留の外にある大当たりへの先読みをすることは不可能。だって、まだ抽選してもいないのですから。
しかし『決まったゲーム数で確実に当たり(のようなもの)に突入出来る仕組み』がひとつだけあります。それが突破型小当りラッシュ機!
この前兆は、確変を引いた時に内部で“回数制限ありの電サポ付き確変”を引いているかどうかを煽っています。発想の飛躍が過ぎて怖いレベル。内部的に“次回大当たりまでの電サポ付き確変”だった場合、どんなに回そうが電サポは終わりませんので、無事演出に失敗して通常時に戻っちゃいます。前兆中に当たりを引くな引くなと願っていたのが、全く無意味だったと判明する瞬間が堪らない。
ちなみに、うすーい振り分けですが、大当たりからいきなり“電サポ無し確変”……つまり、小当りラッシュ直撃の振り分けもあります。これら全てを合算して小当りラッシュに突入する確率が1/400!
姫相撲のスペックは凄く面白くて、パチンコなのに通常Aと通常Bがあって、滞在している場所で本当にモード移行率が変わったりとか、いろんな仕掛けがあります。ただ、全部語るとそれだけで1記事分の長さになってしまう為今回は割愛します。
……とまあ駆け足で要点のみ解説しましたが、こちらもそこまで人気にはなりませんでした。
Pリーグの次に出すにはあまりにも急激に発展しすぎだったのかなあと思います。すっごい発想でワクワクできるんですけど、パチンコで本物の前兆とかやると異物過ぎて打ってて不安になった人が多かったんじゃないかなと。
そうこう言ってる間に確変継続率規制が撤廃。規制されていたからこそ陽が当たっていた小当りラッシュ機の存在感が、ますます薄くなっていきます。
突破型小当りラッシュは、今までのパチンコ台とは明確に異なるジャンルです。当たるなと祈りながら電サポの残り回転数を減らしていくあの作業は、他のシステムでは絶対に味わうことは出来ない唯一無二のもの。このまま消えて行くのは寂しすぎます。どこかのメーカーが大型版権で出してくれないかなぁ……。
はい! 露骨な前フリで申し訳ありません。出ます! 来年早々に大都から、Reゼロが登場!
★2021年登場の『Re:ゼロ』が小当り復権の鍵?
文句なしに大型版権です! 元々、原作自体が大型版権の範疇だと思うのですが、ご存知の通りパチスロ版が大ヒット。この業界においては超大型版権と言って良い存在になりました。きっと設置台数も多いはずです。
ゲーム性としては、Pリーグをより“突破”という概念に寄せた物と思っておけばOK。
見ての通り初回からの直撃はかなり薄い確率になり、突破勝負である特図1電サポあり高確率の「白鯨攻略戦」を経由するのが基本。規定の回転数大当たりを引かずに耐える事ができれば、電サポが終了し、見事小当りラッシュである「ゼロからSPRUSH」へ突入!
白鯨攻略中に大当りを引いてしまうと敗北の演出が流れるのですが、そこで確変を引いていれば死に戻りに成功して改めて白鯨攻略にチャレンジ! 特殊な仕組みと版権ネタが見事にマッチしていると思います。
また、一度でもラッシュに突入させてしまえばそこからの抽選は特図2に移行。特図2の確変大当りは全て小当りラッシュに直行! 右打ち中は常に特図2による抽選で、初回を突破した後も突破を求められ続けるPリーグと比べて、突破したときの恩恵が大きいスペックになっています。
そして姫相撲と比べてとっても分かりやすい。今度こそ、今度こそ突破型小当りラッシュ機が脚光を浴びる時が来たのかもしれません。
というより人気が出ないと……いよいよ、小当りラッシュ機というジャンルそのものが消えかねません。突破型に限らず、全然リリースが無いので。
ここ3回で書いてきたように、小当りラッシュ機は進化を繰り返してきました。それを見守ってきた人間としては、なんとか小当りラッシュ機には生き延びて欲しいんです。ということで、近日導入のReゼロ、みなさんも是非いかがでしょうか。ここ数回の連載で書かれた内容を意識しながら打ってみると、色々と楽しめるかもしれませんよ。
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- rara
- 代表作:若年性パチンコ研究脳
北海道に蠢く24歳のスロパチ好き。珍古店を探して全国を駆け巡ったり、大きいホールに一台だけ置いてあるマイナー台を打って、悦に浸ったりするタイプの人。最近のマイブームはパチスロミルキィホームズ。
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