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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2022.04.12
稀に見る激闘#2~初代モンキーターン~
前回のあらすじ
攻略誌Hのタッグマッチ番組に参戦したラッシー。相方であるZ先輩の活躍により序盤は大きくリードしていたが、対戦相手の後輩Kがパチスロ「モンキーターン(モンキー)」でフリーズを2発引き状況が一変。まさかの大逆転を許し、後輩Kの背中を追う展開となってしまった。
フリーズを2発引いた時点で、後輩Kの持ち玉は約1,300枚。ARTは残り370Gほどで、純増約2.0枚/Gだから、すべて合わせればおよそ2,000枚強。もちろん370GものARTが上乗せナシで終わるとは思えないので、さらに伸びると予想される。
対する俺は、Z先輩から引き継いだ北斗のARTが終わった時点で差枚数が約+2,500枚。その後、モンキーを190Gから打ち始めるも、あっさり節目の384Gを超え、出玉がみるみる削られていく。
ややユルめに積まれた2箱は、すでに1箱に近づきつつある。相手はメキメキと出玉を増やしているのに対し、俺はどこまでハマるか分からない状況だ。
――「まあ、俺も同じことやればいいんですよ」
強がりのつもりで言った。
しかし、それが不可能ではないような気もしている。根拠と言えるほど大層なものではないが、モンキーにはこんな苦境から何度も助けられた経験があった。
バトル番組ではフリーズきっかけで一撃3,000枚。大敗を覚悟した誌面企画でも、やぶれかぶれで打って一撃4,000枚。それら経験が、気を許せば折れてしまいそうな心を支えていた。
ギリギリの隙間。
とはいえ、落ち着いてばかりもいられない。時刻はまもなく20時になろうというところ。否が応でも閉店時間を意識せざるをえない。なのに500Gを超え、どこまでハマるか分からない状況である。
頼みの綱の超抜(CZ)も、入ってはスルーの繰り返し。Z先輩が貯えた出玉を、ひたすら食い潰す時間が続く。
1番最悪な結末は、KのARTが閉店まで終わらないパターンだ。同じ機種を打っているのだから、出玉スピードも同じ約2.0枚/G。いくら俺が上乗せしても、KのARTが終わらない限り俺の勝利はありえない。
――「これは……1発の初当たりで仕留めるしかナイですね」
カメラのほうを向くでもなく、独り言のように続ける。
――「まず、閉店まで少し時間があるうちにKさんのARTが終わらないと」
話ながらもプレイ速度は緩めない。
――「そのうえで俺のARTが閉店まで続けば、どうにかマクれると思います」
我ながら勝算が無さすぎて笑ってしまう。机上の空論と言うのさえ憚られる。いや、絵空事ならそれもまたいい。負けるにしても、せめて戯言をのたまって無様に散りたい。それもカメラ前に立つものの務めなのだと思う。
可能性は低い。
でも、モンキーならば……。
待望の初当たり。
700Gピッタリで迎えた3度目の超抜。終了間際で引いたペラからチャンスアップの赤玉が出現! 祈るようにMAX BETを叩くと、見事ART告知が発生した。
だいぶ削られてしまったが、まだ1箱以上残っている。
――「さあ、終わらせてはいけないART、いきますっ!!」
Kはまもなく2,000枚を突破しようというところ。Kのチームの1人目の収支が不明ゆえ正確な差枚数は分からないが、ともあれ大ピンチであることはたしかだ。単発の駆け抜けなどあってはならない! 絶対に―――
上乗せナシの3連、243枚獲得で終了! 虎の子のART初当たりが、見せ場ゼロであっという間に終わってしまった!!
――「終戦……ですかね」
不甲斐ないにも程がある。「モンキーならヤレる気がする」など、やはり根拠のない戯言。あとは128Gまでのゾーンを回し、スルーしたらノーマルタイプでも漁りに行こう。そう思ったのだが……
ART準備中の強チェリーでストックした超抜に突入! すっかり忘れていたが、このチャンスを逃す手はない!!
が、ペラもろくに引けないまま10Gで即終了! どうやら今日は、なにをやってもダメな日らしい。肩を落とし再び回し始めると、たった3Gで優出モード(前兆ステージ)へ。すると……
――「な、なんだこれ!!?」
火種。
優出モードの2G目で連続演出に発展!! これはオカシイ。規定ゲーム数到達が32G以内に迫った本前兆中は、超抜が当選しても突入せずストックとして持ち越される。
しかし、さっきの場合はART準備中に獲得した超抜ストックだから、例外的に本前兆中でも入ったのだろうか? そこそこ打ち込んでいる自信はあるが、こんな挙動を目にするのは初めてだ。つまり……
――「いただきました、SG(ART)です!」
ART終了から37GでARTに再突入。すると直後、強チャンス目で+30G、弱チャンス目でも+30Gと前回ARTとは打って変わって上乗せが絶好調!
しかし、これではまだまだ足りない。後輩Kの背中すら見えない。細かな上乗せを重ねているうちに、ダブルV揃いやフリーズを引ければいいのだが……。そう思いながら祈るようにプレイを続けると――
残り48G。レバーONから一瞬の間を置いて液晶が暗転!
「見せてやる…俺の最高のターンをっ!!」
――「やりましたよ、俺」
「究極Vモンキーぃぃぃ~!! ぴゅぴゅい~~~ん」
有言実行のフリーズ発生! 成立フラグは強チェリーで、肝心の上乗せゲーム数は200Gだった。
フリーズ発生条件
ART中、100G以上の上乗せの一部で発生
どうにか先へ繋がり安堵していると、スグにKが近づいてきた。
K「これどっちが勝つか分からないな~」
――「まだまだ諦めないよ」
K「ARTが先に終わったほうの負け。それぐらい僅差ですね」
Kの顔からさっきまでの余裕が消えている。一時は勝ちを確信しただろうが、この一発で少しは恐れが生じたらしい。とはいえ、まだまだKの優位は揺るがない。やっと反撃のきっかけを掴んだ程度だ。
KはフリーズのあとにもダブルV揃いで200Gを乗せたらしく、まだまだARTが終わる気配はない。表示上の出玉は2,500枚を超えている。
1発では足りない。3ケタ乗せを2~3発は欲しい!
格言。
モンキーにおいて、3ケタ上乗せはさほど珍しくない。さすがに+200Gや+300Gがポンポン引けるわけではないが、+100Gや全速(特化ゾーン)絡みでの+100G以上なら常時射程圏内だ。それを多く引いたほうが勝つ。
そこで重要となるのがボート(スイカ)だ。
――「俺、持論というか格言があるんスよ」
半分は冗談だが、これまでモンキーを打ってきた経験から辿り着いた答えだ。
――「ボートを制する者が、モンキーを制す!」
ボートの上乗せ当選率は10.7%と結構低い(レース中、全速中を除く)。弱チェリーすら25.6%なのだから、ボートは一見するとかなり弱いフラグに見える。
しかし当選率が低いぶん、上乗せ当選時の恩恵はデカい。上乗せゲーム数は50G以上で、40%は100G以上の3ケタ乗せだ! 10%さえ引いてしまえば、あとは40%で3ケタ乗せなのである。
――「なので、それをいかにモノにするかの勝負っスね!」
などとカットされそうな持論を話していると……
――「キターーー! 金シャッター!!」
期待を込めつつリールを止めると、強チャンス目が停止して+20Gの告知が発生!
――「わ~、これ全速行ってほしいな~」
恐る恐るレバーを叩くと、期待通り全速に突入! 告知された20Gが、そのまま丸ごと全速になる。
――「さあ、勝負所! 20G継続はデカいぞ~」
呼吸も忘れ一心不乱にレバーを叩くと……
――「90、100、110……」
どんどん増えていく上乗せゲーム数。そして、迎えた最終ゲーム。ペラを引こうと気合いを入れてレバーを叩いたら―――
またしても液晶が暗転! 無言でビシッと天を指さす俺。
「見せてやる…俺の最高のターンをっ!!」
おかわり返し。
「究極Vモンキーぃぃぃ~!! ぴゅぴゅい~~~ん」
有言実行。2度目のフリーズ。
このフリーズはいわゆる「全トリガー乗せ」で、リールを止めるたびに上乗せゲーム数が告知される。感謝の気持ちを込め、ゆっくりと左リールから止めていく。
+30G、+30G、+90G、そして最終告知で50Gが加わり、トータルで+200G。成立フラグは強チェリーだった。
K「ありえない! ありえない!!」
ラ「もう何ゲーム乗せたか分からない」
きっかけとなった強チャンス目から含めると、全速の20Gに、全速中が+110G。そしてフリーズの+200Gで、一連のトータルは+330G。1発の全速でここまで乗せたのは初めてだった。
その後も好調は続き、残り200Gを切ったころにボートが成立。さらに次ゲームでもボートを引き、金シャッターSU演出がレインボーまで継続!
――「言いましたね? ボートを制する者がモンキーを制す!」
液晶いっぱいに表示される「+100」の文字。さらに残り83Gで再びボートを引き……
――「ご唱和ください。ボートを制する者が……」
またもや表示される「+100」の文字。
――「モンキーを制す!」
K「ありえない! いや、ありえないって!!」
若さゆえに。
K「では、結果を見てみましょう! 僕のチームは…差枚数+3,489枚!」
――「ほ~、なるほど~。では我がチームは…差枚数+3,859枚っ!!」
K「ぐあぁ~、負けたか……」
――「でも、思いのほか差がなかったな」
KのARTは閉店の1時間ほど前に終了。5セット継続で、獲得枚数は2,895枚と十分すぎるほどの結果だった。その後、天国モードにいないことを確認したKは、出玉を持ってどこかへ消えていった。
対する俺のARTは、2,525枚を獲得したところで閉店終了。自分でも妄言のつもりだった「閉店まで継続」が、なんと実現してしまったのである!
K「いや~、400枚差か~……あっ、ちょ…えっ?」
――「ん? どした?」
K「いや、僕モンキーのあとマイジャグ(初代)打ったんですよ」
――「え!? そうなの?」
K「5,000G以上回ってて、REGが設定5以上の出現率だったんで」
――「ほ~、それで?」
K「ジャグで使ったのが8本だから……」
――「8本? ……それ400枚じゃない?」
K「え? うそ……ジャグ打たなきゃ勝ってた!?」
――「そうなるね」
※Kがモンキーだけでヤメていたら30枚差でラッシーの負けでした。
K「うわ~、僕なんてことを……」
――「若さだな」
ほら、前回(#01)で書いたでしょ? Kの弱点はメンタルですから。たくさん出たらどっしり構えて、あとは天に任せる。「果報は寝て待て」ですよ、Kちゃん。
K「でも負けたんですけど、史上稀に見るいい試合をお見せできたんで」
――「…うん(試合?)」
K「勝敗にかかわらず大満足の実戦でした!」
――「いや~、ほんと稀に見る激戦になったと思うよ」
単純な収支だけで言えば、これ以上の結果を出した収録はたくさんある。しかし、こんなに画力(えぢから)のある収録は記憶にない。
Kは俺とは比較にならないほどTV出演の機会が多いが、今でもこの一戦をベストバウトの1つに挙げてくれる。「マジで悔しかったけど、ホントにいい収録でした」と。それが恥ずかしいけれど、やっぱり嬉しい。
それも、このパチスロ「モンキーターン」という名機があったからこそ。
モンキーのフリーズは3ケタ乗せ演出の1つにすぎないから、恩恵だけでいえば他機種より劣るかもしれない。それでも個人的には特に思い出深い、お気に入りの1つだ。
数年後。
俺は珍しく来店取材の依頼を受け、宮城県の某ホールへ。山形生まれの俺からすれば宮城は都会だが、やはり同じ東北だからか不思議と落ち着く。
少しの名残惜しさを感じながらデータ集計と戦を終えた。そして帰り支度をしていると、1人の男性が近づいてきた。歳はウチの親父より10ほど上だろうか……。
男性「おう、もう帰るのか?」
――「はい、そろそろ新幹線の時間なんで」
男性「これから東京に?」
――「ええ…そうですね」
これはなかなか難易度が高い。俺のことを知っている人なのか、それとも全く知らずに話しかけてきているのか。
――「あの~、僕のことご存知なんですか?」
男性「知ってるよ! モンキーのだろ?」
――「モンキー?」
男性「ほら『ボートを制する者がモンキーを制す!』の」
――「ふはははっ! ……久々に聞きましたねソレ!」
数年経っても覚えてもらえている。そんな動画を残せたことが嬉しかった。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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