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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2016.07.19
AT機の歴史
クイズを作るのって、本当に大変ですね。
そんな日々を過ごしておりました。 8月4日が“パチスロの日”ということで、8月6日(土)にベルサール秋葉原で、イベントが開催されます。主催は日電協(日本電動式遊技機工業協同組合)。パチスロメーカーが作る団体です。
ベタな語呂合わせでなく、3本の最大21コマあるリールで楽しむゲームなんだから、3月21日をパチスロの日にしなさいな……と、昨年まであちこちのコラムで悪態をついておりましたが、バレていなかったようです。なんと、お呼ばれされました。5.9号機の概要や、そこに至るまでの流れを書いて良かった。ちゃんと読んでくれている方がいるんだ……と思ったものの、パチスロの今後を語るライター座談会ではなく。カルトクイズの出題者としてのオファーでした(笑)。
クイズといえば、6月4日に開催された第2回PSウルトラクイズでも、いくつか出題させていただきました。私は普通に作ったつもりでしたが、主催者さんからは、難しすぎると不評だったようでして。しかし、今回は大丈夫。そもそものオーダーが、カルトな難問。もっとも、作っている本人は、知っていることをベースにするので、あまりよくわからないんですよ。ま、普通以上には作りました(笑)。
入場無料で、各種ステージ企画や新機種の試打コーナーも。また、私とは比較にならないくらい有名なライターさんも参加されるので、お暇な方は是非是非いらしてくださいませ。
さて、近況報告のフリをしてコクッチーしているのがバレないうちに、本編へ移りたいと思います(笑)。
4号機:AT創成期
はい、例に漏れず歴史から解説していきます(笑)。
4号機時代といえば、現在のアクロス“Aプロジェクト”の元となったノーマルの技術介入機や『吉宗』や『押忍!番長』といったストック機を想像される方が多いかと思います。その間を繋ぐことになったのがAT機。いや、爆裂AT機です。
初のAT搭載機は、2000年5月に登場した『ゲゲゲの鬼太郎SP』。BIG終了後に1/2でATが発動し、左リールの押し位置が3択となっているメイン小役を告知してくれる要目押しとなっていました。また、同年の11月には、早くも押し順ナビに従えば小役が揃うATを搭載した『イーカップ』が登場します。ただ、いずれもボーナスがメイン。初期のATは現状維持レベルで、ボーナスとボーナスを繋ぐ時短的な役割となっていました。
初のAT『ゲゲゲの鬼太郎SP』(サミー)と、初の押し順AT『イーカップ』(エレコ)
ちなみに、この押し順小役。リプレイの歴史でも書きましたが、成立していても揃わない意地悪制御を使っていました。同じフラグでも押し順が不正解だと揃わないようにしていたのです。例えば1/3でベルを抽選していたとしましょう。それと同時にリール制御も抽選します。押し順6択をリール制御で振り分けると、出現確率は1/18となりますね。このような作り方です。
ただ、この振り分け。分母が256など6で割り切れない数字となっていることも多く。特定の押し順だけ確率が高かったり、低かったりしました。『猪木』シリーズで押し順6択を勝負させられる際に、初代を知るオッサンは、順ハサミ打ちしたくなるかと思います(笑)。
爆裂AT機の時代へ
2001年1月。パチスロの歴史を変えた『獣王』が登場します。AT「サバンナチャンス」は、10Gor30Gの継続で1Gあたり約10枚の純増。しかも、連チャン数をテーブルで最大29連まで決定していました。もちろん、消化中もセットストックの上乗せ抽選をしております。
ATは、各リールとも押し分けが必要な12択と目押し力は要求されましたが、当時は目押しが必須だった時代。多くのプレイヤーが普通に消化できるものでした。とにかく薄いところを引けばなんとかなる。高設定をつかみ、1コマ目押しを駆使して、ようやく万枚を目指せた技術介入全盛時代の終焉です。
『獣王』の登場から爆裂AT機の時代へ。
さらに『イーカップ』のような押し順小役を使うことによって、敷居はグッと下げられました。『アラジンA』が筆頭例。AT「アラジンチャンス」は、SINも使うことによって1Gあたりの純増は約12枚。1セットは10Gでしたが、ACの高確状態という概念があり、陥落するまでの間、連チャンしてくれるものでした。
さらに、AT中の完全ハズレで「スーパーアラジンチャンス」を抽選。当選時の最大ゲーム数は、なんと5000G。早い段階でこれを引き当てられれば、6万枚(ここから上乗せ分や、ボーナスが加わる)ということになります。私も何度か目撃しましたよ。
『アラジンA』は6万枚も狙える仕様。ここからサミーの天下となる。
なぜ爆裂AT機は登場できたのか?
「パチスロ5.9号機への規制の流れ」でも書きましたが、押し順ナビは単なる演出という解釈なので、試験機関ではサブ基板を検査いたしません。特に4号機当初は、液晶を取り外したまま試験しているようなものでした。また、メイン基板のほうも、制御や目押しミスなどで取りこぼす小役などを考慮していませんでした。“揃ったもの”のみ考慮されていたのです。
17500G消化しての出玉率が120%未満というのは、1号機から5号機の現在でも変わりません。しかし、このような実態と異なるガバガバな検査方式だったため、押し順ナビに従うだけでも150%以上になるなど遥かに高いスペックの機種を作れる状態となっていました。さらに言うと、サブ基板はなんでもアリ。それをよく示しているのが『神輿』です。基板に付いているスイッチ1つで、2万5000枚か5万枚出すことも可能となっていました。
羨ましい? それだけ出るということは、それだけ負けられる機種でもあるんですよ。ユーザーが投じたお金が、回り回って還元される。射幸性の高低は関係ありません。
ディップスイッチで、5万枚セットも可能だった『神輿』(テクノコーシン)。
ちなみに、サブ基板そのものもガバガバでした。メイン基板は違法改造対策として、カシメなどで厳重に留められ、ROMも特殊なチップを使用して封印シールも貼られていました。しかし、当時のサブ基板は無防備なものも多かったです。ROMライターがあれば読み取りも可能で、コツがわかればプログラムを読むこともできました。なんなら書き換えもできます。
また……うん。なくなったメーカーの話だからいいか。攻略誌が台を入手して解析することを前提に、初期ロットは低設定でもアマい出玉率に。それ以降に導入される後期ロットは、しっかりホールに利益が出るようにされているものもありました。さすがに、今はここまで手の込んだ詐称はないかと思います。
私がノーマルを好むというか、メイン基板を重視するのは、打って理解する個人の力よりも、解析などの情報が重要という“攻略感のなさ”が一番ですけど。心の底からは、サブ基板のことを信用できないと感じてしまったのもあります。って、ものすごく脱線しましたね。
爆裂AT機の終焉
こんな時代が長く続くわけがありません。1日に何万枚も出てしまう機種が問題視され、2002年7月に日電協が4.5号機となる自主規制を作りました。これにより爆裂AT機を作るのが事実上困難に。そして、翌2003年10月。“著しく射幸性の高い機種”の中でも特に問題視された機種の検定が取り消され、撤去されました。今では伝説のように言われている初代『ミリオンゴッド』の現役期間は1年ちょっとと短いものでした。
『ミリオンゴッド』のほかに『アラジンA』と『サラリーマン金太郎』の検定も取り消される。
検定取り消しとまではいかなくても、射幸性がそぐわないと認定された機種たちは、撤去が求められていきました。こうして移行した4.5号機は、60万台を超すパチスロ史上最大のヒット機種『北斗の拳』や『吉宗』など、ストック機が中心となります。
しかし、その4.5号機も、まあ出ます。怒りが冷めきってないお上の逆鱗を触りまくるくらい余裕で出ます。射幸性対策が十分でなかったと判断され、2004年1月に規制が強化され4.7号機へ。さらに、2004年7月には、風適法が改正。4号機の完全撤去は2007年でしたが、5号機時代が到来しました。
この経験則から、矢継ぎ早の規制の後は、風適法の改正が近いのでは……と思ってみたりして。
5号機編は次回!
いやはや申し訳ない。書き始めたら楽しくなって、4号機だけでかなりの文字量となってしまいました。
サブ基板は信用ならんとか言いながら、なんやかやAT機も楽しんでいましたよ。雑誌時代だったので、解析記事もたくさん担当していましたし。『獣王』『アラジンA』初代&2代目『猪木』に『ドロンジョ』などなど。プライベート実戦では、どれも微妙に万枚に届きませんでしたけど。むしろ、2代目『猪木』は、設定6で10万負けたわ。
また、担当ではありませんでしたが、『ネコde小判』のジャクポットATも達成しましたよ。もちろん、あの手はナシ。レバー部品交換後です。え、意味がわからない? あーあー聞こえない。これも閉店取りきれずで、万枚未遂となりましたけどね。そんなのばっか(笑)。
5号機世代の方々、今回書いたことはなにも覚える必要ありません。そんな時代があったんだ。佐々木は万枚に縁がないんだ……くらいで、軽く読み飛ばしてくださるだけでも嬉しいです。次回は、5号機のART・ATの仕組みを解説しますね!
思い出の一台 |
昔話を書いたので、田中さんやカタギリさんのフォーマットを拝借。
Q)100G×30倍のチャレンジ成功者にストラップを配布するというキャンペーンをして、「射幸性を煽るじゃねえ」と警察からシコタマ怒られた機種はなんでしょう?
A)『ダブルチャレンジ』(2001年:ロデオ)
AT機の中でも特に好きでした。ATの突入は特定役成立の一発抽選。高確での成立は100G。低確ならば10G。これを賭けて、最大30倍のチャレンジをできるのが魅力の機種でした。1Gあたりの純増は約3枚。100Gで30倍チャレンジに成功(1/28.4)すれば、3000Gに。消化中のボーナスを考慮すると万枚確定です。
もちろん、成功したことはありません。というか、成功率1/1.9の2倍ばかり叩いていました。いや、これね。リール制御も面白かったんですよ。逆押しすれば、右下段BAR停止でAT確定。リーチ目あり、チャンス目制御あり。ただ、ほんのちょっとだけ押し順ベルの選択率が低くなってしまうのが玉に瑕。それでも面白いからずっと逆押ししていましたけど。
って、このような日電協の方々がピクピクしそうなクイズは、さすがに作れませんでした(笑)。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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