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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2023.02.07
パチスロライターに“なってしまって”episode.12(4.7号機時代)
射幸性を抑えるために導入された4.5号機でしたが、それでも十分ではないということで、2004年1月に再び内規による規制を強化。以降に試験を通過した機種が4.7号機となりました。
ここはユーザー的にはどうだったんでしょう。ストック機がメインということで瞬発力はさほど変わらないように見えたかもしれません。ただ、その前の時代から知っている私からすると、ショボくなったな。高設定でも苦労することが多くなったな……と感じることも増えてきたんですね。4.5号機でも『主役は銭形』とか好きで、よく打っていましたけど。
▲『主役は銭形』(平和:2004年5月)
BIG1回で711枚獲得できる夢のある大量獲得ストック機。チェリーでRTを解除(ボーナスを放出)するゼニガタイムの突入率が設定6は高かった。
私が『主役は銭形』を高く評価するのは、バランスとこだわりですね。大量獲得のストック連チャン機なのにバランスが良かったんです。連チャンゾーンは181Gまで。設定変更時など朝イチ台の多くは181Gまで回されて捨てられることとなります。
よく考えてみてください。連チャンゾーンが181Gまでということは、前日の夜にそこまで回されてからヤメられることになります。そこで設定変更されていなかった場合「前日の181G+当日の181G」で合計362G回されていることに。181Gの次に期待をできるゾーンは565Gまで。つまり、181Gヤメをされている台をそこから203G回しても期待値ややマイナスくらいで凌げるのです。大量獲得や連チャンの希望を夢見られる分だけプラスな気分になれます。
やれ天井までの期待値とかばかりの表組を作らせられていて辟易としていまして、こういうおバカなことを考えて計算できるのが嬉しくてなりませんでした。そういうこともできてこそパチスロという遊技でしょう。こういうことができるくらい人気でページも残った数少ない機種ですね。
こだわりもいろいろあるんですが。もっとも分かりやすいのは、ここまでも出した181Gでしょうか。なぜ181Gなのか。出玉設計上、これくらいが良いというのはありますけど、銭形警部の身長が181cmだからなんですね。こういう遊び心は大好きです。また、ともすれば出目が大雑把になりがちな大量獲得タイプにあって、オリンピア・平和の伝統的なリーチ目の美しさをうまく引き継いでもいました。
★4号機でもっとも頭が沸騰させられた機種。
▲『パチスロ鉄拳R』(山佐:2004年6月)
前回『パチスロ北斗の拳』で、低確率RTと高確率RTの行き来について書いてしまいましたが、そういった複雑な事象を初めてまともに考えさせられることとなったのが『パチスロ鉄拳R』でした。
1)通常状態の低確率RTは天井なし
2)小役などで鉄拳チャンス高確率状態に移行
3)鉄拳チャンス高確率状態は文字通り鉄拳チャンス突入を抽選
4)鉄拳チャンス中はRT終了(ボーナス放出)を高確率で抽選
5)鉄拳チャンス高確率状態中も背後で低確率RTが進行
6)鉄拳チャンス高確率状態が終了すると低確率RTに合流
今でこそこのように考えられますけど、当時はチンプンカンプン。解析人から送られてきた表は、なんか分からないゲーム数テーブル(後から鉄拳チャンス高確率状態のゲーム数と推測)と、なんか分からないボーナス放出確率の変動のみ。
理系人間にはありがちなんですが、説明の文章がまったくないんです。小役確率にしてもそう。ベルとかスイカとか書いてくれるのは稀で、小役1・小役2となっていることがほとんどでした。分かっていて書かなかったのか、分からないから書かなかったのか。今となっては確認できませんけどね(笑)。
ここぞ、攻略ライターの腕の見せどころ。そこまでに実戦した経験則からシステムを考察し、そして当てはめていきます。ぶっちゃけ、他誌も参考にしました。校了作業までに発売された雑誌を熟読し、自分の考察が間違っていないかを確認。考えて、考えて、考えまくってページを作りました。これは間違えなかった(汗)。考えた中で却下したアイデア候補は忘れましたが。それだけに思い入れが深いんですよね。
いやだって、割愛しましたけど、この他にも1G連高確率状態の鉄拳ラッシュとかもあったんです。考えられるすべてをネジ込んできたような機種ですね。私は最高傑作の一つと思っています。個人的な相性は最悪でしたけど。
仕事として印象深かったのは、当時のナムコの対応ですかね。実は、妻がゲームの鉄拳のキャラクターブックをデザインしたことがありまして。我が家にもできあがったものが1冊あったんですね。当然、ナムコが監修して出されたもの。それを参考に書いたら「ウチはそんな設定にしていない」と。いやいや、この本ではそう書いてあると反論したら、その原稿を認めてくれたんですね。ライターのみなさん、そういうこともあるので戦うべきところは戦いましょう(笑)。
★4.7号機の山佐は頑張っていた?
▲『トゥエンティセブンR』(山佐:2004年12月)
もう1機種、山佐の4.7号機で印象深いのは『トゥエンティセブンR』。『27』と書いたほうが分かりやすいかしら。この数字の「27」が意味するのは有効ライン数。4号機までは「BIGの種別・REG・揃う組み合わせ・有効ライン数」によって許されるボーナス確率の幅が決められていました。
『トゥエンティセブンR』の場合、有効ライン数は27ライン。BIGよりも高い確率にできるREGのみとしたことによって、REGの内部抽選確率を1/9くらいにまで高めることができました。もちろん。内部成立したREGはストックされることになりますが、これだけ確率が高ければストック切れの心配はナッシング。どんなボッタクリ店でも、常に同じ期待値で遊技することができました。
このボーナス確率の幅は、4号機以前は遊技機規則にも明記されていたんですよ。「禁止と書いていないからやっちゃえ」と進んできた4号機時代にあって、その最後に規則に書かれていることに立ち戻ったのは美しいような気がしました。もっとも、山佐はストック機の持ち玉を多く残しており、最後まで在庫処分的にストック機を小出しにしていった感じもしましたが(笑)。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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