新着記事
- パチセブントップ
- パチンコ&パチスロコンテンツ
- パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
- 初めての生体験~ぱちスロAKB48-バラの儀式~
パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2023.04.11
初めての生体験~ぱちスロAKB48-バラの儀式~
――「俺が……一人で、ですか?」
Bさん「はい、いかがでしょう?」
スマホをギュッと握った。不安は少しだけよぎったが、喜びが勝って迷う余地はなかった。
――「ぜひよろしくお願いします!」
Bさん「では〇日確定で。こちらこそよろしくお願いします」
Bさんはフリーの映像制作者だ。とある会社から生配信の制作を依頼され、その出演者として俺を選んでくれたのだった。
当時の俺は……というか、業界全体と言うべきだろうか。ライターの仕事は大きく減少傾向にあった。書き仕事はピーク時の半分未満になり、俺のようなタレント性がない攻略ライターは、CS番組やネット動画への出演機会も激減していた。
頼れる友人。
そんな苦境を友人の近間にグチったのがきっかけだった。近間は元々ライバル誌の攻略ライターで、今はフリーとして活動している。
「そんなヒマなら、俺の生配信にゲスト出演してくださいよ」
2つほど年下だが頼れる男だ。同じ東北人ということもあり馬が合う。補足説明ナシで難しいパチスロの話ができるのも、攻略ライター同士のいいところ。元々は競合相手だったわけだが、出会ってスグに打ち解け、以来ずっと交流が続いている。
生配信という新時代の仕事。アンティークな俺には、ただただ怖いという印象しかなかった。かつてやっていたブログには、毎日のようにアンチからの誹謗中傷が届いた。あれがダイレクトに来るかと思うと頭が痛い。
「いや、意外とそんなでもないっスよw もうリスナーはダチみたいになってますから、案外みんなあったかいっス」
そんな彼の言葉に勇気をもらい、はじめてのゲスト出演を果たすことに。ちなみに生配信といっても、いわゆる個人の配信ではない。ちゃんと運営する制作会社があり、そこのチャンネルの一枠が近間の番組だった。
ガチガチだった俺は、次の番組告知をお経のように読み上げスタジオの空気をキンキンに冷やすという失態を演じたものの、割とイケそうだという感触は掴めた。そして、件のゲスト出演から1ヶ月ほどで、初めてとなる〝ソロ生配信〟を任されることになったのである。
大いなる逆風。
回想が長くなったが、ここで冒頭の電話に戻ろう。
Bさん「実は1つ問題がありまして」
――「問題? なんでしょう?」
Bさん「生配信の許可をいただいた某店のAKBバラが、設置1台なんですよ」
――「マジすか!!?」
企画内容は『新台AKBバラ生配信』だ。台が取れなければ話にならない。が、この時期はそんな単純な話だけでなく、もっと大きな問題があった。
この依頼を受ける数ヶ月前のこと。とある媒体に所属するライターが、パチンコ・パチスロ(PS)業界を揺るがす大事件を起こした。それがきっかけとなり、世間からのPSメディア、特にライター・演者に対する風当たりは最大風速に到達。
ネットでは類似事案探しも過熱し、少しでも疑いがあればスグにでも炎上するような緊張感が漂っていた。当然、事態を重く見た我が攻略誌「H」も対策に動いた。我々ライター・編集に対し〝おふれ〟を出したのである。
すべてを詳細には明かせないが、要約すれば「ほかのお客さんにズルしたと疑われる行動はとるな!」といった内容だった。もちろん攻略誌「H」の方針は、生配信の制作会社にも伝えている。今回の制作を担当するBさんにも、当然伝わっているというわけだ。
Bさん「ちなみに入場は抽選でなく並び順です」
――「なるほど。だからその店にお願いしたんですね」
1番入場なら理論上は確保確定! しかし、問題はそこから先だ。もしも、その1台しかないAKBバラが爆裂したり、明らかな高設定だった場合は「ほかのお客さんにズルしたと疑われる行動」に該当するのではなかろうか?
もちろんホール側に高設定投入を要求することはない。正々堂々並び順で1番入場し、台を取るのだから本来なら問題などないハズだが、それでもこの時期は「疑われることさえ悪」なのである。
――「う~ん、店舗変更はできないんですか?」
Bさん「それはムリですね」
――「しかし、その1台がめっちゃ出て俺が爆勝ちすると……」
Bさん「指定台を疑われるわけですね?」
――「そうなります」
ちなみに逆に「設定1にしてください」ということも禁じられている。たとえ敗色濃厚だとしても、とにかく事前にコチラが〝指定した設定にしてもらうこと〟は絶対にできない。
――「お金を使わない〝デモ遊技〟とかできないんですかね?」
Bさん「それも店舗様からムリだとお返事がありました」
――「なるほど…」
Bさん「必ず現金を入れ、出たら交換もしてくださいと」
――「普通のお客さんと同条件のみ配信OKってことですね」
Bさん「難しいようでしたら、申し訳ないですが別の演者さんに……」
――「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」
近間が繋いでくれて、やっと掴んだチャンスなのだ! 易々と手放すわけにはいかない。正直に言えば生配信1回ぶんのギャラなど、取りこぼしたとて問題はない。ただ、上手くいけばその先も生配信の仕事に繋がる可能性があるのだ。先を見据えるなら簡単に退いてはいけない!
問題の解決策。
――「とにかくライターである私が〝得〟しなきゃいいんですよ」
Bさん「得すると炎上する恐れがありますからね」
――「負ければ話は早いんですが、パチスロの勝率は設定1でも概ね30%超えますからね」
Bさん「ですよね、う~ん……」
ホール側の要望通りほかのお客さんと同じように投資・交換をし、かつ万が一にも俺が得しない(勝たない)方法なんてあるだろうか? ART中の押し順ナビを無視しまくれば可能だが、それはもはやパチスロではないし、リスナーも納得しないだろう。
普通にプレイし、勝っても俺の手元に残らない方法―――!?
――「あ! これならどうでしょう?」
Bさん「なんです?」
――「投資も回収も制作会社の金。これなら勝っても俺には1円も入らない」
Bさん「なるほど。代打ち的な感じですね」
――「そう。ホールから見ても、ほかのお客さんと変わらないかと」
Bさん「たしかに! では、今いちど制作会社に確認して折り返します」
現代風に言うなら実戦費ということになるだろうか。これもこれで現代なら叩かれそうだが、まだ来店専門演者が少ない当時は「代打ち」的な発想だったと思う。ホールによっては代打ちも禁止だが、確認したところ件のホールでは問題ないとのことだった。
数時間後、Bさんから折り返しの電話があった。
Bさん「ラッシーさん、誠に残念ではございますが」
――「ええ!? 制作会社がダメって?」
Bさん「いや、僕のお金でラッシーさんが打つならOKだと」
――「は? はいぃ?」
Bさん「ですから、僕個人の自腹でラッシーさんが打つならOKとのことでした」
――「はあ……………で?」
Bさん「は~~~、……やりましょうか?」
――「あざます!!!」
なかなか狡猾な制作会社だ。「ビタイチ追加制作費を出すつもりはないが、スタッフ個人が自腹で出すなら面白くなるのでは?」…と、そんな腹積もりなのだろう。
Bさん「ラッシーさん、どうか真剣にお願いします!」
――「誠心誠意、頑張らせていただきます」
正直、1台しかないのだから立ち回りもクソもない。できることは限られているが、それでも巻き込まれたBさんを後悔させないよう全力で頑張ろう。低設定だった場合はヒキ勝負になるが、それでも意地で引いたろうじゃねーか!!
かくして無事に(?)ソロ生配信が決定した。
肩慣らし。
ソロ生配信の前日、俺は1人で配信の舞台となる街へ向かった。前乗りするほどの距離ではないが、どうしても並び順で1番を取らねばならないため、当日の朝に自宅から向かうのでは間に合わない。よって前乗りが必須となったわけだ。
当日は早朝にBさんと合流し、そこから実戦ホールへ向かう手筈になっている。
郊外の大きな街に到着すると、まずはホテルにチェックイン。スグに貴重品だけを持ち、晩飯時で賑わう駅前に繰り出した。
時刻は午後6時。テキトーに飲み屋へ飛び込むのも一興だが、やはり明日のことが心配で落ち着いていられない。というか、完全に初打ちの状態で生配信を迎えていいだろうか。一応、攻略誌や携帯サイトから知識は詰め込んだが、やはり少しでも事前に触っておきたい。
そう思い、駅前に聳える大型店へ飛び込んだ。
▲5号機「ぱちスロAKB48~バラの儀式~」(京楽)
2015年の10月にリリースされた、ぱちスロAKBシリーズ第2弾。通称はAKBバラ。擬似ボーナス+ART機だった前作とは異なり、リアルボーナスを採用したボーナス+ART機となっているが、基本的なゲームの流れは初代から踏襲している。
ボーナス中やボーナス後にART「神曲ラッシュ」抽選が行われ、ART突入後は特化ゾーン「オーバーチュア」で初期ゲーム数が決定される。オーバーチュア中は48図柄が揃うたびメンバーアイコンを獲得。48図柄揃いは継続率管理で、継続抽選に漏れるとオーバーチュア終了となる。そして終了後は獲得したメンバーアイコンに応じ、ARTゲーム数や特化ゾーンが与えられる。
ART「神曲ラッシュ」は純増約1.5枚/Gのゲーム数管理で、もちろんボーナスや特化ゾーンによりゲーム数上乗せもある。
まだ導入から数日ということもあり、AKBバラのシマは賑わっていた。目的は勝つことでなく感触を確かめること。そこまで台選びにこだわる必要はないが、それでもARTに入らないようでは予習にならない。
データを見ながらシマ内を歩き回り、比較的よさげな台に腰を下ろした。あまり遅くまで打つのも明日に響く。21時頃には切り上げてメシを食いに行こう。そう思い打ち出すと、開始からわずか1,000円でBIGが当選!
しかしARTには繋がらず、ほどなく出玉をノマれ追加投資がスタート。が、2,000円を追加したところで再びBIGが当選し……
――「お! まあまあ〝どりょく〟貯まったな」
ART当選前のBIG中は、全役でART抽選が行われる。実際は一発抽選だが、液晶上は「どりょく」が貯まるほどART期待度がアップする。表示上の「どりょく」は70に達し、背景緑でジャッジ演出「神判ノ刻」に発展した。
台「レバーを叩け!」
――「頼むぞっ!」
ギュッと握った左手で優しくレバーを叩くと…
台「キュインキュインキュイン♪」
――「こっわ!!」
お馴染みの告知音とともにド派手な役モノがが現れ、思わず仰け反ってしまった。生配信でもないのにリアクションしてしまったことに、少しだけ恥ずかしくなって周囲を見渡したが、幸い誰にも笑われてはいないようだ。
――「さて、少しは続いてくれるといいんだが」
そして勝負所であるオーバーチュアがスタート。基本のオーバーチュアは通常とスーパーの2種類で、スーパーなら48揃いがすべてダブル揃いとなる。48揃いはシングルなら+10G以上、ダブルなら+20G以上だ。
(スーパー)オーバーチュアの 平均48揃い回数&上乗せゲーム数 |
||
---|---|---|
種別 | 平均 48揃い回数 |
平均 上乗せゲーム数 |
通常 | 4.9回 | 100G |
スーパー | 5.1回 | 200G |
まだ導入直後の初打ちゆえ、スーパーの突入条件は分からない。開始からダブルが連続すればスーパー濃厚だが……1発目の48揃いがシングルで、さっそくスーパーを否定した。
――「まあいい、通常でも全然いい!」
が…
――「おい、おい……ウソだろ……」
48揃いが止まらない! 8回、9回、10回……まだ揃い続けている!!
――「え? これが当たり前なの!?」
慌てふためいているうちに48図柄が何回揃ったかも分からなくなる始末。液晶上部のアイコンはどんどんと増えていき、とても容易には数えられそうにない! その結果……
――「うそだろ……」
液晶にデカデカと表示された「TOTAL+380GET!」の文字を呆然と見つめる俺。おそるべしAKBバラ! まさか軽く打ってこんな体験ができるとは!! しかし仕様はボーナス+ART機だ。ボーナスを引けなければ、そこまで大きく伸びることはない。21時までには余裕で取り切れるだろう。
数時間後―――
店員「すみません、閉店になりまーす!」
――「………はい」
やってしまった!! 結局ARTは途切れることなく閉店まで継続した。流した枚数は約3,200枚。純増は約1.5枚/Gと当時としても高いとはいえないが、それでも十分すぎるほどの出玉性能を見せつけられた。
こういう展開は明日にとっておくべきなのに! そして早く休んで明日に備えなきゃいけないのに!!
急いで景品交換を済ませると、店も選ばず近所の居酒屋へ駆け込んだ。思わぬ大勝ちに浮かれているヒマなどない。一刻も早くベッドに入り、早朝からの並びに備える必要がある。せっかくの豪勢な夕飯も、味わう余裕などまったくなかった。
そして翌日、俺はかつてない地獄を味わうことになる―――。
つづく
4
271
共有する
- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
本日の人気記事
パチ7の特集&漫画コンテンツ
パチ7 パチンコパチスロ新台機種情報
パチンコ定番機種
P CYBORG009 RULE OF SACRIFICE VS SCARL BODY EDITION 199
P中森明菜・歌姫伝説~BLACK DIVA 楽~80~89ver.
Pフィーバー 機動戦士ガンダムユニコーン 再来-白き一角獣と黒き獅子-
PAこの素晴らしい世界に祝福を!「このゆる甘99に祝福を!」
Pアズールレーン THE ANIMATION 異次元トリガー
Pコードギアス 反逆のルルーシュ Rebellion to Re;surrection
パチスロ定番機種
スマスロバジリスク~甲賀忍法帖~絆2 天膳 BLACK EDITION
パチスロ交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION ZERO TYPE-ART
2024年11月18日導入予定
パチンコ
パチスロ
Lダブルアタック2 withOZS-1000&RAPHAEL
2024年12月2日導入予定
パチンコ
Pゴジラ対エヴァンゲリオン セカンドインパクトG
Pフィーバー機動戦士ガンダムSEED LT-Light ver.
P GO!GO!郷〜豪遊の5〜
2024年12月2日導入予定
パチスロ
2024年12月16日導入予定
パチンコ
eゴジラ対エヴァンゲリオン2
パチスロ