ぱちんこと海外&外国人シリーズ【最終回】：『パチンコパチスロという独自性』他国では実現できない日本固有のもの！

長北真 Pachinko the WORLD！海外と外国人とジャパニーズパチンコ事情

先だってよりお話はしていた通り、最終回でございます。

2023年末から続くこの連載も11回、よーこんなニッチネタで11回も書けたなぁという感じがありますが、ついにネタ切れというか、これ以上細かい話を書くとクライアントかたがたに提出した施策なんかに触りかねないため、書きづらくなっちゃうんですよね。

で最後のネタではあるんですが、パチンコの今までとこれから、わたくしは何を目指してマレーシアから帰国してきたのか、といったところを『いかにパチンコという文化が独特なのか』を交えつつお話していこうかなと。

『パチンコ』という文化の独自性

特にこの連載を読まれているような皆様であれば、パチンコというのは日本独自のもの、というのは認識されている通りだと思います。

しかし、『どのくらい独自なのか』、という点においてはどうでしょう？答えを言うと『他国で再現できる可能性が無いくらい独自』です。

もう一回言います。『再現できる可能性が無い』です。誇張しているつもりはありません。

どういう事か？パチンコもパチスロも『規制』と共に進化してきたからです。規制無くしてここまでの発展はあり得ませんでしたので、他国でイチからパチンコを作り直そうとしたところで、当時の日本と取り巻く世界の状況を完全に再現しない限り同一のものは作りだせません。

例えばパチスロの決まりである『1回転毎の払い出しは15枚まで』。そもそもこの決まりがあってこそのゲーム性で、それをルールの中で最大限に再現しようとしたからこその前兆ゲームなど、制限がなければこういった奥深いゲーム性は存在し得なかったわけです。

さらに言うとそもそもこういった規制は何故できたのかを考えると、風営法上の解釈とかナントカっていう細かい話は端折って『射幸性を制御するため』ですよね？『射幸性を制御されたギャンブル（特に遊技機において）』って、他にあり得ますかね？っていう話です。

射幸性を制御されたギャンブル

大前提として色んな国においてギャンブルっていうのは違法です。何故か？というところを一旦まとめます：

１．犯罪の抑止
いわゆる反社会的組織の資金源や、資金洗浄に利用される事を抑止するため

２．社会問題の防止
いわゆるギャンブル依存症や貧困化のリスクを減らすため

３．文化や価値観の影響
特に宗教をベースとした法律を持つ国では、宗教上の理由で禁止されているものがそのまま禁止されるケースがあります。

日本だとあんまりメジャーな概念じゃないんでちょっと補足しておくと、マレーシアにおける世俗法（一般法）とシャリア法（イスラム法）っていう二つの法律がありまして、シャリア法っていうのはイスラム教徒にだけ適用される、という性質のものです。

大枠でいうとこんなところですね。逆にギャンブルを部分的なり合法化するメリットは何か？というところを書きますと：

１．税収増加
賭けたお金や運営元からの税収を、国やら地方自治体の収入源とするため

２．経済効果
観光産業に活力をもたらし、観光客の増加や投資の促進によって地域経済を活性化させるため

３．雇用創出
産業の拡大により、雇用機会を生むため

こうなります。日本においては税収増加、雇用創出というメリットが大きいため（2018年時点でパチンコホールの法人納税額は法人税全体のおよそ2％）、犯罪リスク、社会問題リスクがあったとしてもパチンコはいいよね？その代わりガッチガチに制限かけるからね？という背景があるわけですね。

他国がこれをやる意味があるのか？というと、まぁ無いです。何故か？カジノがあるから、またはそもそもが豊かだからです（石油産出国とかね）。

カジノがあれば税収増加と雇用創出に加えて、甚大な経済効果があります。なんせメインターゲットは外国人、特に富裕層ということで外貨をがっぽり稼ぐ仕組みとなっているわけです。さらにカジノは社会問題に関するリスクも外国人観光客が請け負ってくれます（モラル的にはともかく、他国民が自国産業に依存してくれるだなんて、こんなにオイシイ話は無いですよね？）。

で、その背景を理解した上で、あらためてパチンコの立ち位置を考えてみましょう。庶民の娯楽、といえば聞こえはいいですが、見方を広げると、『経済効果が小さいうえ、社会問題リスクを内包している』という捉え方ができるわけです。

一旦のまとめ

先ほどまでの内容でなんとなく、説明できたでしょうか。他国において特にカジノ内に設置する機械というものは、射幸性を抑制する必要がなく、なんなら限界まで煽ったれ！の文化なわけですね。

さらに言うと、外国人中心として既に成立しているものについて、あえて国内向けに調整する必要はないわけですね。それこそ百害あって一理くらいしかないとすら言えます。

一旦まとめると、基本的には諸外国にとってパチンコを今から真似する必要はなく、それを踏まえるとパチンコは『日本独自の文化』として成立していると言えるでしょう。加えると、アニメやゲームを中心としたコンテンツとこれだけ連携しつつ、大きなお金を動かしているビジネスというのは、他国にはあり得ないわけです。

パチンコパチスロはどうあるべきか？

現状のパチンコは魅力的なコンテンツでありながら、唯一経済効果という点において歪な状態にあります。これを解消するにはどうするべきか、シンプルに外国人を対象にサービスを展開すればいいわけです。

どうやって？『AI』を使って、です。

AIのお陰で本来10年かかる仕事が、半年で終わるようになったというわけです。凄いじゃんAI！もうAIに全部お任せすればいいね！！というのが、パチンコを応援している理由のもう一つに繋がります。ちょっと凄すぎるんですね、AIが。それこそ経済のあり方すら変えちゃうかもしれないぐらいに凄いです。

『AI』の脅威と世界の変化

AIに仕事が奪われる、というお話については皆さん耳にしたことがあるかと思います。今でこそ使いこなしている人が少ない事もあり、一部のクリエイターが『作品が盗作された！』と騒ぐくらいで収まっていますが、今後としては一部の仕事が存在価値を失ってしまうわけです。

例えば全職種の5％が意味の無い作業になっちゃいます！と言うと、それだけで経済的には大きな脅威ですよね。で、失われた職種の代わりには何かしらの補填がないとおかしいわけです（失業率5％増加！なんてえらいことですし）。AIによって業務効率が上がり、余暇の時間が増えるわけなので、サービス業、特に時間消費型レジャーなんていうのは今後価値が上がる、という考え方ができるわけですね。これは日本に限った話ではなく、世界的にこういった傾向になると考えられます。

要するにeスポーツ、各種のオンラインサービス（月額で映画、アニメ見放題！とかね）なんてのは、今後ずーっと需要が上がるんじゃないの？それに対して一部の職種の需要は下がっていくんじゃないの？という話ですね。

▲せっかくなのでAIにまとめてもらった。こう考えるといわゆる『まとめサイト』なんかも危ないのかもね

なんでAIの脅威とパチンコが関係あるの？

なんだか壮大な話になってきました。自分でもなんでこんなに風呂敷を広げたんだろう……と思いながら書いています。恐らく今後は、世界中で余暇時間、それに使うお金の取り合いが始まるわけです（というか、もう始まってますね）。

でも残念ながら日本には勝ち筋がないんです。なんでか、プラットフォームがないんです。Steam、App Store、Google Store、テンセント、このあたりが『余暇時間の消化先をオンラインで販売するマーケット』なわけですが、これ全て海外資本ですね。

例えばAppleの運営するApp Storeでなにがしか購入した場合、年間売上が100万ドル以下のデベロッパーは売上の15％、それ以外のデベロッパーは30％をAppleに支払う必要があります。皆さんの周りに、携帯アプリをApp StoreかGoole Store以外で購入している人っていますか？いませんね。つまり『オンライン余暇の奪い合いについては、既にある程度決着が付いてしまっている』わけです。

そうなるとオフライン余暇でいかに人を集めるか、人ごとの単価を上げるか、という勝負になってくるわけです。まだふんわりした言い方かもしれないですね。もうちょっとまとめると、例えばグランベルム。このコンテンツを成功させようとした場合、パチンコ業界と手を結ぶというのが一番の勝ち筋で、逆に言うと例えば動画配信サービス上でどれだけ流行ったとしても、携帯ゲームが時代をつくったとしても、利益の一部は海外の会社に流れていく＝相対的に日本が有利とはならないわけです。

相対的に日本が有利にならない？ってどういうコト？

グランベルムを引き合いに出すことで北電子さんのご機嫌を取りに行っているわけではないですが（以前にジャグラーは初心者向けじゃない！みたいな事言っちゃったのを気にしているわけでもないですよ！）、例えばそれが流行ったとして、オンラインコンテンツとして流行っている限り同様のペースで運営元の国が儲かるわけですね。そうすると、プラットフォームを持っている国が有利。そこの物価がガシガシ上がり、持たざる国の物価はガシガシ下がる、ということになります。円安がどれだけ恐ろしいか、皆様なら既に体感されておられると思います。

じゃあどうするか？パチンコを利用して、コンテンツの収益性を上げていこう！という結論が考えられるですね。

グランベルム
⇒ゲーム/アニメで流行る
⇒制作元はニッコニコ
⇒プラットフォーム（アメリカとか）はもっとニッコニコ
※日本のお金の総量はあんまり増えない

⇒パチンコで流行る
⇒制作元はニッコニコ
⇒パチンコ店はニッコニコ
⇒遊技機メーカーもニッコニコ
※但しこのパターンでも、国内だけの動きなので日本のお金の総量は増えてない

↑この部分を改善して、外国人に打たせることで日本のお金の総量を増やそうよ、という考え方。なのですんごい大きく言うと、パチンコ店に外国人を入れるっていう話は、日本にとってかなり大事な話だよ、ということですね。

▲グランベルム、いやパチンコパチスロが日本を救う！……かもよ？

結局なんでこの仕事をしてるの？

まぁ長々とお話しましたが、パチンコの重要性について理解？をしてしまったがために、なんとなくやれることやってみようかな？どうせ生きるならGo〇gleとかA〇〇leとかの勝ちウマに乗るより、負け戦を勝ちに持ってくように頑張った方が楽しそうじゃない？くらいのふんわりとした考えのもと勢いあまって会社を立ち上げてしまった、というのが実情だったりします。

いや、ちょっとキレイに言い過ぎました。何より、10年後20年後そこそこの年齢になってもパチンコ屋に並びたいなぁ、というのが本音ですね。その時になっても駅前にパチンコ屋がポンとあって、60過ぎても朝イチの整理券にキャーキャー騒いだり、バトルボーナスの結果に一喜一憂していたいなと。

最後に。

この回は、スムーズに行ったらユニバカサミフェスの開催前には公開されてるのかな？その時までには色々な事がアップデートされてるでしょうし、もしかすると今書いてあるこの内容も過去の話になってしまっている、かもしれません。

オープンな場での連載記事というのは始めてだったもので、予定通りに書けなかったり、かと思えばえらい量の乱文を積み上げて必死にまとめたり、締め切り前にドタバタしたりと色々ありましたが、これにて一旦終了となります。およそ3ヶ月という期間、パチンコファンにはおよそ関係ない内容についてきてくださった読者のかたがた、ありがとうございました。

そしてこの場を用意してくださった編集長にも最大の感謝を。なかなか表立って書く機会というのもなかったので、大変助かりました。それでは皆様、またどこかで！

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