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パチ7虎の穴
2026.02.08
【ロマンティックパチンカー】No.16 才能

父がいわゆる転勤族で、これまで様々な土地で暮らしてきた。その中で、人格形成の礎となる大切な時期を「昭和の尼崎」で過ごした。
当時の尼崎はすごかった。アーケードがある市場は毎日多くの人で賑わっていたし、俺が住むアパートの近くにあったトタン造りの平屋の周りには植木が並んでおり「この植木に触れたものは殺す」と書かれた立札が地面に突き刺さっていた。活気や殺気といった、あらゆるエネルギーに満ち溢れている街だった。
同級生も曲者揃いで、豚の死骸が流れてくるドブ川を見つけたから一緒に行こう、と誘ってくる者や、数キロ離れた割と大きめの川で素手でザリガニを生け捕りにし、それを半ズボンのポケットに入れて持ち帰ってくる者など、パンチの効いた強者たちに囲まれているうちに、俺はすっかり尼崎という土地に馴染んでいった。
ちょうどその頃、バース掛布岡田がホームラン3連発を放つなどして、阪神タイガースが優勝争いをしていた。甲子園からほど近い尼崎は連日湧きに湧いており、そんな土地に暮らしていた俺は、当然のようにいっぱしの虎キチになった。
あれから30年以上が過ぎた。あの頃芽生えた阪神への愛情は、今なお胸の中で膨らみ続けている。
ここで勘違いされやすいのだが、俺はあくまで「阪神」ファンなのであって「野球」ファンではない。阪神に在籍しているならば誰であろうと心の底から応援するが、FAやトレードなどで他球団へ移籍した選手はその瞬間から敵となる。逆も然りで昨日の敵も今日は友、阪神に入団する選手は誰であってもウェルカム、どんなに素行が悪い選手、例えばダレル・メイ選手が阪神に出戻りたいと言っても、諸手を挙げて歓迎する。
困るのがWBCだ。日本国民として、国際試合を応援したいという気持ちは当然ある。だが野球となると、話は別だ。
WBCに照準を合わせた調整をした結果、いざプロ野球開幕、となった時に調子を落としたり、ハッスルプレーで怪我をしてシーズンを棒にふるなどはもってのほかだ。
それ故我が軍から派遣される選手はできるだけ少なく、と願っていたのだがなんと阪神からはソフトバンクと同様、最多の4名が選出されてしまった。しかも超がつくほどの主力選手たちである。
どうか彼らが無事に帰ってきますように、と祈りながらプロ野球の開幕を待つ日々を送っているのだが、こんな俺にも「阪神」や「野球」という枠を超え、尊敬してやまない選手が1人いる。
大谷翔平選手である。
大谷選手の凄さは俺が語るまでもなく誰もが知るところで、もはや生きる伝説だ。妬みや嫉みを感じることすらおこがましく、ただただ彼と同じ時代に生きて、そのプレーを見られることに感謝している。
ホームランを打った日などは殊更に嬉しく、就寝直前まで幸せでいられる。しかし、時折ふと思うことがある。俺にも何か、誰にも負けないような才能はないのだろうか。
大谷選手の実力が才能によるものだけではなく、並々ならぬ努力があってこそということはわかっている。しかし、自分が同じ努力をしたとして、あれほどの選手になれただろうか。それ以前に努力をするという根性すらも、俺にはない。
きっと、俺には俺の輝ける場所があるはずだ。1人の人間として生まれてきたからには、そう思っても罪ではあるまい。そして、今のところはっきりとわかっていることがある。「朝イチの台選び」の才能も、俺にはまるでない。
据え置き天井を狙えばリセット、リセットを狙えば天井直行などは日常茶飯事で、低設定の上げ狙いはヒットしたためしがない。俺にとって朝イチの台選びとは、砂漠に落ちた1本の針を探すほど至難なことなのだ。
いったい勝ち組の皆様は、何を根拠に台を選んでいるのだろう。前日のデータをどのように利用するのだろう。台の配置?場所?暗号?合言葉?7つ揃ったドラゴンボールを前にしたフリーザ様ばりに考えたが、答えは見つからなかった。
昨年当コラムが叩き出した182,500円のマイナスは、全て朝イチからの実戦によるものだ。もはや、朝イチ実戦で勝ちを目指すのは不可能だ。
では、どうすれば勝てるのだろう。知恵熱が出るほど考え、ついに答えにたどり着いた。朝イチが無理なら、その台が正体を顕にする時を待てば良い。つまり、実戦を夕方から行うのだ。
ノーマルタイプは設定が全てだ。確率は嘘をつかない。
幸にして我が職場近くには、優良店と呼ばれているホールがある。仕事後に訪れれば高設定の1台や2台、拾えるに違いない。
そんなわけで、今回のテーマは「夕方からの実戦」となった。
実戦日「トラブル発生、残業でありますw」というメッセージを妻に送り、足早にホールへと向かった。時計の短針は、6を少し過ぎたところを指している。この時間ならば、ちらほらめぼしい台も空いているだろう。
そんな甘い目論見は、秒で砕け散った。ほとんどの台が埋まっており、わずかにある空き台の履歴はしっかりと1を主張しているものばかりだ。かつて「命知らずの冒険野郎」と言われた俺であっても、とても手が出せない。
それでも諦めたらそこで試合終了、と店内を歩きまわっていると、目の前で若者が箱を抱えて席を立った。グラフを見ると山あり谷ありといったようなジグザグの波系ではあるが、今日1日ずっとプラス域に滞在していたようだ。すかさずその台をキープし、実戦スタートだ。

落ち着いてデータの詳細を見ると、総回転数5295ゲーム、BIGが21回で設定4付近、REGが14回で設定2付近、合算確率は1/150と3の近似値である。
昔からスロット界には「いい台は呑まれない」という格言がある。5000ゲーム以上回して景品交換まで辿り着いたこの台は「いい台」なはずだ。前任者はスロ力(りょく)不足でこの台のポテンシャルを発揮できなかったのかもしれない。
俺なら本当のお前にしてやれる、と意気込みレバーを叩くと最初の1Kでブドウが揃い続け、なんと64ゲーム回り、コインが尽きかけたところで先光りBIGをゲットした。そのやりたい放題ぶりは、スターをとったマリオを彷彿とさせた。
そのBIG後わずか18ゲームで再びBIG、少しハマって185ゲームでBIG、92ゲームREG、7ゲームBIGと下皿にコインがぎゅうぎゅうに詰まった状態となった。
俺はこの溢れ出そうになったコインを手で押さえつつレバーを叩いている状態を、DT(ドキドキタイム)と呼んでいる。
DT中にボーナスが成立、フラグを判別しBIGだとわかった時点でおもむろに下皿のコインを箱に入れる瞬間のためにノーマルを打っていると言っても過言ではない。この楽しみをスロッターから奪うなんて、スマスロとは何とも罪深い存在だ。
しかし、このDT中にボーナスは引けず、次なるボーナスは298ゲームでBIGと、コインを大幅に減らしてしまった。
やはり確率は嘘をつかない。合成確率は再び1/150に戻りこれやっぱり3かも、という想いが生じた。その想いに呼応するように、みるみるコインは呑まれた。3で粘ることはできない。俺は静かに席を立った。
このままでは帰れない。しかし、スロットコーナーでは打つに値する台が空かない。こうなると、パチンコで勝負を賭けるしかない。
パチンコのシマに行くと、甘だが58回転で放置されている海物語を発見した。かつて、ある偉大なパチンコ漫画家が言っていた。三洋の台は、60の倍数にチャンスがある、と。決まりだな、そう呟き2回戦のスタートだ。

オカルト攻略を笑う者に言っておきたいことがある。
「じゃああなたは初詣に行かないし、おみくじもひかないのですね」
かつて、俺の尊敬する武将も「疑って安全を保つより、信じて裏切られるほうがいい」と言っていた。
信じて幸せになれるのならば、もはやそれが真実だ。投資3.5K、もはや60の倍数とは言えない108回転でアグネスが登場し、見事ジュゴン図柄の大当たりをゲットした。やはり、信じる者は救われるのだ。
しかし、その後の確変10回転、時短の40回転を抜けた時、あることに気付いた。58回転で放置されていたこの台、もしかすると前任者は、あまりに回らないので時短が終わり保留を消化したところで即やめしたのではないだろうか。
そういえば、初当たり3.5Kとはいえ50回転しか回らなかったような、と気付いた時にはわずかばかりの出玉は全て呑まれていた。確認のため隣に移動し、1K15回転を確認したところで戦意喪失、本日はゲームセットとなった。
以下結果である。
マイジャグラー -1K
大海物語5 withアグネスラム -4.5K
total -5.5K
普段から「退勤時間を1分過ぎたらタイムカードを押すことがポリシー」と言っているこの俺の残業に驚いたのか、夜遅く帰宅したというのに妻は寝ずに待っていた。
ダイニングテーブルには「いつもおしごとありがとう」と書かれた娘からの手紙が置いてあり、罪悪感をさらに加速させる。そんな状況でも妻が用意してくれた夕食のカレーは、いつもと変わらず最高に美味かった。
俺のカレー好きはハンパじゃない。どんな時に食べても、どんなカレーでもおいしく頂ける。
例えば1週間3食カレーしか出しません、と言われても5日目辺りに若干機嫌が悪くなるが、それでも余裕で完走できるくらいカレーが好きだ。
もしかすると俺の舌は誰よりも、インド人よりもカレーを美味しく感じられるようになっているのかもしれない。ついに、誰にも負けない自分だけの才能を見つけた気がする。
神様ありがとう。天に向かって感謝しつつ、大谷選手の好物がカレーではないように、と祈った。
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- ダスト
- 代表作:ロマンティックパチンカー
ルパンでパチンコを覚え、アステカでパチスロを覚え、ミリオンゴッドでギャンブルを覚えました。子供が生まれた時に一旦現役から退きましたが、先日7年ぶりにパチンコ屋に行き、再び悪い心に火がつきました。リハビリ感覚で、ハネモノ、遊パチから始めようと思います。
プレイスタイルはロマン打ち、愛があれば確率なんて超越できると信じています。嫌いな言葉は下ブレです。



