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インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
2019.05.10
『描かない漫画家』がデビューするまで。『ロックンリール』でバズり中の伊藤ひずみ先生インタビュー!
ソイ! あしのッス!
いつもパチ7をご覧のみなさま、こんにちは。初めての人は初めまして。さあインタビューの時間です! ここの所、初めてお会いする方が続いて大変だったけども、今回は去年8月のせせりくん以来ひさびさの『パチ7関係者』がターゲットだ!
さあ誰だろう! 犬くんか……? 犬くん来るのかそろそろ……! 犬くんか……!?
否ッ!!
はい今回は『ロックンリール』でブレイク中の人気マンガ家『伊藤ひずみ』先生にお話を伺って参りました! こちらパチ7では『伊藤ひずみのお題帳』を担当されてるので大体みなさんご存知かと思いますけども、どんな人なのかいまいちピンと来なかったらまずはコチラをどうぞ。
見たことあるよね。そう。Twitterやっててパチンコ・パチスロの情報を集めてる方なら一度はTLに流れて来たことがあるはずの、こちらの漫画を描かれてるのがまさしく伊藤ひずみ先生です。さあどんな人が描いたんだろうねぇ! 気になるねぇ! じゃあ訊いてみよう!
果たして伊藤ひずみ先生とはどんな方なのか。迫るぜその人柄! レッツ・ロックンリール!(掛け声)
伊藤ひずみさん基本データ |
☆36歳A型
☆東京都出身
☆元引っ込み思案
☆童貞狩りに遭う
☆高校の頃のあだ名は『アバウト』
☆『完成させられない漫画家』のまま商業デビュー!
|
★スコップと鉛筆が友達だ! 細長いのと丸いのが好きだった幼少期。
「ひずみ先生、今日はお時間頂いてすいません……」
「いえいえ。こちらこそ!」
「早速ですけど子供の頃ってどんな子でした?」
「どんな子だったかなぁ……。保育園の頃とかは、倉庫の裏で土掘るのが好きでしたね」
「それただ掘るだけですか?」
「いや、ミミズとか捕まえてましたねぇ」
「あぁ、前世モグラだったんですね?」
「いや前世はわかりませんけども(笑) ──なんか仲が良い友達が一人いて、そいつと掘って……。ミミズとかダンゴムシとかを捕まえて……。そういう事をやってましたね。周りはみんなサッカーとかやってるんですけど、ぼくらは『いいダンゴムシいた!』みたいな」
「まぁ……明るくは無い、のかな……?」
「明るくはないですね……。あとは折り紙で手裏剣作るのが好きでした。毎日ひたすら手裏剣作って、袋にストックして……」
「手裏剣ストック!」
「なんで作ってたのかは分からないんですけどね。あとは絵も描いてたかなぁ……」
「お。早い。もう描いてたんですね」
「うーん。なんとなく覚えてます。ウチは親が薬局やってたんですけども、そこ行くと親がだいたい薬剤室にいるんですね。ぼくも一緒にいて……そこでなんか龍の絵を描いてました気がします」
「龍……」
「ドラゴンボールが好きだったんで、神龍(シェンロン)みたいな……。ちょっと描きましょうか?」
「あ、いいんですか?」
「なんかこうやって……シェンロンが……フフ……なんか恥ずかしいですけど、ずっと話してるみたいな……」
▲ひずみ先生。幼少期の作品を再現。
「神龍が二体……!」
「そう。神龍描きたかったんですよ。登場人物全部神龍みたいな」
「神龍だらけ! 贅沢ですねぇ……!」
「ああなんかすっげえ思い出してきた。そう。描いてたわこれ……」
「じゃあもう幼少期はミミズとダンゴムシと手裏剣と神龍……」
「そうですね(笑)」
「なんか子供らしい子供っぽい感じがします。なにげに健全かも。他にもなんか印象的な事はありましたか?」
「あとはパッと思いつくのが……あれ何歳かなぁ。4歳とか5歳の頃、家族でスキーに行ってたんですね。で、ゲレンデにスキースクールみたいなのがあって……。ぼくには兄が居るんですけど、兄は自分からそういうスクールに行くのに、ぼくは知らない人が怖いから、ずっと親にくっついてたり」
「引っ込み思案というか……。人見知り? なんですかね。てかお兄さん居るんですね」
「居ます。兄とは性格が対照的で、スキーもそうですけど、例えば海とか行っても兄は海を見た瞬間にバッと走って行って服のまま飛び込んだりするんですよ。で、服がびしょびしょになって案の定、親から怒られたり。ぼくはそれを見ながら『バカだなぁ』って思ってました。なんで学ばないんだろうって」
「おお、マセてる。達観してますね。お兄ちゃん仲良かったですか?」
「まぁ……付かず離れず……男兄弟っぽい感じでしたね」
「確かに。ウチも兄貴居ますけど別に……。敵でも味方でもないみたいな……。いや、でも若干敵寄りだったかなぁ……」
「2年くらい前に兄から『たまには二人で呑もうぜ』みたいな事言われて、サシで呑みましたよ」
「お。どうでした?」
「その時はそれなりに楽しかったですよ。でも二度と無いかな」
「(笑)」
「たまにはこうやって二人で呑むかぁ! とかその時は言ってたんですけどね。それっきり……」
「兄貴なんかそんなモンですよ……。ちなみに親御さんは薬剤師さんという事なんですけども、どんな方ですか?」
「ウチの親は漫画が好きなんですよね。当時も家に『北斗の拳』とかが転がってたりとか。母親はアニメも観る人で、例えば『コードギアス』とかはぼくが見てると『続きが気になるからこれは私が居るときに観なさい』みたいな事言って来たり……。たまにそういう琴線に触れる作品があるみたいですね」
「ほうほう。『コードギアス』は確かに大人向けというか。ハマりそう。なんか分かる。他になんか一緒に観たアニメありますか?」
「あとは……『To Heart』とか」
「んー? 『To Heart』ってあの『To Heart』ですか? エロゲ原作の」
「そう。あれです。むしろぼくの方があんまり熱心じゃなくて途中で切ったんですけども、母は深夜に一人で最後まで観てましたよ」
「ほえぇ。すげえ。ハイカラ(?)な母ちゃんですねぇ!」
「いやもうホント。柔軟性というか。今のアニメも全然観ますよ。昔から……例えば『ベルサイユのばら』とかも好きですし、漫画とアニメと小説はずっと好きみたいですね。そういう人です。父もぼくが買ってきた漫画とか勝手に読む人だったんで、『漫画よりも外で遊べ』みたいな事は言われるような環境じゃあなかったです。兄貴も漫画と小説……みたいな」
「おー……。ちょっと興味深いかも。そうか、漫画家さんのご家族ってやっぱそういう人なんだ……」
「まあ一家揃って漫画と小説を読む家、みたいな……。そういう感じでしたね」
「最近、帰ってます? ご実家」
「家には行かないですけど、薬局にはたまに……月イチくらいで顔出すようにしてますね。漫画家ってやっぱり不安定な商売なんで、活動報告だけはちゃんとやっとこうかなって──」
★紙なんか要らん! マジック持ってこい! ブレブレだった小中高校時代。
「では次、学生時代ですね」
「小学校は結構絵を描いてましたね。ドラゴンボール……あとガンダム。SDの方ですね。一回、消防車の絵で表彰された事があって、それで自分で『あれ、絵が得意な方のかな?』って気付きました」
「あ、それまでは絵が得意とかは無かったんですね?」
「はい。スポーツは違うな……っていうのは小さい頃、相撲で友達にあっさり負けたときに悟ったんですけども、絵が得意っていう意識はその時まで無かったです」
「絵以外は何かやってました? ゲームとか」
「ウチねぇ、ゲーム駄目だったんですよ。やっぱりファミコンとか欲しかったんですけど買ってくんなくて。一回『学習系のゲームがやりたいから』って言って親を丸め込もうとしたんですけど駄目でした」
「(笑)」
「兄貴が中学に上がるタイミングでようやくスーファミ買って貰ったんですけど、それがウチに来た初めてのハードでしたね。だから、もしかしたらやる事がないから絵を描いてた……っていうのもあるのかもしれません」
「ほえーなるほど……。ファミコンあったら絵を描いてないかも知れないんですね……。なら逆に無くて良かったのかな。あ、勉強はどうです?」
「あぁ、ぼくは塾行ってたんで」
「へぇ。小学校から塾」
「当時はバブルですよ。だからその頃は薬局も儲かってたみたいで、ぼくら兄弟は中学校から私立けって言われてて……そしたらやっぱり受験があるじゃないですか。そのために塾に行くんで、小学校の授業とかテストは簡単なんですよね。だから勉強はできるポジションでした」
「なるほど。んじゃその、受験の結果はどうでした?」
「受かりました。男子校です」
「え、男子校? うわ、イメージが全然ない……」
「高校も男子校ですよ」
「高校もなんですか!?」
「はい。中高一貫で……」
「うわー、ちょっとビックリ。全然男子校っぽくない……」
「そうすか?」
「はい。勝手な想像ですけど、ひずみ先生すげーモテモテ王国だったみたいな、そんな感じで見てました……」
「……モテてましたね」
「!?」
「特に高校の時は割と……というか、めっちゃモテてました」
「でしょうねぇ! 明らかにイケメンですからねぇ……。ちょっとその辺詳しく訊いていいですか」
「いいですよ。やっぱ男子高生って女子高の子と合コンするんですよ。あとは学祭で仲良くなったり……。あとはぼくは高田馬場で遊んでたんですけど、そのへんで遊んでる子と仲良くなって……みたいな」
「それはナンパって事ですかね?」
「……ナンパですね」
「いいっすね! ゴリゴリとファンが減る音が聞こえます」
「(笑)」
「初めて彼女できたのいつですか?」
「中3か……高1か……その辺ですね」
「どのくらい続きました?」
「2ヶ月……?」
「早いな(笑)」
「まあその頃の付き合いって別に……そんな感じじゃないですか。なんで付き合ったのかなんで別れたのかも良く分からないみたいな……」
「うーん。確かに。では先生、なんか他にモテモテエピソードありますか?」
「モテモテ……かどうかは分からないんですけど、失敗談はありますよ。ぼく初めてキスしたのがちょうどその頃なんですけども、相手が何か……渋谷のヤンキーみたいな……なんだろう、常にラリってるみたいな女の子で。全然可愛くもなんとも無かったんですけども」
「結構ディスりますね(笑)」
「まあね……あれは無いよなぁ……。でも当時のぼくはその子と仲良くなって、いろいろ経験する事になって。──しばらくしてコンビニで立ち読みしてたらヤンキー雑誌みたいなのにその子が出てたんですよ。そしてプロフィールに『ただいま童貞狩り実施中!』って書いてあったんですね。ビックリしました。『あ、おれあのとき狩られたんだ!』みたいな」
「……おっちょこちょいですねぇ!」
「ウカツでしたね……」
「書いて大丈夫ですかコレ……」
「まあ……どうだろう(笑)」
「この時の事件を振り返って、いまどう思いますか?」
「……振り返ってですか? えぇと……渋谷のヤンキー怖いなぁって」
「(笑)」
▲中学時代の作品。すでにめちゃ上手い。
「ひずみ先生、高校の頃部活とかやってました?」
「一応テニス部だったんですけども、あんまり真面目にやってなかったです……。ずっと屋上でタバコ吸ってましたね」
「あら……。荒れてたんですね」
「いえ、それもちょっと違って……。あしのさん『BAD BOYS』って漫画知ってますか?」
「はい。田中宏先生の……」
「そうです。あれに小6でハマったんですよ。『こういうのはちょっと早いんじゃない?』って親に怒られたりしてたんですけどね。要するに私立に行くような甘ったれたガキだったにも関わらず、ぼくの中に不良への憧れ、みたいなのがあって、中二病的にそっちに行ったんですね。だから、カッコつけて不良っぽい事をするぞ……みたいな」
「なるほど。不良ぶってたみたいな」
「そうですそうです。だからカッコつけてタバコ吸ってみたり、女の子と遊んでみたり、ちょっと教師に反抗してみたり……」
「お。反抗……! どんな反抗ですか?」
「ええとね……フフ……パッと思いつくのが、ある時遅刻したんですよ。でもう間に合わないから良いやと思って、焼きそばパン食べながらゆっくり登校したんですね。そしたら体育教師に見つかって、お前なにやってんだ、ちょっと職員室来い、みたいな……」
「それ反抗なんですか?(笑)」
「分かんないんですけど、たぶんその体育教師からすると、遅刻してるのに急がずにパン食べながらゆっくり来てるのが許せなかったらしくて、そこから職員室で2時間くらい説教されて。なんでぼくパン食ってただけでこんな怒られてるんだろう……みたいな」
「厳しすぎる(笑) その環境で不良絶対無理でしょう」
「そうなんですよ。だからもうホントにただ中二病で不良のマネしてただけで、ホントに悪いこととかは怖くてできないんですよ。第一、ぼく当時から『椎名へきる』さんの大ファンで、コンサートとか行ってましたからね。声優好きで、アニメ好きで、不良にも憧れてるからちょっと金髪にしつつ……。それでアニメイト行ってグッズ買ったりとか」
「ああ、そりゃあアンビバレンツな……」
「絵も描いてたんですけども、その頃になるとちょっとトンがってるから、紙じゃなくて机にマジックで描いてましたもんね」
「紙なんか要らん、マジック持ってこいと」
「そうです。でも描くのは夜露死苦とかじゃなくてアニメ絵なんですよ」
「それトンがってるって言っていいのかな……(笑)」
「もう周りからみたらキャラがブレッブレだったと思いますよ。オタクなのかテニス部なのか不良なのか……。ああ、あとぼく当時ファッションセンスが終わってました」
「(笑)」
「ヤンキー漫画の影響受けつつ、当時流行りのビジュアル系スタイルを取り入れてたんで、壊滅的でしたよ。だから合コンとか行くときも友達に『お前絶対制服で来いよ』って言われてて。だからさっき『モテてた』っていいましたけど、但し書きが付くんですよね。但し制服に限る……みたいな」
「但し制服に限る……!(笑)」
「はい(笑) 実際制服以外では合コン行ったことないですね」
「なるほどなぁ……。面白い。あ、勉強どうでした? 高校の頃」
「それも終わってましたね」
「いろいろ終わったんですねぇ」
「一回英語で1点取りましたよ」
「そこまでいくといっそ0点が良かったっすね」
「いやもう、テストの前にパラッと教科書見たら『~について about』って書いてあって……ああこれだけ覚えとこうって思ってテスト受けたら『~について』って出てきたんですよ。あこれさっき見た! ……アバウトだ! それで1点です」
「勉強できるポジションどこ行ったんですか(笑)」
「んで、流石に『1点は可哀想だ』ってなったのか、先生がリスニング問題で29点上乗せしてくれて」
「……大量上乗せ!」
「たぶん先生も補習が面倒くさかったんでしょうねぇ。それでなんとか赤点を免れる……みたいなのはありました。ちなみにそれであだ名がしばらく『アバウト』になりました」
「(笑)」
なお、ひずみ先生の名誉の為に補記しとくと、英語は極端に苦手な科目だったそうです。国語や歴史などはむしろ高得点だったとの事。ホッ。
▲アバウトくん時代のひずみ先生。たしかに不良っぽい。
▲合コンの合間を縫って描いた短編
★パチンコは意外とチョロい? 銀色の悪魔との出会い。
「さてと。じゃあいよいよ高校卒業……。その後はどうでした?」
「一年浪人して河合塾に通って……そこから受験ですね。大学ではテニスサークル入って、お酒飲んで……みたいな。ちなみにこの頃からあまり絵を描かなくなってました」
「あら。ちなみに大学って何系ですか?」
「文学部哲学科です。だから余計就職とかあんまり考えて無かったんですよね」
「まー哲学科っていうと、それこそ学道に進むかクリエイターか……みたいな感じかぁ」
「そうなんですよ。史学か哲学かで迷ったんですけど、なんとなく漫画のプラスになりそうなんで哲学……みたいな。だから希望……というかぼくの中での道筋みたいなのは漫画家の方向で何となく定まっては居たと思うんですけど……、ただ描かなくなっちゃったんです。ずっと遊んでましたね……」
「インプットの時期だったのかも知れないですね」
「とはいえ勉強も大してせずに遊んで……。パチンコもこの頃覚えました」
「おッ。パチンコ来た」
「はい。大学1年の頃、サークルの友達がパチンコやってて、じゃ一緒に行ってみようよみたいな感じで行き始めて……」
「最初打ったのなにか覚えてます?」
「『海物語』でした」
「勝ちました?」
「最初3Kで確変引いて30Kになって『パチンコってチョロいな』って思ったんですけども、ただ、その時教えてくれた友達がめっちゃオカルト派だったんですよね。回転数見て『そろそろこれ良いよ』とか、『これゼロ回転だから夕方から良いよ』とか。『出目がこういうのが出たからもうちょっと打ったほうが良いんじゃない』とか……」
「んーデリケート! コメントしづらい!」
「(笑) 本人がそれで楽しんでるなら別にね……。でもパチンコについて調べれば調べるほど『こいつ何言ってんだろう』って。こんなの回転数関係ないじゃんって気付いて。独学でボーダー理論に辿り着いて──」
「オカルターの友達に教えてあげたりしなかったんですか?」
「しました。『お前の考え間違ってんじゃない?』って。でも聞き入れて貰えず。じゃあもういいやと思って放っといて。釘の読み方覚えて……。当時は海物語しかホールに無かったんで、逆に言えば海さえ知ってれば立ち回れたんですよ。そうなると楽しいから打つっていうより、お金を稼ぐ為に打つみたいな。割りかし早めにそっちになりましたね」
「勝ってました?」
「勝ってましたよ。でもバイトしないで大学のサークル費を賄える程度ですよね。貯金ができるほどじゃあなくて。小遣いもまだ貰ってましたし。だから全然プロとかじゃないんですけども。収支表付けてなかったんで正確な金額は分からないんですけども、あの頃幾らくらい勝ってたんだろうなぁ」
「あら、収支付けてないんですね」
「そうなんですよ。ただ最初……当りの回転数はメモってました」
「なんでまた……?」
「確率って収束するのかな? っていうのをちょっと確認したくて(笑)」
「ほぇぇ……。勉強家というか……。なんだろう。性格なんですかねぇ。ひずみ先生、パチスロはどうですか?」
「パチスロは北斗からですね。ワンフロア全部北斗……みたいな時代に打ち始めて、打ってみるとパチンコよりそっちの方が全然安定してましたね。ただまあぼくの当時の立ち回りはガバガバだったんで、ほとんど運だったと思います。札推ししてたんで。あの札が正しかったかどうかも今となっては良く分かんないですもん」
「いやー全然いいと思いますよ。だって北斗の頃って負けてる人はむちゃくちゃ負けてますからね。いい店ですよそれ多分」
★『完成させられない漫画家』がデビューするまで……。
「さて、いよいよですよ。漫画家になった経緯ってどんな感じだったんですか?」
「大学で就職活動する時に自己分析みたいなのやるじゃないですか。いわゆる職業適性みたいな。あれやってる時に、結局全部を漫画に結びつけてる自分を発見したんですね」
「どんな感じで結びつけてたんですか?」
「つまり、漫画が好きだから、出版とか印刷業界に行こうかなとか。この業界は漫画に関係ないから行きたくないなとか……」
「おお、なるほど!」
「そうなんですよ。それで高校くらいまでは当たり前にやってた『絵を描く』っていう特技をその時に思い出して……あ、そういえば小さな頃から漫画描いてたな──って。漠然と思ってたのが進路としてフッと見えきたんですね」
「はい──」
「それで、結局このまま就職しても、絶対悔いが残るというか、やり残した事として全部あとに残っちゃうなと思って。一回本気で漫画家を目指してみたいって、そういう風に思ったんですね。ただ、新卒って結構強いカードじゃないですか」
「めちゃ強いですね」
「はい。だから親に頭下げて……1年間だけ留年させてくれって」
「わお、意図的な留年。……単位全部取っちゃってません? 大丈夫でした?」
「卒論だけ落としました」
「おお! すごい──!」
「まあ親にめっちゃ怒られましたけどね。でもそれで一年間猶予ができたんで、必死に絵を描いて──勉強して──……」
「それが今に繋がるんですね」
「いや、繋がってないんです。ぼくはこの時、間違ってました」
「……?」
「本当は絵の練習じゃなくて、営業活動をするべきだったんです。一刻も早く32ページの作品を作ってどんどん持ち込みをするべきだった。確かに絵は上手くなりましたけど、それだけで仕事が入ってくる訳がない。だから結局、そのままフリーターになって……。それで周りに同じ境遇の友達が出来ちゃうと、もう泥沼というか──安心しちゃうんですよ。それでますます描かなくなっちゃう。一番駄目なパターンの『フリーターやりながら作品を描かない漫画家志望』になっちゃったんです」
「うわぁ痛ァ。身につまされる。……いわゆるアレかぁ……『ワナビ』みたいな」
「そう。『ワナビ』になっちゃったんですね。ただ、大学4年間ずっと描いて無かったせいで画力がかなり落ちてて……下手したらデビューした時くらいまで、高校の頃の方が上手かったんじゃないか? みたいな感じだったんですよね。だから留年時代とフリーター時代はずっとリハビリだったと言っても良いかも知れません。そういう意味では必要な時間ではあったんですけども、もうちょっとやり方はあった気はします」
▲フリーター前期作品。リハビリの成果、出てますよ!
▲フリーター後期。ハルヒの同人。右下のコマの足すごい(小並感)
「デビューって『のぞまこ。』ですよね?」
「そうです。留年1年とフリーター2年かな? リハビリやってて。一応ずっと描いては居たんですけどなかなか完成まで持ってけなくなってて──。フリーターやってる漫画家志望仲間と過ごしてたんですけど、あるとき『同人誌作ろう!』って話になって『みつドル(※貢いでドル箱)』の2回目かなぁ……合同出店することになって──。それをたまたま読んだ漫画雑誌の編集の人が声をかけてくれて、トントン拍子にデビューが決まって──」
「速攻ですねぇ!」
「はい。それまで『完成させられない漫画家』だったのに、それで救われたというか。実際それまで32ページの作品って一回も描いたことなくて。初めて描いたのはデビューしてからなんですよ。もしあの時声を掛けて貰ってなかったら、もしかしたらずっとそのままだったかも知れません」
「『のぞまこ。』描いてる時どうでした?」
「編集部、頭がおかしいんじゃないかと思ってました」
「(笑)」
「だってぼくまだ一作もちゃんと描いたことないのに──。なので今思うと生意気なんですけども、最初は連載も『練習』だと思って描いてました。ぼくは女の子を描くのが苦手だったんですよ。だから敢えて女の子を主人公にして、日常系のよくある感じで仕上げて──。そしたらパチンコ・パチスロ系の中ではそれが珍しかったらしくて、もしかしたら人気になるかもねって担当の人に言って貰えたんですよね。それすごく覚えてます」
きっとねぇ、と前置きしてから、伊藤ひずみ先生は続けた。
「動いたら良いように転がるんですよ。僕も同人誌をやらなかったら今ここにいませんし。フリーター続けてるかもしれません。行動ですよね。まずは。準備は要らない。動きながら準備すればいいんです。全部そうだと思いますよ──」
ミミズとダンゴムシとニンジャ・スター。 神龍に会話させつつ、不良に憧れたり、アニメを観たり。 渋谷で童貞狩りにあったりテニスに打ち込んだりしつつ、漫画家・伊藤ひずみ先生は今日もペンを走らせるのだった。
あとの活躍はご存知の通り──だ。
伊藤ひずみ先生のTwitterアカウントはコチラ。
天才降臨! 記念すべきデビュー作! パチスロ日常系漫画『のぞまこ。』はコチラ。
業界に激震疾走る! 掟破りのパチスロ部活漫画『若葉レバーオン!』はコチラ。
パチプロと育児の意外な食い合わせ! 現在進行系でバズってます! 『ロックンリール』はコチラ。
★質問ラッシュと総括!
「じゃあひずみ先生。最後に質問ラッシュいいですか? ちゃちゃっと訊いちゃうんで」
「はいどうぞ!」
「巨乳と貧乳どっちが好きですか?」
「巨乳です。大は小を兼ねます!」
「オーケー……。ではあの世に持っていきたいパチンコ・パチスロはどれでしょう」
「『初代牙狼』かなぁ……」
「おー名機。出ましたねぇ。ありがとうございます。では次に、『絵がうまくなるコツ』みたいなのを漫画家志望の方向けにお願いします」
「絵ですか……。やっぱ見て描くのが一番ですよ。なんか不思議なんですけど、見て描くのは卑怯みたいに思ってる人っていっぱい居るんですよ世の中。例えば小学生の頃とか、ドラゴンボールの絵とか描いたとして、なんか悔しいと思った子って『だってこれ見て描いたんでしょ』って言って落としてくるじゃないですか」
「あ。わかる。そういう事か」
「そう。それです。でも模倣って全ての芸術の出発点なんで、それを嫌がらない方がいいですね。ちゃんと見て描いた方がいいと思います。あと『ネットに頼らない方がいい』というのも最近すごく思います」
「ほう……というのは──」
「例えば『プリウス描いてください』っていうと、アシスタントの子とかも画像検索始めたりするんですよね。プリウスなんか街に出れば絶対1台は停まってるんだから、それ写真に撮りに行けばいいんですよ。だって、ネット上にある写真って自分が撮った写真じゃないから、撮り手のノイズが入ってるんですよね。いわゆる作家性みたいな。別の人が写真っていう作品にしてる時点で、ありのままのプリウスじゃないんですよ」
「ありのままのプリウス──!」
「そうです。あとは大きさとか硬さとか質感とか……そういうのも生で見ないと分からないんで、やっぱりネットに頼りすぎるのは良くないと思います。ネットが発達してる今だからこそ、外に出て肉眼で確認しましょう」
「ほえー……なるほど。すげえ良いこと聞いた……。たしかに!」
「あしのさん絵を描くんですか?」
「全然描かないです。才能無し。最近老化が進んでまっすぐの線すら引けなくなってきました」
「(笑)」
「では最後に! 生まれ変わってもパチンコ・パチスロ打ちますか?」
「……打たないかもなぁ」
「おお、意外。まぁプライオリティは漫画ですもんね」
「そうですね。ただ実際生まれ変わったら打つ事になるかも知れませんけどね。分からないです。生まれ変わってみないと」
「正論! シャッ! 以上です! 本日はありがとうございました!」
「いえいえ。こちらこそ。分からない事は何でも聞いてくださいね」
「ありがとうございます!」
さて、以上が人気マンガ家、伊藤ひずみ先生のインタビューだ! 先生を一言でいうと、まず「イケメン」というのが来るよね。これはもう間違いないと思う。でも喋ってみるとめっちゃフランク。あと漫画が面白い。なんかもう死角がないよね。
インタビュー内容としては「漫画家になる」と宣言して実際になってるのも結構すごいと思う。親御さんに猶予期間を貰ってるわけだし。俺の勝手なイメージかも知れないけど、漫画家と小説家って「こっそりなるもの」だと思ってて、なってから事後報告する人が多いと思うのね。
なぜか? みんな自信がないからだよ。
そういう意味では伊藤ひずみ先生は結構自信があるタイプだと思う。
ではいつもの人生設定推測。んー。今回は難しいぞ。自信……自信……。よっしゃ決めた。ドンッ! 漫画家・伊藤ひずみ先生の人生設定は平和の『アントニオ猪木自身がパチスロ機』の設定4だ!(機械割107%)
ダジャレですいません! さあ今回のインタビューウィズスロッターはここまで。次は誰かな? それは神(と編集長)のみぞ知る。チャオ!
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- あしの
- 代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。
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チワッス!
名言ですよねマジで。俺も動画制作やってみたいんで、動きながら準備してみたいと思いました!
心に響きました!
( ̄□ ̄;)!
親しみやすいイケメンってなかなかレアっすよね!激レア!ガチャだったら絶対周りすげーキラキラしてると思います。ワークショップ俺も参加すりゃよかったーー
ひずみん先生の漫画ワークショップ、またやって欲しいなー(*´∇︎`*)