我が良き友よ。

革靴鳴らしてやつが来る
肩に腰巻きぶら下げて
既成制服に染み込んだ
汗の匂いがやってくる。
ああ、吸えよ、良き友よ。
お前今ごろ違う業界で
俺とおんなじタバコをふかして
何思う。

かわいいあの娘に手を握られて
手汗かいてた、うぶな奴。
出目を語れば、事務所から
店長「働け」と言いに来る。
ああ、来いよ、良き友よ。
俺は今でも花火を打つたび
あれは氷をこぼしたのだと。
信じてる。

アイツあほだと人は言う。
お前の顔が赤くなる。
小遣い少ないと言いながら
スロ屋通いを自慢する。
ああ、行けよ、良き友よ。
あの娘の事を恨むんじゃないぞ。
あほというのは褒め言葉だと
知ってくれ。

営業職のガラじゃない
嫁のためだと言いながら
土日休みの幸せを
微笑みながら言う男
ああ、飲むか、良き友よ
土曜にLINEで誘ってみたけど
既読着かずに返ってきたのは
朝だった。

違う世界へ飛んでいく
自分の為ではないにしろ
家族の為と言いたげに
肩で風切って飛んでいく
ああ、友よ、良き奴よ
次の世界に飽きたら二人で
夢を抱えて朝イチ賭けるか
あの店へ。



これまでいつも一緒だった同期のOは、
結婚を機に先月退社。
お前なしで初の末〆処理、終わったよ。
今まで支えてくれてありがとう。
お前は部下じゃなく、友だった。
幸せになれよ。

※かまやつひろし様のご冥福をお祈りします。

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