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その場所は「暑く」て「アツく」て「熱かった」。
その場所は「暑く」て「アツく」て「熱かった」。
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草間ヤヨイさん
バンドをしたり、スロットをしたりの繰り返しで生きる20代。好きな段は「中段」。死んだ目でリーチ目を見るな。 Twitter→@gggbababa - 投稿日:2019/10/20 04:34
「暑い」。暑すぎる。
スロッターなら誰だって「アツい」という言葉は好きだが、こんな暑さは要らない。
僕はバンドをやっている。そう、バンドマンだ。
2017年の夏、初めての全国ツアーに行った。
札幌から飛行機で中部空港へ、名古屋の地に降り立った僕が初めて発した言葉。
「暑ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
それもそのはず、その日の名古屋の最高気温は40℃越え。
普段北海道の涼しい気候に慣れている僕には、シベリアからエジプト、沢尻エリカ(記者会見時)から松岡修造、それくらいの「冷たさ」から「アツさ」の寒暖差があった。
すぐさまタクシーに乗り、ライブハウスに着いた僕に、スタッフの方から衝撃の一言。
「すみません、あまりの暑さに空調がやられてしまい、涼しい風が出ません…。」
いや死ぬよ????現に俺はここに着くまでの30分で、お気に入りの灰色のTシャツが汗でダークグレーに染まってしまったよ????え?名古屋が俺の終わりの地???ここで人生、完走確定????
汗だくのリハーサルを終え、本番までの空き時間が5時間。
「こんな暑い場所に居てられるか!俺は外に逃げる!」と、金田○少年の事件簿ならこの後すぐに死ぬであろうセリフを吐き捨て、外に一歩出た僕。
「いや、暑ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
当たり前だ。時刻は14時。日はカンカン照り。ライブハウスの中の方が扇風機を回していた分、少し涼しい。だが少し前の行であんなセリフを吐き捨ててしまった僕だ、とりあえず行く当てもなく、全く知らない名古屋の地を歩くことにした。
その頃の僕は、少し前に先輩に「スロット」というものを教えてもらい、1か月に1回程どうしても暇な時間が出来た時に打つくらいのスロッターだった。
なんなら「パチンコ屋」というものがあまり好きではなく、タバコ臭い、なんか怖い、死んだ目をしている人が10人に1人は居る、など良い印象を持っていなかった。
全く知らない名古屋の地。本番までの長い時間を過ごせそうな場所。導き出されたのはあまり好きではないハズのパチンコ屋だった。思えばこの日から、僕はスロットがとても好きになったんだと思う。
そこは「K」という、名古屋では有名なホールらしい。名前だけは好きな演者さんの動画で見た事があるホールだったので、「とりあえず、休憩室で漫画でも読むか…」と店に入ったその瞬間。
「人、多ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!え!?!?!?!?!?!?ていうか涼しッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
頭が混乱した。それもそのはず、僕がたまに行っていたパチンコ屋は札幌の中心地にあるという好立地ながら、1階フロアに客が僕と死んだ目をしたおばあちゃん1人、そんなこともざらにある過疎ホールだったのだ。どうやらその「K」という店は俗に言う「アツい」日だったらしく、目の前には僕が見た事がないくらいの人数がパチンコ屋の中にいた。おい、今日の俺たちのライブのお客さんより多いんじゃないかこの人数。凹むぞ。もっと売れたいぞ。
バンドマンというのは「人が多い」というだけでテンションの上がる単純な生き物である。
「とりあえず、休憩室で漫画でも読むか…」などと思っていた僕は、あまりの人の多さに、
「これが『アツい』日ってやつか!?!?!?!?!?!?こんなもんどの台座っても勝てるんじゃね!?!?!?!?!?!?もう打つ!!!!!俺は打つんだ!!!!!!!」となってしまった。
座ったのは、「ジャグラー」。というかその時の僕はジャグラーにしか座ったことがなかった。しかも普段は夜の22時にもなって100台設置のジャグラーで回されているのは20台程、などという過疎ホールで暇つぶしに1000円だけ…と打つような楽しみ方しかしていなかったのである。
とりあえずグラフの良さそうなジャグラーに座り、サンドに1000円札を入れ、コインを台に入れリールを回した僕。そこで座り、ガンガンに効いた空調を浴び、少し冷静になってしまった。「実際今月お金キツいしな…なんかノリで座ってしまったし金が無くなっても怖いしな…とりあえずこの1000円だけ打って、後は休憩室で漫画でも読「ペカッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「…?」そう、人生初のオスイチである。
そのBIGを皮切りに、あれよあれよと出玉は伸び、気づけば本番直前の時間。3000枚程のメダルを交換し、僕はライブ本番へ向かった。
「アツい日ってすごい…!こんなにスロットで勝ったことない…!涼める上に勝てるなんて…なんてスロットは面白いんだ…!!!」
その日はライブも盛況の内に終わり、完全なる「勝ち」の日だった。
次の日、移動日のため、名古屋で半分オフというスケジュール。
すっかり調子に乗った僕は、メンバーに「ちょっくら…勝負(バト)ってきますわァ…!」と言い残し、昨日の「K」に向かった。完全にスロットの勝ちとライブの勝ちに酔っている。ダサすぎる。
移動のバスが出る30分前。そこにはジャグラーの前で「熱く」なっている僕が居た。
昨日の勝った分はおろか、財布の中身も消えてしまいそうな程にサンドに金を入れている。
「いや…この店で勝てないハズがないんだ…ここは良い店なんだ…!」そう自分に言い聞かせた所で、もう名古屋を出ないといけない時間になってしまい、無力の退店。
今日も名古屋は「暑い」。完全に「アツい」店で「熱く」なってしまった。何をやっているんだ俺は。なんか頭も痛い。なんだこれは。
次の日、テンションが乱高下したからなのか僕は38度の「熱」を出し、気合で直し、初めてのツアーを終えた。
思えばこの7月は人生で一番充実していた月だった。初めての全国ツアー。僕が行ったことのない場所にも僕達の音楽を待ってくれている人がいる。とっても嬉しかったな。そういえばあのジャグラー超楽しかったな。大阪で対バンしたあのバンドのライブは最高だったな。そういえばあのジャグラー超楽しかったな。全国各地でのお客さんの笑顔が本当に忘れられない。そういえばあのジャグラー超楽しかったな。ピエロ超笑顔だったな。
…無事北海道に帰った僕は、その足で過疎ホールに向かった。ほとんど人の居ないジャグラーフロア。サンドに一万円札を入れた。もう、1000円でちらっと遊ぼう…などと思っていた僕は居ない。ライブハウスの照明と同じくらい、綺麗なGOGOランプ。お客さんの笑顔と同じくらい、笑っているピエロ。ライブハウスで鳴っている音楽と同じくらい、カッコいいBIG中の音楽。僕はジャグラーの虜になっていた。これからもよろしくな、ジャグラー…!!
その日、僕は2万負けた。あとその4か月後に過疎ホールも潰れた。
今はバンドを楽しく活動しながら、程よくジャグラーを打つ生活をしている。
たまに思う。あの日の「暑い」名古屋での「アツい」ジャグラーで「熱い」思いをしなければ、こんなにスロットにハマっていなかったのではないかと。
スロットにハマった人生と、ハマらなかった人生。どっちが幸せだったんだろう。このパチ7のコンテストでもし優勝出来たら、「ハマった人生で良かった」と心から言える気がします。(急なアピール)
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草間ヤヨイさんの
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このコラムへのコメント(4 件)
しばらくの間は、目を瞑れば億千のピエロ状態でした。その店逆に行ってみたかったな、、
私も札幌の過疎店で死んだ目をして打ってました。そこは店員の目も死んでました。
十年後、二十年後も楽しくスロットを遊べてたらな、と願うばかりです…。
読んで頂きありがとうございました!