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8話

◆運

　オレのカバネリはそれなりにチャンスゾーンを取れている。いまのところ105ptを越えることもない。
　解析が出てなくて、有料noteを出すスロプロたちやYouTuberの大量実戦による分析なんだが、「設定5＆6は120ptが天井で、ほとんどが105ptまでにチャンスゾーンが当選する」と。
　そして、オレの経験上、設定4も似たような挙動を示すけどたまに120ptを越えてしまう。

　あとは、チャンスゾーン中の動き。無名なら小役取得後のナビ発生率、生駒の場合はハズレ時にライフを削られるかどうかの割合、そこをチェックしていく。

　ネックなのが、高設定はSTに当選しやすくなるから、連チャンすればするほど通常時のゲーム数が稼ぎにくくなる。

　……いや、待てよ。
　本日最初のエピソードボーナスを揃えたときに気がついた。

　ST中ボーナスの「狙え！」、これをわざと外せば黒血漿が貯まらないんじゃないか？
　普段だったら絶対やらないけど、いまは出玉関係ない勝負。試してみる価値はある。

　そうしてST中ボーナス。生駒で200枚だった。もちろんPUSHボタン長押しなんかはせず、キャンセルしてやった。まあこれはいつも通り。
　ほんとはST駆け抜けがベストだったけどな……なんて思いながら「狙え！」を外す。
　よしっ！　黒血漿貯まらない。使える！！

　隣の長髪ジャケットくんから声がかかる。
「さすがだね。キミが隣に座ってくれて良かったよ。この機種打ってる他の連中はレベル低すぎて呆れてたんだ」

　「そ、そうですか」
　ちょっと照れながら返した時、大きな叫び声が。

　「おおおおおお、俺はやってやる！　やってやるぞーーー！！」

　振り返ると中央に100kgは超えてるであろう巨漢の男。

　「ああ、クソッ！　いやまだだ。最後の1回、冴え渡れ、俺の勘！！！！」

　「フィーバー！」

　「うおおおおっ！　やった！　やってやったぞーーー！！」

　そうして巨漢の男がサラサラと消えて行った。

　生き残り枠数4/52。

　まだ半分以上生存しているのに残り枠が4。
　この調子でマグレ当たりされたらあっという間かもしれない。ヤバすぎる……。

「彼はマイジャグラー打ってたね。ノーマルタイプのシマをチェックしてみたらなにかヒントがあるかもよ」
　長髪ジャケットくんがそう言った。

(続く)

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