私も　１／４

止めて

止めて、苦しい・・・・

止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて・・・・


悪夢から飛び跳ねるように起きたのは、まだ６時前だった

寝汗で濡れたパジャマを脱ぎ捨てて洗濯籠に入れると朝食として菓子パンをほおばる

今日は旧イベントのあった隠れイベント日

抽選までは時間があるので公園で時間を潰そう




公園のベンチでボーっとする

朝早くから幼稚園くらいの子と父親が楽しそうにボールを蹴って遊んでいる

父親、か……




並びは１００人程度

抽選箱の中に手を突っ込んで中の紙を一つ取り出す

引いた紙には１２、と書いてある

まずまずだ、目星を付けている台には多分、座れるだろう

開店と同時に小走りに目当ての台へと向かうと大本命の台が空いていた

前の奴らはガチ勢じゃなさそうだったから、おそらく変な台に座ったんだろう

サンドに金を突っ込みコインを借りる

コインを借りては、それを台に入れレバーを叩く

レバー叩いたらリールが動く

大抵は大した子役は来ない

特に何も無いまま、千円分が無くなるが、そんなのは意に介さない

当たり前のように、またサンドに金を入れる

また、コインを借りて目の前の台に突っ込む

叩く、回す、止める、入れる、叩く、回す、止める

繰り返し、繰り返し、続ける

その内、強い光と大きな音を台が出す

いつもの停止位置を目押しする

リールがいつもより滑る

目押しをし、子役を揃えようとする

揃わない……

次のゲームで７を狙うと７がキレイに３つ揃う

その喜ばしいはずの光景に浸る間もなくボーナスを消化する

また、リーチ目が出るまでリールを回すのを繰り返す

言っておくがリーチ目が出れば嬉しいは嬉しい

ただ今まで何万回と繰り返してきた作業だ

一喜一憂するのは疲れるだけだ

子役確率もボーナスも合算で設定６の近似値だ

今日は終日ブン回せる

今月のノルマまで、ほど遠いから今月はガッツリ勝てる時に勝っておきたい




２２時までグラフは右肩に上がり最終的には４０００枚を超えた

投資も、そこまではかかってない

明日は、別の店のイベント日だから、そちらの方の下見をしよう

俺は投資した以上のコインが入ったドル箱を４つ下げて自らコインカウンターへ持っていく

面倒ではあるが少しは体を動かさないと体が変になってしまう

１２時間、座り続けた体に少しだけ別の負荷をかける

これが運動と言えるかは分からないが体の衰えを遅らせてくれるとは思いたい




次の日は悪夢を見る事なく快眠できた

が、結果は散々

明らかに低設定だった

抽選も６７番で本命は取られていたし空いてた候補台は候補の中では一番無い事は座る前から感じていた

今日は他の台も稼働状況がいい

ハイエナも、たぶん無理だろう

今日は、そのまま帰るか



お昼時、町は若者もサラリーマンも忙しそうに

あるいは、楽しそうに町を行きかう

その中を誰とも目を合わさず少しうつむき加減に歩いていると

「日向（ひなた）！　ねぇ、日向よね！」

後ろから、いきなり大声で名前を呼ばれ驚いた

そして、後ろを振り返った俺は、それ以上に驚いた

「日向、私、葵（あおい）よ、高校まで隣に住んでた葵よ！」

高校生の頃に見たロングの黒髪で幼くもキレイな顔をしたまんまの

でも、少しだけ大人びた雰囲気もある葵が、そこに居た


「葵ぃ～、ちょっと待ってよ！」

葵の後ろから駆け寄ってきたのはショートカットの勝気そうな女の子だった

「あ、四葉（よつば）、あのね」

葵が四葉と呼んだ女の子を向いている隙に俺は逃げるように反対の方向へ走った

「え？待って！　日向、待って！」

葵の呼びかけは行き交う人波にかき消され届かない

後ろを少し見た時に目が合った葵は、悲しそうな顔をしていた

その表情に胸が締め付けられるような痛みを感じる



まさか、葵に会うなんて思いもしなかった

元々住んでた場所とは全然違う、こんな都会で、まさか再会するなんて

俺も葵も、まだ２２だ

葵は頭も良かった、おそらく、ここに来たのは大学進学だろう

俺も、もし、あんな事にならなきゃ、もしかしたら一緒に……

そんな考えても仕方ない事を考えてしまうのは命日が近いからだろうか

もう少しで父と母の命日だ

だが、命日だから地元に戻ろうとかも考えられない

俺にはパチを打つ事しか出来ないんだから

それ以外の繋がりは俺には、もう無いのだから

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