キョーガクの新装開店

友人A「今日、J店で６時オープンの新装があるから、いっしょに行こうぜ」

自分「ほほう、機種は？」

友人B「セブンボンバー！」

自分「マジかよ！ ぜってー行く！」

毎度毎度、昔話ばかりで申し訳ないが、これは20年以上前の話。自分と友人Ａ&Ｂの３人は、セブンボンバーの新装開店に向かっていた。

開店30分前に店に着くと、並びは15人ほど。おそらく20台以上は入るので、開店ダッシュでキープできるはず。最終的に行列は50人ほどとなり、開店の６時を迎えようとしていた。ボルテージは最高潮である。

そして、誰もが入口が開くその瞬間を待っていると、意外な展開が。店の横にあるドアから、拡声器を持った店長が出て来たのだ。ちなみにこの店長、ストロング金剛そっくりのいかついオッサンで、仲間内では「金剛くん」と呼ばれ恐れられていた。

店長「えー、本日はご来店ありがとうございます。新台のオープンは、並び順ではありません。まずは慌てずに店内へ入り、中央通路に集まってくださ～い」

並び順じゃない？ 客から一斉にどよめきが起こるも、金剛くんに歯向かえる勇者などいない。まずは大人しく店内に入り、新台コーナーに接する通路に全員が集まった。シマではセブンボンバー(しかもちょいレアな赤パネル)が神々しく光っているが、まだ誰も座ることが許されない。一体、何が始まるというのか。

店長「えー、それではこれから、新台を打ってもらうお客さんを、私が指名していきます」

な、なんだってーッ！？ つまり新台が打てるのは、店長に選ばれた客だけってこと？ どんな絶対王政だよ…

店長「では、まずはそこのお爺ちゃん。あと、スーツのオジさんも、こちらへ」

最初に選ばれた客２人がシマに入り、店長に手で促されるままに着席。２人の台は当然のようにモーニングが入っており、７が揃ってファンファーレが流れ出す。

店長「おっと、お爺ちゃんラッキー！ そしてオジさんも！ ２人揃ってBIGスタートだぁ！」

なんだこの茶番は。開店プロを排除し、常連に還元するための策なのだろうが、これはさすがにやり過ぎだろう。てか、オッサン２人がBIGを揃えるさまを、横で50人もの客が指をくわえて眺めているのだ。異様にも程がある。

店長「ではでは、お次は…‥そこのアロハのお兄さん！ 続いて……」

おっさん「店長！ 俺、昨日３万負けたから頼むよ！」

店長「はい、ではそこのオジさんも、こちらへ」

自己アピール！ そういうのもあるのか。そしてこれを皮切りに、餓鬼たちによるアピール合戦がスタートした。

「おいおい、俺は昨日５万負けたぞ！」

「店長！ 俺を忘れたか！」

「おーい！ こっちだこっち！」

ダメだこりゃ。自分ら３人は、この店にはたま～に来る程度なので、店長から選ばれる可能性はゼロに近い。もう帰るか、これ。

そんな絶望的な状況の中、友人Aが起死回生を狙い、捨て身のギャグをブチかます。

友人A「おやじぃぃぃ！ 俺だ、息子のタケヒコだあああああ！！」

正直、その勢いにワロタw

店長「あ？ うるせえぞ！ たぬき丼でも打ってろコノヤロウ！」

たぬき丼かよw てか、仮にも客に向かってコノヤロウって。金剛くん、暴君すぎる…。


結局、この日は３人とも、たぬき丼で死ぬほど負けました。

って、打ったのかよ！w


おしまい。



【セブンボンバー】
バルテックの３号機。兄弟機ワイルドキャッツと共に、貯金方式による連チャンで有名。チープなスピーカーが生み出す、音割れ上等のファンファーレが最高です。ちなみに、自分のペンネーム「貯金爆弾」の由来が本機。

【たぬき丼】
平和の羽根モノ。キンタマに銀玉を貯留する。

6