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BAR BIG BONUS#5 彼女のストーリー
BAR BIG BONUS#5 彼女のストーリー
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/07/27 01:12
私は業界タレントがよく集まるバーの雇われマスター。
店の名前は「BIG BONUS」。
パチスロ好きなオーナーが開業時に、BARという響きを嫌い、
せめてもの縁起かつぎにとつけた名前です。
素敵なTOP絵はくりくり。さん
(http://pachiseven.jp/columns/column_list.html?uId=14740#contents)
にいただきました。
話は記憶を頼りに書いているため、
【間違っている部分も多いと思うので、鵜呑みにしないよう】お願いします。
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平日の夜、奥のテーブル席には女性が3人。
お客様の総数が少なくとも、女性が多い店内はいつもより華やかに見えてくる。
そんなテーブルから一人立ち上がり、カウンターに斜めに腰掛ける。
「マスター、一杯作って、お任せでね」
「さやかさん、お声がけいただければ席まで伺いますよ」
チャイナドレス風の衣装がセクシーなこちらの女性は風上さやかさん。
今夜は3姉妹で来店されており、いずれも凄腕美人雀士として知られている。
「マスターとお話ししたくって、あの二人は食べるのに夢中なんだもん」
そう話す視線の先には長女まどかさん、三女あやかさんがテーブル席でパスタを食べている。
空腹だというお二人にフードメニューを勧めたのだ。
ちなみに三女あやかさんも未成年では無い。
ただ、デビュー年から計算しようとすると、長女まどかさんから尋常ではない雰囲気が出てくるため、あまり触れないことにしている。
そもそもこの世界で年齢について考えるのも野暮な話だ。
「喜んでいただいたようで私は嬉しいですよ、では一杯作りましょう」
棚からジンを取り出し準備にとりかかる。
「そういえば、マスターはパチスロに詳しいんでしょ?」
「詳しいというか、商売柄様々な話が入ってきますね」
「それじゃあ、わたしのデビューがいつか知ってる?」
「風上三姉妹として登場したのは2005年パチスロ『麻雀物語』…ですが」
「ですが?」
「1991年のパチンコ『麻雀物語』を忘れてはいけませんね」
「さっすがマスター、パチンコも詳しいのね♪」
パチンコ『麻雀物語』は現在のデジパチの流れの始祖とも言うべき機種だ。
パチンコ初搭載のカラー液晶モニター上で麻雀牌を模した図柄が動き、大当たりすると美女が祝福してくれる。
それまで7セグが動く程度だった演出に革命をもたらし、
その表現力の広がりに魅せられたファンも多く、ホールでは終日フル稼働状態だった。
現在も受け継がれる「初代モード」はこの初代麻雀物語の演出再現だ。
当時はメーカーも生産が追い付かないほどの人気で、他機種のパネル替えをした強引な代替機を出荷していた程だとか。
「その後はダービー物語・プリンセス物語・綱取物語といった『物語』シリーズが平和のデジパチシリーズのブランドになりましたね。」
「そう、麻雀物語はそれほど意味のある機種だったのよ、あのコが登場するまでは」
「あのコ…ああ、海のー」
「少し前までギンギラしていたと思ったら、いつの間にか全部持っていかれたわ」
「あちらもお上手でしたね」
物語シリーズというネームバリューを奪われるかたちになり、複雑な心境の様子。
出来上がったシンガポール・スリングにチェリーを一つ多くサービスして提供した。
「あら、気がきくわね…まぁいいわ、次は満を持してパチスロ界に登場よ」
「2005年パチスロ『麻雀物語』(型式名マージャンモノガタリ2)ですね」
「この頃のスタンダードだったボーナスストックタイプね、3姉妹が揃ったのもここからよ」
「派手さは無くとも演出テンポがよく、狙いどころも多い機種でしたね」
「ホールでも長期稼働していたわ、私の魅力のおかげかしら」
「そうですね、パネルと液晶では随分印象が違いましたが…」
「むっ、女には色んな顔があるのよ」
「いえ、どちらの顔も魅力的ですよ、しかしほとんど麻雀をしないのはこの頃からでしたね」
「その分麻雀対決はアツいのよ、普段はアキラの列車紀行だったけど」
アキラというのは主人公の男性キャラクター。
この時の三姉妹はメインキャラではあるものの、敵役という位置付けだった。
そしてタイトルに反して麻雀をするシーンはごくわずか、
「おい、麻雀しろよ」とは当時からよくツッコまれていたものだ。
「久しぶりにパチンコ界に帰ってきたのは2012年『CR麻雀物語』よ」
「この時はアニメーションや歌にかなり気合が入っていましたね」
「演出にも初代モードやパチスロ予告があって、オールドファンを泣かせたわ」
本格的にオリジナルキャラクターとして売り出され、
CDやコミックといった関連商品も発売されたのもこの時だった。
「それにしてもアキラさんが元カレとして堂々と出演されるとは…」
「ま、まぁ色々あるのよ、新しいじゃない、ある意味…」
さやかさんの表情がひきつっているように見えるのは気のせいか。
確かに、女性キャラクターの売り出しに元カレ同伴とはなかなか新鮮ではあった。
もっともアキラさん自体のキャラ人気も低くは無いが。
「それより2012年はパチスロ版『麻雀物語2 激闘!麻雀グランプリ』も出たのよ」
「上乗せ多面待ちと銘打たれた高純増ART機ですね」
「パチンコ版とも若干異なる世界観ね、う~わ~の~せ~!」
「通常時のキツさもARTで一気に盛り返す、その一撃性が魅力でしょうか」
「引き戻し演出にパトランランが抜擢され、今や南国育ちまで出張してるわ」
「出玉も演出もメリハリがあるので、ART機派からの支持は高かったですね」
ライバルキャラクターもなかなか奇抜な設定ながら、おおむね好意的に受け入れられ、2012年は新たな麻雀物語の方向性を示した年となった。
ちなみにアキラさんはその後プレミア的な存在になって表には出てこなくなった、大人の事情だろうか。
「2015年は『麻雀物語3 役満乱舞の究極大戦』ね!」
「当時の新内規第一号機、新時代への対応の速さもあり注目が集まりましたね」
「コイン持ちの良さとATの一撃性を両立させた、つもりだったんだけど」
「評価はかなり分かれましたね、メリハリはついていますが、低設定は正直展開がダレやすいかと…」
「まぁ、実験的な意味もあったのよ、きっと」
「システムは賛否あれど、演出関係の評価は高かったのでは?」
暗い話になってはいけないとフォローを入れる。
実際麻雀RUSHの連続上乗せ等、設定差の無いAT中各種トリガー演出も豊富で、楽しませてくれる要素は十分だ。
「そ、そうね、ヒキ弱でも、やきとりチャンスからの逆転なんてドラマも生まれたわ」
「確かな存在感を示しました、誇っていいと思いますよ」
新しい試みをする機種等、評価が徐々に高まるタイプのものは、現在のホール経営スタイルと噛み合わないのが悩ましい部分だ。
「同年には『CR麻雀物語2~めざせ!雀ドル決定戦!~』も出たのよね」
「電チュー解放抽選を独立させたMAX8+は意欲的でしたね…」
「主役も後輩に譲って、風上三姉妹が伝説の雀士としてゲスト出演だったんだけど…」
「ちょっと若さが出てしまいましたかね、挑戦する姿勢は好きなんですが…」
店もそのポテンシャルを活かせなかった台と言えるだろうか、
同年のパチスロ版以上に賛否が別れる結果となっていた。
少しの沈黙をはさみ、私は話を続ける。
楽しい時間をつくるべき店で、お客様を落ち込ませてはバーテンダーの名折れだ。
「パチンコ・スロットの平行展開もすっかり板につきましたね、魅力あるコンテンツの証拠です」
「お世辞でも嬉しいわ、『CR熱響!乙女フェスティバル ファン大感謝祭LIVE』にも出れたしね 」
メーカーオリジナルコンテンツの祭典とも言える、ファンサービスたっぷりのパチンコ。
こちらはスペック違いもあり、現在でも設置されているホールも多いだろう。
少し薄くなったグラスをストローで混ぜながら、さやかさんは天井を見た。
「ふぅ、それにしても物語シリーズ元祖としてトップに返り咲くのは難しいわ」
「あちらは現在では圧倒的とも言えるシェアですからね」
「なんだかあの時代が遠くに感じるな、もう元祖なんて言う意味も無いのかしら」
頬杖をつくさやかさんから、ため息が出る。
人気商売と理解はしているものの、絶大な支持を集めた過去を思うと寂しさを感じるのかもしれない。
…少しお話ししましょう。私は作業の手を止めてさやかさんに向き直した。
「ただ今ご提供しているカクテルはシンガポール・スリング、
その名の通り、1915年シンガポールで誕生した名カクテルです。
そのオリジナルであるラッフルズ・ホテルのシンガポール・スリングは現在、誕生当時とは全く別のレシピになっているそうです。
それは、よりお客様に喜んでいただけるように、誕生から100年の間バーテンダーが創意工夫を続けているからではないでしょうか。
オリジナルであることには誇りを持ってください、でも忘れてはいけないのは、目の前のお客様を満足させたいという気持ちです。
過去を知らない新規プレイヤーにも愛される、さやかさんにはそれができるはず。
貴方の『物語』はこれからも続きますよ。」
「おねえちゃん!物語シリーズには阿良々木さんっていうライバルもいるのだ!」
「あらあら、これは負けられませんね」
「あやか!?まどか姉!?いつの間に…そう、そうよね、みんなでがんばりましょう!」
いつしか会話に3姉妹が揃い、決意を新たにするさやかさん。
勝つために必要なのは相手を打ち負かす力よりも、相手を見る力。
打ち手の求めに応じ、サービス精神旺盛な方が、結果として支持を集めるのではないでしょうか。
季節も夏の盛り、ドアを開ける度に生ぬるい空気が店内に入り込む。
店内のクーラー温度を調整していると、店の外から何か聞こえてくる。
ああ、あの方だ。
姿を見せる前にも、私にはこのお客様がわかってしまう。
お出迎えの準備をしましょう。
SEE YOU NEXT BONUS…
13
岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(14 件)
アキラさんの設定は、突然少年誌的な熱血スケベキャラになっていましたね。
ただ、ハジケてしまった彼も、それはそれでイキイキしていた気がします。
いつも御覧いただき感謝します。
元カレ設定は後付けみたいですけど、当時のファンは困惑していましたね(笑)
今見るとさすがにチープなドット絵ですが、
当時のオジサマ達は熱狂したみたいですね。
余談ですが平和さんの機種は版権の怪盗三姉妹はもちろん、
大空三姉妹、響三姉妹といった三姉妹設定のモチーフが多いです。
またしても素晴らしいイラスト、励みになります。
ちょっと複雑な表情にまた可愛らしさを感じますね。
南国はパトランプ筐体をシリーズとするのか、初代物語から始めるのか、キャラが揃った5号機からカウントするのか、線引きに悩みますね…まさかの「蝶」が来店して
ヽ(・ω・)/ズコー
となるくりくり。さんも見てみたい気がします。
スロのアキラ結構気に入ってたんですが、パチでブレた感が半端じゃなかったです(笑
そうかー、元彼だったのかぁ…
知らなかった(∩´∀`∩)*゜
ちょいエロな感じが良かった(^∇^)
新内規の麻雀物語は、私は好きでしたね(^-^)普段は修行だけど…一撃の魅力がある点。
そして、ヒキ弱な私を助けるヤキトリには本当お世話になりましたo(^o^)o
うん!読んで打ちたくなってきた!
三姉妹の今後にも期待ですね!
Mysterious Girl…って違ーう(>_<)
なんだろうなぁ。岡井モノさんの描写される女性ってすごく色気がありますよね。
いいなぁ。また女性来ないかなぁ。
あの南国で遊んでる四人組とか来ないかなぁ・・・
全部描こうとすると、えらい分量になりそうですけど。笑
そして最後のマスターの語り良いですね!
目頭が熱くなってしまいました。素晴らしいです。
イラスト使っていただいて感激です。
僕のイラストが皆様の中の岡井ワールドを壊さないことを祈っております。
本日のファンアートを送らせていただきます。
『頬杖をつくさやかさんから、ため息が出る。
人気商売と理解はしているものの、絶大な支持を集めた過去を思うと寂しさを感じるのかもしれない。』
ここよかったです!
最近の中学生は恐ろしいでホンマ。
パチ全般でも今や海がスタンダードという認識がむしろ普通なので、知らない人も多いでしょうね。
是非またお立ち寄りください。
bot発言はちょっと失礼だったと後悔していましたが、あきうめ様の寛大な心に感謝です。
これからも互いにがんばりましょう。