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パチンコ&パチスロ最新機能ガイド
2025.11.28
約10球に1球はヘソに誘導、保留3をキープしてサクサク消化! 「コテスタ」がパチンコの新たな未来になる!? サンセイR&D開発者(よう実)に直撃インタビュー!

「超ドデカS」「10カウントチャージ」etc……R&Dの名にふさわしくパチンコ業界に新風を巻き起こし続けているサンセイR&Dが、2025年10月にパチンコの固定観念を覆す新スタートシステムを発表しました。
その名も、「コテスタ(KOTEI START SYSTEM)」!

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・コテスタ開発者さんの生の声を聞いてきた ・コテスタとは約10球に1球はヘソに誘導される「固定スタートシステム」 ・打ちっぱなしで「保留3をキープできるような設計」 ・打感としては、通常時なのに時短中かと思うサクサク消化感&想像以上にパチンコ感 ・ロング変動=熱いの図式はいいかもしれない |
名称通りに“固定スタートシステム”と受け取れば、今までパチンコファンが気にし続けてきた「1000円で何回まわる?」といった考えを根本から覆すことになります。
そこでパチ7では「コテスタ」の真相を確かめるべくサンセイR&Dに突撃し、「コテスタ」の仕組みやそれがもたらす影響などを直撃取材! さらに「コテスタ」搭載で2025年1月5日(月)導入予定の『eようこそ実力至上主義の教室へ』の実機で「コテスタ」が実際に動作する姿を確認してきました。
本記事では「コテスタ」の詳細解説はもちろん、サンセイR&Dの開発意図や狙い、実際に打ってみた所感をお伝えします。
なお、インタビューでは開発担当のAさんがメインで回答してくださり、PR担当のスイッチオンマンさんも同席して対応してくれました。パチ7の聞き手は編集長、本記事の担当がじくとなります。
【開発担当Aさん】

サンセイR&Dのスペックチームに所属し、今回の『eようこそ実力至上主義の教室へ』も企画として担当。開発歴は13~14年。
【スイッチオンマン】

サンセイR&DのPR担当としてSNSやイベントでおなじみの方。今回はブランド推進チームとして同席。
回らないストレスから解放⁉画期的新ユニット!それがコテスタ!

本日はよろしくお願いします! さっそくですがお話の前に「コテスタ」を見てもよろしいでしょうか。

どうぞご覧ください!

▲ほとんどの玉が振分装置(新ユニット)を通過し、約10球に1球ヘソに誘導される仕組み

左打ち中ほぼすべての玉は、盤面の左側にある振分装置を通過し、右側ルート(赤ルート)を通れば最終的にヘソ直行ルートに進んでいきます。ただ、3番目の下段にある振り分け装置で青の左側に行ってしまっても、その下に飛び込みがあります。
ヘソ直行ルートによるスタートを「固定スタート」と呼ぶならば、この飛び込みからのスタートが「変動スタート」になります。スタートのほとんどはコテスタによるものになり、飛び込みからの変動スタートはほぼオマケくらいというイメージになります。

思っていた以上に固定スタートという感じですね。そしてなんといっても釘が少ない! あとでくわしくご説明ください。

はい、それでは機種の概要を説明させていただきます。本機はコテスタと超ドデカSを搭載した超人気コンテンツ『ようこそ実力至上主義の教室へ』がパチンコで登場する形となります。

あ、ヘソも大きいのですか?

そうですね、ヘソも通常のおよそ3倍のサイズになっています。スタートへの入賞をこぼさないためと、見た目の訴求力も目的としています。

▲固定スタートや変動スタートのルートを通った玉が超ドデカSに入賞する

そしてスペックでは、右打ち中ALL3000個でST継続率約87%のロングSTというポイントがあります。

ALL3000個でST継続率約87%というのは大丈夫なのでしょうか? 総量規制的にダメそうな?

それに関してはからくりがありますので、後ほど説明させていただきます。まず新ユニット「コテスタ」に関してですが、現状のいわゆる“デカヘソ”に対してユーザーの懸念点は大きく3つあるとサンセイR&Dでは考えています。
1つ目は、デカヘソに対するイメージとの乖離が大きいという点です。打ってみると実際には「デカヘソなのにあまり回らなかった」とかありますよね。
※本記事では一般呼称として、超ドデカSなどスタート入賞口が大きく設計されたヘソを「デカヘソ」、デカヘソを採用したパチンコ機を「デカスタート機」としています。

22~3回まわればいいか、という感じですよね。

「デカヘソ=もっと回るのでは」というギャップが生まれてしまっている状況なわけです。そのイメージの違いによって不満が溜まっているのではないかと考えています。
2つ目は、スランプ(回りムラ)が激しいという点です。データ上で通常のヘソと比べてスランプが大きく、現状の機種は図柄変動もデカスタート機なのに止まりやすいという、よくわからない状態になっています。
3つ目は、オーバーフローが多いという点です。オーバーフロー率自体は普通のスタートと変わらないのですが、単純に入る玉の数が2倍なので、そこがストレスになっています。
こうした地味なストレスも含めて、デカスタート機への不満が溜まっているのではと考え、今回のシステムが開発されました。
今回のコテスタでは、固定スタートシステムによって非常にストレスなく打てるようになっています。先ほど見ていただいた3連ユニットの内部は、上段と中段の2つの装置での振り分けが左1:右3の割合になっています。

なるほど、上中段では右の赤い方の75%でヘソ側に寄るということですね。

下段の装置だけ左5対右1、ヘソ側に向かうのはおよそ17%となります。75%、75%、17%の振り分けで、約10玉に1玉ヘソに誘導するような設計になっています。


それに合わせて図柄変動の設計もしているので、普通に打ち続ければ(打ちっぱなしでOK)保留3個をキープできるような設計になっています。
そして同時に長時間遊技や“ながら遊技”でも非常に快適に打てるようになり、アウト(台に打ち込まれる玉数)性能が飛躍的に上がります。
「時間アウト」という左打ち状態で1時間に飛ばせるアウト数を示す用語がありますが、本機は現行機種の中でも高い約5650発を打ち出せる想定です。

つまり、打ちっぱなしでOKだし、止め打ちもしなくてよい、ということですね?

はい、固定スタートシステムを搭載することで超快適な図柄変動を実現しています。また、時間アウトが上がることで、結局当たりまでの間隔も短くなり、通常時の“何も起きない暇な時間”を短縮できる形になります。
次にスペックですが、右打ち中ALL3000個でST継続率約87%という形になっています。これにはからくりがありまして、スペック表やグラフを見ると分かりやすくなります。


※3000個は10R×2回
※ST継続率約50%はTREASURE HUNT(ST65回)の引き戻し率
※ST継続率約87%はTREASURE HUNT EXTRA(ST145回)の引き戻し率
例えば、LTの上位RUSHではST145回で約1/71.6を引くのでST継続率が約87%となり、当たれば必ずALL3000個です。そして、当たった後に毎回ジャッジを行います。

LTが転落する可能性があるということですね。

そこでも87%の振り分けを取ってジャッジを通過すれば、再度STに復帰するという流れになります。
今回2段階の設計にした意図としては、1回の抽選で当選と言われるより例えば「70%を2回で約50%を通す」といった形の方が、“やれる感”を体感的に感じる人もいるのではないかと考えて設計した、という点です。
もう一つは、単純にこの形が最も玉を出せるという点です。今回、ロングSTで最も玉を出す設計にしたかったので、この2段階設計にしました。
通常時からの流れですが、通常時の大当たり確率は1/349です。重い数字ではありますが、いわゆる高回転のデカスタート機なので普通のヘソに換算すると体感的には1/179〜1/199くらいの感覚です。
通常時の大当たりから50%でまず下位RUSHに入ります。残りの50%は3ラウンドを取って通常に戻ります。
下位RUSHに関しては、STが65回で継続率が約50%になっています。大当りで3000発を獲得でき、その後で73%の振り分けを取れればLTの上位RUSHに行きます、という形です。
少しハードルは高いのですが、先ほどお伝えした通り右打ち中の出玉性能が良い分、ある程度は絞っていかないといけないという設計にしています。

LTでは87%を2回抽選しているということですね。

LTの継続率は87%×87%なので、実質は約75.7%になるというイメージです。
既存のALL3000のST機と比較するとRUSH抜け時に3000発もらえる可能性のある点が大きく違ってきますね。

ちなみに賞球なのですが、ヘソの賞球は1個ですよね?

はい、1個賞球です。

よく考えていますよね。保留3個をキープするために変動時間をコントロールしやすそうです。

たしかに6.4秒に1回入賞する想定なので、そういう意味で保留の管理がかなりしやすいです。
それに合わせて、今までであればノーマルリーチがかかると変動時間がズレてオーバーフローしてしまいますが、、今回はSPSPリーチに発展するまでは長変動を出さない、という仕様にしています。極限まで通常時の時間を圧縮する、というイメージですね。

リーチも最終形まで発展したら、おおよそ50%以上の期待度があります。

ユーザーとしては、1店舗に数台でも置いてあれば「助かる機械」になり得ると思います。逃げ場になるというか。

どのホールで打っても「一定の回転数は見込める」という利点はあると思います。「500円だけ打ってみて、全然回らない」という体験は防げますね。

安定して抽選を受けられるというのは大事です。初心者さん向けにもいいのかもしれませんね。

チャレンジな部分ではありますが、稼働すると思っています。

サンセイR&Dさんってこういったチャレンジングなことを突然やりますよね(笑)

今までは、弊社が超ドデカSを始めたら他社さんもデカスタート機を始めて、大体ウチって早すぎるんですよ(笑) それで結局、他社さんに捲られることも多くありました。今回は頑張って自社でおいしいところまで取りきりたいというところです(笑)

そう言えば、通常時も大当り中も右打ちをする『P笑点 目指せ!座布団10枚』という御社の機種がありましたね。


たしかにあれも右打ちがずっと続くという考え方で、かなりコテスタに近い発想かなと思っています。そういう意味でも、サンセイR&Dは先駆者的な部分があると思っています。
「コテスタ」でも玉遊びは健在⁉

では、内容別に質問させてください。まずコテスタについて先ほどある程度ご説明いただきましたが、改めて詳細を教えてもらえますか?

打ち出し玉数に対して一定程度ヘソに誘導される仕組みとなっています。3つの振り分け機構により約10球中1球はヘソに誘導される形で、ワープ部分からの飛び込みのスタートと振り分け機構によるスタート分を組み合わせたものが、今回の機種のスタート回数となります。
そのためスタート回数のブレが大きく軽減されており、打ちっぱなしであれば保留3個以上をほぼキープできるような設計値です。


3つの振り分け機構があり、最初の2つと最後の1つで振り分けの確率を変えている点の狙いは何ですか?

なるべく自然な遊技体感にしたかったというのが大きいです。玉の動きがなくなってしまうのでは、という懸念を避けるために、あえて違う数字を採用しています。

たしかに、玉の振り分けを見ていると「どっちに行くのか?」と気になりますよね。玉の動き的な楽しさも感じられます。

最終的には、この分岐でおよそ1000円あたり27回ぐらい回るように最終的な数値を決めています。
今でも市場で23~4回まわるデカスタート機はそれなりにあると思うのですが、そこに対して「明らかに回転しているよね」という体感を付けたい、という狙いがあります。

いろいろ試して実射もされていると思うのですが、ブレはほぼ出ない感じですか?

ほぼ出ないですね。ブレる部分は、飛び込みの部分ですね。

コテスタは「タイパ重視の若年層」や「夜からの一勝負」の人向け

次の質問ですが、コテスタはどのようなユーザーをターゲットにしていますか? また、どのようなスペックに「コテスタ」が合うとお考えでしょうか?

コテスタによって通常変動のブレが無いため、無駄が一切なく消化効率が理論上最大となっております。通常時の暇な時間を極限まで圧縮していますので、「タイパ重視の若年層」や「夜から一勝負」のお客様をターゲットにしています。
このような狙いから、コテスタは短時間勝負が可能なLT期待値の高いスペックに合うと思っています。

よくSNS上で「ながら遊技」が議論になりやすいのですが、これはもう世の中全体がすべてを“ながら”でやる流れになっていて、個人的にはそれが当たり前だなと感じています。開発の方はその辺りをどう考えられているのかな、というのが気になりまして。

これは僕個人の考え方の話になってしまうのですが、最初はやはり「今までのパチンコの楽しませ方」で遊んでほしい、と思っていました。

流れる玉を見てほしいし、液晶も見てほしい、と。

ただ、実際に自分がホールさんに行って打っているお客さんやその様子を見ていると、その考え方自体がもう少しずれている、現在の実態とは違ってきているな、と感じました。そうであれば、今のお客さんに対して一番気持ちよく遊技してもらうにはどうすべきか、というところに発想を切り替えた方が良いのではないか、と。

先バレの功罪でもありますね。

最初は少し抵抗もあり、それを認めることにこだわりとの葛藤がありました。自分たちは魂を込めて作っているわけで、それを「いい遊技と言えるのか」「パチンコと言えるのか」という葛藤はもちろんありました。

自分もゲームが好きでよくやるのですが、ゲームをしながら動画も見ています。だから「パチンコは集中して遊べ」と言うのは、少し変な話だなとも思います。漫画を読みながら動画を見ている人も多いですし、そういうものなのだろうな、と。

考え方をいろいろシフトさせていく必要がありますね。

本機の仕様でいうと、すごく良い方向だと思っています。ながら打ちはしやすいですし、先バレのカスタムもあるでしょうから(あります)、そういうユーザーにもかなり刺さりそうな気がします。

そうですね。若年層向けというところもあり、『ようこそ実力至上主義の教室へ』というコンテンツも比較的若い人向けのものです。

来年にはアニメの4期も予定されていますからね!

▲『ようこそ実力至上主義の教室へ』公式サイトより

夜からの稼働を上げてくれているのはやはり若年層というデータが出ています。

会社員の方々などですか。

そうですね、そういった人たちがサクッと打つようなイメージです。

確かにコテスタであれば「1万円ぐらい打てば、確率分母まではいかないけど、ある程度は勝負できるよね」というイメージが持てそうです。何より安定してヘソに入る、つまり抽選は受けられるというのは大きいですね。

大当たり確率でいうと少し足りないぐらいではありますが、それでも「1万円で1勝負」というイメージは十分にしやすいと思います。
コテスタへの反対意見とサンセイR&Dのチャレンジ精神

次の質問です。開発にあたって「これはホールさんに嫌がられるのではないか?」という考えはかなりあったと予想していますが、実際はいかがでしたか?

最初はめちゃくちゃ反対がありました(笑)
ただ、何かにチャレンジしていかないと今の問題点を解決できないと思っています。そういった問題にチャレンジさせてほしい、という思いを営業部や上層部にも伝えつつ、最終的には納得していただいた、という経緯があります。

それはやはり社風とも関係しているのでしょうか。

そうですね。基本的に「チャレンジはしろ」という社風があります。「失敗してもいいから、とにかくチャレンジをしろ!」という精神ですね。

そこはサンセイR&Dらしさですね。『初代牙狼』なんかは伝説の存在ですよ。

『eパリピ孔明』の独特なCZシステムや『P GOD EATER-ブラッドの覚醒-MP』の10カウントチャージ、『P牙狼コレクション』から始まった超ドデカSなど、そういった先進的な発想から生まれたところがあります。

▲左から『P GOD EATER-ブラッドの覚醒-MP』(2019年4月8日導入)、『P牙狼コレクション』(2019年4月8日導入)、『e牙狼12黄金騎士極限』(2025年8月4日導入)、『eパリピ孔明』(2025年9月8日導入)

そういうチャレンジングな考え方が定期的に開発さんから上がってくるのですね。

はい、ただ当然反対にはあいますが(笑)

やはり今回のコテスタも反対意見は根強かったですか?

そうですね、最後の方まであまり賛成はしてもらえませんでした。

ちなみに、押し切った決め手や口説き文句的なものはあったのですか?

先ほど挙げた弊社の精神である「チャレンジしないとダメだよね!」という部分ですね。デカスタート機の現状は皆さんも把握していますし、「そこを何とか変えたい!」という熱意を伝え続けていました。いわば熱量で押し切りました(笑)
デカスタートに失望したお客様をコテスタで取り戻したい

次はお客様の印象についてです。デカスタートの現状を受けてガッカリしてしまったお客様は相当数いると思いますが、それについてはどうお考えですか?

データを見ると、デカスタート機は普通のスタートと比べて、初動の数字を見る限りではお客様がまだ反応してくれています。その上で、「ちょっと期待はしているけど、やはり…」という状況になっています。デカスタートではない機械と比べると、アウトの稼働数値でいうとデカスタートを搭載した機種の方がまだ少し高くなる傾向があるので、そこは間違いなくプラスには働いていると感じています。
構想はいつから? 苦労やこだわりは? コテスタの開発事情

開発状況についてもお聞かせください。開発のタイミングですが、通常の機械の開発には2年~2年半くらいかかると思います。コテスタの発想自体はそのタイミングでスタートしたのでしょうか、それとももっと前から構想があったのでしょうか?

「他のメーカーさんからもデカスタート機が販売されるぞ」という噂が出始めたタイミングくらいから考えてはいました。ただ、最終的に正式決定となったのは、デカスタート機が市場で動き始めてからですね。そこで「お客さんの反応がしっかりある」というのを確認してから、「そこにある問題点は何か」「その問題点をどう改善するか」という発想で進めました。

デカスタート機の最初の頃は、御社の『P牙狼コレクション』以降も他社の『eフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン 再来-白き一角獣と黒き獅子-』(SANKYO)や『P貞子』(藤商事)もかなり稼働していました。その頃からもう構想はあったのですね。それでは、コテスタの開発で苦労した点はどこでしょうか?

パチンコは本来、玉の動きをベースとした遊びのため、スタートに絡まなくなる“死に玉”の扱いは開発の中でも最後まで議論しました。「全ての玉にチャンスを残す派」と「ある程度の死に玉は許容する派」で分かれ、最終的にはコテスタの強みをより活かせる現在の形に舵を切りました。
こぼれてしまった玉について、例えば「コテスタ」でこぼれた玉は飛び込みで拾える可能性があります。ここから変動スタートとしてヘソに入賞する可能性はあるわけですが、それで良いのか? という議論はずっとありました。
飛び込みからもこぼれた玉はいわゆる“道釘”と呼ばれる部分に流れますが、その玉はヘソに行かない想定です。これってパチンコと言えるのか? という議論もありました。ですが、当初に挙げた問題点を解決するには思い切ってやらないとだめだよね、となったわけです。

それではコテスタでこだわった点はどこでしょうか?

こだわった点は、やはり変動設計部分となります。普通に打っていれば保留3を下回らない想定の設計にすることで、保留切れによるストレスをなくすことができるパチンコ史上初めての機種となっています。ぼーっとしていても、保留切れやオーバーフローがおきないので非常に快適です(笑)
液晶停止秒数が長いと稼働にも悪影響が出るというデータもあるので、パチンコの歴史の中でどんな機械にもある「虚無の時間(保留切れによる停止)」を消せるのであれば、消したいという考えでした。

動かない液晶を見ながらカシャコンカシャコンと玉の音を聞くだけ、というだけの時間がないということですね。変動が回転数固定で進んでいくタイプは、これまでの機種にはなかったですよね?

今回が初ですね。振り分け装置で実現できるスタート数に変動秒数を合わせて、「保留3を維持できるような設計」を実現した、という形です。

▲実際に試打して打ちっぱなしでも、ほぼオーバーフローもなく保留3~4を維持していた
コテスタは「薄利でもアウトを増やす」という運用を期待している

今度はホールさんに関してお聞かせください。導入ホールにおいて、どのような運用を期待していますか?

1玉あたりの利益では他の機種よりも下回る設計値となっておりますので、そういう意味でいえば使いやすいとは言えないと思います。
ただし、どの機種においても一定のスタート回数を下回るとアウト(打ち込み)が大きく下がってしまうという傾向があります。その回数を下回ってしまった場合は、ホール様、ユーザー様、メーカーがみな損をしてしまっている状況です。
コテスタによって物理的にそのスタート回数を下回らない設計とすることで、結果的にアウトが増える“WIN-WIN-WIN”の関係になることを目指しています。

▲開発担当Aさんは、コテスタへの想いやサンセイR&Dのチャレンジ精神を語ってくれた

先ほど申しあげたとおり、アウトが落ちるスタート回数のラインを下回らない設計にすれば、結局アウトは付いてくるはずです。アウトが上がれば、最終的な粗利も取れるよねという考え方ですね。

ちなみに素人意見ですが「設定を付ける方向性はどうか?」という考え方はありましたか?

設定付きパチンコの案も当然ありました。ただ、現状の高いスペック帯の機種で設定を付けるのはなかなか難しく、今回に関しては現実的ではなかった部分があります。設定機に関しても、ここ数年でいろいろ状況は変わってきていますが。

結果として設定付きパチンコはあまり浸透していませんね。

コテスタと設定の組み合わせは悪くないとは思っているのですが、現段階では難しいと考えています。

大当たり確率などのスペックは、かなり検討されたのでしょうか?

そうですね、実際にデカスタート機では1/349でも実質的にライトミドルぐらいの出玉感になってしまうことが多くなります。単純に回転数が2倍なので、÷2したくらいがTS(特賞に必要な回転数の平均)になります。これ以上甘くすると甘デジレベルになります。デカヘソは、ライトミドル以上の出玉設計が難しいのです。
コテスタという選択肢が新たなパチンコの未来の一つになってほしい

コテスタ導入の狙いや影響についてもう少しお聞かせください。

パチンコの新たな未来の1つになればと思います。薄利ですけどだからこそ稼働してくれれば……、今のパチンコ状況において希望になってほしいと思っています。

結局、パチンコで今それを担っているのが海物語シリーズかもしれませんね。

そうですね、そこでコテスタが海物語シリーズ以外の選択肢になればいいと思います。

今後の機種にも「コテスタ」搭載を検討されてますでしょうか?

今回搭載していない斬新なアイデアもたくさん出ている状況で、個人的に打ってみたい仕様も多くあります。なので、今後のサンセイの機種に期待していただければと思います!

でた! ザ・差しさわりのない回答(笑) でも、いろんなタイプの新しい機械が開発されるのは本当に面白いですし、御社がこういう取り組みをするのは“ちょっとかっこいいな”と感じる部分もあります。それはサンセイR&Dの社長さんのお考えが大きいのでしょうか。

基本的にはそうですね。「チャレンジしろ」という方針で、どんどん挑戦しろというスタンスです。 今の社長は初代『牙狼』を作った人でもあるので、チャレンジ精神が強いと思います。
いろいろあったコテスタ開発よもやま裏話

コテスタの発展系がまた出てくれば、設定を付ける付けないも含めて、いろいろ未来はありそうですよね。役物の見せ方もまだまだ出てくるでしょうし。役物といえば、今回の三段の役物にしたところも、議論がありました?

当初の案では2つにするつもりでした。3つにした理由は、玉流れの自然さを実現したかったということと、実現できるスタート数の組み合わせが、2つより3つの方が多かったからです。ちなみに4つはちょっと物理的に厳しかったですね。

見せ方次第ではまだまだ面白くできそうですよね。「入ったら当たり」ではなく「入ったらスタートになる」ですが、ある意味3段クルーンみたいな印象もあります。回転体などを入れたりしても面白そうですよね。

やはり多少は玉遊びの要素も必要じゃないか、と考えています。少しでも遊びを持たせたくて、実は開発中に回転体を試しに付けてみた時期もありました。ただ、最初にご説明した問題点を解決するにはそういった要素がない方がいいよね、という結論になり最終的にはそぎ落としました。

ちなみにコテスタを搭載して釘の数が少ないと、開発費は変わりますか?

ほとんど変わらないですね。今回のような装置を付けている部分の方がややコストが掛かり、釘が減ったから安くなるというわけではありません。一方、ただ検証の時間はとても多くかかりました。

▲盤面画像を見ると、金色の丸の部分にしか釘が使われていないのが分かる

たしかに導入されて「22回しかまわらないじゃないか!」となったら大変ですね。

1か所でも壊れてしまったら「めちゃくちゃ回る」「いや、全然回らない」という極端な結果になりかねませんね。

経年劣化を含めてそこは本当にかなり時間をかけて、めちゃくちゃ検証しています。

最後の質問になりますが「コテスタ」のネーミングは、他にも案はあったのですか?

例えば「スペシャルスタートシステム」で「SSS」といったものなど、ネーミング案はいくつかありました。その中でギリギリまで考えて、もっと直感的に分かりやすいワードにしようと議論されて「コテスタ」になりました。
ちなみにこれは裏話ですが、盤面にあるコテスタのロゴプレートは、枠が当初案の「SSS」で設計されています。直前に名称が「コテスタ」に変わり、何とかデザインを入れ込みました(笑)。それでも、「SSS」ではユーザーに伝わりにくかったと思いますし、「コテスタ」にして良かったと思っています。

▲よく見ると「SSS」でかたどられた枠にコテスタの文字が詰め込まれている

なるほど、たしかに「コテスタ」がいいと思います。それでは長時間にわたりインタビューありがとうございました!

こちらこそありがとうございました。
サンセイR&Dの開発Aさん、PR担当Bさん、ありがとうございました! Aさんからは「そこまで教えてくれていいの?」というサービス精神や熱意を感じる一方、スイッチオンマンもお話しこそ少なめでしたがサンセイR&Dの過去機種にもくわしく(当然ですが(笑))、実機のセッティングもしてくださり大変助かりました。
固定スタートシステム「コテスタ」と『eようこそ実力至上主義の教室へ』、はたしてお客様やホールさんからどのような評価を受けるか今はまだ分かりませんが、サンセイR&Dのチャレンジ精神がパチンコ業界に良い影響を与えることを祈るばかりです。

▲サンセイR&Dの受付にて記念撮影。スイッチオンマンは顔出しOKですが、今回の写真は開発担当Aさんに合わせただけで他意はありません
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- じく
- 代表作:パチスロ青春小説「マーベリック ─ホールの異端児たち─」、遊技林、ゆる調
元ゲームメーカー勤務、現在フリー。前職ではシナリオ・マニュアル・キャッチコピーなどのライターとして過ごし、パチスロを題材とした小説も執筆している。
e-sports系やMリーグ観戦が大好き、たまにTwitchで雀魂やウマ娘やフロムゲーを配信したりもするスロ系でもありゲーム系でもあるオジサンです。



