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人生のヘソ~新インタビュー・ウィズ・スロッター

人生のヘソ~新インタビュー・ウィズ・スロッター

2021.07.21

全方面愛され男の『まじめ脱力』という仕事術。パチスロ必勝本ライター嵐さんのお仕事と成功について迫る!

あしの あしの   人生のヘソ~新インタビュー・ウィズ・スロッター

「パチスロがいつ誕生したか」という問いに正確に答えられる人は、実のところあんまりいません。というか答えらしきものが複数あるので、どの立場をとるのかによって答えもまた変わってきます。

なのであくまで個人的な考えになりますが、筆者はこれ1985年、1号機の誕生をもってして正式な歴史がスタートするものだと思っています。それ以前にもちろんスロット自体はありましたが、これは「カッチリした規則が決まっていない時代」の作品群であり「パチスロとは何か」を考える上では分けて考えた方がいい気がしています。もちろん異論もあると思いますけどね!

さて1号機の誕生から36年。

ガチで古豪の諸先輩からするとまだまだ甘いとはいえ、筆者はその歴史のなかの22年を体験しています。これだけ長い時間、その栄枯盛衰を傍から見てるとやっぱり色々と文化的な変遷はあるもので、あらゆるものが時代に翻弄されるようにはたはたと移り変わっておる次第。お店も、機械も、規則も、広告も。そして、いわゆる「パチスロライター」のお仕事も、です。

はい今回のインタビューウィズスロッターのターゲットはそんな「パチスロライター」という職業について考える上で絶対に避けては通れない御仁である「嵐」さん編です。

今の時代、いわゆる「物書き」としての「ライター」の仕事だけで食べて行くのはハッキリいって難易度インフェルノです。なので「パチスロライター」という仕事の範疇も一時期に比べてかなり広くなっていますが、嵐さんはそんな中で「動画演者」「司会業」などの仕事に真っ先に切り込み、その道を切り開いていったトップランナーのひとりとして知られています。

そこにはどんな苦労があったのか。あるいは、成功の秘訣は一体。さっそく聞いていきましょう!
 


嵐さんはこんな人!
 
茨城県に生を受け高校を留年後大学へ。地獄のような清掃会社勤務を経て一念発起し「パチスロ必勝本」に「わたしの武器はひのきの棒です」という作文を送付したところ採用となる。その風貌からついたキャッチコピーは「ローションまみれの黒王号」。

はじめは「向いていない」とされていたライター業であるが、現在は連載・動画番組に多数のレギュラーを持ち飛ぶ鳥を落とす勢いの人気に躍進。また業界きってのMC役としても知られ、大舞台にて信じられないような仕事を多数こなしておられるレジェンドだ!

 

まずはアイスブレイク! 学生時代・実家のこと・そして家族のことなど!

インタビュー場所は嵐さんに深い縁がある街、東京都小岩だった。しばし付近を散策したのち、「悪★味さんから教えて貰った美味い店があるんですよ」という言葉に誘われるようにして入った蕎麦屋にてまずは乾杯。30分ほど雑談を交わしたのち、編集長がこんな話を始めた。

(編集長:以下、黒字)「嵐さん、今回ですね、ある人から質問を預かってまして……」

(嵐さん:以下、緑文字)「おお。そうなんですか?」

「はい。読んでいいですか? 『嵐さんがお酒に酔っ払って寝てしまっている時に、何をしても起きなくて水をぶっかけました』と」

「はい。それは有名な対処法ですね。自分、ほんと起きないんですよ」

「それでですね──ある時そうしたところ嵐さんは『熱いッ……って言いました。これは何故ですか?』ですって」

「知らんわ! 記憶ないんだから(笑) 誰からの質問ですかそれ」

「えー、マコトさんですね」
※マコト:パチスロ必勝本ライター兼パチ7ライター

「(笑)……一応説明すると、水をぶっかけるというより、なんか水滴を垂らすらしいんですよ。まあ僕は寝てるんで詳しくは分からないんですけども……。これ梅ちゃん(パチスロ必勝本ライター梅屋シン氏)が慣れてるんですが、その水滴を垂らす場所っていうのが、お股の所なんですね」

「あー、おもらし的な」

「そうですそうです。人はお股のところが湿ると『ヤバい! おもらしした!』と思って起きるらしいんですよ。んで僕の場合そこに水をトトトトト……ってやると、『熱いッ!』っつって起きると」

「(笑) 一応、冷たいんですよね?」

「それはもう、分からないです。水じゃなくて、氷を背中の所に入れられる事もあるんですけど、それでも『熱いッ!』って起きるそうなんですね自分。んで『誰だ熱いの入れたのッ!』っつって凄い怒るらしいですけど、全く覚えてないんでこれはもう、回答としては『ごめん!』ですね」

「(笑) わかりました。……てか、結構お酒飲まれるんですね」

「飲みますね。ただあんまり強くないのもあって、よく記憶を無くすんですよ。最近はそうならないように努めていますけど……一回池袋で記憶をなくして、なんか地下の階段に落ちて──もの凄い体勢で寝てたんですね。それで苦しくて起きて……」

「ええ……」

「うわッ何だこの苦しい感じは……。で、パッと目を開けたら周り真っ暗じゃないですか」

「はい」

「僕もう、地獄だ……と思って。ああ俺もしかしたら死んじゃったんだ……」

「(笑)」

「だから今日はちょっとなるべくお酒は控え気味にやりたいと思います」

「僕もよく記憶を無くすんで気をつけます(笑) いやぁ、いきなり面白いなぁ……。まあ、こういう質問もですが、僕ちょっと今日は珍しく事前に準備してきてて……そんで色々チェックしてきたんですけど、その時にネットでこんなのを見つけたんですね。ライターのまとめ、みたいな……。で、これ読んでたんですけど、めちゃくちゃ詳しいんですよ。相当調べてるなぁ……って」

「ああ、存在は知っています。誰が書いてるんでしょうね。でもすごく有り難いですよ。たぶん動画とかも観ながら色々調べてくれたんだろうなぁ……」

「嵐さんはこういうの、ご自分で読んだことあります?」

「いや、全く見ないんで分からないです。どんな事書いてあるんですか?」

「出身とか書いてありますね……。茨城!」

「そうです。茨城県です」

「実は僕もなんですよ」

「あ、そうなんですね。編集長どの辺ですか?」

「千葉の県境の……都会の方ですね」

「あーほら! でしょ? 僕は北の方の茨城町って所なんですけど、県南の人はちょっと北をバカにするんですよ。『まりも』の野郎とか(笑)」

「わかりますわかります……。茨城町はなぁ……。まあ、田舎ですよね(笑)」

「それこそ『ジャーニー』(※嵐・梅屋のスロッターズ☆ジャーニーの事。『パチテレ!』にて毎週日曜日放映中)で色んな地方に行くんですけども、そこと比べてもまあ田舎ですもん。もうホント広大な……関東平野ですよ」

「のどかな農村ですよね……。あとは……高校留年って書いてありますね」

「!! そんなことまで書いてあるんですか……?」

「えーと……緑岡高校」

「俺の個人情報……!!(笑)」

「高校はやっぱりパチスロ関係で留年したんですか?」

「いえ、留年は……野球やってたんですけど、ちょっと怪我しちゃって部活辞めて、そこから少し──」

「グレた感じですか?」

「グレた……までは行かなかったんですけども……要はやることがないから暇で、バイトをしようってなったんですね。でもうちは親が結構厳しくて、高校生がお金を稼ぐなんて何事か、みたいな……それで抑圧された感じというか、不安定な状態になってしまって、家出をしたんです」

「あら。どのくらいですか?」

「……8ヶ月くらい」

「長ッ!(笑)」

「フフ……(笑) それで学校もたまに行ってたんですけど、結局出席日数が足りなくなって留年した感じです。友達のところを渡り歩いて……。最終的に兄貴と一緒に少し住んでたんですけど、留年が決まった時に『お前いい加減にケジメをつけろ』って言われて、それから実家に戻って──2年かけて卒業しましたね」

「なるほど……。でもそれから大学に行かれたんですよね」

「それもまとめですか? 僕の個人情報ダダ漏れじゃないですか。すごいですねそのページ。あとで教えてください」

「ほんとに誰が書いてるんだろうなぁこれ……。まとめには『大学でパチスロにハマってしまい、通ったのはわずか三日』って書いてありますけど、これは(笑)」

「いや流石に三日はない!(笑) でも当たらずとも遠からずで、実際は一年通って16単位くらいは取りました」

「大学も茨城ですか?」

「いえ、都内ですね。同じ必勝本の『大和』もいました」

「あ、それも書いてありますね」

「そのまとめのひとの調査力は一体なんなんですか……(笑)」

 

▲お蕎麦屋さんでの乾杯はアルコール・フリーでした。


「嵐さん、ついでにお聞きしますが、このまとめサイトの小見出しに『嵐はハゲている?』っていうのがあって。これは、どうなんですかね?」

「あー……。来てます。いよいよ最近来ましたよ」

「(笑)」

「なんかここが最近無くなってきて……。ここ! 前は髪があったんですよ。それが──……」

「いや全然分かんない(笑) 普通にボウズなだけですよ」

「いやいや、ここ……ここが前はもっと──」

「全然ハゲてないけどなぁ……。ちなみに、ハゲは気にします?」

「んー。そうでもないですね。諦めてます。ていうか母方のおじいちゃんもツルツルで、父も父で来てるんですね。なので──前門の虎、後門の狼、みたいな……。これはもう遺伝学上、抗えない」

「(笑)」

「だからいつ無くなってもいいように、三十代と四十代の節目はロン毛にしてたんですよ。なのでもう思い残すことはない。全然いつハゲても大丈夫ですよ。最終的にスキンヘッドにしますし」

「確かに。もうこの年になると逃げ切った感ありますよね」

「ね。全然大丈夫ですよ。ていうか宇宙人は毛がないわけじゃないですか。だからそっちが進化してるんですよね。人類も進化していった結果ハゲてる。俺たちゃ進化を先取りしてるわけですよ。無重力で髪とか邪魔じゃないですか」

「(笑)」

「てか髪といえば、ラッシーはあれ、どうしちゃったんですか……?」
※ラッシー:パチスロ必勝本ライター兼パチ7ライター


「ああ、ラッシーさん、今伸ばしてますね」

「なんか駅で会うたびに『ヒッ』って声出そうになるんですよ。こないだ一緒に『シン・エヴァ』観に行ったんですけど、あの風貌で近づいて来た時『殺し屋かな?』と思いましたもんね。そんで上映中、あとちょっとの所でトイレに行くし……。僕も凄い行きたいのを必死に我慢してたんで『この裏切りモンが!』ってなりました」

「ああ、じゃあ折角なんでラッシーさんからの質問を出しますね……」

「うわ、絶対いじってくる感じじゃないですかそれ……」

「えーと……。『キャバ嬢を楽しませるために風呂場でモノマネの練習をしているそうですが、その結果が仕事にも生かされていますか?』と」

「(笑) ……そうですね。まあまあ生かされてますね(ラッシーさんのマネをしながら)」

 

▲その時の様子がコチラ!

 

「嵐さんの愛されキャラは素なのか」問題について。


「で、そろそろ本題に入りましょうか……。嵐さんって、めちゃくちゃ愛されてるじゃないですか」

「えー、そうですか?」

「そうですよ。愛され力が凄い。ちょっとお聞きしたいのが、この『愛されキャラ』というのは、ナチュラルなのか、意識してやってるのか……。例えば好かれているキャラっていうのは当然いるんですけど、嵐さんの場合独特なのが、全方位なんですよ。ホールからも、メーカーからも、当然ユーザーからも……キライ! っていう話を聞いたことがない。これ何でなんだろうなぁって……」

「そこは、自分では自覚がないですし、分からないですね……。でも、そう言ってくださるのは、嬉しいですけど……」

「何か、気をつけてる事とかありますか?」

「えー……なんだろう。でも、まあ普通の事ですけども、自分がされてイヤな事は人にしない……これはまあお父さんがよく言ってたんで守るようにしてます。あと『キャラ』という話でいうと……まあ、ライターをやり始めたばっかりの頃、編集長から『お前はマジでキャラがないから、この仕事は向いてない』って。よく言われてたんですよ。だから編集やれって」

「おお……そんな時代が……」

「はい。それで自分で色々考えて、こういうキャラでいこうとかああいうキャラでいこうみたいな……だけど、結局もうダメだ……って。何やっても滑るし結局上手くいかない。じゃあもう素のままで行ってみよう、それでダメだったら、もう諦めようって思ったんですね」

「もうありままで行くと」

「そうです。ありのまま素のままで。何も考えずに一回やってみようと。それで今まで来てるので──。特に作って愛されキャラを演じてるとか、そういうのは一切ないですね」

「ほえー……。なるほど……。ちなみにキャラを模索してる時はどんな感じだったんですか?」

「それこそ色々やりましたよ。肌を焼いてみたり……。あと『オッスオラ……』みたいな書き出ししてみたり……」

「(笑)」

「いやもうホントに恥ずかしいんですけど、オッスオラは絶対にやっちゃいけない禁じ手じゃないですか。フォースの暗黒面というか。で、案の定ダメで──」

「オッスオラは定期的に湧いてきますけど絶対にダメですよ。一番滑るヤツですもん」

「ですよね。でも小手先でキャラ作ろうとするとね。そうなるんですよやっぱり。それに関しては未だに言われますからね。『前、オッスオラで書いてたよね?』って。下手したら一生言われんじゃないかこれ……。タイムマシンが開発されたらまずオッスオラって書いてる自分の頭を殴りに行きたいですもん」

「ああ、開発されるといいですね(笑) で、嵐さんといえばやっぱり今は動画のイメージが強いんですけど、動画の時にもキャラは素なんですか」

「はい、素であろうと心がけています」

「準備はします? あれを喋ろうとかこれを喋ろうとか……。共演する相手の事を調べたりとか……」

「まあ……あんまり……。他業種の人になるとある程度調べたりはしますけど、同業者だったら全然。肩の力を抜いて、同じ趣味をもつ仲間とお話するぞ……みたいな感じですね。何をするかもまッたく決めていかないです」

「ああ、そうなんですか……。じゃあもう本当に素だ。それであんだけやってるのはバケモンだわ……」

「そんなことはないですよ(笑) だから変に背伸びして作っちゃうとまた……オッスオラの呪縛というか……」

「(笑)」

「自分は考えても面白いことは言えない! という意識が根底にあるので、その場でやって、ダメだったらもうしょうがない! と。だから素で行きます」

「それで成功してるんだから凄いなぁ……」

「凄いラッキーだったと自分でも思います。ちなみに、これ素が大事みたいに言ってますけど、例えば『くり』さんみたいな、本当に面白い人は、素でいっても練りに練っていっても両方面白いんですよ。自分の場合は素じゃないとダメなだけで。だから僕、他の人の動画も一切観ないようにしてるんですよ。影響受けちゃうとマネしちゃって、素じゃなくなって、最終的にオッスオラが出てくるんで」

「オッスオラは封印してください(笑)。えー、他の人の観ないんだ……!」

「はい。何なら自分の動画も観ないですもん」

「自分のも!?」

「そうなんですよ。なるべく観ないようにしてます。他の人のも観たくなっちゃうんで。例えば『木村魚拓』さんの動画とかも、観たら絶対面白いし勉強になるのは明らかなんですよ。だけど同じことやりたくなっちゃうんで、自分は観ちゃダメなんです」

「あ、影響を受けやすいんだ……」

「受けやすいですね。だってラッシーがベルベットみたいなスーツ着始めた時も『あれいいな』って思ってマネしそうになりましたから」

 

▲検温する嵐さんのレア画像。


「僕、嵐さんと初めてお仕事をさせて頂いた時に、ちょっと怖かったんですよね」

「え、そうですか?」

「もう10何年前、まだパチ7が無い時代なんですけど、某メーカーの某機種の発表会の──」

「あー! やりましたね。懐かしい……」

「はい、あの時僕もその場にいて、もちろん僕は嵐さんを知ってたんですけど、めちゃくちゃ緊張して……今日はホントよろしくおねがいします……って。そしたら『ご丁寧にありがとうございます、こちらこそよろしくおねがいします』って、物腰が柔らかい柔らかい……。でもう、うわあ……嵐さん好きだなぁ……って」

「あー……でも確かに怖そうというのは結構言われるかもしれないです。まあ実際顔は怖いかも知れないですけど……。こないだジロウちゃんと『マルハンチャンネル』の仕事をした時にも、某店の店長さんから『嵐さんめちゃくちゃ怖い人かと思ってました……』って言われましたね」
※ジロウちゃん:ジャンバリ.TVの黒バラ軍団員


「ギャップですよ。それでいい人さが際立つというか。……風俗嬢にもモテるタイプです(笑) あ、そうだ! ちょっと聞きたい事があったんだ。嵐さんと言えば『ローションまみれの黒王号』じゃないですか」

「ああ、うちの『宇惨臭蔵』さんからつけて貰ったキャッチフレーズですね。自分風俗は当時あんまり行かなくて主にキャバラクラだったんですけど」
宇惨臭蔵:パチスロ必勝本のベテランライター

「やっぱそっちの方面からモテます?」

「どうだろう……。モテるかどうかは分からないですけど、風俗で9時間ひたすら女の子の身の上話を聞いてた事はあります」

「どういう状況ですかそれは(笑)」

「わかんないです……。なんかもう聞いてるうちにもっと聞きたいもっと聞きたいってなって……。風俗嬢の方も聞いて貰いたがってたんで、気づいたら延長に延長を重ねて9時間ですよ。僕その日が給料日で気が大きくなってたのもあるんですけど、最終的に全然お金が足りなくて、お店の人も『じゃあもう今持ってるだけでいいよ』って、ちょっと安くしてくれて──」

「給料日に全部いかれた(笑) てか、やっぱそれは確実にいい人のエピソードですよ。普通は9時間も話聞けないですもん。しかもお金払って──。ああもうかなり見えてきました。やっぱ素の人柄がいいんだなぁ……」

「まあ……人柄はどうか分かんないですけど、風俗にせよキャバクラにせよ、ちょっと変わった相手だと楽しくなる傾向は間違いなくあります。ただワーって騒ぐより、席についた瞬間いきなり仏頂面で何も喋らない子とかのほうが燃えますね。よーしキタキタって。肩をぐるんぐるん回す感じというか。そういう子と頑張って話して打ち解けて、そうしてなんかのタイミングでフッと笑顔を見せてくれたりすると『いやあ今日もいい仕事したな』って」

「で気づいたら9時間……」

「はい、財布の中全ッ部いかれる」

「(笑) いやぁ、いい人だ……人柄ですよやっぱり。僕絶対ムリですもん……。すぐチェンジ! って。嵐さん、風俗とかでチェンジしたくなった事とか無いんですか?」

「あー……りますよ。いわゆる派遣型の風俗なんですけど、ドア開けた瞬間、某お笑い芸人の女性にそっくりの子が居て。しかも話をしてみたら性格も悪くて、ああこれはどうしようかなぁと思いながら、会話しつつテレビ見てたんですよ。そしたらテレビにその芸人さんがちょうどタイミング良く出てきたんですね。で、その女の子がその芸人さんを指差しながら『あたしコイツキラーイ。だって超ブスじゃん』って、同じ顔したその子が言うんですよ。もうその瞬間現実感がグニャァ……ってカイジみたいになって──。なんだこれは本当に現実なのか? ドッキリか? ってカメラ探すみたいな……」

「でもチェンジは……」

「しませんでしたね。3時間キッチリ」

「(笑)」

 

人が嫌がる仕事にチャンスあり。仕事のスタンスと成功について!


「嵐さん、お仕事についての話なんですけど、例えばですけど『この機種クソだな』って思う事ってあります?」

「クソまでは思わないですけど、『ここをこうした方がいいんじゃないかな』って思う事は流石にありますね。でも、実際に『じゃあやってみろ』って言われても自分には絶対に作れないじゃないですか。だからそれが出来る人に関しては、ある種のリスペクトを持つようにしてます」

「おお……なるほど!」

「これメーカーさんだけじゃなくて──例えば『お前、今日からパチ屋のスタッフやってみろ』っていわれても、僕には多分何も出来ない。そういう、自分が出来ない事を出来る人に対しては、ちゃんとリスペクトを持つ……これは気をつけてますね」

「……じゃあそれに付随してちょっと聞いていいですか? 6号機はどう思います?」

「まあそれこそ6号機は全部クソとかそう言う人もいるんですけど、本当にそうなのは規則とかの方であって、機械じゃないんですよね。メーカーさんだって『分かってっけど今はこれが精一杯なんだよ……!』って、そういう風に思ってるのをすごく感じるし──」

「ああ、見えてる事象とかより、その背景を考えるタイプなのかなぁ……」

「背景は凄い考えちゃいます。またキャバクラの話になっちゃいますけど、すごい仏頂面の子とかがいたら『なんでこの子はこんな態度なのかな』って考えてしまうんですね」

「解析しちゃうんだ……!」

「そうですね。解析好きなのかもしれないです。で、解析した結果、色々話して『ああやっぱりそうなんだね』ってなったら、自分の中で肯定できるじゃないですか。この子はこうだからこうなったんだ。ならもう仕方ないとか、そりゃそうだよね、とか。そしたら気持ちが否定に向かわないんですよね。6号機も一緒じゃないですか。背景をしっかり考えたらクソとかそういう風には言えないですし、否定もできない」

「ポジティブ……!」

「そっちのほうが楽しいですよ。それこそ解析して考えて納得して──。またさらにキャバクラの話になりますけど──」

「めっちゃキャバラクラの話になりますね(笑)」

「はいもう、すみません(笑) キャバクラって、突き詰めるとヘルプの子と喋るのが楽しくなってくるんですよね。指名ばっかりだと世界が広がらないんですけど、ヘルプだと横に広がっていくじゃないですか。そうやってると店のスタッフとも仲良くなっていって、情報がどんどん集まってくる。そうすると背景がまたどんどん見えてきて、解析が進む──。結局パチスロもキャバクラも一緒で、見えてるものだけ見てもダメなんですよね。背景とか周りの状況を含めて考えないと──」
 

▲小岩周辺。嵐さんにとって思い出が沢山詰まった街だそうです。


「あとお仕事といえば、嵐さんって色んな事をやり尽くしてる感があるじゃないですか。バンジージャンプしたり、虫食べたり」

「あー、大体やり尽くしてますね。フルマラソン(パチスロ必勝本企画:アプリしながらフルマラソン)もやりましたし……」

「しかもスマホでゲームやりながらですよね」

「そうです(笑) ずーっとこうやってペチペチやりながら走って」

「あれ完走したんですか?」

「一応しましたね。ホントはもっと早くゴールする予定だったんですけど、ちょっと体調が良くなくて……。20キロくらいは我慢してたんですけど、一回止まってからの20キロがもう地獄のようにキツくて……」

「うわぁ……。よく受けましたねその仕事……。嵐さん、仕事を断るってことはありますか?」

「滅多に無いです。断る場合も『日程が合わない』とかの理由なので、嫌だからとかムリだから断った、というのはいままで無いと思います」

「すげえ……。それは何か理由とかってありますか?」

「ンー。単純に、人が嫌がる仕事ってチャンスじゃないですか」

「ああ、そういう考えになるのか……」

「だから、たまに何でも受けすぎて怒られる事はありますよ。お前がなんでも受けるから他が断り辛くなるじゃんかって」

「あー……。お金とかもそんなに気にせず受ける感じです?」

「お金は全く気にしませんね。だからギャラの確認とかもせずにやってて、めちゃくちゃ安く受けちゃった時に周りに迷惑をかけちゃって。それで『ああ、確認しなきゃダメなんだな』って、そういう感覚はいよいよ学びました。それまでホントに気にしたことなかったんで」

「たしかにね。嵐さんがこの金額でやってんだから、お前も──って、そういう風になりがちですもんね」

「そう。実際にそれもあったんですよ。これは流石に後輩とかにも迷惑かかっちゃうなと思ったんで、それ以来は『すいませんその金額だと……』ってちゃんと言うようにしてます。ただ、自分の気持ち的には『別に何でもイイッス』ってのは変わってないですし、何でもやってますけどね」

「おお……金額も仕事内容もそんなに気にしない……。モチベーションとかが別の所にあるのかなぁ……」

「自分この仕事やる前に掃除屋さんの仕事してたんですけど、そこが自分の中での底辺の生活だったんですよ。ほんとひどい仕事で……毎月300時間働いても給料固定だったし、半年くらい休みがなくて毎日働いてたり」

「……ブラック!」

「はい。もう、本当にブラックで。要はその時の経験があるから、今はどんな仕事でも有り難い有り難いって──どんな仕事でもですよ? あの地獄のような仕事に比べれば、今は何をやっても大丈夫です」

「有り難さ……かぁ」

「はい。ホント有り難いです。さっき編集長に言ってもらった、いい人そうってのも、あのときの仕事の影響かもしれないです。自分の足元が崩れて落っこちたらあの地獄が待ってるぞと思うと、何でも笑顔でやりますみたいな」

「そこまで……(笑) その会社、今でもあるんですかね?」

「どうだろう……でも、この仕事始めてから一回だけ電話掛かってきましたよ。丁度その会社のことをコラムに書い時だったんですけど、それを読んでもしかしたら『やばい訴えられる』と思ったのかも知れないですね。社長から直接電話が……」

「おお……!」

「『オイお前、元気にやってんのか?』って。ああはい、何とか元気にやってます、みたいな感じで対応したら、向こうも『よしコイツは訴えないな』て確信が持てたんでしょうね。『じゃ、またな!』って電話切れて。それ以来連絡ないですね」

「それは書いても大丈夫ですか(笑)」

「ああ別に、大丈夫だと思います」

「ありがとうございます。えー、面白いなぁ……。地獄みたいな会社にいたから、今がある……かぁ。逆に、これからやってみたい仕事とかってありますか?」

「そうですね……。昔は『声の仕事』をやってみたいなって思ってた時期がありますね」

「それは、声優? ですか」

「いや、パチスロですね。台から自分の声が出たら面白いじゃないですか。右ィ! とか」

「子供の発想(笑)」

「いや、ほんと子供の発想なんですよ(笑) ボーナス確定じゃァ! とか言いたいですもん。だからペロリナさんとか台になったじゃないですか。あれ羨ましいですもんね」
 

▲お蕎麦めちゃくちゃ美味しかった。

 

今後の目標は「このまま生きていくこと」! その真意とは?


「嵐さんは、何かこうなりたい、とかああなりたい……みたいなのってありますか? アイツ羨ましいなぁとか……足引っ張ってやろうみたいな」

「足引っ張ってやろうは無いですね(笑) 羨ましい……は、あるかなぁ……。でも羨ましいとは少し違うかもしれませんが、例えばバッチ君とか見たら『うわ、面白いなぁ』『上手いなぁ』って思いますよ。でもなろうと思ってもムリなんですよね。いい意味で諦めがいいというか、さっきの話に戻っちゃいますが、素で行かないと自分はダメだと思いますし」
※松本バッチ氏:スロマガライター


「今後の目標とかってあります?」

「強いて言うなら、【これ(この仕事)でずっと生きて行きたい】という目標……というか、欲はありますね。自分はキリギリスだと思ってるんで、いつか冬が来て死ぬのは分かってるんですけど──なんとか冬が来ないように頑張りたい。冬を遠ざけたい」

「西高東低を拒否!」

「拒否したいですね(笑) ワンチャン俺が住んでるところハワイか……まあせめて沖縄だといいなぁって。もちろん若い時はもうちょっと──キャバクラで豪遊するために頑張りたい! みたいな野心があったんですけど、今はもう、とにかくこれで生きたいという欲がある、みたいな所ですかね」

「あー、でもそれかなり深いかもしれません。今の状況が続くとは思ってない……」

「全く思ってないです。それはない……。あと目標ってわけじゃないですけど、人からは『会社作んないの?』ってよく言われるんですよね」

「大変失礼なことは承知で。それは向いてなさそう!」

「でしょ! そうなんですよ。絶対向いてないし、そもそも『一兵卒で気楽に頑張って生きていく』というのを含めて欲望になっているので、これ以上頑張って何かを目指したりとかは違うんですよね。言葉は悪いかもしれないんですけど、僕は自分の事を社会不適合者だなって。そういう風に思ってるというか、自覚があるんです。で、この仕事って、そんな自分でもギリギリ大丈夫なんですよ。だから、今のこの状況がベスト。恵まれてます。むしろ『こんな恵まれてていいのかな?』って思ってます」

「ああ、そうなんだ……。もうちょい天狗になっても良さそうなもんなんですけどね」

「いや、これは綺麗事じゃなくて、全く無いです。自分がこの立場にいるのが実は謎で、仕事のあとはいつも『これで良かったのかなぁ』と思っちゃいますね。怖いというか……」

「へぇ……!」

「だから天狗になるとかはゼロですよ。むしろ不安です。だって、『今日は手応えがあった』とか思っても、それは主観じゃないですか。本当かどうか分からない。周りから言って頂く言葉もそうですね。常に疑ってます。良かった。面白かった。これも実際どうかは分からないんで──これはもう性格だと思いますけど、どうだ上手いだろう、面白いだろう、とかは全く……」

「ああ、だから目標は【このまま(この仕事で)生きていく】なんだ……」

「そうなんですよ。例えば、これ本当なんですけど、僕は朝起きた時にいつも『大丈夫かな』って思うんですよ」

「な、何が(笑)」

「(笑) いや、昨日までの俺は夢じゃないのかなって。前に、3回くらいループしたことがあるんですよ。明け方に当時の編集長から電話がかかってきて『嵐くんはもういいや』みたいな事言われて……。え、なんでですか。悪いところがあったら直すんで言ってください……みたいな。『いやもう会社で決まった事だから悪い』って……そこでパッて目が覚めるんですよ」

「ほお……」

「で、ああなんだ夢かよと思ってスマホを見て『ああ、着信ないや、やっぱ夢かよ良かった……』ってなったところで、もっかい目が覚めるんですね。え! 今のも夢! みたいな。これが3回ループして、結局電話はあったのかなかったのか……って。で、最後に起きた時から今に繋がるわけですけど、今この瞬間のこれも夢かもしれないんで、もう、毎朝『大丈夫かな!』ってなるわけですよ」

「……それ受診した方がいい系のアレじゃないですか(笑)」

「(笑) いや、ホントにあれは恐怖体験ですよ……。電話しましたもんね。編集長に。『ちょ、今、電話しました?』って」

「早朝に(笑)」

「はい。『……何いってんの?』って言われましたね」

「いやー、でもやっぱもしかしたら状況に対する不安ってのが表に出てきてるのかもしれないですねぇ」

「そうだと思いますよ。今が恵まれ過ぎてるという感覚は、ずっとありますからね。だから目標とか会社作るとか、そういうのは全然──。ただ今の仕事を今まで通り、ずっとやって生きていきたいって、そういう風に思いますね」
 

▲編集長と仲良くお散歩中。「あっちにホールあったんですよね」

 

本当に優しいのは梅屋シンさん、という話。


「嵐さんはもう、この業界でもトップランナーというか……立ち位置的にもかなり『先輩』じゃないですか」

「まあ……まだまだですけど、年齢的にはそうなってますね」

「後輩から相談を受けたりとかありますか?」

「んー。無くはないですよ。相談されたらしっかり答えますけど……自分からこうした方がいいとかああした方がいいみたいなのは一切言わないようにしてます。そのあたりは自分結構冷たい人間だと思っていて……。要するに、そこを言っても気づくか気づかないかは本人次第じゃないですか。最終的には本人が気づかないと意味がないと思ってるので、僕はあんまり言わないですね」

「気づいても言わない……」

「はい。自分からはそんなに。よっぽど仲が良かったらもしかしたら言うかもですが、滅多に言わないですね。その辺、梅ちゃん(※梅屋シンさんの事)は対照的で、凄い仲間思いなんですよね。だから真剣にアドバイスするし、相手の為になると思った事は自分から言う。僕は彼のそういう所をすごく尊敬していて、彼こそが本当の意味で優しい人間だと思うんです。もちろん梅ちゃんがパーフェクトヒューマンかというとそうじゃないんですけど、間違いなく僕が出来ないことをやってるんで、凄いと思ってます」

「お二人仲良いですもんね!」

「仲良いです。仲良くやれてるのは、僕も彼のことを尊敬してるし、彼も僕の考えというのをすごく尊重してくれるからなんですね。お互いがお互いの事をちゃんとリスペクトしてるんで、もう十何年、月何泊とか泊まっても、ホントにケンカとか一切ないです」

「あー……僕、お二人の今の話でいうと完全に嵐さん寄りのタイプですね。人に注意できない。できない……というか、したくないんですよ。無駄になることが多いし、すごい体力と精神を使うから。でも責任が出てくると言わなきゃいけない場面も出てきちゃうじゃないですか」

「わかります。それで、アドバイスしたり注意したことでこじれる場合もありますからね。自分もそれを避けちゃってるのかも知れない。だから、優しいとか、優しそうとか言っていただけるんですけど、本当に優しいのは梅ちゃんみたいな人で、僕は全然冷たい人間だよと。誤解してますよって、そう思ってます」

「冷たい。でも、好感度はめちゃくちゃ高い」

「……これは、下手は打てねぇなァと思いますよね」

「(笑)」
 

▲喫煙は加熱式・紙をダブル装備。TPOで使い分けてるそうです。

 

パチスロライター嵐さんの「成功の分岐点」とは!?


「じゃあですね、そろそろ時間もあれなのですが……このインタビューって、その人の成功の分岐点を探ろう、みたいなのが根底にありまして……。もうズバリお聞きますけど、『この仕事が今に繋がる一番大事なターニングポイントだった』みたいなのってありますか?」

「えー……動画で言ったらやっぱり初めてレギュラー番組を持たせてもらったパチテレの『嵐・梅屋のスロッターズ☆ジャーニー』とか、あとはMONDO TVの『パチスロリーグ』と、それからサイトセブンTVの『バトルリーグ』という3つの柱があって、それでようやく皆さんに認知してもらえたかなぁというのがありますね」

「番組出演のきっかけってなんかあるんですか?」

「これは人の縁ですね。『ジャーニー』に関しては完全に兄さん(※射駒タケシさん)のおかげです。もともとは兄さんの番組にゲストで呼んで頂いて……まあその番組自体は『何やってんだ俺』みたいな感じで全く手応えがなかったんですが、結局それが巡り巡ってレギュラー番組につながって……みたいな」
※射駒タケシ氏:パチスロ必勝本、兄貴と慕われる伝説のライター

「人の縁かぁ……」

「はい、何回も言いますけど、僕本当に恵まれてるんですよね。文章はもともとそんなに自分で自信がある方じゃないんですけど、動画の方で色々な人に巡り会えて縁をつないで頂いて……」

「文章は自信がないと」

「ちゃんと書けてるという意識がないですね」

「えーとですね……ちょっとここで質問が来てまして」

「(笑)」

「『パチスロライターとして文章で手応えを感じたのはいつ頃のどんな記事ですか』というものなんですけど」

「これ誰からの質問ですか?」

「えー、マコトさんですね」

「(笑)」

「ええと、ちょっとこれ続きがありまして『個人的にはパチスロをキャバクラに見立てたコラムがそれにあたるのではないかと思っています』だそうです」

「それ質問じゃなくてもう個人の感想じゃん(笑) でもまあアレは確かにターニングポイントかもなぁ……」

「これ僕、失礼ながら存じ上げなくて、どんなコラムだったんですか?」

「なんか読み切りというか一回こっきりの企画ページなんですけど、なに書こうかなって悩んだ末、『主役は銭形』の前兆演出をキャバクラに例えたんですよ。ちょっと内容は詳しく覚えてないんですけど、編集部内ではそれが面白いって評判になったらしくて、実際それから書き物のページがちょっと増えたんですよね」

「ほー……。自分としてはどうだったんですか? 書いた時」

「だ、大丈夫かなコレ……って」

「(笑)」

「今でも毎回大丈夫かな……って思ってますけどね(笑)」

「感覚で書くタイプなんですね。勉強っていうよりも。僕もそうですけど」

「完全にそうです。麻雀とかは戦術書とか読むんですけど、学業の方はちょっと……つって(笑)」

「でも、それで評価されてコラムの仕事が増えて……」

「さっきのキャバクラコラムですね。はい。あれで実際増えはしましたけど、やっぱりターニングポイントでいうと人きっかけが多いんですよ。また兄さんの話になりますけど、もともとそういうコラムの仕事が来たのも、兄さんが編集部に『嵐にもうちょっと書き物の仕事させた方がいいんちゃうか』って言ってくれたのがきっかけだったりするんで──なので何にせよ自分でチャンスを作ったというより、誰かがチャンスを与えてくれたから『じゃあ顔を潰さないように頑張ろう!』って、そこでやっと一念発起するみたいな……。だから基本的にダメ人間です」

「いやいや(笑) でもほら、射駒さんだって書けない人にチャンスはあげないでしょうから、もとから何かあったと思いますよ」

「ああ……それでいうと、ちょっと恥ずかしいんですけど、兄さんは僕の面接もやってくれて作文も読んでくれて、そこで『ああ、この子は書ける子やな』って思ってくれたらしいですよ」

「ああ、伝説の作文ですね……? なんでしたっけ。私の武器……みたいな」

「それです。あれは自分で考えたわけじゃなくて、課題が『私の武器』だったんですよ」

「私の武器はひのきの棒とぬののふくです、みたいなやつですよね。ぬののふくは防具なんですけども」

「(笑) 自分で絶対読みたくねぇ……。あれ編集部にまだあるらしいんですけど、いつか盗み出して燃やしたいんですもん」

「ハハハ(笑) まあ動画番組と文章と……あと嵐さんといえばMCのイメージも強いじゃないですか。だいたいパチスロ系のMCと言えば、嵐さんとかバッチさんとか、やまのキングさんとか……」

「自分ではそんなになんですが、これも最初はなんとなーく『やる?』みたいなのが来たんで『じゃあやります』、みたいな感じだったんですよね。これも大丈夫かなぁって毎回思ってますよ。手応えがあるかというと微妙ですし、そもそも苦手なんですよ。大人がいっぱい居る現場は」

「(笑)」

「未だに膝が震えてますからね。動画とかじゃ分からないかもしれないんですけど、現場で見たらわかりますよ。カタカタ言ってるの」

「ウッソだァ!」

「いやホントなんですよ。これ誰も信じてくれないんですけど自分緊張しぃなんですよ。だからMCが上手いとか面白いとかは自分で信じてないですもん。ただ緊張に次ぐ緊張……。でも、終わったあとの充実感は凄いありますね。ああ、やりきったぞ……みたいな」

「やってる最中に『この人達を輝かせてあげよう』みたいなのって思ってます?」

「そんな余裕ないですね。震えるのに精一杯で」

「えー、そうなんだ……。上手なのに」

「結果的に上手くいってるなら良かったです。もし上手くいってなかったら、もうこれはキャスティングミスですスミマセンって謝るだけだと、開き直ってます(笑)」

「あの……辻よしなりさんとの……」

「もー、それも! プロレスの仕事ですね。ユニバカサミフェスの」

「あれもすごかったですね……」

「『知りませんからね』って思いながらやりましたね。本当に。『いいんですね』って」

「あれは怖かったろうなぁ……。やっぱ、逃げたくなったりしましたか?」

「んー。緊張するし震えるんですけど、逃げようとは思わないですね。やるって決まった以上、全力でやらないといけないって。そこは意識するようにしてます。これは普段の動画とか文字の仕事も一緒なんですけど、やるとなったらちゃんと全力を出す。ただ心のどっかで『知りませんからね』とは思ってるんですけど、やることはしっかりやると。これは今までの道のりでやった仕事全部そうですね。不思議と逃げようとは思わなかったです」

「嵐さんの今までの話を総合すると、成功のポイントというのは……」

「まず人の縁と、それから与えられたチャンスで逃げずにちゃんとやることですね。怖がってもいいですし、実際開き直っちゃってるんですけど、それでも最終的にはしっかりやる。というのが、もしかしたら良かったのかもしれないです」

「うん……! なるほど。これはいい結論になりました……。じゃあ最後に、もうひとつ質問が来てるんですけどいいですか?」

「どうぞ(笑)」

「『私がパチ7で仕事をする事になった時、どう思いましたか?』だそうです」

「これはラッシーですね」

「そうです」

「うん。『良かったじゃん』って思いました。これは背景に色んな話があるんで読者の方には通じづらいかもしれないですけど、要はパチスロライターってどうしても先が見えない部分があるんで、自分で開拓していかないといけない道は出てくるんですよ。僕はもう何度も言いますが恵まれてる部分が本当に大きいけど、そうじゃないライターも沢山いて、その中で各々が活躍の場を広げていくというのは、単純に『良かったじゃん』ですよ。もちろんラッシーだけじゃなくてですね。もはや所属する会社もあんまり関係なくて、みんな結局、同じ趣味を共有する仲間なんで」

「はい! 以上になります! 今日はほんとうに、ありがとうございました!」

「いえいえ! こちらこそ。ありがとうございました──!」
 

▲長時間、ありがとうございました!

 

まとめ! 嵐さんについて分かった事。


嵐さんと編集長の話を横で聞きつつ咀嚼していったのだけど、何となく「嵐」さんという人の中身が見えてきた。もちろんその人の全てをたかだか数時間で全部飲み込んで消化するのはムリだけど、少なくとも「仕事に対するスタンス」や「考え方」はうっすら見えたと思う。

僭越ながら筆者が感じたのは、良い意味での「脱力」だった。

決して気負わず、かといって手を抜くわけではなく。ありのままの自然な姿で「自分」を出していくスタイル。これはかなり独特だと思った。もちろん実際には全てナチュラルなままで挑んでいるとは決して思わないけど、それでも「そうあろうとする」意識はかなりビンビンに感じた次第。筆者も今まで決して少なく無い人数のライターさんにインタビューしてきたけど、嵐さんの独特、かつスペシャルな部分はこのスタイルなんじゃないかと思う。

インタビュー時間は3時間ほど。もちろん文字数の関係上、ここに出せなかった話も多数あるけど、その中で嵐さんは事あるごとに「他のライターさん」を褒め、尊敬の念を示しておられました。この謙虚さは恐らく「懐の深さ」と、そして本来の人柄の発露であろう。

編集長も本文中で何度も「いい人そう」というイメージについて述べているけども、要するに、話してみるとまっことそのまんま。実に実に「いい人」であった。「人柄」というのがそのままキャラになり、そしてその素を出すことでパフォーマンスにつなげる。稀有……とまではいかないかも知れないけど、セルフプロモーションありきの業界において、かなり独特なスタイルなのではないだろうか。今回はもしかしたら、読者の方もそうだけど、業界内の人にとってより参考になるインタビューだったかもしれない。

お付き合い頂いた嵐さん、ありがとうございました!

さて、今回のインタビューはここまで! 前回から今回までかなり間が空いちゃったけども、次回はそれよりかなり早く出せると思います。お相手は……恐らく史上初インタビュー。かなり意外なあの山賊のひとです。
 

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この記事へのコメント(8 件)

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あしの
投稿日:2021/07/22
獅子皇さん
チワッス! なにそのエピソード! やっぱすごいなぁ嵐さん……。ステキですね!
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獅子皇
投稿日:2021/07/22
前にある動画で嵐さんがドッキリにかかることになり
番組Dから私の知り合い(素人)がサイン貰うふりしてビリビリペン渡すと言う事をやったのですが
やっぱり反応が素な感じでした
やられた後の反応もその後、謝りにいった時の対応も嫌な感じがなくて
何時もこんな雰囲気の方なんだろうなと思ったのを思い出しました
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あしの
投稿日:2021/07/22
ししょーさん
チワッス! 間違いないですね。大安定の御仁です。再確認しました。
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ししょー
投稿日:2021/07/22
ほんと見てて安心感があると言うか、動画を見てて、嫌な気分になったことがない人かと。良い人なんだなあと
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あしの
投稿日:2021/07/22
イカボールさん
チワッス! ありがとうございます! 現場も非常に楽しかったです! おっしゃる通り、何か凄い身近に感じる人柄があられました。そういえばアラシステムについて聞くの忘れてた……!
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イカボール
投稿日:2021/07/22
元々嵐さん好きだったんですが、失礼ながら記事読んでてどこか親近感が湧くというかなんというか。楽しい記事でした。アラシステムはたまに使います。
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あしの
投稿日:2021/07/21
*Luna*さん
チワッス! なんか嵐さんは動画そのままの人柄でものすご楽しいインタビューになりました! 俺も改めて大好きになりましたー!
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*Luna*
投稿日:2021/07/21
めちゃめちゃ面白かったー!
嵐さんの人気の理由が分かった気がするし、緊張してる面もあるんだなーって新しい一面も知れたし、マコトさんとラッシーさんの質問も面白かった(*>艸<)
次回も楽しみにしてまーす!

あしの
代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)

あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。

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