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元・ホール店長カタギリのしくじり店長
2016.06.01
しくじり店長・第19回
平成15年にホールデビューを果たした4号機、吉宗。
「ストック機」というジャンルに属する本機は、
成立したボーナスフラグを文字通り一旦ストックして、
何らかの放出契機と共にそのボーナスを吐き出すという仕組みになっておりました。
全てのストック機において連チャンの大前提となるのは、
「台の内部にボーナスが残存していること」なのであります。
ではここで、皆様にクイズを出題いたします。
「この内部ストックされたボーナスを店側が消してしまった場合、
そのホールは果たして、どういう目に遭うのでしょうか?」
…その答えの前に、
まずは私の店長就任直後の状況について簡単にご説明いたします。
元ヤン・ツジ店長が最後に遺してくれた稀代の名機は、
その圧倒的な出玉性能によってユーザーの支持を獲得。
一攫千金を夢見て朝も早くからオレンジ色の筐体に着席して、
一斉にブン回すお客様たちの姿で賑わうホールの光景は、
あたかも私の店長デビューに華を添えてくれるかのように、
活気と熱気に満ち溢れていたのです。
この好況を目の当たりにしたサガワ課長が、
すぐさま増台の手配をしてくれたお陰で客数もますますアップ、
まさに八代将軍様々、と言うべき日々が続いていたのです。
とはいえ、新米店長としての仕事量は以前とほぼ変わりません。
意気揚々とドル箱を高く積み上げてボーナスを消化する勝者。
天井でバケ単発を喰らって、タネ銭が尽きて真っ青な顔で退店する敗者。
悲喜こもごもの人生劇場の舞台で、私はいまだに脇役でしか無く、
血と汗と涙にまみれた千円札を回収する作業に追われておりました。
そして吉宗の、 いや、加熱する一方のパチスロ人気においては他店も同様。
ワンチャンスで大量メダルを吐き出す爆裂機種を目当てに、
すぐ隣にあるホールに早朝から長蛇の列をなす若者たち。
その目と鼻の先にある近隣店舗には、前日の深夜から寝袋持参で待機する多数の猛者。
私が責任者を務めるオンボロホールは、
優良店から溢れてきた彼らの受け皿という存在でしかなかったのです。
「今に見てろよ、いつかは逆転してやるからな…」
弱小店舗の、反撃の狼煙を見せつけてやる。
いつかは繁盛店に一太刀、浴びせてやる。
そんな思いを込めて力まかせに店のシャッターを上げる、
新米店長・カタギリの姿がそこにあったのです。
その機会を伺いながら他店の状況にも常に目を光らせていたのですが、
この時期、驚くべき光景を立て続けに目撃してしまったのです。
データカウンターに表示されているのは、本来あり得ない数値。
カウントされたゲーム数が、既に天井ゲーム数を越えているにも関わらず、
遊技中のお客様は、首を傾げながらも黙々とレバーを叩き続けている。
「こ、この店、ストック飛ばしてるのかよ…」
それは私にとって、あまりにも衝撃的な事実でした。
前述した通り、ストック機には「成立ボーナスを内部に貯める」特性があり、
貯まったボーナスは台の電源を落としたとしても、消滅することはあり得ない。
出荷状態、つまり新台として導入した初日でも無い限りは、
天井ゲーム数を超えるデータ表示機にはお目にかかれないだろう。
ストックが無くなった場合は、当然ながら放出されるべきボーナスも無い。
すなわち「最大天井を越えたハマリ」が発生する場合がある。
そうなってしまえば、店の信頼はガタ落ちである。
ユーザーを馬鹿にしたような利益最優先の愚行を、
まさか朝から多数のお客様が並ぶようなホールで目にしようとは…。
そう、これが俗に言う「ストック飛ばし」である。
当時からのパチスロファンであればご存知の通り、
一部の店舗では故意に内部ストックを消滅させて営業していたのだ。
「高設定台のみストックを飛ばす」という方針のホールもあったそうで、
その是非については議論の分かれたところでもあったのだが、
店長である前に、大のパチスロファンである私は、
当然「非」の立場であり、大いなる怒りを禁じえなかったのである…。
ならば私は、この姿勢を貫けば良いのだ。
店内の至るところに貼り出したポスターにデカデカと書かれた、
「ストック飛ばしま宣言」という文言は、
今になって思い返せば中学校の卒業アルバム級の黒歴史に近い…。
と、
とにもかくにも他店で行われているような悪質なストック飛ばしは行いません、
と堂々と宣言することによって安心して遊技して頂こうという、
私なりの決意を店内に掲げることで、他店との差別化を図ったのである。
このポスターは、当然ながら常連客から恰好のイジリのネタとなった。
「店長、そんなこと当たり前だろ! 吉宗でストック飛ばしされたらキレるわ!」
と笑いながら私の肩を小突く土建屋の社長。
「カタギリちゃ~ん、飛ばしま宣言ってダサくな~い!?」
そう言いながら私の尻をなでてくる、
エアロスミスのボーカル似の常連さん(たぶんゲイ)。
彼らに向かって私は自信満々に、こう言い放ったのです。
「いやいや、
最近はストック飛ばしている店をよく見かけますからね!!
ウチは絶対にそんなことしませんから!!」
…しかし、
そんな会話で盛り上がっていた日々も、つかの間の出来事でした。
ある日の閉店後。
吉宗のホッパーメンテナンスを行っていたT君から、
「カタギリ店長、
見慣れないエラーが出ちゃって解除できないんスよ…」
という弱々しい報告を受けた私が現場に駆けつけると、
そこには確かに私も目にしたことの無いエラーコードが表示され、
リセットを受け付けなくなっていた八代将軍様と、
台を壊したと思ってオロオロするT君の姿がありました。
直観的に私はストック全消滅の危機を感じつつも、
「大丈夫だよT君、とりあえず課長に連絡して設定し直してもらうよ」
と声をかけて励ましました。
幸いにして課長もスグに駆けつけてくれて設定変更は完了。
「カタギリ、たぶんストック飛んでるから30分ぐらい打っとけ」
という指示を受けて終了。
私も念を入れて1時間ほど遊技して、ボーナスを引くこともなかったので、
ストックも貯まっているだろうから大丈夫だろ、と思って帰宅したのですが…
その翌日。
昼過ぎに店に着いた私が目にしたのは、
最大天井である1921ゲームを越えて、
2000ゲームの大台を突破しているデータ表示機と、
その光景をケータイで一斉に撮影する若者たちの姿でした。
そして私に詰め寄りながら、
「何がストック飛ばしませんだよ、笑わせんな!!」
「やっちゃいましたね店長さん、こんなポスターまで作っておいて!」
「この写真、仲間にもメールで送りましたからね~!」
という嘲笑と侮蔑に満ちた言葉を次々とぶつけてきたのである…。
その後の展開と冒頭のクイズの答えは、
「ストックを飛ばしたホールは、お客様も飛ばしてしまう」
が正解になります。
閉店後に起きた新入社員の作業ミス、
そして、それをフォローできなかった責任者としての誤った判断。
この出来事によって、店の主力機種であった「吉宗」の常連客は、
一斉に他店へと流れていってしまったのです。
何ひとつ店長らしい采配を振れなかった私はサガワ課長からの、
「まぁ仕方ねぇよ、俺がもう少し回しとけって指示すりゃ良かったな…」
という慰めの言葉も心に響かない程、自らを恥じたのです。
今後は、自分にも部下にも更に厳しく接して成長しなくてはいけない。
そう心に誓ったのです。
しかし、その決意こそが結果的に間違いの元でした。
その後の私の言動がより大きな「しくじり」に繋がるとは、
この時、予想だにしていなかったのです…。
カタギリ・今週の1枚
私の祖父母は既にゴートゥーヘブン状態なのですが、
幼少期に母に連れられていったカタギリ家の実家は、
この愛媛県のド田舎にポツンと建っておりました。
最寄駅は写真の「出目」という場所でございます。
正しい読み方は「いずめ」ですが、今なら「でめ」と読みたくなる、
懐かしい写真を公開してみました。
天国(もしくは地獄)の祖父も、あの世で苦笑いしていることでしょう…
編集長の一言
ストック飛ばしま宣言(笑)
まぁでも当時のホールさんにとってストック飛ばしは常套手段ではありましたね。設定6のストック飛ばしキンパルなんかは良く見掛けました。むしろ、そういうイベントもやってるところなんてのもあったなぁ。大抵バケ地獄で死亡遊戯でしたけど…。
多分ね、カタギリさんって、ツイてないんだよ。それか詰めが甘いか。
やってることは間違ってないし、努力もしてる。でも最後のところでフイッと良くない方に転がる。人生経路上、努力を始めるタイミングが遅くて、努力期間が短いからフイッって行っちゃうのかね。
うん、カタギリ氏のスタッフ飛ばしま宣言(笑)をみんなで見守りましょう。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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うっはw
まさか、パチ7で北宇和郡トークをすることになるとは予想だにしませんでしたよw
う~ん、私も近永のホールを覗いたのが2007年の話なので、
もう無くなってても不思議じゃないですよね。
松山市内でも、市駅の周辺の店が激減しててビックリしましたからね…。
松野町です←超ローカルトーク
近永は従兄弟が住んでます
10年前に私も近永のパーラーにいきましたが、多分無いんじゃないですか?
目先の利益のためにストックを飛ばした結果、
完全に信頼を失って潰れた店も多かったんスよね~。
というか、
ストック飛ばされ体験者、多いなぁ~(汗)。
私自身は、ストック飛ばしが怖くて打てなかった台も多かったので、
未体験なんスよね。
絶対に揉めますよね、天井を超えちゃったら…
ごくごく稀に機械トラブルでストックが消えることもありますから、
店も適当な言い訳をしていたんだと思いますけど、
現場で対応する店員さんも、実際に飛ばしを食らったお客さんも、
たまったモンじゃないッスよね…
エノカナ懐かしいッスな!
今でもストック機を語る時には必ずと言っていいほど名前が出てきますね~。
松丸!
松前町ですか! ←超ローカルトークw
従妹が住んでました!
何年か前に帰った時には、近永にパチ屋があったんスけど、
現存するのかなぁ…
キンパルは、設定変更で1個ストックが消滅する仕様になっていたのです。
同一設定の打ち直しを繰り返すだけで、ストックがどんどん減るという、
店にとってはお手軽な台だったのですが…
まあ、そんなことばかりしてたらやっぱりお客さんは飛ぶ訳ですよ…
ああ、何という嫌な時代だったことかw
ひとまずノーコメント、で勘弁して頂けないでしょうかw
私もストックは溜まってるだろ、と油断したのがマズかったですね…
まさか突き抜けるとは思いませんでした…
ああ、
思い出すだけで震えが止まらない…
そうなのですよ。
機械トラブルによる「ストック消滅」は原因究明に時間がかかるため、
お客さんとのもめ事につながりやすいですよね。
そもそも「機械トラブルですから」で納得できる話でも無いし…
いや~、
この時期の話は思い出すだけでも胃が痛いッスわw
飛ばシックスって言ってましたね、そういえば…!
それ自体をイベントにしていたホールもあった、
という話を聞いたこともありますけど、
実際に「飛ばしの6」をイベントで打った体験談も聞いてみたいッスなぁ。