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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

2023.02.02

まさに始まりの福音? 最後の供給過多エヴァパチ『CRヱヴァンゲリヲン ~始まりの福音~』

元・店長カタギリ 元・店長カタギリ   元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~


初代のエヴァパチが導入されたのが2004年。原作アニメが大好きだった私は当時、この台をなんとか導入したいと営業部長に懇願したのですが「こんなよくわからないアニメの台が欲しいの!?」と鼻で笑われて即座に却下。しかしながら、その数か月後。エヴァを見下していた部長自身がエヴァパチにもアニメにもドップリとハマってしまい「良いよね、ミサトさん……」と呟いた瞬間に私の心のATフィールドが消滅。良き理解者が得られたことに大変満足したのを覚えております。

ま、その後に導入した突確搭載機『エヴァSF』は確変中の玉減りが酷過ぎて早々にお客さんが飛びましたけど……。

それまでパチスロばかり打っていた私の心を完全に鷲掴みにしたエヴァのパチンコには、打ち手として語りきれぬ程たくさんの思い出がありますが、今回ご紹介する機種はホール側の人間として苦い経験を味わった、忘れ難いタイトルのひとつです。ユーザー目線で語るならば程々に面白い台ではありますが、導入したホールからの目線で語ると散々な結果に終わった『しくじり機種』なのです。では、さっそく参りましょう。

 

★今回のしくじり機種は『CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~(ビスティ)』

▲CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~(ビスティ)

エヴァンゲリオンのパチンコ第6作目となる本機の導入年は2010年5月。スペック面でも過去の5作品を一新し、さらに新筐体を採用。演出面でも2009年に公開されたヱヴァンゲリヲン新劇場版『破』の映像を使用する等、話題性には事欠かない台ではあったのですが、導入後の稼働状況は芳しくありませんでした。では、何がいけなかったのでしょう?

 

しくじりポイント1:圧倒的な過剰供給にユーザーが追い付けなかった

本機の販売台数は約205,000台。前年の4月に導入された『最後のシ者』がシリーズ最大導入数となる約237,000台とはいえ、この数字は2008年1月導入の前々作『使徒、再び』の約200,000台を上回る数字です。さらに最後のシ者の前年2月に登場していたエヴァパチ3代目『奇跡の価値は』も約187,000台の大ヒット。

それらを設置していた当時のパチンコ店の軒数から、ザックリとホール1軒あたりの平均設置台数を算出いたしますと、2007年のキセカチが15.5台、2008年のシトフタが16.9台、2009年のシ者が20.2台、そして本作『福音』は17.7台。つまり2007年から2010年にかけては、ホール1軒につきエヴァパチシリーズが15~20台設置されていたことになります。

2007年2月に19万弱、わずか11ヶ月後の2008年1月に約20万、その1年3ヶ月後に約24万台、さらに1年1ヶ月後に再度の20万台オーバー。年々、パチンコ店が減少していく中でも「売り抜けてしまえ」と言わんばかりの大量販売&リリースラッシュ。それで実際に売れちゃうのが既にホールのメインコンテンツとなっていたエヴァンゲリオンなのです。

良台であっても導入台数にユーザーの数が及ばなければホールは空き台だらけとなり、導入コストの回収が難しくなります。その結果、調整は厳しくなり、稼働がますます下がる悪循環が生じます。エヴァパチ史上最大のしくじりの原因はズバリ、大量導入による供給過多によるものでした。ま、ホール側の自業自得ってヤツですね。

 

しくじりポイント2:映画での劇的な変化がパチンコに反映されていなかった

本作の導入時期は前述の通り2010年10月ですが、その前年の6月には『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破』が公開されました。アニメ版エヴァをほぼ踏襲した内容の『序』とは異なり、『破』は新キャラクターの登場を始めとした大幅なストーリー改変がありました。

映画の最新作が公開されてから1年4ヶ月経過してリリースされたパチンコ版エヴァ6こと福音ちゃん。こちらも映画同様に劇的な変化があるだろうと期待で胸を膨らませるのがパチンコ・原作双方のファン心理。ところが福音ちゃん、ネタバレ回避のためか否かわかりませんがヱヴァンゲリヲン『破』に関わる演出は控え目。新キャラクターの『マリ』が大当り図柄に採用され、かつリーチ演出にも登場するとはいえ、そこに映画同様の驚きは感じられなかったのです。

苦肉の策か否か。本機にはエヴァンゲリオン四号機に搭乗した渚カヲルが上空から降臨、ロンギヌスの槍による一撃で第6使徒を殲滅する新劇場版には無い完全オリジナルのストーリー演出が採用されていますが、これもプレミアム演出に過ぎません。演出面での劇的な変化に乏しかった『ヱヴァ福音』は期待外れに終わってしまったのです。

とりわけ新劇場版『破』でのストーリー展開の衝撃が記憶に新しかった当時のユーザーはガッカリ感が強かったハズ。ええ、私もそのうちの一人でしたから……。

 

しくじりポイント3:変化した部分の抵抗感が強過ぎた

演出面で大きな変化はなかった福音ちゃんですが、外見やスペックは新たな試みが採用されていました。本機を語る上で欠かせない『レバー役モノ』をシリーズ初搭載。今となってはパチンコの筐体にレバーが付いているのは珍しくも無い上に、『レバブル』という用語もすっかりメジャーな存在となりましたが、この初登場時は卑猥な形状だと揶揄する声や、パチンコにオモチャ付けるなよといった声も多く、完全に色モノ&邪魔モノ扱いされていました。

ホール店員としては「掃除が面倒だな」とも思いましたね、当時は。スペック面でもシリーズ初の『8ラウンド大当り』が存在しました。8ラウンドとはいえ1,000発以上の払い出しがあるので、出玉面での不満こそ無いものの、エヴァパチの大当りは確変・通常を問わず15ラウンドのイメージが完全に定着していた中での8ラウンド大当り採用には、ユーザーからの不評の声が続出。確変継続率こそ70%と前作・前々作の65%を上回っていたものの、特に確変終了の危機となる確変中の8ラウンド大当りのストレスがユーザーの不満に繋がる結果となってしまったのです。

ギミックとスペック。結果的に現在のパチンコの人気を左右する2つの要素でいずれも評価を得られなかった『ヱヴァ福音』ではありますが、メーカーの意気込みとしては新しいものに挑戦する姿勢は感じられましたね。特にレバーに関しては現在ではごく一般的な存在になっているのですから、結果的に成功と言えるでしょうね。当時はTE〇GAレバーとか、散々な言われようでしたが。

 

★元店長カタギリと『エヴァ6 福音ちゃん』

高級ホテルの大広間を貸し切って、ホール関係者を大勢集めてのお披露目。それが当時のエヴァパチの新機種発表会の恒例行事となっていました。

ところが本機ではショールームの一室に数台が並んだだけの『極めて普通の試打会』となっていたところに私は一抹の不安を感じておりました。事実、実機を見た段階で「あ、これはダメかもしれない」と不安の色がますます濃くなったことを今でもハッキリと覚えています。それぐらいインパクトに乏しかったのです。見た目も中身も。

同行していた当時の営業部長の隣で「エヴァシリーズ、また完成していたの!?」と旧劇場版アスカのセリフをオマージュしつつ感想を述べましたが部長は無視。「今回、ちょっと台数を抑えた方が良いかもしれませんね」との助言も、これまた完全無視。結果的にワンボックスの大量導入となった福音ちゃんは、新台入替初日から空き台の目立つ大惨事に。

初代からゴリゴリにエヴァパチを打ち続けていた私の発言、もっと重く受け止めて欲しいなと思ったのですが残念、私はパチンコ店を連発で潰した男、カタギリです。空き台の目立つシマをボンヤリと眺めながら「即、減台だろうな」と冬月副指令のようなシビアな感想しか思い浮かびませんでした。

 

★まとめ ~エヴァ福音による転機~

福音の不振によってエヴァンゲリオンのパチンコに対するホールの信頼は崩壊してしまいましたが、人気シリーズには大きな『しくじり』がつきもの。失敗した理由をしっかり検証し、改善された次回作が再び好評を博すケースも非常に多いのです。事実、福音の次回作となった2012年1月リリースの『ヱヴァンゲリヲン7』では販売台数を抑え、中身も疑似連や先読み演出を豊富に採用、スペック面でもランクアップボーナスを初導入と共にブラッシュアップされており、大型アタッカーの搭載も好評で再び高稼働機種となりました。

また現在も15作目となる『エヴァ未来』がメガヒット機種となり稼働は良好。こちらも豊富な演出、ST中の大当りは全て15ラウンドとなるスペック、恒例の初号機役物に加えてエヴァのコックピットを彷彿とさせるハンドルギミック、さらに業界初となる両手で操作できる打ち出しハンドルと、様々な工夫を凝らして大成功へと繋がっています。

成功は、過去の『しくじり』があってこそ。失敗にめげないメーカーのチャレンジ精神と飽くなき開発努力こそがヒット作を生み出す原動力なのです。本機のサブタイトルである『始まりの福音』とは文字通り、未来に繋がる勝利の知らせを予見するものだったのかもしれません。さて、綺麗にオチがついたところで締めさせていただきますね。

 

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この記事へのコメント(1 件)

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枠下蒼7
投稿日:2023/02/02
コケた理由。

その1
エヴァだからと、初日からガン絞めで殺しにきた。

その2
時短70回とケチ臭くなった。

その3
エヴァ自体に飽きられた。

当時、打ち子グループにいて回る台や捻りなどやってました。福音の入れ替えで片道一時間の大量導入ホールに複数のグループがいましたが、どのグループも打ちませんでしたね。

元・店長カタギリ
代表作:しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。

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▲3店舗を潰した『しくじり店長』の人生録をお楽しみください。(完結)

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