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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
2023.03.03
4号機ニューパル大ヒットの影に咲いた山佐の挑戦。A+集中タイプ『セブンリーグ』のしくじり物語。
元・店長カタギリ 元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
パチスロメーカー『山佐』に対する皆様のイメージはどのような感じでしょうか?
私、カタギリは3号機『スーパープラネット』の複雑なリーチ目に困惑し、4号機の『ニューパルサー』でパチスロの出目の面白さを学び、『シーマスター』で4つ目のリール演出に興奮させられ、『キングパルサー』ではリールのブルリに脳を痺れさせられ、『メフィスト』でパチスロの楽曲に心を揺さぶられ、と語り挙げたらキリがありませんが、ユーザー目線で見ると「出目や演出でとことんユーザーを楽しませてくれるメーカー」というイメージです。
ちなみにあえて「ユーザー目線で」と述べたのは、ホール責任者目線でのイメージを語ると『キッチリ利益を取れる台を輩出してくれる、ハード面のセキュリティが高いメーカー』へと一転するからです。勝ちにくいけれど面白い台を作るメーカーといった感じですかね、総合的なイメージは。
さてさて、今回はそんな山佐さんの4号機初期の迷機『セブンリーグ』のご紹介です。遊技経験のある人は自分がもう若くないことを自覚しつつ曖昧な記憶を頼りに、遊技経験の無いヤングな皆様は、焼き過ぎて焦げ付いたパンを見つめるような気分でご一読くださいませ。
★今回のしくじり機種は『セブンリーグ(山佐)』
▲セブンリーグ(山佐)
本機のホールデビューは1995年6月。山佐初の4号機となる『ニューパルサー』が1993年、翌年に『ダイバーズXX』が導入されたため、山佐の4号機としては3機種目のパチスロとなりますが、導入後の評価はイマイチ。いったい何がいけなかったのでしょうか?
しくじりポイント1:圧倒的な『これじゃない』感
前々作のニューパル、前作のダイバーズ共に、ビッグとレギュラーの両ボーナスの連打で出玉を増やす大量リーチ目搭載のAタイプマシン。続いてホールデビューしたセブンリーグは設定1でも約252分の1という高いビッグ確率に加えて、レギュラーボーナスの代わりにシングルボーナスの集中を搭載した、前2作とは全く違う『ビッグ&シングルボーナスの集中』の2つが出玉増加のカギとなる新スペックで登場しました。
同メーカーからは1991年に3‐2号機の『ホールインワン』がビッグ&レギュラー、そしてシングルボーナスの集中役を搭載した一撃で大量獲得が期待出来るマシン、として過去にホールデビュー。セブンリーグはレギュラーボーナスを廃したビッグとシングルボーナスの集中を搭載した4号機。そしてニューパルやダイバーズに続く新台、ということで導入前に注目を集めました。
しかしながらこのセブンリーグちゃんの集中役、いかんせん性能がショボ過ぎ。
特に最低設定では集中突入率が約819分の1に対して、パンク確率は何と約21分の1。地獄のような投資の果てにゲットした集中役が即座にパンクという、極悪キャバ嬢に貢いだ挙句に手を握っただけでジ・エンド、みたいな圧倒的虚無感に襲われる展開の連続です。高設定域こそ集中に突入しやすいものの異常に高いパンク確率のため、シングルボーナスの連打で集中突入を確信した時の高揚感よりも、パンクに対する恐怖感が上回る不完全燃焼系パチスロだったのです。シングルが連続して「集中に入ったかな?」と期待しても確信に変わる前に終わっている、そんな感じばかりでした。
絵柄や筐体こそニューパルサーやダイバーズXXと同様にポップで興味を惹かれるデザインでしたが、中身は全くの別モノ。山佐4号機の前作や前々作同様のゲーム性を期待したユーザーはもちろんのこと、シングルボーナスの集中による出玉性能に期待したユーザーにも受け入れられずに、短命に終わってしまいました。集中を獲得枚数が不安定なレギュラーボーナス、と考えるポジティブさが全スロッターにあれば良かったのですが……。
しくじりポイント2:ホールが設定を使わない不遇台の宿命
さきほど「高設定域こそ集中に突入しやすい」と述べましたが、確かに高設定だと集中自体に突入しやすいため集中突入→即パン→再度集中突入→ビッグボーナスといった展開になれば出玉は一気に増加することでしょう。
ところがセブンリーグちゃん、ホールで高設定らしい挙動を見かけることが極端に少なかったように思えます。
では何故、セブンリーグに高設定が使われなかったのか? その理由として大きかったのが『ニューパルサー』の存在です。4号機初期に22万台設置を記録した大ヒット作、あらゆるホールで高稼働を誇るメイン機種であったニューパルサーには当然ながら高設定を使用し、ニューパル未導入ホールではダイバーズXXを強化機種として積極的に高設定を使用。ホールにとってスロットコーナーの稼働はニューパル次第、そんな時代だったのです。
設定はニューパルやダイバーズに使用。新台はひとまず回収、それでも稼働が落ちなければ強化機種の候補に。多くのホールがそういった営業努力をしていた中でセブンリーグちゃんは残念、底力不足でした。とりわけニューパルやダイバーズには設定判別方法があったため優秀台、はたまた優良店判別にも使えたのですがセブンリーグちゃんは内部小役カウンタ非搭載。レベルの高いユーザーが敬遠してしまった点も短命に終わった理由のひとつとして挙げておくべきでしょうね。
★元店長カタギリと『セブンリーグ』
今を遡ること約30年前。私が当時勤務していたパチンコ店のパチスロメイン機種は『ニューパルサー』でした。稼働率はいつも4~5割程度。基本的にどの台も大きくハマることも無く、かといって驚くような出玉を目にする機会も少なく、それでいてお客さんが一定数存在する可も無く不可も無いといったシマ状況でした。
私は疑問に思い、ある日の閉店後に何気なく店長にこう質問したことがありました。「店長、ニューパルの設定っていつもどんな感じなのですか?」と。
するとパンチパーマが似合い過ぎる店長は私を見つめながら、軽い笑みを浮かべた表情で言い放ちました。「ニューパルは、全台設定3以上じゃ」と。当時の私はあまりその意図が掴めず「まあ、7枚交換だし設定1や2を使うと儲かり過ぎるのかな」程度にしか考えていなかったのですが、後になって考えると土日は粘る人が多いので高設定を使わずに遊ばせて、稼働の低い平日には高設定を使用して見せ台を作る、といった営業方針だったのでしょうね。
これも低交換率営業かつ、出玉を持っての移動禁止、貯メダル再プレイも無い時代だったからこその設定状況と言えますね。
前置きが長くなりましたが、セブンリーグ導入当時の私はパチンコ店の駐車場整理のアルバイトを行う日雇い労働者で、パチスロの収支が月々の生活に多大な影響を与えていた時期。パチスロを打つ時、私はかつて勤務していたホールの設定状況は概ね他の店にも当てはまるだろうと考えていました。
ニューパルサー同様にセブンリーグも設定3の出玉率は同程度、さらに新台であれば高設定も期待出来るはず。そう思って何度か打ちましたが結果は連戦連敗。もしかしてセブンリーグの設定状況は悪いのかな、そもそも設定判別も出来ないし。だったら判別の効くニューパルでいいや。というわけで早々にニューパルに出戻りした私は、ビッグ終了後に設定判別を行い、設定5以上のニューパルを打って小遣い稼ぎをする日々を過ごしておりました。
時はまさに、後にパチスロブームを加速させた『クランキーコンドル』導入直前。目押し能力が収支を大きく左右する時代を間近に控えた当時、私と同じように新台に浮気しつつも結局はニューパルサーに戻る、そんな経験をしていた同世代のスロッターも多かったのではないでしょうか?
★まとめ ~セブンリーグの消失、そして時代の転機~
セブンリーグ以降も山佐は大ヒット作であるニューパルサーを礎とする大量リーチ目タイプのマシンを主軸としつつも、7ライン機・ビッグ確率が全設定共通のマシン・技術介入系マシン・テトラリール搭載機・大量獲得マシン・ELビジョン(エルビジョン)搭載機など、実に多彩なボーナス主体のパチスロ機を世に送り出しています。
主役はあくまでボーナスと出目であり、ボーナス成立察知までの経緯をいかにしてユーザーに楽しんでもらえるか、その一点だけを長い開発の歴史の中で、追及し続けているメーカーなのではないか、と私は勝手に決めつけています。
セブンリーグもまた様々な制約の中、ビッグとシングルの2つのボーナスでユーザーをいかにして楽しませるか。その点に大いに悩まれたことでしょう。しかしながら、結果が伴わなくともニューパルサーの大ヒットに慢心せず、チャレンジ精神を持って世に送り出された機種であることは間違いありません。この『しくじり』にもまた、現在なお多くのヒット機種を世に送り出し続けている老舗メーカーとしての尊敬すべき姿勢を感じられます。
先ほども述べましたが、セブンリーグ導入から程なくしてパチスロシーンは『技術介入マシンの全盛期』を迎え、山佐は王者としてではなく挑戦者として業界の潮流に挑みます。
4号機のニューパルサー登場から、今年で30年。その間に世に送り出された様々な機種への思い出は、皆様の心の中にもそれぞれ刻まれていることでしょう。私の場合は「好きな機種は?」と質問されると、数多くのマシンが頭に浮かぶため答えに窮しますが「好きなメーカーは?」と問われたら「やっぱり山佐かな」と答えます。その理由は皆様と同じように、思い出深い機種の数々が私の心の中でいつまでも輝きを失わないからなのです。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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