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パチ7虎の穴
2025.10.08
【ロマンティックパチンカー】No.12 罪と罰
空気が冷えてきた。急に風が強まり、辺りが暗くなった。見上げると、上空には黒い雲が集まっている。ゲリラ豪雨の前兆だ。その空模様は、まるで我が心を映し出す鏡のようだな、と思った。
俺はいま、深い連敗の穴から抜け出せずもがき苦しんでいる。当コラムの実戦は月に一度で現在5連敗中であるため、もしも今回敗北すれば、半年間勝利の美酒から遠ざかることになる。
果敢にスマスロやLT機に斬りかかっての敗北ならともかく、これまでジャグラーや海物語といった、いわゆる「適当に打ってもそんなに負けない系」の機種をメインに対戦してきた。その結果、負債はあと少しでマイナス万枚に到達する。神に嫌われているとしか思えない。
取り立てて誇れることのない我が人生であるが、SNSで人の悪口を言わないのはもちろんのこと、満員電車ではスマホを見ない、レジの前でお釣りはしまわない、家に出た蜘蛛を虫嫌いの妻に見つからぬよう外に逃すなど、人の道は外さぬよう生きてきたつもりだ。こんな俺に、何故神は罰を与えるのだろうか。
心当たりはないが、何か罪を犯したに違いない。就寝前に思い悩む日々が続いた。そして、ようやく辿り着いた。「あと少しで万枚」、このワードに答えはあったのだ。
妻と入籍したのは10年前のことだ。式は挙げていない。理由はもちろん金だ。当時、毎日のようにミリオンゴッドゼウスバージョンと戦っていた男に貯金などあるはずがない。俺も妻も、結婚式より一刻もはやく一緒に暮らすことのほうが重要だと思っていた。
それから5年ほど経過したある夏の日、妻から唐突に「結婚写真を撮ろうよ」と言われた。妻のご両親が「まだ若いうちに写真だけでも撮っておいたほうがいいよ」と、おっしゃっていたらしい。
俺という人間は、なんてクソ馬鹿野郎なんだ。恐らくご両親のお言葉は、俺を気遣った方便だ。娘のウェディングドレス姿を見たくない親などこの世にいない。俺のような男に、文句一つ言わず大切な娘さんを下さってありがとうございます、心の底からそう思った。
入籍当初よりマシになったとはいえ、いまだに余裕がある暮らしを送っているとはいえない。しかし、ここは金を出し渋るべきではない。男を見せるならば、いましかない。妻はそんな俺の心中を察したかのように、「あ、お金なら心配ないよ。出してくれるって」と言った。こうして俺たちは、晴れて結婚写真を撮影できることになった。
結婚写真撮影とはスタジオに行き貸衣装に着替えて撮影し解散、そんな程度かな、と思っていたのだが、それは間違っていた。スタイリストにメイクをしてもらい、ホテルに併設された結婚式場の至るところでプロのカメラマンが撮影を行い、終了後には小さめの宴会場で両家の家族を招き食事会が行われるという。
当日、妻はガチガチに緊張していた。無理もない。肉親のみならず、ホテルを訪れる客にまでウェディングドレス姿を披露することになるのだ。衣装に着替え、メイクを済ませて最初に案内された教会で何枚か撮影している最中も、表情は険しいままだった。
カメラマンの方も「奥様、リラックスしてくださいね」と、優しく声をかけてくれたが、妻はロボットのようにぎこちなく頷くばかりだ。
これはいかん。俺は思った。既に妻のご両親は到着していて撮影を見守っておられる。ここは、俺がなんとかして妻にいつもの笑顔を取り戻してもらわねばならない。
いま必要なのは優しい言葉ではなく、ふふっと笑ってしまう気の利いたポップなジョークだ。依然として機械仕掛けの人形と化している妻の耳元で囁いた。
「キ…ン…タ…マ」
こんな神聖な場で、この世でもっとも品のない4文字を耳にするはずがない。一瞬そんな表情を浮かべた妻だったが、目の前にいるのが少年時代に引っ越した先の尼崎で馴染めず、なんとか周囲の気を引こうとスズメバチを手刀で叩き落とし「命知らずの冒険野郎」という称号を授かった男だと思い出したようだ。
「ポウ!」という、マイケルジャクソンのような声を上げたあと、妻は両手で顔を覆い小刻みに震えだした。軽く笑わせるつもりが、どうやら会心の一撃を放ってしまったようだ。何はともあれ、これでいつもの妻に戻ってくれるだろう。
これにて一件落着と安心して妻から目線を外すと、衝撃的な光景が視界に飛び込んできた。何と、お義母さんがハンカチを目元に当ててもらい泣きをしているではないか。
「違うんです、お義母さん!娘さんは感動して泣いているのではなく、この世でもっとも品のない4文字によって笑いを堪えているのです!」
そんな台詞を言えるはずがない。俺はとっさに妻の肩に手を置いた。一見すると、涙を流す妻を優しく支える夫という、美しい光景の出来上がりだ。
その後、つつがなく写真撮影は進み、俺は優しい良き夫いう新たなる称号を手にした。十字架の下で行ったこの偽りの行為が、神の怒りを買ってしまったのだろうか。
撮影後、代金がいくらだったのかと尋ねると、妻は「えーと、あと少しで万枚くらい」と言っていた。
●
この連敗があの時の罰だとすれば、あとどのくらい続くのだろうか。もしかすると、気付かぬうちに禊を済ませているかもしれない。今回は、それを確認する戦いとなる。
この度ロマンティックパチンカーは、1周年を迎えることができた。対戦相手は、記念すべき第1回から一度も勝てていないこの台こそがふさわしい。
活字離れが叫ばれて久しいが、この現象は特に若年層において顕著だという。無理もない。手塚治虫が描いた21世紀に時代はまだまだ追いついていないが、ネットの進化、スマホの普及により、彼らは俺が10代の頃には想像だにしなかった日常を当たり前のように過ごしている。どこにいてもゲームができ、動画が見れるならば、活字に触れる機会もなくなるだろう。
だが、俺は活字、特に小説が大好きだ。文字を目で追い、それを脳内で映像化する。そうやって描いた人物や風景は俺だけのものとなり、心に刻まれてゆく。
そんな俺だからハネモノ、特にTOKIOシリーズは愛さずにはいられない。
パチンコ玉が釘に弾かれ向かう方向は何十、何百通りもある。次の釘でも何十、何百と続くうちに、その軌跡は無限のストーリーを紡ぎ出す。
朝イチ、開店と同時に居心地の良さそうな角台のTOKIOをゲットできた。サンドに金を投入しハンドルを握る。さて、今日のTOKIOはどんな物語を見せてくれるのだろうか。
漠然と玉の流れを追っていると、まず浮かび上がってきたのが、無数の名もない隊員たちだ。彼らは己の身を犠牲にして落としという奈落に向かい、門をこじ開ける。自分はここで朽ちてもいい。戦ったところで、上弦の鬼に一太刀浴びせることは叶わないだろう。自分の役割は一瞬でもいい、ただ門を開くこと、それだけだ。
その一瞬を見逃さず、門をくぐり抜けた剣士は上弦の鬼と相対する。散っていった命たち、その想いを刀に込め一撃を見舞う。ノーマルルートからの鋭い動きは善逸「雷の呼吸壱の型」、円を描くスペシャルルートからの攻撃は炭治郎渾身の「ヒノカミ神楽炎舞」だ。
そう、この日のTOKIOは、まさに「鬼滅の刃無限城編」そのものだった。
もはや盤面中央のスカイツリーは、聳えたつ無限城にしか見えない。おそらくこの中心部に、鬼舞辻がいる。
調整の悪い台ではこんなストーリーは浮かばない。この日のTOKIOは、過去イチといっても過言ではないくらい調子が良かった。
落としは良好、羽も良好、寝かせは最高といった具合で、あれよあれよと大当たりを重ねるうちに3時のおやつを前に大当たりは31回、持ち玉も7,000発を超え、猗窩座と獪岳は炭治郎と善逸によって打ち取られた。
今日の勝利は間違いないな。そう確信した俺は、トイレへ向かった。席を立つのは今日初めてのことだ。普段から流れを重視する俺は、好調時に離席することは滅多にない。その瞬間に流れが変わったことが、今まで何万回あっただろうか。だが、今日打っているのはハネモノだ。ここから急降下することなどまずない。
しかし、油断大敵とはよく言ったものだ。缶コーヒーを片手にご機嫌で戻ってきた俺を待ち受けていたのが、100開放ノーボーナスという地獄の洗礼だった。離席前とは明らかに違う玉の動きに戸惑いを隠せない。まさか血気術か?
ふいに「もしかして、今日このビルでカイジが沼を打つのかな?」という妄想に襲われた。
名作と名高い「賭博破戒録カイジ」でカイジが水の重りによりビルを傾け寝かせを変える、というシーンがあるのだが、それを疑うほど玉に勢いがなくなった。
寝かせはTOKIOを打つ際かなり重要であり、玉に勢いがあるほどタワーを潜り抜けヒノカミ神楽を放つ可能性が高まる。それが100回の開放でノーヒノカミとくれば、カイジの登場を疑うのも無理はないだろう。
よもや、よもやだな。
ペロリと2,000発呑み込まれ、依然ハマり中の台を前にして、腕組みしながら考えた。
この100回がなければ、この台は我が人生最高クラスの良台だ。しかし、100回はまるということは、ハネモノとしては致命的である。日の当たる部分だけではなく、陰の部分も見なければならない。
本日のところは、猗窩座と獪岳のクビを獲っただけで良しとしよう。俺は席を立った。残った玉は5,000発。上出来だ。以下、結果である。
ニュートキオハカマタイプ
総開放数 805回
大当たり回数 31回
内訳 3R 10回 5R 9回 10R 12回
投資 5K
回収 20K
確率以上に10Rが引けている。これこそ神に許されたという証左ではなかろうか。もう怖いものはない。次回からは生まれ変わった気持ちで戦える、そんな気がして鼻歌交じりで家路についた。
●
軍資金として3万もらっていたので、勝ち金と合わせ総額4万5千円を渡すと妻は狂喜乱舞した。
「やったー!!3万は捨てたと思ってたから、4万5千円勝ちの気分だよ!!」
なめやがってこの野郎、と思ったが黙っておいた。トータルするとまだまだ10万以上負けている。それを思い出させるのは得策ではない。
ふと思い立ち、クローゼットにしまってある結婚写真を取り出した。妻は満面の笑みを浮かべている。この世でもっとも品のない4文字によって作られた表情であるが、やはり妻の笑顔は最高だ。
次回も出来ることなら勝利したいが、こればかりは神のみぞ知るところだ。もし、不幸にも敗北を喫することがあれば、妻の耳元で例の4文字を囁こうと思っている。
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- ダスト
- 代表作:ロマンティックパチンカー
ルパンでパチンコを覚え、アステカでパチスロを覚え、ミリオンゴッドでギャンブルを覚えました。子供が生まれた時に一旦現役から退きましたが、先日7年ぶりにパチンコ屋に行き、再び悪い心に火がつきました。リハビリ感覚で、ハネモノ、遊パチから始めようと思います。
プレイスタイルはロマン打ち、愛があれば確率なんて超越できると信じています。嫌いな言葉は下ブレです。
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ここまでパンチのきいたエピソードはもう残りわずかです笑
不二子楽しみですね!
久しぶりの勝ちおめ!
有利さんもお名前から察するところそうだと思うのですが、いつしか液晶、役物などにまったく反応しない身体になってしまいました…
TOKIOブラック一択ですかね!!
禊が済んだということで、次はパチならLT台、スロならスマスロの荒い台で一気に挽回ですね!
(ってやると、手酷く負けるんですよねぇ)