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パチ7虎の穴

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2025.09.08

【ロマンティックパチンカー】No.11 きみにあえたら

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記憶というのは不思議なもので、普段は脳の奥底で深い眠りについているのに、ふとした拍子に目覚めることがある。

ある日の夕食後、長女に「ルパン三世って面白い?」と訊かれた。どうやら名探偵コナンに出ているルパンを見て興味を持ったらしい。「愚問だな」と吐き捨て、Netflixでルパンを探した。

どうやら視聴できるようだ。選択したのはPART2、大好きな69話「とっつぁんの惚れた女」だ。この神回を視せて、こいつをルパンの虜にしてやろう。リモコンを片手に俺は言った。 「おまえに本物ってもんを教えてやるよ」

決定ボタンを押すと、一瞬の間を置いて流れ出すお馴染みのイントロ。そして、画面にビリヤードを楽しむルパン一味が映し出された瞬間に、俺の脳内である情景が浮かび上がった。夕日が差し込みオレンジ色に染まる部屋。そこには母親が作るカレーの匂いが充満している。部屋の中央には俺がいて、座布団に寝転び欠伸をしながらルパンを視ている。

俺と同世代の方はご存知だと思うが、小学生の頃夕方には決まってルパンが再放送されていた。
ひたすら遊びまわり、腹一杯飯を食い、疲れ果て死んだように眠りにつく毎日。あの頃は、明日という日が待ち遠しくて仕方がなかった。恐らく人生で最も幸せだった日々の記憶が、唐突に蘇ったのだ。

気がつくと、俺は泣いていた。突然泣き出した父親に、長女は「お、おう…」という表情を浮かべたが決壊したダムの如く、俺の涙は止まることなく流れ続けた。いつの間にか、ルパンは終わっていた。気を利かせたのか、何も言わずに立ち去った長女がいなくなったリビングで俺は1人、気を失うまでいいちこのロックを飲み続けた。  


2015年、5号機のハナビがデビューした。青ドンではないハナビとしてのリメイクは初めてで、俺は期待に胸を膨らませながらホールへと向かった。

台を確保しメダルを投入、レバーを叩きお馴染みのスタート音「ティロリロン」を聴いた瞬間に、まるで稲妻に打たれたような感覚とともに、4号機のハナビをひたすらプレイしていたあの時代の記憶が蘇った。

20歳の誕生日を迎えたあの年に、まいぴぃという女性と出会った。彼女はバイト先の社員として勤務しており年齢は一つ下、幅広い世代が働く職場とあって、同年代の俺たちは自然とよく話すようになった。

まいぴぃにはフリーターで趣味はパチスロという自慢の彼氏がおり、連れられてホールに行くうちに、彼女自身も立派なスロッターとなったそうだ。

当時の俺は、その年代にありがちな青臭い頑なさを胸に宿しておりコーラはペプシ、スニーカーはナイキ、そして、スロットは山佐以外は絶対に打たない、という謎の信念に従って行動していた。そんな俺に、「ハナビは絶対に面白いから打った方がいいよ」と勧めてくれたのが、まいぴぃだった。

シフトが重なる度に、通常時の小役狙いとリプレイ外しを完璧にこなせば機械割が100%を超えること、「遅れ」という激アツ予告があることや、実はドンちゃんは女性である、などレアな情報を教えてくれ、そのうちに俺もポリシーを曲げハナビを打つようになった。確かに神台だと思った。

まいぴぃに出会うまで、異性間に友情など育つわけがないと思っていた。事実、彼女に対し下心が全く無かったかといわれたら、それは嘘になる。それでも俺は、芽生えつつある感情を押し殺した。まいぴいとスロットの話をして笑い合うだけで、俺は幸せだったのだ。

そんな日々が1年ほど続いただろうか。まいぴぃは新たに進むべき道を見つけ、職場を去ることになった。送別会が行われ、1次会も間も無く終了、というタイミングでトイレに向かおうとすると、まいぴぃに呼び止められた。そして、彼女は俺の耳元で囁いた。

「今までありがとうね。あなたと話している時が、1番おもしろかった」

込み上げてくる感情を抑えることに必死になった。これはやばい。まいぴぃは依然としてスロット好きの彼氏と付き合っていた。今、何かを口にすれば、彼女への想いが恋に変わってしまいそうだった。俺は曖昧に頷きその場を去った。

その後、2次会のカラオケに向かう道すがら、まいぴぃに出来ることは何かないか、必死に考えた。そして、閃いた。この想いを、歌に込めよう。

俺は、その頃大ブレイクを果たしたDragon Ashにどっぷり心酔していた。語尾に「Yo」をつけてしまうほどだった。まだラップが世に浸透していない時代に、Dragon Ashの登場は音楽シーンに多大なる影響を与えた。

まいぴぃは音楽に疎く、Dragon Ashの存在を知らないと言っていた。ハナビの魅力を教えてくれた恩返しに、今度は俺がラップの魅力を伝えよう、そう思ったのだ。

カラオケでかの名曲「Let yourself go, Let myself go」を熱唱した。まいぴぃへの感謝の気持ち、抱いていた想いなど全てを込めた。魂で歌った。

曲が終わり、まいぴぃのもとへ向かった。

「これがラップだ。どうだった」

すると、まいぴぃは微笑みながら応えた。

「うん!お経かと思った!」


あの日以来まいぴぃとは1度も会っていないし、俺がカラオケでラップを披露することは二度となかった。
 

今回の対戦相手はもちろん新ハナビだ。

これまでの実戦で、俺には知識や台の調整、設定を推測する分析力、そして財力など、様々なものが欠けていることが浮き彫りにされたが、前回の実戦で得意だったはずの目押し力まで衰えていることを痛感させられた。そのため、目押しが重要な新ハナビを対戦相手に選んだ。

登山家に必要な肉体はランニングや筋トレでは作れず、ただ山に登ることだけが真のトレーニングになるという。スロットも然りだ。アプリやスロゲーセンでは、実戦に必要な目押し力は身に付かない。1ゲーム60円、実際に金を使いひりつく感覚を味わうことで、実戦に必要な目押し力が養われるのだ。

そして、俺は自らに課題を与えた。氷を50回獲得すること。これが達成されるまで、どれだけボーナスがひけずとも新ハナビを打ち続けよう。

さて、当コラムは前振りが長ければ長いほど、実戦内容が乏しくなる傾向がある。今回がまさにそうだ。実戦前は、俺ほどのロマンの達人であれば、どんな台を打とうともドラマチックな展開になるはず、そう思っていた。

俺「く、くう。8000ゲーム回して、氷を49回揃えた。あと1回だっていうのに指から血が噴き出している。これじゃボタンが押せねえ…よし、こうなったら!」

遠くから見ている店員「ゲーッ!あ、頭でストップボタンを押すなんて!」

こんな実戦になると期待していた。ところが現実は、わずか2200ゲームほどであっさり氷50回を達成した。それもノーミスでだ。花火チャレンジ中のJAC IN外しすらも完璧だった。

名打者は絶好調時ボールの縫い目まで見えるというが、まさにそんなレベルの目押しを披露してしまった。確実に新ハナビを確保するため過疎店で打った結果、入店から退店まで誰1人おらず、なんなら店員にすら出会わなかった。

投資は1万、ボーナスの確率はしっかりと1を下回っている。この新ハナビでまくることは不可能とマタドール、エヴァ、マイジャグを打ち散らかし、倍の投資額となったところで本日の実戦は終了だ。


以下、結果である。

新ハナビ 投資10K
回収0枚 氷50回

マタドール3 投資2K
回収0枚

エヴァンゲリオン約束の扉 投資7K
回収0枚

マイジャグラー 投資1K
回収0枚

total -20K  


店を出て、イヤホンを耳にはめた。聴くのはもちろんDragon Ashだ。新ハナビをプレイ中から、ずっとまいぴぃのことを考えていた。お経を聴いた時、彼女は俺のことを思い出してくれているだろうか。

帰宅途中、街で、駅で、電車内でまいぴぃの姿を探した。いるはずがないのはわかっている。それでも、何億分の1の偶然でもいい。もしも出会えたら、あの日伝えられなかった想いを、今こそ伝えたい。

あれから20年以上経った今でも俺はハナビを打ってるぞ。こんなに楽しい台を教えてくれて、本当にありがとう。

あと、ドンちゃんは男だったぞ。
 

(C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT

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代表作:ロマンティックパチンカー

ルパンでパチンコを覚え、アステカでパチスロを覚え、ミリオンゴッドでギャンブルを覚えました。子供が生まれた時に一旦現役から退きましたが、先日7年ぶりにパチンコ屋に行き、再び悪い心に火がつきました。リハビリ感覚で、ハネモノ、遊パチから始めようと思います。
プレイスタイルはロマン打ち、愛があれば確率なんて超越できると信じています。嫌いな言葉は下ブレです。

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