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現実人力調査 カタギリQ
2026.09.09
カタギリQ 最終話 身体を愛えよ、カタギリ!

藤商事のパチンコ台みたいに激しい咳が止まらなくなったため、結果的に前回の実戦は中止せざるを得ませんでした。
それから一ヶ月、ようやく咳の大連チャンは終息。 しかしながら今もなお1日に1〜2回は軽めの咳が突発大当りばりのタイミングで発生、食べていた牛丼の紅ショウガを2メートル前方に噴出、口に含んでいた福神漬けが鼻から射出、 そういった事件簿を書きしたためる日々が続いております。
特に困っているのが、咳トリガーの原因となる煙です。 会社の事務所で蚊取り線香を焚いているとゲホゲホ咳が止まらなくなり、蚊より先にワシが昇天するんちゃうか、みたいな状態になっててしまうのです。
さらに困るのがタバコの煙。喫煙者のみなさん、タバコに火を点けた瞬間に隣の席のジジイが急にわざとらしい咳をしながら睨んできた、みたいな経験をされたことがありますよね? 今の私、まさにその嫌煙ジジイです。隣の席に座った人の加熱式タバコの煙がアクリルボードをすり抜けてきた瞬間、鼻や喉が刺激されて咳が発動。ま、私は加藤ヒロシじゅないので隣の人にガン飛ばしたりはしませんけど、咳をされるだけでも隣のお客さんも不快でしょうからねえ。
こうなってしまうとパチンコ店での居心地、良くないです。完全禁煙ホールであれば引き続き遊技を楽しめるのでしょうが、体調不良でしばらくホールに通わなかった間に、なんとなくパチンコ・パチスロが自分にとって気軽に遊べなくなってきたなとわかりはじめたマイ・レボリューションなのです。
これまで30年以上、常に懐に忍ばせていたタバコを手放してまで、咳におびえながら打つパチンコやパチスロ。 なんかそれって自分らしくないよな。しばらくホールに通うのは控えたほうが良いんじゃないかな、と。そんな考えに至ったのでございます。

「体を愛(いと)えよ、カタギリ……」という、病苦にあえぐ実弟に世紀末覇者がかけた労いの言葉みたいなオカイ指令からのファイナル・クエストに応えるよう、最終回は私自身のパチスロの原点である、ホールではじめてビッグボーナスを引いた日のエピソードボーナスをお届けしようと思います。
人生を決定させた一撃
ハネモノで人生初の打ち止めの結果、勝ち取った記念すべき千円札1枚。手にした貴重な漱石先生を為す術も無く失った瞬間、二度とパチスロなんか打つものかと固く誓ったはずでした。
ところが、その数日後。この日もハネモノで当たってはノマれを繰り返して数千円の負債を抱えた後、 店内をフラフラとさまよっていた私の目に止まったのがパチスロコーナー。
「ん、コレは最初に打った台とは違うな……」
数日前の苦い経験が、これまで目もくれなかったシマをわずかに色付いた景色に変えていたのだ。 普段は間違いなく素通りしていたはずのシマの入り口で、ふと立ち止まってしまったのである。
よし、千円だけ打とう。当たらなかったら、マジでもう二度と打たない。そう心に決めて、はじめてたったひとりで躊躇なく足を踏み入れたパチスロコーナー。
数日前に初めて打った台よりも、何故だか簡単に当たりそうな気がした。それでも相変わらず高速で回り続ける3本のリールを凝視しても、自分の目では何の絵柄が描かれているか全く判別できない。ああ、やっぱり打たなきゃ良かった、千円もったいなかったな。……と激しく後悔する自分。
ところが数ゲーム回したところで、初めて左リールと中リールの下段に7図柄が停止して下段テンパイ形のとなった。…… ということは、右リールの下段にも7が止まればイイんだよな。えーっと、7を止めるにはドコを狙うんだ……?
相変わらず高速回転を続けるリールの中で赤い7を捉えようと、必死に目で追い掛ける。 コレか? コレだよなあ? えーっと、イチ、ニイ、サン!!
「バァァァァン!! ズキュキュキュキュキュ……!!」
果たして、私の狙い通りに右リール下段に7が見事に停止。同時に筐体から鳴り響く、けたたましい機械音。 激変した世界で下段に揃ったスリーセブンを呆然と見つめていると、徐々に高まる興奮と共に凄まじい快感が全身を震わせたのである。
え、これが当たり、だよなあ。え、こんな簡単に当たるの、ヤバい、気持ち良い、気持ち良過ぎる!!! 喜びを嚙みしめながら消化するゲーム。幸運に恵まれた自身を祝福するかのように下皿から続々と払い出されるメダル。高揚する感情を抑えながら無我夢中で消化するビッグボーナス。まさに、夢のようなひととき。
やがて人生初のビッグボーナスが終了して呼吸を整えた私は、何故だか急に恥ずかしい気持ちになってしまったので、慌ててドル箱に全てのメダルを移して逃亡するかの如く計数機へと向かったのである。
パチンコとはまったく違った、自力でボーナスを勝ち取った感覚、ではなく錯覚は、未熟だった自分にとって強烈過ぎる悦楽でした。 その日から昼夜を問わず幾度となく脳裏に浮かぶのは、スリーセブンを揃えた瞬間に全身を包んだ愉悦の快楽。あの興奮を何度でも味わいたい。
今になって思い返せばこれ、完全に中毒症状ですね。若者には早過ぎる、強烈過ぎた体験となってしまっていたのですよ。 この日、この瞬間にパチスロは私の人生の主軸に、不動の位置に存在してしまっていたのだと、長い長い時を越えてまさに今、ようやく気付かされたのですが、 それはもはや遡ることのできない、遠い遠い昔のお話なのです。

▲スロゲーセンにて、我がパチスロ人生の句点のような下段777揃い
この日、人生初のビッグボーナスを体感したのが日活興業(現:ネット)の2‐2号機『ビッグバン』でございます。当時、ロマンポルノの会社と勘違いした方も少なく無いハズ。
前回ご紹介した『バニーガール』と同様にビッグ、レギュラーの2種類のボーナスと小役の集中を搭載したマシンで、 その名の通りスリーセブンが揃うと「バーン!」という爆発音をイメージさせる乾いた電子音が鳴り響いた後、延々と流れ続ける「キュキュキュキュ音」が何とも耳障りでした。この音を長く聞いていると確実に知能指数が下がりそうな気がします。
ちなみにこちらのビッグバン、成立したボーナスをストックする貯金型を主流として多種多様なイリーガルタイプのマシンが出回っていた事実を私はずいぶん後に知ることになったのですが、店の傾向や客層を考えると私が打ったビッグバンはおそらくノーマル。あっさりと千円でビッグを引けたのは正規マシン故の幸運だったのでしょう。
仮にこの日も大当りを引けていなかったら、私はもうしばらくパチンコオンリーで遊技していたに違いない。と同時に、もしかするとここまでパチスロに熱中することもなかったかもしれないと、ふとした瞬間にときどき思い返してしまいます。それぐらい、あまりにも衝撃的な、人生の軌道を決定付けるほどの大事件だったのです、はじめてのビッグボーナスは。
さいごに。
はい、というわけで今回をもちまして現実人力調査『カタギリQ』はおしまいです。担当編集のオカイ総司令をはじめ、ご愛読くださったパチ7ユーザーの中でも希少種の皆様、誠にありがとうございました。ひとりひとりに油菓子のひとつでも差し上げたい気分です。
当記事においては実戦機種の魅力を可能な限り伝わるような記事に仕上げたいと戦場キャメラマンのような気持ちで頑張ったつもりでしたが、いずれ劣らぬ負け記事のオンパレードとなってしまい、悪い形で私らしさを発揮する結果となってしまいました。許してくださいスミスさん。
冒頭でも述べましたが私自身、近年では毛髪の著しい減少をはじめとして体調を崩しがちになっております。ますは健康一番、パチンコ・パチスロは二番、三時のおやつは文明堂のバームクーヘンといったスタンスで今後も適度に付き合ってみようと考えておりますので皆様もどうか、期待値だけでなく尿酸値、血糖値、コレステロール値なども意識してご自愛ください。
パチンコもパチスロも、この先、まだまだ面白くなることは間違いありません。皆様の心に残る名機も今後、続々とリリースされることでしょう。10年、20年、あるいは私のように30年以上の時を経た、ふとした瞬間に。あの台、面白かったな、ああ、懐かしいなと思い出せるような、心を揺さぶるまだ見ぬ機種の登場を、これからも楽しみに待ち続けましょう!
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長 しくじりサウナ店長
情熱だけでパチンコとパチスロを35年以上に渡って打ち続けている、スイカ泥棒みたいな顔をしたパチ7の古参ライター。
元・ホール店長のくせに理論的な立ち回りが全くできないため、各方面から嫌な顔をされていることでも有名。


