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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2018.08.21
『サバンナ』~思い出の大晦日~
朝イチの並びは10人にも満たなかった。一見、寂れたホールのようだが、並び客の内5人は我が編集部の人間である。その事実が、このホールのアツさを物語っていた。
そして、いざ開店――。
店内はいつも通り閑散としていた。俺は悠々と2階のパチスロフロアへ上がり、奥にある「主役は銭形」のシマへ。案の定、シマに先客はいない。本来なら、すでに1人いるハズだったが……。
開店の15分ほど前、虎さんからメールが届いた。寝坊してしまい、開店の1時間後くらいに着くとのこと。まさか虎さんが「こんな大事な日」に寝坊するとは! そう、この日は絶対に落とせないイベントだったのである。イベントの内容はこうだ。
■各機種に必ず1台は設定5or6が入る。
※大量設置機種ならシマに1台
要するにパチスロ「北斗の拳」や「吉宗」なら各シマに1台、その他の機種も1台は設定5or6が投入される。これだけでも十分アツい内容だが、虎さんや俺を含む編集部員の狙いは他にあった。
■区切りのBIG回数で、大晦日の高設定予約券を贈呈
15回目のBIGで設定4が、20回目のBIGで設定5が確定し、25回目のBIGなら設定6が約束されるといった内容だ(※北斗のみ例外でBB25回・50回…)。大晦日は正午からの営業で、もちろん設定確認もOK。高設定予約券を持たない一般客は、夜からしか入店できないというルールだった。
つまり、この日のイベントで高設定をツモれば、大晦日も高設定を打てる可能性が高い。このイベント内容が編集部内に広まり、某私鉄沿線に住む編集部員が押し掛けることになったのだった。
イベント内容を考慮すると、銭形狙いは得策ではナイ。当時はストック機が主流なのでライトな機種などほとんどなかったが、もちろんBIG出現率は大量獲得機でないほうが高い。しかしこの時の俺は、銭形しか見えていなかった。BIG25回という頂きは、大好きな銭形で超えたい。否、銭形で超えてこそ意味がある!
虎さんと一緒に打って以来、俺は銭形にドハマリしていた。虎さんとともに高設定を使うホール・イベントを回り、時に台を取り合い、時に協力しながら立ち回る。そうしている内に、俺の収支は急激に上昇。虎さんには遠く及ばないものの、月に30万前後は稼げるようになった。当時の編集部員としての俺の給料は20万前後。給料だけではギリギリの生活なので、パチスロで勝つ他なかったのである。
★隙を突け!
この店で立ち回るうえで最大のライバルとなるのは、言わずもがな虎さんだ。唯一、俺と銭形を取り合う人物。シマにある設定5or6は1台のみ。虎さんとまともに取り合ったら、負ける恐れが高い。つまり、虎さんが到着するまでの1時間が勝負! 師に弓を引くようで申し訳ないが、ホールはサバンナなのだ。そう教えてくれたのも虎さんだ。
ある日のこと――
その日は2人とも高設定を取り逃し、ゾーン狙いや天井狙いでプラスになりそうな台を捜し歩いていた。すると、目の前で期待収支プラスの台が空き台に。もちろん確保しようと思ったが、シマの奥から男が血相を変えて走って来たため、つい譲ってしまった。その男が怖かったわけではない。そこまでムキになるほどの期待収支でなかったため、見逃したと言うべきか……。
虎さん「バッカ! なんで取らなかったんだよ」
――「ボーダーは超えてましたが、まあいいかなって」
虎さん「他に良い台があるなら分かるけどよ」
――「…はい」
虎さん「期待値は試行を積み重ねないと意味がないんだ」
――「シミュレート値もウン万回とか試行してますもんね」
虎さん「そう。実際はそんなに試行できないけど、だからこそ少しでも試行を重ねる努力をしないと」
――「たしかにそうですね」
虎さん「これは朝の台取りでも一緒。ホールはサバンナなんだ」
――「サバンナ!?」
虎さん「ミスしたヤツから負けていくんだ。ライバルはその隙を狙ってんだよ」
――「そうですね」
虎さん「俺もラッシーの隙見つけたら容赦なく突くぞ。ラッシーも俺の隙を遠慮なく突いていい。ホールはサバンナなんだから」
――「はい、分かりました(…サバンナ、気に入ってるな)」
まさに今こそがその時!
虎さんが珍しく見せた隙。虎さんが到着するまでの1時間で、銭形の高設定を見つけ出す!!
まず、どの台から狙うべきか。設定変更後はRTゲーム数がリセットされるため、事実上の連チャンゾーンとなる181Gまでに当たりやすい。とはいえ、6台全台を回している時間はナイ。打てて3~4台。過去にも何度かこの店のイベントに来たが、角や中に入りやすいといった傾向はナシ。前日はほぼ無稼働だが、角台だけは5000Gほど回されており、そこそこのBIG回数が付いている。正確な差枚数までは分からないが、左角でリセットが掛かっても下げの恐れがある。素直に前日稼働していない台の上げを狙っていこう。
上げ狙いで3台打つも、リセット当たりは1台もナシ。設定変更をしても必ずリセットで引っ掛かるとは限らないが、やはり引っ掛かるか否かで「上げ期待度」は大きく変わる。このまま虎さんが到着すれば、むしろ俺が不利になる。まだ稼働していない台に当たりがある可能性が高まるためだ。
動揺を抑えつつ4台目を打ち出すが、やはり100Gを超えても前兆挙動が起こらない。すでに開店から50分。万事休す。そう思った直後、角チェリーからゼニガタイムに突入! ゼニガタイムはチェリー解除の前兆ステージ的役割だ。
設定 | RT解除率 |
1 | 3.3% |
2 | 4.6% |
3 | 4.4% |
4 | 7.4% |
5 | 7.1% |
6 | 11.7% |
高設定とて簡単に当たる数値ではナイため期待はできないが…「パトカー群通過」が多い! 本前兆でよく見られる傾向だ。これはまさか!?
虎さん「おお、アツいじゃん」
――「おあああぁぁ! お、おはようございます」
遂に恐れていた事態が! 虎さんが到着したのである!!
虎さん「やっぱラッシーも銭形狙いだよな」
――「はい、もちろん」
虎さん「さて、その結果を見させてもらおうか」
虎さんはニヤニヤしながら、俺の台を見つめている。この前兆の結果次第で、残りの銭形を打つべきか否か決めるのだろう。これは時間的優位を活かせなかった俺の隙。 祈るように液晶を見つめていると、ラストでスロット演出に発展。銭形がスロットに挑戦し、液晶上で7やBARが揃えばボーナス確定となる。不二子出現のチャンスアップはナシ。不安を覚えつつ左リールを止めると、液晶の左リールにBARが停止した。
虎さん「おめでとう」
――「えっ!? まだ…」
虎さん「ゼニガタイム経由のスロット演出は、液晶の左リールにBARが止まった時点でイチ確だよ」
――「ま、マジスカ!?」
虎さん「まだアメーな、ラッシーは」
――「はい、精進します」
虎さん「さて、俺はまだ動いてないシマを漁りに行くよ」
――「頑張ってください」
実はこのイベントには、1つの攻略法がある。ホールはあくまで「データ表示器のBIGの回数」だけを見て、プレイヤーに高設定予約券を手渡すのだ。途中でプレイヤーが変わってもお構いナシ。つまりBIG24回の台に座れば、BIGを1回引くだけで設定6予約券を獲得できる。しかし、当時の俺は「自分自身で25回引かないと意味がナイ」とムダに熱かったのである。夜からBIG回数の育った台を打つのが最も効率的にもかかわらず…。
十余時間後——
閉店時間が差し迫り、俺は相当に焦っていた。何の因果か、BIG回数は設定6予約券目前の24でビタ止まり。すでに設定6予約券を獲得した先輩たちが、代わるがわる俺の様子を見に来ている。そして閉店まで1時間を切ったところで、438~565Gのゾーンに差し掛かった。おそらくこれがラストチャンス。ここで放出されなければ、この台での25回達成は不可能だ。消化速度は決して緩めないが、毎ゲーム祈るようにレバーを叩いた。すると、500G目前の第3停止時に不二子の「チャンスよ」を確認。前兆序盤に発生しやすい演出だ。その後も順調に前兆挙動が続き、アツい連続演出「ICPO」からボーナス告知が発生! 震える手でボーナスを狙うと……
見事、赤7が揃ってBIGがスタート!
かくしてイベントの攻略法に頼ることなく、ギリギリで設定6予約券を獲得したのだった。
★勝負の大晦日。
店員「こちらの台でよろしいですか」
――「はい」
店長と思しき男が台を開け、差し込んだ設定キーを回して電源を入れる。俺の視線はセグに釘付けだった。 …4…5…6。
店員「設定6で間違いございませんね?」
――「……」
俺は興奮のあまり声も出せず、コクコクと頷いた。店員はコンコンとレバーを叩き、ドアを閉める。
店員「どうぞ閉店までお楽しみください」
俺はすぐさま着席し、1万円札をサンドに投入。隣には編集部随一の理論派・T氏が座っている。我々2人が選んだ機種は「ボンバーパワフル」だった。
4号機「ボンバーパワフル」
2004年の夏にSANKYOからリリースされたAタイプストック機で、規定ゲーム数消化がRT解除(=ボーナス放出)のメイン契機。通常時には4つの内部モードが存在し、各々アツいゾーンや天井ゲーム数、BR比率が異なる。この機種の設定5・6は特徴的だった。詳細は割愛するが、設定6はほぼ600G以内にボーナスを放出。大連チャンは起こりにくいものの、大きくハマらず安定しているのが特徴。対する設定5は大きくハマる恐れもあるが、大連チャンも起こりやすい。荒波の5、安定の6といったイメージだ。機械割は設定5が約112%、設定6が約117%だった。
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せっかくの設定6予約券なのだ。万に一つも負けるわけにはいかない! 隣のT氏とともに打ち始めると、すでに北斗の6を確保した虎さんがやって来た。
虎さん「か~、Tくんもラッシーも置きに行ってんな」
T氏「理論で言えば最良の選択です」
――「そうですよ! ボンパワの6は堅いですから!」
虎さん「知ってるけど、こんな日くらい夢見ろってんだよ」
T氏「ふふ、そういうことは閉店後の結果を見てから言ってください」
――「単チェに嫌われてドハマリしても知りませんからね」
虎さん「へっ、機械割では北斗の方が圧倒的に上なんだ」
※編注
パチスロ「北斗の拳」 設定6の機械割は122.8%
虎さん「後悔するのはお前らだよ!」
閉店後の居酒屋――
――「くっ、せっかくの設定6予約券が…」
T氏「リセットかかって『イケる』と思ったのに」
虎さん「だから言ったろーが」
ラッシーの収支…+8000円
T氏の収支 …+5000円
虎さんの収支 …+86000円
T氏「夜から打ち始めた一般入場客にすら出玉で負けるとは」
――「リセットから一撃で出玉抜かれましたもんね」
T氏「ああ、早かったね…」
この日の店内は全台が設定4・5・6。20時から一般開放された台も、当然ながら全てリセットされた設定4・5・6である。設定6を捨ててでも、一般開放台へ移動するのが正解だった。そう、意地になっていたのである。6を捨てるなんてカッコ悪いと。
結局、ボンパワの設定6を確保した俺とT氏以外はみんな大勝ち。この大晦日は苦い思い出になったけれど、また虎さんをはじめとする先輩たちから多くを学んだ体験でした。 ホールはサバンナ。ミスをしたヤツから負けていく。普段は仲良く打っている友達や同僚も、やはりまたライバルなのだ。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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