テンチョ―と不思議なボタン

Ｑ.出玉抜きに通いたくなるホールって？

Ａ.環境の良いホールです。

Ｑ.具体的にはどんなホールなの？

Ａ.家から近くて、打ちたい機種が設置されてて、しかも自分が打つ時には必ず空き台になってて、冷暖房がほどよく調整されてて、バカじゃねえのってくらいイスがフカフカで、丁度欲しいと思っていたものが景品コーナーにあって、店内がキレイで、店員もキレイで、客層までキレイで、店長の心さえもキレイで、あんな夢こんな夢いっぱいあるけど、みんなかなえてくれて、不思議なボタンでかなえてくれて、大当たりが欲しいなって言ったら「ハイ、店長ボタン～」って、アンアンアンとっても大好きなホールです。

Ｑ.（最後結局出玉の話じゃ……）そんなホールあるの？

Ａ.あったら紹介して欲しいわ（真顔）



パチンコ店は時代と共に、より健全な遊技場になっていきました。
…少なくとも表面上はそうなっていきました。

毒々しいネオンに彩られた店にパンチパーマの店員がいた時代ははるか昔、
近年は明るく清潔な店内に礼儀正しいスタッフ、アメニティグッズの充実等、
お客様の要望は可能な限りかなえる
（※ただし出玉は除く）
という親切な店づくりおこなわれています。

そんな中ただ一点、客の要望に応えているとは言い難い、
それどころか年々ひどくなっているのではと思わせる要素があります、
（※出玉もそうですが今は除く）


それは　音　です。


一般的なパチンコ店のイメージで、間違いなく上位のくるのが「うるさい」です。
店内ＢＧＭのみならず、台からは歌がながれ、
メーカーが競い合うようにけたたましいＳＥが鳴り響かせます。
パチンカーやスロッターは慣れるとその音は気にならないのでしょうか、
いいえ、打ち手も思っています、「うるさい」と。

現に今日もホールでは耳栓やイヤホンをして打っている方を見かけます。
パチスロエ〇゛ァのセリフ設定判別をしている時に、
隣でマク〇ス２が爆音を鳴らし始めたら、なんらかの事件に発展しかねません。

では誰のために音を鳴らすのでしょう、

「大迫力のサウンドで気分を高揚！」

メーカーやホールの謳い文句です。
アツい展開から流れるサウンドは確かに気分も盛り上がります。

しかしちょっと悪意ある表現をすると、

「高揚感によって冷静な判断力を鈍らせ、より熱中させる」

そうした思惑が見えてくるのです。
プレミアフラグをひくと警報レベルの音が鳴るのも、
周囲の客を煽る目的を兼ねているのでしょう。

打ち手による音量調整機能搭載の機種もありますが、
事実上機能しているとは言い難いものです。
いくら自分の台の音量を絞っても、隣の台が狂ったように騒ぎ出し、
運が悪いとボタンを親の仇のように叩きまくる打ち手、というオプションさえ付いてきます。

打ち手は疲弊しています。
煽られて出てくるのは諭吉からため息に変わり、
付き合いきれないと低貸しへ移動、あるいはホールを去る。
そろそろ待ったをかけても良い時期ではないでしょうか。



私が通いたいホール、それは少しだけ他より静かなホールです。

新しいサービスというのとは少し異なります。
むしろ既存のものを抑える、引き算のサービスです。

・設置機種の内部ボリュームを従来の半分に設定
・特にＳＥ関連は大幅に音量低下
・店内ＢＧＭは小川のせせらぎ

この程度でいいのです。
普通に稼働があればそれぞれの台から何らかのＢＧＭが流れるでしょう。
パチンコは回りさえすれば変動時に音が出ます。
無理にジャグラーをキュインキュインいわせなくても、
ボーナスを揃えればＢＧＭが流れます。

自分の台の音がわかり、集中できる。

パチスロは無音や遅れがわかりやすい。

他人が大当たりした時に「うるさい、早く終われ」という感想だけでは、あまりにも寂しいじゃないですか。

ホールも必死に煽り続けるよりも、会員カード作成をすすめるよりも、
会話の機会を増やして店内でのコミュニティを充実させれば、
自然と客足も向くのではないでしょうか。

他人の大当たりが早く終わることを祈る人たちにも、
共に喜べる環境を整えることがホールの仕事ではないでしょうか。

耳打ちのかたちでなくとも、
仲間と会話しながら打つことができる、
なじみの店員とちょっとした挨拶をかわす、
店長に「例のボタン押して」とお願いする、
（※ただし出玉は以下略）と断られる、
そもそもそんなボタンは無いと言われる、
しつこくしすぎて最終的に泣かれる。

そんなホールがあれば私は通う、そして店長にくいさがる。



さらに発展させれば店内に人工的な川を作って、
植物園みたいなホールができたら楽しそうですね、いろいろ環境的に難しそうですが。

Will You Please Be Quiet, Please?

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