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ゲーマーとパチンコパチスロ
2022.04.26
パチスロ小冊子の世界 -ゲームタイアップ機を網羅!! 張本氏インタビュー-
岡井モノ:ライター兼パチ7編集部員(別館) ゲーマーとパチンコパチスロ
ゲームとパチンコ・パチスロの親和性を見出し、双方の理解や盛り上げに繋げたい、そんな企画の第二弾。どうもみなさん御機嫌よう、岡井です。
パチンコ・パチスロ遊技説明用小冊子の存在はご存じのことと思います。ファングッズとして持ち帰り楽しむ方も多く、なつかしの小冊子をコレクションとして所持されている方も少なくないでしょう。その一方で昨今はwebメディアの広がりからかその存在に注目されることも減り、私も最近小冊子を手に取ってないなと感じています。
そうしたなかで同人誌『小冊子で綴るゲーム版権系パチスロの世界 1997-2021』に出会いました。
▲ゲーム版権系パチスロの世界をほんの少しご紹介
▲ピックアップからデータベースまで
▲めくるめくゲームとパチスロの世界
同人誌はこれまで発売されたゲームタイアップのパチスロが紹介されている内容なのですが、これはゲームとパチスロ架け橋となるアイテムなのでは。そう思った岡井と編集部は早速製作者・張本氏に突撃してみました。そして都内某所にてインタビューのはこびとなったのです。
それでは制作の背景やゲーム・パチスロとの関わり方など、いろいろ聞いてみましょう。
▲張本さんはディスクアップTシャツで登場
張本さん:ゲーム雑誌「隔月刊コードフリークAR(旧アクションリプレイ)」の元編集。ゲーム好き&パチスロ好きというパチ7編集部が求めていた逸材。ゲーム全般に精通しており、特にPCエンジン関連は「市販品ならだいたい持ってる」という凄まじさ。
PCエンジン関連を収集しています。ハードはX1twin以外コンプ。市販ソフトは秋山仁とキッズステーション以外コンプ。現在は非売品ソフトやCDソフトの帯を収集中です。 pic.twitter.com/hlX48GEbXH
— 張本➐➐➐ (@harimoto_ar) March 5, 2016
「パチスロ同人誌の前に、張本さん自身についてお聞きしますね。Twitterにも投稿されていましたが、やはりPCエンジンのコレクションがスゴイ、海外からもコメントが来てますよ」
「僕は大好きなんですけど、当時海外ではPCエンジンは流行ってなかったんですよ」
「日本でも流行ってなかったと思います」
「おいやめろ、ちゃんと売れてたよ。学年では吉沢君しか持ってなかったけど」
「誰だよ吉沢君って」
「……」
PCエンジンでイケると思った幼少期
「でも実際PCエンジン持ってるコってクラスに一人くらいだったような……。僕も唯一持ってた友達の家で遊んだのおぼえてますよ」
「そうですね。自分もセガ好きな友達の家にメガドライブやりに行ってました」
「あの時代は大正義ファミリーコンピュータがあったので、あとはお金持ちのコかちょっと変わったヤツが他機種に手を出すみたいな」
「ゴールデンアックス※の話しても誰にも理解してもらえないんだよ」
※ゴールデンアックス セガ製のベルトスクロール式アクションゲーム、真正面から殴り合わないことが攻略のカギ
「だからお父さんはマリオにしときなさいっていっただろ、みたいな(笑)」
「ゲームとの出会いっていつ頃ですか? お兄さんがいたってことなんで兄弟で遊んでって感じですか?」
「兄と遊んでた時代ってまだファミコン発売前とかだったんで、そういう感じでも無いですね。家にはじめて来たゲーム機はカセットビジョン※なんですよ」
※カセットビジョン 1981年にエポック社から発売されたカセット入替方式の家庭用ゲーム機
「うおー(笑) よく買いましたね」
「たしか親父が友達からもらってきたんですよ、僕はずっときこりの与作※やってました」
※きこりの与作 やけに攻撃的な動物の妨害を避けながら木を切るゲーム、オリジナルはあのSNK製
「これ読んでる人、半分以上わからない話題かも」
「その後にファミコンも買ってもらったんですけど、ある日コロコロコミック読んでたらPCエンジンの紹介記事があって、功夫※とかカトちゃんケンちゃん※やりたいってなって買ってもらいました」
※THE 功夫 当時としては迫力のあるグラフィックのアクションゲーム、わりとおおざっぱな作りで苛烈な難易度を誇る
※カトちゃんケンちゃん 人気タレントタイアップのアクションゲーム、ちゃんと遊べるがこちらも屈指の高難度
「PCエンジンで一番好きなゲームって何になります?」
「そうですね……天外魔境※なんかは特に好きですね。CD-ROMを使った世界初のRPGで、すごく豪華なゲームだったんですよ」
※天外魔境 PCエンジンを代表するRPG、練り込まれた演出やボリューム満点の内容で現在でもファンが多い
「あー、あれはすごかったですね当時は画期的な声優さんが喋るアニメーションなんかもあって」
「ではゲーム全般でいうとどんな感じですか?」
「えーっと……ジャンルで言えば対戦格闘、シューティング、レースゲームも好きです。今やってるのはスプラトゥーン2とか、サムライスピリッツとかも仲間とネット対戦したりします」
「あ、PCエンジンだけじゃなくホントゲーム全般を嗜むって感じですね」
「今は仕事にも関係するって部分もあって出たゲーム機はだいたい買っちゃいますね。PCエンジン周辺機器もだいたい持ってて、ロムロムアンプとか全部繋げると相当ゴツいんですけど、メガドラタワー※ほどネタにされなくてちょっと悔しいです」
※メガドラタワー メガドライブに外部拡張機器を取り付けまくった巨大キメラ状態を指す言葉
「ネタとしての認知度で嫉妬しないでください(笑) でもお仕事の一環でもあるんですよね、ちょっとうらやましいかも。ただその中でも特にPCエンジンのコレクションがスゴイですよね、なぜPCエンジンをここまで収集したんですか?」
「当時としては高性能なマシンだったので憧れがありましたね。ゲームソフトもデパートとか玩具店で買うもので、子供だったら誕生日とクリスマスに買ってもらえるくらいの存在だったんです。それが中古ゲームショップができて安いPCエンジンソフトが300円とかで売られてたんですよ、これなら買えるぞとちょこちょこ買い集めて……」
「なるほど、ファミコンブームも相まってゲームが多く流通するようになると、安く売られるソフトもありますからね。だからといって全部集めようって発想する子供もちょっと特殊な気がしますが」
「おそらく張本さんいいとこのコだったんだと思います、だからこんなおぼっちゃまくん※みたいな発想するんですよ」
※おぼっちゃまくん 小林よしのり先生の上流階級ギャグ漫画、極めて上品な作風ぶぁい
「いや、そんなお金持ちっていう家庭じゃなかったですよ(笑)」
「当時からビックリマンシール※とかカードダス※とか収集するタイプのホビーも流行ってましたから、男の子の遊びとしてはそういうブームも背景にあるかも」
※ビックリマンシール ロッテから発売されたチョコ菓子のオマケシール、天使&悪魔シリーズが爆発的なブームを巻き起こした
※カードダス バンダイが展開していた自販機タイプ販売形態のカード、ガンダムやドラゴンボール等様々なキャラクターが登場した
「僕はお金ないコだったんで、カードダスの二枚出し※とかやってました」
※二枚出し ワイルドな操作方法でカードを余分に出すことができた、よい子はやっちゃダメな技
「(笑)」
兄に騙されていたパチスロ『アニマル』初打ち
「ゲームで育った張本少年、パチスロとの出会いはどんな感じだったのでしょう」
「これはですね、もう時効なんですけど相当若い時期※ですね」
※相当若い時期 お察しください
「はっ、えっ!?」
「ゲームセンターとかじゃないですもんね、若すぎる(笑)」
「年の離れた兄がいるんですけど、ちょっと遊びに行こうと誘われて着いたのが駅前のパチンコ店。わけのわからぬまま座らされて、2号機の『アニマル』を打ったのが初めてですね」
「お兄さん、弟にアニマル打たせちゃダメですよ(笑)」
▲アニマル(1988年:アークテクニコ) ノーマルタイプ、だけど当時はアレな仕様で広く流通
「わからなくて適当に触ってたら7が揃ったんですよ。ファンファーレが鳴ったけど、そこでまたどうすればいいのかわからない。で、面白いのが当時は子供が店内にいても何も言われなかったんですよ。打ってても何も言われない、でも7が揃ったら店員がカッとんできてつまみ出されるんです」
「打ってもいいけど出しちゃダメ(笑)」
「でもその台を兄貴に交代してもらって2~3箱出たのかな、それで帰りにおまえの取り分だぞって6000円もらって、成功体験ですよね」
「……ん? 3箱出て山分け6000円ってちょっと少ないような」
「そう、今考えると兄貴ずいぶん持っていったなと……(笑)」
「騙されてますね(笑)」
「まぁでも6000円も大金ですよ、そりゃPCエンジン全部集める発想になりますよ」
「ただ僕は悪いことできない性格なんで、それからパチンコに熱中するってことも無かったんです。18歳までは自分で打ちに行くこともなかったですね」
「コロコロコミックとPCエンジンで育った世代は道を外れないんだなぁ」
「自分で打つようになると自然と勝つための立ち回りと言うか、『獣王』みたいにちょっと複雑になってきた頃には攻略情報を求めて雑誌なんかもチェックして。はじめて一撃5000枚とか出た日にはすぐ流したんですけど、店員さんも遠回しにまだヤメない方がいいんじゃないのとか言ってくれてました」
「出過ぎて怖くなっちゃったんですね(笑) そうなるとハマっちゃいますよね」
「そこからゲームもパチスロも続けて今に至ると、一番好きな機種って何ですか?」
「『マジハロ5』ですかね。当たりが軽くて打ってればそのうち何かが起きるって感じが好きですし、モードとかいろんな事を考えながら打てる機種が好きです。初代の『SLOTまどか☆マギカ』もよく打ってました。最終日には秋葉原に打ちに行って1200人並んだんですけど抽選で27番引いてフリーズも引いて、無事最終稼働で勝てました」
「おおすごい、おめでとうございます」
「6000円渡すからフリーズ引いた状態で代わって欲しい」
パチスロ小冊子は身近なファングッズ
「では小冊子の話に入っていきますが、いつ頃から集めていたんですか?」
「これはなんというか、気づいたら集まっていたと言うか、新台が入る度に1部ずつ持ち帰っていたら自然とこうなってて。小冊子が出回り始めたのが1997年頃らしいので、時期的にはそのあたりなんですけど」
「あ、じゃあ初めは小冊子に魅力を感じていたとかじゃないんですね。今は意識的に集めていると思いますが、何かきっかけはあったんですか?」
「いや、それが特にこれってことも無いんですよね、強いて言えばもともと収集癖はあったのでそこかなとも思うんですけど」
「ある意味なるべくしてそうなったというか、パチスロ好きが収集する物って言うと小冊子なのかもしれませんね。では小冊子の魅力ってどんなところでしょう?」
「身近で手軽なファングッズってところですね。実機を買ったりする方もいますが、僕は気軽にコレクションできるスペースが無いので……」
「たしかに、小冊子でもどんな機種なのかはわかりますし、メインキャラクターのビジュアルなんかもじっくり楽しめますからね」
「ただ最近は小冊子を出さないメーカーさんも多くなってきちゃって」
「そうですね、メーカーさんもコストがあるし、今はwebページで完結しちゃったりしますからね」
▲張本さん所有小冊子の一端
「このコレクションは基本的に張本さんがホールで集めたものなんですよね?」
「大部分は自分で集めたもので、一部オークションサイトなんかを通じてって感じですね」
「そもそも設置が少ない台なんて身近に小冊子も無かったでしょうし、むしろこれ小冊子あったんだって台もありますからね」
「一番最初の小冊子ってなんの機種なんでしょうね」
「初の小冊子は97年に出た4号機の『タムタム』じゃないかと言われてますね、昔コミケに出た時に隣のサークルさんも小冊子好きで、そこで交換した本に書いてありました」
「おお、同好の士がコミケに」
「確かに小冊子って好きな人はけっこういて、ずっと持ってたりしますよね。張本さんは特に思い入れがある小冊子ってあります?」
「4号機の『鉄拳R』なんかはビジュアルも綺麗で好きなんですけど、ちょっと珍しい特徴もあって小冊子も初期バージョンとシャオユウバージョンの2種類あるんですよ」
▲もちろん誌面で両バージョンを確認可能
「ホントだ、パネル違いみたいに小冊子も変わってるんですね」
「増台のタイミングなどで新しく小冊子を出し直す場合がありますね。バイオ5なんかも新情報が追加された小冊子第二弾が出ています」
ゲームファンはパチスロも知っておいた方が楽しめる
「最近はタイアップ機も増えていますけど、ゲームファンとしてはどういう気持ちなんですか、打ちたいぜって思います?」
「そうですね。歓迎しますし打ちたいって思いますよ。原作のゲームがどんな風にパチスロに落とし込まれているか気になるんです。たとえばストリートファイターⅡの場合、体力ゲージのあるバトル演出とか、コンティニュー演出での復活とか、ちゃんとゲーム準拠だったのでうれしかったですね」
▲ストⅡ小冊子は漫画で打ち方解説という力の入りよう
「確かに、ファンとしてはうまく活かされてると、わかってるなーと思いますよね。最近はゲームメーカーさんが直接制作に携わってるってことも多いですし、そういう意味ではゲームとの壁みたいなのは無くなっていくのかも」
「版権元自ら作ると完成度は高くなるんですけど、変な解釈された面白さみたいなのが無くなるとそれはそれで寂しいかもしれないですね。最近のパチスロですが『イースⅠ&Ⅱ』って買い物でのゲーム数上乗せシステムを前面に押し出してたんですけど、そもそもイースってそんなに買い物が重要なゲームじゃないんで、ファンとしてはなんで?って」
「小冊子にも『上乗せは買う時代!!』って書いてますね、スゴイ時代だ(笑)」
「ラスボスを何度も倒したりするんですよ、気軽に何度も倒しちゃう存在じゃないよなぁと」
「(笑)」
▲上乗せは買う時代。……えっ、そうなの?
「ゲームとパチスロといえば、やっぱりファミスロが発表された時はテンション上がりました?」
「そうですね。ナムコのゲームは名作が多いので、どんなタイトルがパチスロ化されるかワクワクしていました」
「打ってみたら、30年前のファミコンの方が面白いとか思いませんでした?」
「おいやめろ」
「あー……」
「あー……じゃないですよ!(笑)」
※全員ファミスロ大好きです
「ゲームとパチスロに共通点を感じる事ってあります?」
「そうですね、複雑さには幅がありますけど、技術介入なんかがあったりと根本的には同じ部分が多いと思います」
「情報を集めて攻略方法を確かめたりとか、パチスロ好きはゲーム好きが多いと思ってるんですよ。たとえばフラグって言葉の意味はどちらかを知っていればすぐ理解できるじゃないですか。そう考えると双方で馴染みやすい気がするんですよね」
ゲーマーに正しくパチスロ情報が伝わらない問題
「逆にパチンコ・パチスロ化に否定的な声って周囲でありませんか? 俺たちの好きなゲームが汚い業界に──みたいな」
「言われがちではあるんですけど、今はもうスマホゲーの方がエグかったりしますよね。どっちも趣味って意味では同じですし」
「周囲のゲーム仲間でパチスロ好きな人は多くありませんか?」
「いや、それがそうでもないんですよ。同人誌の発表をした時も“このゲーム、パチスロ化されてたの!?”とか驚かれたくらいで」
「あれ? パチスロ好きはゲーム好きという仮説が崩れた……(笑)」
「ゲーマーって関連商品とかメディア展開とかいろんな情報を自分から仕入れるはずなんですけど、パチンコ関係は妙に手薄だったりするんですよね。なんでだろう……?」
「あー、でも考えてみればゲームの方にパチンコ・パチスロの宣伝ってあんまり伝えてないかもしれないですね」
「ゲーム情報誌でもパチンコ関係広告はNGだったりしますからね、小学生とかも読む雑誌だから仕方ないかもしれないけど」
「新規映像とか、ファンにとっては嬉しい部分も多いはずなんですけどね」
「たとえば聖闘士星矢なんかもパチンコ・パチスロのために新規でアニメ展開が広がったりとファンサービスとしてはスゴイんですけど、そういうのもあまり伝わってない気がしますね」
「『タイガー&バニー』もパチスロ化した人気アニメですが、パチスロを打ちに行くのはちょっとというアニメファンもいたんですよ。でもそういう人向けにパチスロ用映像の原画集が発売されたんです。山佐さんとバンダイナムコさんはそういうフォローをしっかりされている」
「山佐さんって特に原作リスペクトが高いメーカーさんだと思います、タイアップ機種を出すときは合宿して原作を勉強したりするらしいですよ。……たまに変な台も出すけど」
「一言余計ですよ」
「ゲームもアニメもパチスロも、もっといい関係を築けそうな気がします」
「そういう意味では張本さんの同人活動も互いの理解を深めるいい機会ですよね」
「パチスロTIGER & BUNNY」用に制作された新規カットや原画等を収録した公式資料BOX『TIGER & BUNNY -THE SLOT WORKS-』が、いよいよ本日14時よりプレミアムバンダイで受注スタート!ぜひ詳細をご覧ください!#tigerbunny https://t.co/s3cdCkk27E pic.twitter.com/9axn3FMeO8
— TIGER & BUNNY (@TIGERandBUNNY) July 2, 2019
▲パチスロ用アートワークがファンサービスとして登場!!
パチスロ化して欲しいゲームはやっぱり……
「ファンとして、パチスロになって欲しいゲームとかあります?」
「ファミスロは継続して欲しいですね。ユニバカの時にコンセプトモデルとして『ドルアーガの塔』や『ワルキューレの冒険』が展示されていたのを見たんですけど、是非実現して欲しいなと」
「おぉ、ユニバの偉い人に伝えておきます」
「他には僕の好きなゲームでゼロヨンチャンプ※というシリーズがあるんですけど、レース展開によって出玉が変わったりとかパチスロと相性が良さそうだなと。もしパチスロ化したらこんな演出かなと考えるのも好きなので」
※ゼロヨンチャンプ ドラッグレースを題材にしたレースゲーム。レース以上に資金集めのミニゲームが異様なほど充実しているのが特徴。
「わかります、ミニゲームとか豊富だったんで演出とかにも使えそうですね。たしかにゲームファンとしてはパチスロになったらと妄想するのも楽しそう」
「あとは……難しいでしょうけど、ベタにドラゴンクエストがパチスロ化したらいいなと思います。歴代の名曲が流れるなかでATを消化したいですね」
「たしかに出たら衝撃はすごいでしょうね。今ってドラクエのミニゲームであるカジノスロットもパチスロに近い仕様になってるんですよ。煽り演出とか天井があったり。だからドラクエ開発者もパチスロのことは知ってるとは思うんですが」
「そこまで知ってるなら出してよって思っちゃいます(笑)」
「確かに。仮にドラクエが出るとしたらどのメーカーさんに作って欲しいですか?」
「あー、わぁー!! ……どうしましょう」
「めちゃくちゃ難しいですよね(笑)」
▲ドラクエトークに今日イチの興奮をみせる張本さん
「ファミスロがあるんだから、セガサミーもメガドライブソフトからメガスロを出してもいいと思うんですよね」
「昔のゲーム版権とかはけっこう反響ありそうな気もします、過去にはソニックもぷよぷよも出てますし」
「でも何出すかってけっこう難しいですよ、ゴールデンアックスで勝負に出ますか? 半裸の男女がひたすらダッシュ攻撃するAT画面で」
「いや、それは(笑) メガドライブのゲームじゃないけど、セガさんは龍が如くもスピンオフ系しか出てないですし、パチ化っていろんな問題があるんでしょうけどね」
教えてあげたい、ゲームタイアップ機の世界
「今回はパチスロ小冊子がメインですけど、同人活動自体はもともとしていたんですよね?」
「5~6年くらい前からコミケに出るようになりました。以前は珍古台をめぐる内容でコピー本を作ったりしてましたね。『バウンティキラー』最後の設置店に打ちに行ったんですが、それが全然お客さんのいないホールで4万くらい負けて帰りました。しかもその後お店が火事で燃えちゃったんですよ」
「ラストゲットバウンティが……!! その火事の事件ちょっと話題になってましたね」
「あとは『いみそーれ』で3万枚出たと話題になったお店に行って、まったく同じ台を打ってみるとか」
「面白そうな題材をレポート形式でまとめていると。やってることがもうパチスロライターさんのそれですね(笑) でも今回はけっこうゲーム色が強い内容ですが、これは?」
「ゲーム関係の本をって周囲からリクエストがあったんです。ただもうゲームについて詳しく語る人って僕の周りではたくさんいて、同じことをしてもなと。そこでゲームとパチスロの架け橋になるような内容にすればゲーム畑の人もパチスロ畑の人も楽しめるんじゃないかと」
「いや、素晴らしいです」
「コミケの動向としてゲーム系のジャンルはそれなりに盛況だとは思うんですが、パチンコ・パチスロ系ってどうですか? 人気あるんでしょうか?」
「うーん、評論系と、パチンコパチスロオリジナルキャラの二次創作がそれぞれ1シマずつって感じでしょうか。割合としてはかなり少ない方だと思います」
「なるほど、斜陽産業なんて言われていますが、業界として今後ファン活動の盛り上がりをサポートするのもアリかもしれませんね。そういう意味でゲームジャンルとの繋がりってけっこうカギになりそうな気もします」
「もうゲーム好きなコを集めてパチスロ教えてあげる会を開きたい」
▲同人誌は基本的にコミケ等のイベントで頒布されます
「ゲームとパチスロについて外部に発信することでコミュニティも広がったんじゃないですか?」
「そうですね。いろんな繋がりができて、僕の持っていない小冊子を提供してくれる方もいたりとありがたいです。パチスロ好きの間で今度5号機初期に出たおかしな台の話をzoomか何かでやりたいね、と計画していますよ」
「5号機初期は、むしろおかしな台がほとんどでしたけどね。不親切のかたまりみたいな」
「ゲームに限らずタイアップも多かったですけど、なぜ今これをってのも多かった気がします」
「(笑)」
「web上ではなくあえて同人誌って形態をとることで新しい出会いがあったと思うんで、そこは重要な部分だったんじゃないかなと思います。持論ですけどwebの情報って簡単に消費されちゃうんで」
「即売会の会場で同じ趣味の人と直接話せるのは大きいですね。通販で買っていただいた方もツイッターで感想を送ってくれたりとか、同好の士が増えるのはいいことだなぁと思ってます。ゲームファンにはこっち(パチスロ)にも面白いものがあるよと伝えたいですね」
つなげ、ゲームとパチスロの輪!!
「では最後に、この同人誌に込められた想いなんかを語っていただければ」
「まずはパチスロ好きとゲーム好きを繋ぐということ。そして内容的には2021年までのゲーム版権パチスロを網羅しているので、本は薄いけど中身は詰まっていますよと」
「たしかに、これ一冊あればだいたいわかりますね」
「今後の活動計画や、やりたいことはありますか」
「実はパチンコの方もこういったまとめを作ろうと思ってて、もう最初のゲームタイアップ機もおそらくこれだろうということまで突き止めて、カタログも入手しました」
「おぉ、楽しみ。ちなみに最初のタイアップって……」
「『おたくの星座』だと言われています」
「し、知らない……」
「私は知ってます」
「なんで知ってんだよ、おまえらおかしいよ!!」
「(笑)」
パチスロとゲームを繋げるのは同人活動かもしれない
はい、というわけでゲーム系パチスロ小冊子の世界とそれを作った張本さんについてのお話でした。自分もゲームに関して知識があるつもりでしたが、やはりまだ知らないことはたくさんあるんだと思った次第です。『平成カツヲ伝説』(2006年:ヤーマ)なんかも当時変な機種名だなと思っていましたが、これゲーム原作だったんですね。
張本さんは、ゲーム好きにパチスロにも面白いものあるぞと伝えたいとお話されていましたが、相互に理解が深まるとより楽しめる、相性の良い組み合わせだと再認識しました。そしてそうした相互の架け橋となるのはweb上の活動も大切ですが、こうしたアナログでのつながりやインパクトも大事だなと感じました。
本記事では『小冊子で綴るゲーム版権系パチスロの世界 1997-2021』の内容についてはあえて細かく紹介しませんでした。ゲーム版権パチスロ一覧から、その版権が活かされている部分や不可解な改変が施されている部分まで、そんなちょっとした情報も楽しめるので気になる人は張本さんのTwitterや通販サイトをチェックしてみてください。確かみてみろ!
▲どうでもいいけど、当日は岡井の写真写りが全般的にひどかった
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- 岡井モノ:ライター兼パチ7編集部員(別館)
- 代表作:オカイ☆サロン
学生時代友人に連れられ、はじめて『ジャグラー』を打って負けたその日、悔しくてなぜか『サバンナパーク』のゲームを買った異端の猛禽。パチ7自由帳において「何か変なヤツがいるな」と思われていたが、何か変なヤツのまま編集部に捕獲されたトリックプレイヤー。日本全国を旅する渡り鳥としての経験を活かしたコラムを、旅情たっぷりに綴るかと思わせながら特にそういうコラムを書いたりはしない。今日も今日とて奇策縦横。
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