新着記事
- パチセブントップ
- パチンコ&パチスロコンテンツ
- 元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
- クソ台じゃないよ! ちょっとしくじっただけ! 元ホール店長が語る「パチスロリゼロ2(パオン・ディーピー)」のしくじり物語。
元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
2025.03.03
クソ台じゃないよ! ちょっとしくじっただけ! 元ホール店長が語る「パチスロリゼロ2(パオン・ディーピー)」のしくじり物語。
元・店長カタギリ
元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
いやー、それにしても荒過ぎやしませんか昨今のスマスロってヤツは。
つい先日も地元のホールで東京ナントカって新台のシマを見ていたら、シマのワースト台が夕方5時頃の時点で6,000枚以上も飲み込んでいたんすよ。いやはや恐ろしいなと思いながら帰宅したのですが、本当にビビッたのはこのあと。就寝前になんとなくその店の最終データを見てみたらなんと、例のワースト台が夜になってから11,000枚近く大放出の特大Ⅴ字回復。最終的に4,000枚近くプラスになってシマの出玉ベスト台に成りあがっていたのです。
いやホント、こんなの完全に4号機が最も狂っていた時代のAT機やストック機、もしくはイリーガルマシンの挙動じゃないですか。ガッツリ吸い込み、ドカンと吐き出す謎めいたシステムで4号機時代の出玉を再現、それが高単価スマスロのセールスポイントなんですか? メーカーはん、上手いこと作りはったなあ。開発者の皆さん、頭よろしゅうおますなあ。そんな畏怖の念が沸き上がって参ります。
そんなスマスロシーンでもひときわ吸い込みと吐き出しの激しいトレンディスマスロが今回ご紹介する『しくじり機種』でございます。今時の出玉性能を持ちながらも大ヒットには至らなかったのは何故だったのでしょうか? では早速参りましょう。
★今回のしくじり機種は『パチスロリゼロ2(パオン・ディーピー)』
▲スロット Re:ゼロから始める異世界生活 season2(パオン・ディーピー)
本機のホールデビューは2024年10月。純増9.0枚のAT『殲滅ラッシュ』とAT継続を賭けた大兎殲滅戦を繰り返しつつ平均獲得枚数800枚の上位AT『超強欲ラッシュ』突入を目指す、一撃出玉に特化した本機の導入当初は大きな注目を集めましたが、残念ながら稼働貢献は7週とユーザー、ホール関係者双方の期待に大きく及ばずとなりました。そう、出玉性能には問題無かったんです。つまり……。
しくじり.1:虚無との戦いとなるAT到達までの道程
本機をプレイした大半の方が通常時の退屈さに苦言を呈しました。私も「言うて最近のスロットだいたい通常時ヒマですやん、大袈裟過ぎるやろ」と盛大な前フリをカマしながら打ちました。そして皆さんの気持ちがわかりました、これ退屈過ぎます。抜群に。
では何故、退屈に感じるのでしょうか。
それにはまず『前作と比較されてしまう』という続編機種の宿命があるかと思います。ゲームのアクセントである前作の異世界体操の位置づけとなっている今作のチキチキ雪合戦、前作よりも突入率と継続率が共にダウンしております。さらに言うと突入した時点で1,400天井の発生の可能性も(ほぼ)否定されます。
大ハマリしても1,400天井でのフリーズがあるからこそ夢があるのに、退屈を打ち砕くと同時にその夢を奪うのが今作の雪合戦です。めったに雪合戦に入らず退屈、いざ入ると絶望。このシステム、どう考えてもバランス悪いですよね。
さらに言うと雪合戦以外でカウントアップを行わない右下のメーター、ほぼゲーム数表示カウンターも良くないです。レア役で一気に増えるとか、リプレイの一部でドガッと増える、みたいなアクセント一切無し。
要するに本来はゲーム性の幅を広げる役割を担うべきメーターが全く役に立っていないのです。早い話が通常時の退屈さを全く紛らわせてくれないのですよ、あのメーターが。賑やかしとして機能すべきメーターが全く仕事をしていません。バラエティ番組に呼ばれたお笑い芸人が鉄地蔵のように全く喋らない、みたいな話です。つまりダメってことですね。
そもそも1,400pt天井、これまた良くない。他の機種と比較しても多くのユーザーが遠く感じるであろうこの数値、通常時の遊技に心理的な負荷を与えます。ただでさえ退屈な通常時を1,000ゲーム以上プレイするハメになるかも、そう考えると初当りがショボ出玉で終わった後の続行意思が大きく揺らぎます。モチベーションを維持するためにも非常に重要なのですよ、通常時の演出って。
退屈な通常時をどう過ごすか。なんだか『君たちはどう生きるか』みたいな話になってきましたが、大半の若者はスマホで動画を観ながらスラッシュ打ち、でしょうかね。そこで登場するのが忘れた頃に出現する5枚役のスイカです。スラッシュヤングメンに対するアンチテーゼの如く、取りこぼしを誘発するウォーターメロン。これによって高単価スマスロ支持層である若者からも敬遠された、というのが私なりの結論のひとつです。
総括いたしますと通常時のシステムのあれこれがパチスロ、とりわけ高単価スマスロユーザーの嗜好に合わなかった点がマズかった、というわけですな。うん、致命的!!
しくじり.2:一転集中し過ぎた
本機はこうも言われました、ATだけは面白いと。私も「言うて最近のスマスロ、当たればだいたい面白いやん、大袈裟すぎるやろ」とこれまた壮大にバッターボックスで素振りをしていました。そして打ってみて皆さんの気持ちがわかりましたよ、確かに面白いです。
特に選択されるキャラクターで継続の期待度が変化する、前作の白鯨攻略戦を彷彿とさせる大兎殲滅戦が手に汗握るドキドキ縄文土器の展開で素晴らしい。さらに本機の最大の叩きどころである超強欲チャレンジ、アレはマジで脳が沸騰します。レバー折れるんちゃうか、ぐらいの勢いで力を込めて叩きますもの、イイ年齢した私でも。
解き放て、渾身の、満身を込めた全身全霊の一撃を。突き抜けろ、明暗を分ける運命の5.49秒を。掴み取れ、その身に余る栄光を。数多なる感動を。比類なき完全なる勝利を。みたいなことを考えながら黄金の扉から飛び出してきたボタンを押す瞬間の達成感たるや、我がパチスロ人生においても比肩すべきを見出せぬ程に類まれであると言えます。
いつまでも忘れられぬ記憶の結晶。心の奥の宝物。いつかあなたに見せたいな。遠い異国の窓際で。何を言っているのでしょうか、私は。
……つまりはそれぐらい面白い瞬間を凝縮させ過ぎてしまった故に、その面白さが際立ち過ぎた故に通常時の退屈さがより浮き彫りになってしまった、という側面もあるかと思いますわよ私、オホホホホ。
★元店長カタギリとリゼロ2
6号機初期の初代リゼロは私も割と良く打っておりまして、比較的短時間で設定の高低はおろか奇数偶数まで推測が付きやすい点も含めて6号機のスタンダードだな、という印象を持っておりました。設定がわかりやすい機種、つまり本機種の稼働が良い店は設定を使う優良店判別にも繋がるのですから。
そしてお客さんがブッ飛んでいる店でも短時間、ワンチャン勝負が出来るのも私が好きな理由のひとつでした。ハマリの深いところで引いたATは大量出玉のチャンス。すなわち低設定台の強AT狙いが出来たのも私好みな仕様でした。
そういう意味で考えると初代と本機はどちらも低設定台でも夢は見られるものの、深いゲーム数で当たったATがより多くのメダル獲得に期待出来る訳ではない点において、本機の仕様は初代リゼロ好きだった私にとっては魅力不足。
やはり仇となったのが、前作と比べられてしまう続編の宿命。嫌いじゃないけどリゼロはやっぱり初代の方がオモロかったわ、ゴメンね、正直で。
★まとめ~2代目リゼロから改めて学ばされたパチスロの肝~
私は再三に渡って申し上げております。出玉・持ち玉が減少する時間をいかに上手に楽しませてくれるかが大事ですよ、と。つまり通常時をいかに上手く騙してメダルを打ち込ませるかに心血を注いで欲しいのです、開発陣の皆様には。
版権が良いから、出玉性能が良ければ。それだけでヒット機種には成り得ないという事実をユーザーに、ホールに改めて再認識させてくれたスマスロリゼロ。強欲なユーザーが怠惰な開発者に憤怒とまでは言いませんが、期待度が高過ぎたために肩透かしを食らったユーザーも少なくなかったはず。出玉性能のみならず通常時さえ面白い東京ナントカ、私もこちらを支持せざるを得ません。ホント、惜しかったよなあ……。
3
6
共有する
- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。