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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
2025.02.02
クソ台じゃないよ! ちょっとしくじっただけ! 元ホール店長が語る「綱取物語(平和)」のしくじり物語。
元・店長カタギリ 元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
最近の話題で私が気になっているのが『ホールの貯玉・貯メダル再プレイ時における手数料の徴収』です。当然ながら再プレイによる恩恵を享受していたヘビーユーザーからは不満の声が挙がり店舗からの離反が懸念される一方で、ホール側としては調整面で他店との差別化を図れるためにライトユーザーの来店頻度を高められる優位性が生じる、一長一短のある施策であります。
この件についての是非は多方面から語られるべきですが、弱小ホールが生き残るためには健全かつ適切な手段のひとつであることは間違いありません。多くのホールにとって貯玉・貯メダルの残高が営業面での負担を強いられる理由のひとつである事実を踏まえると、手数料を課すことでホールの負担を減らし、その分をより良い調整の台数を増やすことに注力すれば、結果的には稼働面での好転に期待が持てるからです。
さらに言うと、地域の一番店と同じ条件で戦っていても勝ちの目が見えてくることは無いから、ですかね。
今回ご紹介いたします『しくじり機種』は、機種自体が失敗だった訳ではありません。むしろオールドファンならば誰もが知る大ヒット機種であることに異論は無いでしょう。しかしながらホールの運用方法によって店舗毎の大きな稼働差が生じ、その結果としてユーザーがホールを評価する物差しとなった『しくじりホールをあぶり出した機種』であった事実を今いちど世に知らしめたい、という思いで今回は語らせていただきます。
★今回のしくじり機種は『綱取物語(平和)』
▲綱取物語(平和)
本機がリリースされたのは1993年。同メーカーからは麻雀、ダービー、プリンセスに続く物語シリーズの4作目であり、前3機種と違い保留玉連チャンよりも数珠繋ぎ連チャンによる大当りの連続性に注目が集まった液晶デジパチであります。この連チャンシステムこそが本機最大の魅力であり、同時にホール営業の在り方について考えさせられる仕様でもありました。
しくじり.1:フタを開けたら実に単純、誰でも予想可能な内部状態
本機には天国・通常・地獄の3種類のモードが搭載されており、それぞれのモードでの大当り確率は約37分の1、247分の1、988分の1と著しい差が設けられておりました。
導入当初に公表されていた大当り確率は通常モードの247分の1でしたが、導入直後から「妙に朝イチから連チャンする」との噂が流れ、実際に朝イチの大当りからの連チャンが顕著に見られたため瞬く間に人気を集める結果となったのです。
それもそのはず、朝イチの電源立ち上げ状態で滞在するのは必ず通常モード、さらに大当り終了後は50%の確率で大当り確率約37分の1の天国モードに移行するため、朝イチからの大当りの2回に1回は数珠つなぎ連チャンに期待できる仕様だったのですから。
さらに詳しく述べますと天国モードに移行しなくても3分の1の確率で再び通常モードに滞在、残念ながら6分の1の地獄モードに移行してしまうと次回の大当りが一気に望み薄となり手を出す価値ナシ、という訳であります。 攻略誌などでこの仕様が公表された後は当然ながら朝イチ台に全員集合、大当り後に連チャンしなければ即ヤメの立ち回りが確立されます。
従ってホールには天国、もしくは通常モードからの転落後と思われる100回転ちょっと回された台がゴロゴロと空き台となり、その後は誰も着席しない光景が日常的なものとなってしまったのです。ま、今の時代に例えるならば誰が見ても明確な「冷遇状態」の空き台だらけなのですから、ここまでの状況は致し方ないことではありました。
しくじり.2:ホールの明暗を分けた、その後の対応
本機の仕様が判明するまで、つまり連チャンシステムの謎が判明するまでの間は通常や地獄モードでも稼働し、それ故に粗利を生み出していた綱取さん。しかしながら中身がわかれば打ち手は美味しいとこだけ狙って後は見向きもしない訳ですから、ホールにとっては面白くありません。
電源オンで通常モードが確定、さらに朝イチ大当りの50%で連チャンモードに突入、かつ大当り後に天国モード移行しないと見るや捨てられて以降は稼働ナシ。こんなことでは利益が取れないや、だったら電源オフでリセットするのはヤメちゃおう、そう考えて綱取物語のシマは電源を入れっぱなしで営業するホールが続出しました。
しかしながら、これこそが愚策の極み。綱取り物語は電源投入後には必ず「十両・金星・小結」の出目となるため、朝イチで来店したお客さんが綱取物語の液晶画面が上記の出目でないと確認した時点で「電源入れっぱなしのボッタ店」と判断することが出来たのです。
逆に言えば仕様判明後も調整面では導入当初よりも劣るものの朝イチの集客のために必ず電源はオフにしたまま営業を継続するホールもありました。さらに言えば夕方以降に来店するサラリーマン層のために「綱取コーナーは夜に再度電源を落として通常モードスタート」というイベントを開催するホールも散見されました。そう、本機の仕様をホール側が把握し、ユーザー心理を理解した上で、機種ではなくホールの評価を下げないために最大限の努力を行ったホールも存在した点を忘れてはなりません。
目先の利益を優先して自店の評価を下げたホールと、稼働面を重視して自店の評価を上げたホール。こうした「ユーザー心理の理解した上での取り組み」の有無こそが、その後の店舗の運営に影響を及ぼしたのは間違いのないところでしょうね。
★元店長カタギリと綱取物語
朝イチは当りやすく連チャンしやすい、連チャンが終わったらどこまでハマるかは未知数。本機の仕様が公となる前から、既にぼんやりとした綱取さんのイメージを持っていた私は当時、とりあえず初当りまで打って連チャンしなければヤメ、という結果的には正しい立ち回りで遊技しておりました。
実際のところ朝イチに当たりやすい訳ではありませんでしたが、連チャン後の地獄モードを深追いしなかったため、収支的には「遊べるレベル」で済んだのは幸いでした。 なにしろ大当り終了後の天国モードがアツ過ぎました。リーチがハズれたと思いきや、右出目が横回転してのスーパーリーチに発展。ノコッタノコッタ、と表示された画面上で図柄がスロー回転、見事に図柄が3つ揃った時の「してやったり感」は保留玉連チャン機とは違った興奮と快感、そして何よりの満足感で心が満たされたものでした。
仕様が公表された後は電源オフを継続した朝イチのシマの雰囲気が嫌で敬遠、電源を入れたままのボッタ店では打つ価値ナシでこれまた敬遠と、綱取さんとは縁遠い関係となってしまいましたが、中身がわからないからこそ面白い、中身が知れ渡っていないからこそホール側が甘く運用できる、その点を理解している私は今でも「パチンコやパチスロなんてある程度は不透明なほうが長く楽しめるよな」と若者には理解されないような呟きを心の中で繰り返しています。
★まとめ~綱取さんが投げかけたホールへの課題~
パチンコやパチスロが「より多くの大当りを引くことで楽しめる遊技」である以上、ホールが成すべきは「大当りをより多くのユーザーに体験してもらえる努力」に他ならないのではないでしょうか。
ハネモノで1人のお客様に15,000発の大量出玉を提供するよりも、3,000発の定量制にして5人のお客様に3,000発ずつ出して頂く、といったレベルの工夫をしたほうが結果的にホールに足を運ぶ回数も増えてくるだろう、というお話です。
綱取物語は運用次第で長期稼働したホールもあれば、短命に終わってしまったホールもありました。ひとえにホールの努力がそのまま自店の営業結果に反映された事実があるのですから、現在のホールもまた、導入した機械をどうやって長期稼働させるかを真剣に考えるべきだと思うのです。そのために貯玉・貯メダルの手数料を取る。交換率を下げる。
そういった、ユーザーが今まで以上に楽しく遊べる調整の台を増やすための改善こそがホールの、引いては業界の活路を開く最善の努力なのではないでしょうか。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。