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溢れる夢が つないだ未来なら
溢れる夢が つないだ未来なら
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/06/21 00:07
今から10年程前、2007年の10月にパチスロは5号機に完全移行した。
その少し前、60万台以上というパチスロ史上最大の販売台数を記録したモンスターマシン、
『北斗の拳』が撤去された時に、ホールを去ったスロッターは少なくない。
北斗世代と呼ばれた人間のうち一部はパチスロを打ちに来たのではなく、
北斗を打ちにホールに通っていたのだ。
時代を象徴する機種とともに、活気あふれた時があり、
それぞれが思い入れのある機種を語った時があった。
「やっぱり北斗だよな、今日こそラオウ昇天目指すよ」
「聞いてくれよ、この前吉宗で自力で俵8連させたんだ」
「パチスロはやっぱりリーチ目と技術介入よ、大花火なら誰より打ち込んだ」
「遊技としての王道、ニューパルの右に出るマシンは無い」
「マンクラ3のCTは衝撃的だったよな」
スロッターはそれら4号機と呼ばれたものが大好きだった。
そして迎えた2007年10月、
ホールにかつての喧騒は無かった。
・ボーナスストックの禁止
・短時間の大量獲得は許さない
・実質的な技術介入要素縮小
・演出も大幅制限
こまかく数えるとキリが無いものの、要は5号機ではかつて人気を博した要素は搭載できませんと決められたようなものだった。
ノーマルタイプはなんとか生き残っていたものの、リプレイ外しや子役高確を失った結果、熱心だったスロッターほど数回打った後に、首をかしげて席を立った。
彼らはパチスロが打ちたいんじゃない、4号機が打ちたかったのだ。
結果、遊技人口は減り、中小ホールの多くが店をたたんだ。
加熱し続けた射幸性にブレーキをかける必要があったのも事実だった、
そうした措置は仕方のないことなのかもしれない。
しかし現実として店が無くなり、ベニヤ板が並ぶシマを前にホールもメーカーも頭を抱えた。
北斗の拳の後継機として多くの期待を集めた『パチスロ北斗の拳2』がどうなったかは思い出したくもない。
「朝一から打てない人はもう無理じゃないか?」
私もそう思った一人だった。
学生時代のように朝からホールに入ることもできない、
もうパチスロは卒業かなと思った。
地図にない街 求めて何処までも 君に逢える日まで
2007年 スカイラブ (SNKプレイモア)
(C) SNK PLAYMORE
もはや惰性でホールを冷やかしていた私の人生を変えた名機は、
場末のさびれたホールに3台のみ、ひっそりと設置されていた。
版権キャラクターではなくSNKのオリジナルコンテンツとして登場したこの機種、
シリーズが続いたこともあり、スロッターの間では現在もそれなりに知名度はあるのではないだろうか。
導入自体はまだかろうじて4号機の設置もある時期であり、
ホールもそちらに集中する店が多く、はっきり言って目立つ機種では無かった。
古参の大手メーカー機に対してホールの導入率で苦戦しており、私以外は誰も座っていなかった。
実はこの頃5号機でもリプパン外しと呼ばれるRTの延命技術を駆使した台も登場し、
『スパイダーマン2』『リングにかけろ1』『戦国無双』
といった機種が支持を集め、メーカーもわずかながら光を見出していた時期でもあった。
しかしこの『スカイラブ』はそれらの機種とは少し毛色が違っていた。
3種類のRTによって「内部モードによる期待値の変化」を擬似的に表現しており、
それらはボーナス待ちでしかなかった5号機のゲーム性を一気に広めてくれた。
細かな仕様は割愛するが、
ボーナスの出玉を補うオマケのRTではなく、独立したチャンスゾーンとして最低でも100Gに一度は50%で突入が期待できるRTだった。
どんなに合算の軽い台でも、不意にハマりが訪れることは誰しも経験することだろう。
100G消化で「必ず」チャンスが訪れるという部分がミソで、ハマりに苦しむ時も、
「あと少し回してRTに入れて乗り越えてやる」
と希望を持てたし、ヤメ時を決断させやすくもあった。
同メーカーの『超お父さん』を発展させて誕生した『スカイラブ』、
これは今でも5号機における一つの完成形だと私は思っている。
演出面も流石ゲームメーカーと言えるもので、
・ラブBIG時の楽曲「ELICION」は屈指の名曲。
・通常時も過度な煽りは無く、ボーナス成立ゲームにアツい演出の一発告知もある。
・操作性やストップ音も良好。特にRT後「お宝チェック」演出時のストップボタンでの「バシッ」というSEが心地よい。
・ボーナス中やRT中も目押しや演出での遊び要素が豊富。
総じて演出全体に嫌味の無い、万人向けの仕様であったと思う、
ホール環境によってはややうるさいのが玉にキズだが。
『スカイラブ』はその仕様上一撃で何千枚出す、という機種ではない。
「スカイラブは勝ちやすいですか?」
愛好家でもこの質問をされるとなかなか答え辛い機種だ。
しかし、
「スカイラブは楽しいですか?好きですか?」
この質問には多くの人が笑顔で「もちろん」と答えるだろう、つまりそういうことだ。
出玉性能はもちろんパチスロの重要な要素だ、
しかしそれ以外の部分も練り込むことで、こんなにも魅力的に仕上げることができる。
当時盛んに言われていた「遊べる5号機」の可能性を感じさせるものだった。
もっとも、「遊べる5号機」はその後思わぬ方向に舵を切り、
スカイラブシリーズも変わっていくのだが、それはまた別の話。
残念ながら2015年10月、SNKプレイモアはパチスロ事業から撤退した。
パチスロで活躍したキャラクターの一部は今後ゲームに登場するらしいが、
新作パチスロ機としてのスカイラブは二度と見られないかもしれない。
私は5号機で楽しめるパチスロの方向性を提示し、
スカイラブを生み出したSNKプレイモアに感謝したい。
そしてかつての領域に戻ったゲーム業界でのさらなる活躍を期待したい。
ぱちんこの撤去問題やスロットの3000枚規制が目の前に広がる昨今、
私は第二のスカイラブに出会いたいと願う。
それは決して夢物語ではない。
メーカー、ホール、打ち手がそれぞれ未来を考え、
探しに行けば、きっと見つかるはずだ。
地図にない街 求めて何処までも 君に逢える日まで
溢れる夢が つないだ未来なら 探す 今も 何処へ
(パチスロ『スカイラブ』 ラブBB曲『ELICION』より)
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岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(14 件)
あの賞にそんな背景があったとは…
そこまでさせる魅力が『スカイラブ』にはあったということですよね。
今週の「思考ルーチン」を拝読し、コラム内にある5.9号機で『スカイラブ』は作れるという文面に心躍らせた岡井でした。
基本的なデザインも、新規参入メーカーとは思えないほどしっかりしていたという印象です。
まぁ妙な台もけっこう出してたんですが(笑)
ジャンジャンの世界観は変な中毒性があったので、ついつい遊び打ちしてしまったのを思い出しました。
実はこれ、元となった777@niftyで『スカイラブ』を表彰するために、私がお願いして作ってもらったのがベースです(笑)。
システムも斬新だったし打ち手を飽きさせないあたりは流石のゲームメーカーって感じでした!
あぁ…超父とかチャムチャムとかジャンジャンとか打ちたい…
初代超お父さんに目をつけていたとは流石FLEAさん。
大勝ちした記憶はないのに、楽しんだ記憶が残るというのは、素晴らしいことなんですよね。
シリーズを重ねる毎にゲーム性まで変わってしまいましたね。
それは進化なのか、それとも…
ああ、そうそう、球児は多分あきうめさんだけです(苦笑)
いつの間にかペガッパの人に(笑)
思い入れのある機種なので、今回は語らせていただきました。
評価と稼働が必ずしも一致しないのもこの業界の難しいところなんですよね。
そう、出目もしっかり作られていたんですよね。
ART・AT機はしっくりこないものが多い印象でした、みこしちゃんARTはわりと良かったのですが…
結構音大きいんですよね、だからこそ印象的というのもありますが。
でも音割れバージョンはマニアック過ぎです(笑)
サクッと1000枚2000枚出るような台ではなかった。
だが、それがいい。
無理な出率設計によるしわ寄せが無いからこそのゲームバランス。
遊べるとは何か?
昨今のART機に爪の垢を飲ましてやりたい…遊べるに割と本気に取組んでいた5号機 黎明期の名作ですね。