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BAR BIG BONUS#7 鉄のハインリヒ
BAR BIG BONUS#7 鉄のハインリヒ
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/09/27 00:00
私は業界タレントが集まるバーの雇われマスター。
7の付く日だけ開く店の名前は「BIG BONUS」。
パチスロ好きなオーナーが開業時に、BARという響きを嫌い、せめてもの縁起かつぎにとつけた名前です。
素敵なTOP絵はくりくり。さん
(http://pachiseven.jp/columns/column_list.html?uId=14740#contents)
にいただきました。
話は記憶とweb上の情報を頼りに書いているため、
【間違っている部分も多いと思うので、鵜呑みにしないよう】お願いします。
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静かに雨が降る夜。
私は先ほどご予約いただいたお客様のため、カウンターに【予約席】のプレートを置いた。
もっとも今夜は天候のせいか、お客様もまばらではありますが。
ご予約いただいた方は、パチスロ界のレジェンドとも言える存在。
登場機は驚異的なシェアを誇り、一時期はホールの半分以上はこの台という状況でした。
パチスロ4号機の救世主と言っても過言ではないほどの名機であり、現在も後継機が登場しています。
世紀末救世主?いえいえ、それより少し前、小さな救世主のお話。
「ケロケロッ♪」
どこからかカエルの鳴き声が聞こえてきた。
こんな雑居ビルの中で?
「ケロケロッ♪」
ああそうだ、これは彼が来店する前兆。
私はカウンターに置いていた【予約席】のプレートを外した。
「ケロロッ、こんばんはマスター」
ドアが開くとそこには私の予想通り、緑の身体の彼がいた。
「いらっしゃいませケロットさん、お席を用意していましたよ」
「ちょっと飲みたくなってね、空いててよかったケロ」
注文をいただきグラスホッパーを提供。
そういえばお父様もこのカクテルがお好きでしたね、と昔を懐かしむ。
「うん、お父さんは今でも飲んだ時に昔話をするケロよ」
初めての箱型パチスロ機として1980年に『パチスロパルサー』は登場した。
それまでのアメリカ式のアップライト筐体と比較すると圧倒的にコンパクトなボディは、日本のパチスロ普及に貢献していった。
「お父さんが言うには、パルサー以前のパチスロ筐体は今の倍くらい大きくて、『AKB2』みたいな大きなレバーがついていたんだケロ」
「パチスロの歴史を作ったマシンの血を引いているというと、ケロットさんがいつもより大きく見えるから不思議です」
「大きく‥‥ジャイアントパルサーかな?ゲロロオゥ」
いつもよりも低い声で鳴いてみせる、芸達者な彼だ。
後継機としては1985年に1号機『パルサーXX』、1989年に2号機『ビッグパルサー』が登場。
「マイナーチェンジ版の『XXⅡ』『XXΣ』もあわせて市場に普及していきましたね」
「当時から既に伝統の大量リーチ目のゲーム性は人気だったんだね」
その後のいわゆる3号機時代はパルサーの登場は無かったものの、
ゲーム性を踏襲した『スーパープラネット』が人気を博す。
しかしこの時期、パチスロ界は違法改造を施された裏モノ天国となっていた。
「一時期はノーマル機を探す方が難しいなどと言われたレベルでしたからね、一斉摘発によってホールから人気パチスロ機のほとんどが姿を消しましたよ」
「大変な時代ケロ、5号機移行時のベニヤ設置以上の危機感があったよ」
機械がない、話題にするようなものも無い。
パチスロ業界自体がこのまま無くなってしまうのでは、ともささやかれた時代だった。
規定が見直された4号機初期。
少しづつ登場した新台にもかつての盛況は無く、打ち手は懲りもせずに、
「楽しかった裏モノの時代がまた来ないかな」などと話し合っていたものだった。
「そんな時、パチスロ史上に名を刻む名機が登場しましたね」
私は作業を一旦止めて、ケロットさんに視線を送る。
「ケロッ、1993年『ニューパルサー』の登場だケロ!」
元気よく跳び上がってケロットさんは答えた。
爆発的に広まるという売れ方ではなかったが、気づいたらパチスロコーナーがニューパルだらけになっていたという、とにかく異例とも言える長期にわたって売れ続きホールを席巻。
最終的には22万台を売り上げる大ヒットとなった。
「ボクがボーナス図柄に初登場したんだ、揃えるとケロッと鳴く姿が可愛いなんて声もあったよ」
「リーチ目主体のゲーム性は変わらずとも、操作性や音楽といったハード面、なにより高設定時の連チャン性がオカルト派を含めて打ち手を夢中にさせましたよ」
「『ニューパル連』なんて言われたね、ほどなくしてホールや雑誌も盛り上がって、4号機は楽しいと言ってくれるファンもどんどん増えていったんだ」
カエルの増加に比例するように、ホールはかつての盛況を取り戻していった。
冷え切った市場を救った救世主は、パチスロコーナー顔として不動の地位を獲得したのだ。
当時のホールは入れ替えも年に数回程度、看板機種となっていたニューパルは替えられない、設定も落とせないという状況になっていた。
設定判別の攻略法が発覚した後も設置され続けたという、今では考えられないエピソードからも「ニューパル」への絶大な信頼がうかがえる。
「ああ、そういえばその後の『ワイワイパルサー2』や『ケロケロパルサー』のカエルはケロットさんじゃないと聞きましたが‥‥」
私は後継機の展開について彼にたずねた。
「ケロッ、少し困り顔のコマッタ君だね。『ワンパクパルサー』も彼だよ‥‥」
ケロットさんが複雑な表情で俯く。
私もそれらの機種の機種のことを徐々に思い出してきた。
パルサーシリーズと期待して打った客が口々にこう言ったのだ、
「せっかくリーチ目を覚えたのに」
「前はこれで入ってたぞバカヤロー」
十分なゲーム性を備えながらも、ファンであるほど拒否される結果となった。
『ニューパルサー』の完成度が高過ぎた故に、変化も進化も許されなかったというのは皮肉な話だ。
「みんなが望んだのはあくまで「ニューパル」だったということでしょうか」
「ちょうど技術介入も流行りはじめてね、逆風の時代だったんだケロ。その後しばらくは伝統の大量リーチ目を捨てて技術介入要素を取り入れたり、試行錯誤が続いたんだ」
「試行錯誤の時に得たものも大切な財産ですよ」
「確かにね、初タイアップマシンの『ピンクパンサー』、7ライン機の『アストロライナー』『ドクターA7』、4thリール採用の『シーマスター』、そうそう、チーパオやウィンちゃんのデビューもこの時期ケロ」
ケロットさんは噛みしめるように当時の機種を語る。
「ああ、ニューパルを作りなおしてみたこともあったケロ」
2000年に完全リメイクの『ニューパルサーR』は初代の入れ替え需要も手伝って再び支持を集めた。これを機に「ニューパル」としてのブランドが確立していく。
5号機となった現在でもリメイク作が出ているが、伝統リーチ目マシンとしてのスタンスを崩していない。
「一定の支持は得られたけれど、キンパルの登場までは我慢の時が続いたケロ」
グラスを空けたケロットさんに追加の酒を作りながら思い出す。
キンパルがもたらした、静かながらも常に稼働があるというそれまでにない動きを。
2001年登場の『キングパルサー』。
パルサーを根幹としてボーナスストック機能を活かしたそのマシンは、連荘・ゾーン・天井狙いという立ち回りにより設定不問の稼動をみせた。
「ノーマルタイプにありがちな、ハマり台が終日放置されるという状況を一変させ、若者がこぞってハマり台を探すようなシマ状況にしてしまった台でしたね」
「稼働が上がったとホールの人から感謝されたケロ、立ち回りで活用した打ち手も多かったんじゃないかな?」
「私もお世話になりました、その後多くのSTタイプが4号機後期を飾ることとなった背景にも、間違いなくキンパル大ヒットの影響があるでしょう」
ニューパルに続きキンパルというブランドを広く認知させ、まさしくベテランの実力を見せつけた機種だった。
「2009年には『ケロット』が登場したケロ、シンプルなゲーム性と甘めのボーナス確率はシリーズ入門に最適だよ」
いよいよ液晶機に本格登場したケロットシリーズは、パルサーシリーズに相応しい誰もが平等に楽しめるもので、その後続編も作られている。
「そういえばケロットという名前が付けられたのはこの時だったでしょうか」
「いやぁ違うよォ、2006年の山佐40周年記念につけてもらった名前なんだァ、みんなに愛されてさぁ、本当にありがたいことだなァ」
6度目のグラス交換をする。
饒舌に語る彼はいつになくペースが速い。
「マスター聞いてよォ、もっと打ち込んで欲しかった機種はたくさんあるんだよォ」
その小さな身体からは想像できないほどの歴史を持つケロットさん。
語る内容は尽きないが、少し飲み過ぎか泣き上戸、いや、鳴き上戸な顔を見せる。
「『ネオマジックパルサー』も『押し順ケロルン』も、もっと打って欲しかったよォ、ケロロォン、ケロロォン‥」
「ケロットさん‥ちょ、ちょっと飲み過ぎでしょうかね」
「ELビジョンがさぁ、またイイ味だったんだよォ、ケロロォン‥」
長い歴史の中で、浮き沈みは誰しも経験することでしょう。
生まれた功績は数あれど、非難されることはそれ以上に多いこともあります。
それでもコンスタントにシリーズを出し続けることは、並大抵のことではありません。
「続ける」ということの難しさや意義を、彼は体現しているのかもしれませんね。
「パルサー」の看板を支え続ける緑のカエルは、今日もホールで貴方を待っています。
ケロットさんもかなり酒が進んだ様子、車を呼びましょうかと声をかける。
「大丈夫だケロォ、迎えが来てるんだァ」
千鳥足気味な彼が開けた扉の向こうには、見覚えがある三角帽にマントの女性。
パルサーシリーズにかけられた、彼女の魔法にはどんな仕掛けがあったのだろう。
常に彼の傍にいながらもその詳細は不明、いつか彼女のお話も聞きたいものです。
手を振って去る彼らを見送りながら、そんなことを考える夜でした。
SEE YOU NEXT BONUS…
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岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(20 件)
ミントリキュールとしてはスタンダードの一つですね。
ジェット様は酒にも精通しているとは、なんだかイメージ通りな感じがしますよ。
俺のマスコットボトルの1つだよ。嬉しぃねぇ。カエルさんへの思い入れは中々にして俺も強いよ。
流石、打ち込んでいらっしゃる。
『タンタンタヌキ』も『マイマイ』もニューパルの流れをくむ、というよりリニューアル機種でしたね。
体裁なんてどうでもいい、楽しんだならそれが青春ですよ。
タンタンタヌキにニュービック、ワイワイパルサーにケロケロパルサー…
マイマイも打ちましたね。
あの頃の山佐台は全部打ちました。
青春だなぁ、ほんと。
カエルが青春ってなんだかあれですけど、青春ですね、僕の。
二足歩行するカエルさんは可愛らしいですよ。
魔女さんはパンフ等で実写化もされていますが、毎回微妙に雰囲気を変えてくるのは流石といったところでしょうか。
にぎやかになるか落ち着くかは、お客様次第でしょうか。
オレンジピールはそろそろお召し上がりいただいた方がよろしいかと……
おやつにもつまみにも、相性は良いですよ。
三角帽の女性かわええよね リプレイまじょっこ 上にいるやつ
そしてキャバクラ感がない今回のバーはしっとりしてて素敵でした(*´ω`*)
…まだオレンジピールもったいなくて食べれないんですがどうしたらいいですかね…マスター…?
こちらではネオマジ好きな方が多いようで、少し驚きました。
遊びやすいラインに収めたことで、加熱する市場で中途半端な印象を持たれたのが不運だった気がしています。