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パチンコ&パチスロ最新機能ガイド
2025.06.25
パチンコ「LT3.0プラス」で何が変わったの? 元パチンコ開発者に聞いた超分かりやすく濃密な「LT3.0プラス」解説インタビュー!
じく
パチンコ&パチスロ最新機能ガイド
ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
2025年(令和7年)7月7日に搭載機種が導入予定の「LT3.0プラス」、4月に日工組(日本遊技機工業組合)から発表があり、具体的な機種情報も出始めています。
ただ、「LT機の条件変更」とか「時短の性能仕様変更」と言われてもユーザー視点ではなかなかピンと来ないわけです。そこで元パチンコ開発者でパチンコの仕様にくわしいX氏をお招きして、「LT3.0プラス」による変更点や関連するパチンコの仕組みをお聞きすることにしました!
先にインタビュー内容をざっくりまとめると、
・出玉性能は変わらない
・LTに突入しやすくなり、出玉に対するLT占有率が高くなった
・出玉獲得までのルートのバリエーションが増えた
・「何でもできる」ゲーム性のバリエーション
といったところになります。それではX氏に「LT3.0プラス」について紐解いてもらいましょう。
目次読みたいところまで飛べます
- 日工組発表の「LT3.0プラス」内容は?
- 「LT3.0プラス」で出玉性能は変わるの?
- 「LT3.0プラス」でゲーム性が変わるってどういうこと?
- 「LT3.0プラス」に関連する今さら聞けないパチンコの仕組みを聞いておこう!
- 今後の「LT3.0プラス」はどうなる?
- 「LT3.0プラス」で変わること、変わらないこと
インタビューの前に、2025年4月に日工組から発表された「LT3.0プラス」の内容を簡単に説明しておきましょう。
LT機の条件変更
上記に基づく難しい計算式は置いておいて、「LT機の条件変更」の内容は主に以下の2点です。
・初当りからのLT到達率が約53.3%まで広がった
・大当り確率1/349相当の遊技機でもチャージ当りが不要となった
時短の性能仕様変更
こちらも上記だけを見ると何が何やらですが、「時短の性能仕様変更」をざっくりまとめると、
・時短による状態の移行先や移行方法がより多く搭載され、RUSH突入ルートが多彩になった
・CZとしての時短や段階的なRUSH性能アップなどが可能になった
という感じです。
これらを初期のLTやLT2.0と比較すると、以下のようになります。
▲LT初期からLT3.0プラスに至るまでの変遷
発表内容についてくわしくは以下の記事をぜひ御覧ください!
▶パチンコに「LT3.0プラス」が令和7年7月7日登場! LTの変遷を追う!
ということで、かつてメーカーでパチンコ開発に携わっていたX氏にお越しいただき、「LT3.0プラス」についていろいろお聞きしました!
——本日はよろしくお願いします。先日発表された日工組による「LT3.0プラス」の説明がユーザーにとって難しいと感じられる部分もあり、今回X氏にお話をうかがえればと思った次第です。
自分から見ると日工組による説明はだいぶ噛み砕いた内容だと思いましたが、専門的な部分がユーザーの方には難しいかもしれませんね。
▲元パチンコ開発者のX氏。ここでは書けない数々の武勇伝も語ってくれた
出玉性能は変わらない
——さっそくですが、すでに出回っている「LT2.0」から今回の「LT3.0プラス」になるにあたって、出玉性能は変わるのでしょうか?
LT自体の期待出玉総量は9,600個と変わっていません。ただし、大当り出玉に占めるLTへの依存度が緩和されました。当初のLTではおよそ1/2だったものが、LT2.0で2/3になり、LT3.0で4/5となりました。これによってLT直行の大当りが出しやすくなったと言えます。つまり、LT時の期待出玉総量は変わりませんがLT突入率は緩和されたわけです。LTに寄せて占有率を上げることができるというイメージですね。
——それでは「初当りを含む獲得出玉期待値」が3,200個から6,400個になりましたが、これはどういった緩和なのでしょう?
当初のLTでは初当り出玉に対して3,200個の期待値があり、それに対して1/2しかLTによる出玉の期待値を持たせられませんでした。ちなみに3,200個というのは、ライトミドル帯(大当り確率1/200前後)相当の獲得出玉期待値です。
そこからLT2.0まで3,200個だったものが、LT3.0から6,400個になりました。6,400個になると1/349以上の獲得出玉期待値になるので、各メーカーはそこに合わせて「LT3.0プラス」搭載機種を作っているという感じです。1/349以上の機種であれば、ほぼチャージ当りといったものは不要になります。例えば、7月7日導入予定の『eフィーバー炎炎ノ消防隊2 紅丸ver.』の場合、図柄揃い確率1/399、チャージ当り確率1/2186で、トータル1/349相当にされています。
▲『eフィーバー炎炎ノ消防隊2 シンラver./紅丸ver.』(SANKYO)
——チャージ当りは完全に不要というわけではないのですね?
はい、図柄揃い確率が1/349を超える機械の場合はチャージ当りが必要になると考えられます。日工組としては内規さえ守っていれば問題なく、メーカーが考えることは別なものとなります。また、メーカーによってはチャージ当りを好まないメーカーもあるはずです。
これは余談ですが、かつて突然時短や突然確変が流行っていた頃もフィーバー機を誕生させたSANKYOさんはしばらく搭載しませんでした。「大当りをしたら出玉が出るのがフィーバーである」という考えのもとだと思います。
出玉獲得のルートが増える
——LTに突入しやすくなると、結果的に「LT3.0プラス」によって出玉が荒くなるということでしょうか?
今回の緩和によってLTによる出玉総量の変更はなく、通常時やRUSH中の出玉を獲得するルートのバリエーションが増えます。今までは粗利(※)性能の帳尻を合わせるために初当り確率やRUSH突入率が調整されていましたが、そこが例えば右打ち中の連チャン率が変化していくことに代わっていくかもしれません。
※広義では売上から原価を差し引いた金額。パチンコでは、遊技台1台が稼ぐ台粗利やパチンコ玉1玉が稼ぐ玉粗利などを指す。
これも余談ですが、規則や内規が変わると開発者は最も出玉性能が高いものを開発しようとする傾向があります。パチスロは出玉性能のグラデーションが豊かですが、パチンコではお客様が出玉性能の高さを求める傾向が顕著です。
また、パチンコには規制後に射幸性が上がるとお客様が戻ってくるというパチンコの歴史があります。例えば、連チャン機が無くなった後に2回ループを認めた時ですね。そういった成功体験があるので、メーカーや組合も射幸性を重視する傾向があるのだと思います。
ライトミドル機の「LT3.0プラス」は想定しにくい
——LTへの入口が広がると出玉が甘くなるということはありますか?
LTに入りやすくなって甘くなり、ホールが使いにくくなるのは確かだと思います。従来の機種だと『eぱちんこ押忍!番長 漢の頂』なら大当り確率1/179.5で、その1/4でLTに突入します。『Pにゃんこ大戦争 多様性のネコ』なら大当り確率1/155で、1/4を引きさらに1/2を引いてLTに突入します。
▲『eぱちんこ押忍!番長 漢の頂』(大都技研)、『Pにゃんこ大戦争 多様性のネコ』(KYORAKU)
こういった仕様に「LT3.0」をそのまま当てはめて最初の大当りからそのままLTに直行しやすくすると、非常に甘い機種になってしまい1000円で5回くらいしか回せなくなり現実的ではなくなります。そういった点のバランスが取れるように各メーカーが調整していくわけです。
——「LT3.0プラス」で初当りを含む獲得出玉期待値が6,400個になりましたが、これを利用したライトミドル帯(大当り確率1/200前後)の機械というのは考えられるのでしょうか?
自分は今のところあまり想定できません。今回はLT突入時の期待出玉総量9,600個を出すためのフローがいろいろ変わったものです。1/200の機械だとすれば、なかなか上位モードに遷移しないが、もし遷移できたら9,600個出るという仕様ならば考えられるかもしれません。
ちなみに9,600個というLT突入時の期待出玉総量は過去のMAXタイプと呼ばれていた時の総量と同じで、これ以上大きくならないと考えています。
——ライトミドル帯でも初回LTが入りやすくなるというのは考えられませんか?
おそらくそういった機械になるとホールでの運用が破綻すると思います。そのままでは現実的ではないので、例えば地獄モードを持つとか、ほとんど図柄揃い当選せずチャージ当りばかりになるとかになると思います。
時短性能の仕様変更とは?
——つづいて「時短の性能仕様変更」について教えてください。CZタイプやRUSH性能変化タイプなど新しいゲーム性に関する変化がありますが、どのように実現したのでしょうか?
例えば『ぱちんこ キン肉マン3 キン肉星王位争奪編 火事場ゴールド/友情シルバー』では内部時短状態を利用してモード移行を行っていますが(※)、従来よりもその自由度が緩和されました。内部時短とは、電チューが開かずお客様から見ると通常状態に見える時短です。
※初当り「MUSCLE BONUS」でRUSHに当選しなかった場合はCZに突入し、CZ中に大当たりした場合は通常時よりRUSH突入率が上昇する。
▲『ぱちんこ キン肉マン3 キン肉星王位争奪編 火事場ゴールド/友情シルバー』(KYORAKU)
——従来の電サポのように電チューが開く時短状態もあれば、電チューが開かない時短状態、電チューが開かないわけではないが開放しにくい状態などがあるということですね。
はい、そういったものがたくさんあるわけです。電チューが開かない時短でモードを上げて通常時に天国状態を作り、そこで当りを引けばラッシュに100%入るという仕組みもできます。また、右打ちで最初は連チャン率50%だったものが時短当選で70%へ上がったり、途中のモードを飛ばして一気に最上位の状態に上がったりするといった仕組みも可能です。
ちなみに時短について補足すると、今の時短はかつての海物語のような電サポとは違っていて、電チューを開ければほぼ大当りを獲得できる台が増えています。その時短遷移をいろいろ組み合わせていくと「大当りしやすい状態」「大当りしにくい状態」を作ることができます。
例えば『e Re:ゼロから始める異世界生活 season2』などがありますが、電チューが開くとすぐに小当たりアタッカーが開いて、そこに入れれば大当りが始まるといったものです。しかし電チューはなかなか開かず、開いたとしてもほぼ拾わない構造を取っています。そのため大当りはしないがモードが上がっていくと電チューが拾いやすい開放パターンを持ってきていて、そこで必ず大当りが発生するという仕組みです。
▲『CR大海物語2MTE』(SANYO 2012年)と『e Re:ゼロから始める異世界生活 season2』(大都技研 2023年)。時代が進み、時短の使われ方も大きく変わってきている
「LT3.0プラス」でも使われているc時短とは?
——日工組の発表では説明に「c時短」が挙げられましたが、c時短とはどのようなものなのでしょうか?
2018年に規則が変わり、従来の大当り後に付いてくる時短が「a時短」、いわゆる天井となる遊タイムが「b時短」、ハズレ図柄の一部で突入抽選が行われる時短が「c時短」、と時短の種類が増えて区分されました。
「c時短」は大当り抽選とは別個に時短に突入する抽選を行うものです。例えば、乱数65536個の中で大当り値が164個、c時短値が164個、と一括で抽選するいうイメージです。大当り確率はそのままに、ハズレ図柄の一部で時短への突入抽選を行っています。
例えば、旧規則で「突然時短」「突然確変」というものがありましたが、これらは大当り後に行っていた時短(a時短)です。通常時にアタッカーが数回開くだけの出玉がない大当りに当選し、その後に時短が付いてくる仕組みです。大当り確率が1/400だとして1/5が出玉のない大当りとすれば、残りの4/5が出玉のある大当りとなり実質的な大当り確率は1/500になります。
一方、c時短は大当り抽選とは別個に時短に突入する抽選を行えるもので、大当り確率1/400はそのままに、ハズレ図柄の一部で時短への突入抽選が可能になります。
▲a時短とc時短の比較イメージ
——c時短はいくつも搭載できるのでしょうか?
自分はまだ情報を得ておらず何段階まで持てるのか分かりません。日工組の内規やメインプログラムの容量が影響するかもしれませんが、かなりの数を持てると思います。
——それでは今回の「LT3.0プラス」でc時短はどのように使われているのでしょう?
今までは「この状態で引いた図柄は、必ずこの開放回数でなければならない」というようなルールがあったのですが、緩和されて開放状態を変えられるなど複雑な仕様が可能になりました。
例えば、通常状態①中にc時短Xを引くと通常状態②に行き、通常状態②中にc時短Yを引くと時短状態①に行く、など遷移を複雑化できます。
ここまでの説明でもまだピンと来ない方もいると思いますが、パチスロAT機のようにレア役を引いてモードを上げていくイメージが近いでしょう。つまり、c時短がレア役なわけです。例えば弱スイカを引くと高確に行き、強スイカを引くと超高確率に行きます、超高確率で強スイカを引くと当選します、といったようなものです。
具体的な「LT3.0プラス」によるゲーム性の例
——こういった仕様を使って具体的にどのようなことが可能になったのでしょうか?
例えば、7月22日導入予定の『e マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』は、右打ち中の時短状態を段階的に上げてMAX連チャンすると1G連しやすいという仕様になっています。
また、7月7日導入予定の『e 犬夜叉3.0』はチャージ当り後に10回転のa時短の潜伏「奈落探索MODE」が付いて、滞在中の図柄揃いかチャージ当りでLT直行となります。
▲『e マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(KYORAKU)、『e犬夜叉3.0』(D-light)
7月にリリースされる「LT3.0プラス」搭載機種では、通常時のモード移行を主とするよりも、右打ち時のモード移行を主とする機械が多いようです。もし自分が現役でしたら、稼働を伸ばすために「いまは良い状態にいるのか?」とユーザーが打ち続けてくれる通常時のモード移行を主とするものを考えます。地獄・通常・天国モードを行き来してモードを推測するという遊びも可能なはずですが、現段階では主流ではないようです。
「LT3.0プラス」と従来の機種との違い
——リリース予定機種の例を挙げていただきましたが、従来機種と比較してどのような違いがあるのでしょう?
「LT3.0プラス」以前では、先ほど挙げたような機種の仕様にはできませんでした。比較していくと、従来のパチンコには、以下の5つの状態があります。
・「低低」:低確率低ベース状態(通常)
・「低高」:低確率高ベース状態(時短)
・「高低」:高確率低ベース状態(潜伏)
・「高高」:高確率高ベース状態(確変)
・「大当り」
▲従来のパチンコの状態(大当り状態を除く)
「LT3.0プラス」ではこの中の「低高」に関する制約が取れて、複数の時短状態を持てるようになったわけです。以前はモード移行したら行きっぱなしだったり、モード移行しても前の状態を引き継いだりといったものでした。それが前の状態をクリアして変更できるようになりました。
例えば、電チューが数回シャコシャコするだけで玉を拾わない潜伏時短のときに、今まではもう1回c時短に当選してもまたシャコシャコするだけだったものが、「LT3.0プラス」ではその開放パターンを変えられるようになります。
——そうできるようになった理由は何なのでしょうか?
以前は「低高」の状態を複数持てるとしても時短回数の差くらいしかなく、それが「LT3.0プラス」で遷移先も変えることができるようになりました。例えば、今までは「低低」からの遷移は「低低」のままか「低高」にしか遷移できませんでした。それが、「低高A」から「低高B」に遷移し、「低高B」だと電チューの開放パターンが増えるといったことが可能になったわけです。
——今までは時短回数しか変えることができなかったものが、状態も変えられるようになった感じですね。
はい、状態も複数持てるようになった「LT3.0プラス」の「プラス」の部分であり、「ゲーム性のバリエーション強化」という名目ですね。多くの状態を持てることになり、今後メーカーがどんな仕様にしてくるかはまだ分かりません。もし自分だったら、先ほどパチスロでのイメージ例を挙げましたが、パチスロ4号機の『北斗の拳』をそのままパチンコにするかもしれません。
——昔の潜伏確変に近いようなものでしょうか?
そうですね、当時の潜伏確変は小当たりと大当りの一部で遷移し、特別図柄表示装置に2R当たりを示すラウンド表示ランプで確認することができました。「LT3.0プラス」ではそういったものが必要なく、もっとモードも複雑にできます。以前は状態に高低の2種類しかなかったものが、低確率でもいくつかモードを持つことなどもできます。
——そういったモードが上がった場合、演出のほかにc時短に当選したことをユーザーが判別できるのでしょうか?
メーカーによって異なりますが、赤LEDなどで表示される特別図柄表示装置というものが盤面のどこかにあります。その組み合わせで当選した際に0.5秒くらいで一瞬表示されるはずです。その赤LED表示の組み合わせに対応する状態を覚えて、瞬時に照らし合わせれば判別は可能です。
▲特別図柄表示装置の一例
c時短はハズレ図柄の一部で当選するので、赤LEDが「ピコピコピコピコ、1個だけ。ピコピコピコピコ、1個だけ。ピコピコピコピコ、4個一気に点いた! ピコピコピコピコ……」と感じで表示されていくと思います。
——仮に設定付きパチンコの場合、大当り確率だけでなく「LT3.0プラス」による複数の時短状態の当選確率なども設定ごとに変えられるのでしょうか?
昨年に、設定付きパチンコに関する解釈基準の変更がありました。その内容は、大当り確率による設定差しかなかったものが、ラウンド振り分けも変更できるようになったというものです。一方、連チャン率を変えるような設定差は持たないように、と言われたメーカーがあるらしいと噂で聞いたことがあります。こういった設定付きパチンコ解釈基準は「LT3.0プラス」においても同様です。
チャージ当りはなぜ存在するのか?
——「LT3.0プラス」の出玉性能についてうかがった際に、チャージ当りについての説明がありました。このチャージ当りについてもう少し教えてください。
日工組の内規では大当り確率の下限値が決まっており、P機では1/319、e機(スマパチ)では1/349です。チャージ当りは大当りの一つで、大当り時の図柄振り分け乱数によって大当りの一部がチャージ当りとなります。
日工組の内規により大当り確率ごとに最少出玉の値が決まっており、それを満たさない場合は大当りと見なされません。チャージ当りはおおよそ2ラウンドフルオープンの出玉300個で、時短なしの大当りと考えて良いでしょう。
チャージ当りが生まれた理由ですが、メーカーによるホールへの営業資料で「大当りの○○%でRUSH突入」といった記載があると思います。そこにもし「RUSH突入率25%」と書かれていても、ホールは魅力を感じません。
そこで「大当り確率1/200、図柄揃い確率1/400、チャージ当り確率1/400」としてから、チャージ当りを除いて図柄揃い確率内の確率をピックアップして「RUSH突入率50%」と見せるようにしたわけです。自分はこういったチャージ当りを大当りとして見せない方法は良くないとは思っていますが。
▲実質RUSH当選率25%を直接表記しない営業資料の例
「LT3.0プラス」で使えるのはc時短だけではない?
——「LT3.0プラス」の「プラス」にあたる時短について、もう少しお聞かせください。先ほど『e 犬夜叉3.0』紹介の際にa時短を使っているとありましたが、「LT3.0プラス」ではc時短以外も使えるのでしょうか?
「LT3.0プラス」ではa時短・b時短・c時短のどれを使っても構いません。「LT3.0プラス」にあたってb時短についても特に制限はかかっていないので、例えば遊タイムで天井に到達した時にMAXモードに突入という仕様も可能なのではと思います。
改めて時短の区分を説明すると、従来の大当り後に付いてくる時短が「a時短」、いわゆる天井となる遊タイムが「b時短」、ハズレ図柄の一部で突入抽選が行われる時短が「c時短」です。
「Cタイム」と「c時短」は全くの別物
——LT搭載の条件で、e機(スマパチ)の場合は「Cタイム」の搭載は不可とあります。このCタイムはc時短の一種なのでしょうか?
いいえ、違います。c時短とは全くの別物で、Cタイムは一つの機能です。a時短・b時短・c時短は時短の区分ですが、CタイムはLTや遊タイムと同じような日工組の内規で定められた性能の一つです。
c時短は時短の一つですが、Cタイムは全ての状態をクリアした状態で発生する特殊な状態です。先ほど挙げたようにパチンコには大当りを除くと「低低」「低高」「高低」「高高」の4状態がありますが、「低低」に落ちた状態で特図1(※)を回したらどうなるかというものです。
※大当りやハズレなどの抽選結果を表示するものを「特別図柄」と言い、略称として「特図」と呼ぶ。特図は1つのパチンコ機に最大2つ搭載可能で「特図1」「特図2」と区別し、一般的に「特図1」は通常時の抽選を行う。
例えばCタイムで最初に出た『ぱちんこ 新・必殺仕置人 S』では、連チャン終了後に1回転だけ1/5でRUSHに入るかどうかのチャンスタイムがあり、これがCタイムになります。Cタイムはe機(スマパチ)専用でLTとは併用できず、内規も変わりさまざまな種類があります。最近の台では『eキョンシーライトミドル 新CタイムVer.』ですね。
▲『ぱちんこ 新・必殺仕置人 S』(KYORAKU)、『eキョンシーライトミドル 新CタイムVer.』(ニューギン)
ちなみにCタイム突入率を上下させると期待出玉総量も変化するので、開発側としては非常に使いにくくなっています。またラムクリアをするとCタイムは必ず発生するので、ホールも使いにくいと思います。
——Cタイム発生条件に「RUSH or 確変(ST含む)終了後」「特定回転数消化後(電サポ無し時短状態→通常状態へ)」がありますが、これはラムクリア後と同じ状態ということでしょうか?
いずれも「低低」の状態になった後という意味でラムクリア後と同じです。「低低」に落ちた状態で特図1を1回転させてCタイムが発生し、成功して時短に行くのが20%、失敗して内部潜伏時短に行くのが80%という感じです。つまり、ユーザーから見てCタイムで失敗した後の通常時は、ずっと内部潜伏時短の状態なわけです。
▲実質的な通常時は内部潜伏状態で、低低状態時のみCタイムに当選する
ちなみにCタイム天井という仕様も存在します。Cタイムは内部潜伏時短なので、仮に1000回転がCタイム天井ならば時短1000回転終了後に低低状態に落ちて、また1回転だけCタイムが発生するという仕組みです。パチスロの有利区間が切れるのに似ているかもしれません。
——「LT3.0プラス」の時短性能ができることとして、大当り確率、大当り時のラウンド振り分け、RUSH突入率……と変えられるものをすべて挙げていけるでしょうか?
個々の仕様が可能になると断定するより「何でもできる」と認識した方が良いと思います。それゆえ日工組も可能性は無限大と言っているのでしょう。
自分もどんな仕様が可能かを考えることはありますが、何でもできそうでキリが無くなってしまいます。開発者にとっては難しく発想力が求められるのではないでしょうか。パチンコ・パチスロの開発者は制限があるからこそ機械を考案できるという側面があるので、むしろ制限が無いと困ってしまう傾向があります。
——日工組の説明にあった「次回の時短の性能は、滞在していた時短の性能で決定できる」という点が、ゲーム性を広げるということでしょうか。
これまでは時短中に時短が当たっても、モードも上がらず電チューの開放パターンも同じ時短状態のままで、時短回数以外は変えられませんでした。そういった結局大当りを待つしかなかったものが「LT3.0プラス」の「プラス」で変えられるようになったわけです。
——今後「LT3.0プラス」はどのように利用されていくでしょう?
発表されているCZ系の機種は現状『e 犬夜叉3.0』のみで、今後も少なさそうですね。もしかしたらCZ系のような冒険した仕様は、「パチンコは分かりやすくないといけない」という考えでメーカー社内でも採用されにくいのかもしれません。
▲インタビューを通してX氏は「LT3.0プラス」だけでなくパチンコ開発の歴史的背景も語ってくれた
たしかにパチンコの歴史を見ても、分かりやすく出玉の多い機種が人気だったのは確かです。パチンコにパチスロのようなゲームフローが必要かと言えば、必要ではないという人も多いので通常時ではなく右打ち中のゲームフローのバリエーション強化に留まるメーカーが多いかとは思います。
ちなみにこれまでのLTの経緯を振り返ると、当初のLTは遊びやすい確率帯の機械で薄い確率でLTに入るジャックポット機能的なものとされていました。これはあくまで自分の推測ですが、日工組としては当初からロードマップを描き現在の「LT3.0プラス」へ持っていきたかったのだろうと思います。
——本日はユーザーにも分かりやすい説明をありがとうございました。
現役の開発者ではなく断言しきれない点もありましたが、お役に立てたなら幸いです。
話をお聞きして印象的だったのが「時短」に対する考え方の違いでした。一般ユーザーにとっては「出玉を現状維持しつつ大当りを待つ状態」くらいの認識が普通だと思います。しかし実際は、電チューの開かない内部時短や、なかなか電チューが開かないが開いて玉が入ればほぼ大当りという複雑な仕組みの中での時短もあるわけです。
時短はもはや時間を短縮して大当りを待つという意味を越えて「一種の状態変化フラグ」であり、X氏の言葉を借りればパチスロにおけるレア役のような存在に変化してきたと言えるでしょう。
ちなみに本記事執筆時点の情報でインタビュー内でもいくつか挙がった7月リリース予定の「LT3.0プラス」搭載機種をアバウトにジャンル分けすると、おおよそ以下のようになるでしょう。
【オーソドックス系】
→チャージ当り無しのLT直行型
『e東京リベンジャーズ』(Sammy)
【RUSH系】
→段階的にRUSH性能が上昇
『eフィーバー炎炎ノ消防隊2 シンラver./紅丸ver.』(SANKYO)
『e マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(KYORAKU)
『e一方通行 とある魔術の禁書目録』(藤商事)
【CZ系】
→通常時CZの大当りでLT直行
『e 犬夜叉3.0』(D-light)
8月以降にもリリース予定機種があり、パチ7では「LT3.0プラス」搭載機種の紹介特集記事を掲載予定です!
(C)大久保篤/講談社 (C)大久保篤・講談社/特殊消防隊動画広報課
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- じく
- 代表作:パチスロ青春小説「マーベリック ─ホールの異端児たち─」、遊技林、ゆる調
元ゲームメーカー勤務、現在フリー。前職ではシナリオ・マニュアル・キャッチコピーなどのライターとして過ごし、パチスロを題材とした小説も執筆している。
e-sports系やMリーグ観戦が大好き、たまにTwitchで雀魂やウマ娘やフロムゲーを配信したりもするスロ系でもありゲーム系でもあるオジサンです。
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