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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2017.11.14
『うぶごえ』
アノ機種に出会ったのは、田舎から出てきてスグの頃。学校帰りでいつものホールに入ったが、アルゼ・山佐の人気機種はどれも満席。仕方なくパチスロフロアを歩いていると、新台と書かれた小さな旗が目に入った。設置は4台で、空き台は1台のみ。とりあえずアルゼ・山佐の台が空くまで打ってみようか。データ表示機を見る限り良い台には見えないが、ただの試し打ちだ。大負けはしないだろう。しかし…。
▲ゲゲゲの鬼太郎SP(Sammy)
2001年のはじめ。業界初の液晶搭載機としてサミーから「ゲゲゲの鬼太郎」が登場。その液晶演出を継承しつつゲーム性を大きく進化させたのが、この「ゲゲゲの鬼太郎SP(以下、鬼太郎SP)」だ。最大の特徴は言わずもがなAT(アシストタイム)。この鬼太郎SPこそ、言わずと知れた元祖「AT機」なのだ。しかしながらこのときの俺は、ATの仕組みなど全く理解していなかった。
あの「ゲゲゲの鬼太郎」のスペック違いか…。ドがつくほど初心者で、攻略誌すら読んでいなかった俺の目にはそう映った。正直、初代「ゲゲゲの鬼太郎」は、あまり好きではなかった。
▲初代ゲゲゲの鬼太郎
液晶付きのノーマルAタイプという点では、当然興味をソソられたが、筐体が放つ異様さが苦手だった。当時の一般的なノーマルタイプの有効ラインは5or7ラインだが、初代「ゲゲゲの鬼太郎」は8ライン。ご覧の通りリール窓が大きく、各リールに4つの絵柄が停止する。5・7ラインでさえリーチ目を見逃す俺に、8ラインなんて難しすぎる。リール窓に12個も絵柄が停止したら、気が変になりそうだ。そう思い、手を出せずにいたのだった。
さらに言えばサミーというメーカーにも馴染みがなかった。今でこそパチスロ界を牽引するトップメーカーだが、当時はそれほど存在感を示していなかったように思う。俺が生まれ育った田舎のホールは、アルゼ・山佐・ネットの機種がメインで、サミーの機種は見掛けた記憶すらない。知っているのはCT機の名機「ウルトラマン倶楽部3」と「ジャパン2」、あとは田舎から出てきてスグに少しだけ打った「ゴジラ2」くらいだ。筐体デザインも今になって見ればノスタルジックで味わい深いが、当時は「オモチャみたい」といった印象。これも打ち気がソソられない理由の1つだった。
初代「ゲゲゲの鬼太郎」で初の液晶機ということ以外の美点を挙げるとすれば、その優秀なスペックだろう。フル攻略時の出玉率は設定1でも100%超で、設定6なら118%を超える。
設定 | BIG | REG | 出玉率 |
1 | 1/275 | 1/496 | 100.1% |
2 | 1/258 | 102.9% | |
3 | 1/243 | 105.8% | |
4 | 1/227 | 109.4% | |
5 | 1/215 | 112.4% | |
6 | 1/193 | 118.8% |
※出玉率はフル攻略時のもの
パチスロのスペック違いは「出玉性能を落とした劣化版」と相場が決まっている。8ラインでなくなり、ボーナス確率も出玉率も落ちたなら打つ価値はナイか。そう思いながらも台横に落ちていた小冊子を何気なく見てみると――雷光に打たれた!! そこには見慣れない「AT(アシストタイム)」の文字が! なんだと…ただのノーマルAタイプじゃないのか!? 小冊子を開いてみると、そこには詳細なATの解説が。なになに…
ATとは「告知に従って小役を獲得することで、メダルを減らさずに次のBIGを狙う機能」のこと。ピンとはこないがCTみたいなものだろう。なにやら面白そうだ。
◯BIG終了後は1/2で100GのATに突入 ◯AT中は約1/3で成立する3択9枚役をナビ ※9枚役の構成は7絵柄・下駄・下駄で、 左リールが赤7or青7or黒7の3択。 中・右リールは適当打ちでOK ◯AT中にBIGが成立すればAT終了→AT再抽選 REG成立なら、REG終了後にATの残りゲーム数を消化可能 |
なるほど…分からん。なにせ前例のないシステムだ。初心者の俺が一見で理解できるハズもない。とりあえず物は試しだ。そのATとやらを体験するまで打ってみよう!
しかし、打ち始めてスグに手が止まる。コレ、どこを狙えばいいんだ!? 慌てて小冊子のリール配列をチェックすると…愕然とした! それまで打ってきた機種は、だいたい7絵柄やBARといったリールシンボルを目安にチェリーを狙う。スベったり、逆にスベらなかったりして、枠内にスイカが止まったらスイカをフォローする。それがセオリーだが…。鬼太郎SPの左リールには赤7・青7・黒7があり、それぞれが離れている。7絵柄の上下にチェリーはなく、ほかにBARなどの目安になる絵柄もない。そしてやたらと多いスイカ。青7や黒7を目安にすればチェリーは拾えるが、青7だとスイカがやたらと止まりそうだし、黒7ならスイカをこぼしそうだ。なんだこのリール配列は! とっ散らかってて美しくない。…えーい、もう適当打ちでいいや!
しばらく打つと、スグに通常時のゲーム性が理解できた。チェリーやスイカをキッチリ狙うのは、レバーONで鬼太郎が妖気を感じ取ったときだけで良さそうだ。しかし…ボーナスが遠い。それもそのはず。鬼太郎SPのボーナス確率はなかなか重い。
設定 | BIG | REG | 出玉率 |
1 | 1/350 | 1/648 | 97.4% |
2 | 1/329 | 1/595 | 99.9% |
3 | 1/309 | 1/565 | 103.4% |
4 | 1/290 | 1/550 | 108.4% |
5 | 1/275 | 1/496 | 112.7% |
6 | 1/238 | 1/399 | 124.0% |
※出玉率はフル攻略時のもの
俺の台のボーナス出現率は、BIG・REGともに設定1の確率を大きく下回っている。設定なんて推して知るべしだ。だが、俺は帰らない! そのATとやらを体験するまでは!
実戦開始からおよそ1時間、500ハマリの果てに待望のBIGが当選! BIG中も3択9枚役が頻繁に成立し、ナビに従えば簡単に獲得できる。ナビされた7絵柄を左リールに狙えば、中・右リールは適当打ちで構わない。ほうほう、AT中もこうやって消化すればいいのか。そして3回目のJACゲームを終えると、いよいよAT抽選の対決演出へ。鬼太郎が敵の妖怪を倒せばAT確定だ。勝率は50%。…ん? なんか俺の敵、デカくない? さっき隣の台で見た対決演出とは敵の種類が違うような。まさか…。悪い予感は的中し、鬼太郎が呆気なく負けて通常時へ。くぅ~、俺にもATとやらを消化させてくださいよ! 左リールの7絵柄を目押しさせてくださいよ! …いや、待てよ。俺はなにか勘違いしているかもしれない。
俺はATに入れば3択9枚役が頻繁に成立すると思い込んでいた。
■はじめのATイメージ
通常時…9枚役確率(成立頻度)が低い
AT中 …9枚役確率が大幅にアップ!
でも小役の確率が変わるなんて有り得るのか? ボーナスでもCTでもないのに? ハッ、もしかしてATってこういうことか!?
■実際のATの仕組み
9枚役は通常時でも頻繁に成立
→3択の7絵柄は全て離れているから同時フォロー不可。
AT中は3択をナビするため、全ての9枚役を獲得できる
なるほど! そういうことか!! ということはだよ? AT中以外の通常時でも、自力で3択を当てまくればメダルが増えるじゃん! そこからしばらく勘を頼りに毎ゲーム別の7絵柄を狙ってみたが、無論、3択を当てまくるなどできるわけがない。次に考え付いたのが変則打ちによる3択判別。停止形から左リールで狙うべき7絵柄を絞り込もうと思ったわけだ。ええ、どの9枚役も中・右リールの停止形が一緒でしたわ。初心者の浅知恵が通用するほど、世の中は甘くない。
やはり3択9枚役を全て獲得するにはATに入れるしかない! 出玉はとっくにノマれ、アルゼのシマにも空き台ができた。だが、勝負続行! 今までにない面白いシステムなんだ。体験せずに帰れるか――!
初めてのAT突入は、3度目のBIGからだった。祈るように見つめた対決演出で、鬼太郎は驚くほどあっさり敵妖怪を撃破してみせた。さあ、いよいよ待ち焦がれたATだ!
ナビのランプはリール窓の左にある。レバーONで赤7のランプが光れば、左リールに赤7を狙う…といった具合。なるほど。これは「目押しをしている」という満足感もあって、なかなか良いじゃないか! …でも、イメージと少し違う。AT中なのに、BGMも液晶もハデには煽らない。演出もナビが発生する以外、あまり通常時と変わらない。出玉増加速度もゆったりしており、3択9枚役のヒキが悪ければメダルが減ることもある。「CTに比べると物足りなさを感じるな」というのが、初ATの感想だった。
この日の収支は-25000円。少々高い勉強料になったけど、ATというシステムを学ばせてもらったと思えば安いくらいだ。この日のなによりの収穫は、内部システムを咀嚼し、自分で得する打ち方を探ったということ。全く通用しなかったが、この日の行動がのちの攻略ライターの仕事に繋がっているのかもしれない。
この日の悔しさから、しばらく俺は鬼太郎SPを打ち続けた。通常時の演出の対応役や対決演出のチャンスパターンを覚えれば、AT中以外も十分楽しめる機械だったと思う。しかし、このときはATが覇権を握る時代が到来するとは露程にも思わなかった。たしかにサブ基板を用いたATシステムは画期的だったが、実際にプレイしてみると、そこまでのインパクトがなかったからである。ここからはあくまで推測だが、サミーにとって鬼太郎SPは「ATの試作機」だったのではなかろうか。無事に検定を通過するか試すと同時に、ユーザーにATシステムを理解させる意図もあったのでは? AT機の本命は、当然、のちにATブームを巻き起こすアノ機種だ。
 
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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