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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2018.10.09
1999年のパチスロ事情
初の6号機となった『HEY!鏡』。もう皆さんは打たれましたか? 特別編のラストで、1G目を覚えておいてくださいと書きました。私は、取材時と同じようにリプレイだったとです。
これがノーマルだったら、きっと誰かボーナスを引いてくれたことでしょう。それはちょっと残念ではありますけどね。レア小役から特訓にブチ込んだりして、そのまま当たった人もいるのでしょうか。後々判明することも多いでしょう。私が1G目にレア小役でも引こうものなら毎ゲーム成立役と液晶の挙動をメモしてしまいそう。メモっただけで当たらない未来も見えますけど(笑)。
ということで。特別編を挟みましたが、振り返りに戻りたいと思います。1997年と1998年を眺めに書いて、今回は1999年ですね。
技術介入効果の高い大量リーチ目タイプが全盛となり、爆裂性を高められるCT機だけでなく、BIG獲得枚数も約400枚から約700枚をも望める大量獲得機が登場。演出を司るサブ基板の搭載も認められるようになったことを受けての1年になります。
☆1998年末のホール事情(ユニバ系以外)
1997・1998年と、ほぼユニバーサル系の機種のことばかりを書いてきました。それもそのはず、ほとんどの機種がユニバ系(ユニバーサル販売→アルゼ・メーシー・ECJ・瑞穂製作所)というホールが多かったのです。それに加えて、万枚の夢を見せてくれたCT機『ウルトラマン倶楽部3』(サミー)が、一部の若者向けホールにあったくらいでしょうか。
リプレイハズシなどがあるように、当時の若者に向けたラインナップなのは否定できません。ノーマルを主体とした根幹のゲーム性は変わっていなかったので、うまく混ざり合っていたようにも思えますが、年配層が苦戦して離脱していったことも否めません。
▲『ジャグラー』(北電子:1997年1月)『シオサイ-30』(パイオニア:1997年11月)
そんなところで再注目されたのが、完全告知機です。GOGO!!ランプによる後告知の『ジャグラー』と、ハイビスカスによる先告知の『シオサイ-30』。年配層に人気なのは今も昔も変わりありません。
しかし、告知という文化が根付くまでは大変でした。まだ朝イチにBIGが仕込まれている“モーニング”もあった時代。GOGO!!ランプは邪魔だったのでしょう。豆球が抜かれているホールも普通にありました。完全告知が普通になり浸透するまで1〜2年かかったのです。ちなみに抜いた豆球ですが、ユニバ系のリールバックライトのものと同じサイズでした(笑)。
『シオサイ-30』は、初の沖スロ(デカコイン)ということになります。3号機の裏モノ(違法改造機)が減っていき、まったりしたノーマルばかりになった背景もあるでしょう。すぐドル箱に手が届く、すぐドル箱が満タンになる。ホールとしては“出玉を見せやすい”利点がありました。
しかし、規制緩和によって普通のチビコインでも大量獲得が容易になったのは誤算だったでしょうか。盛んな地域とそうでない地域があるのは、初期の扱い方の差もあったかと思います。東京はずっと盛んでないんですよね……。
☆1999年もユニバ系が席巻。
『ニューパルサー』と完全告知機以外はユニバ系。そのような状況を加速するような大ヒット機種が1999年にも登場します。
▲『アステカ』(ECJ:1999年3月)『大花火』(アルゼ:1999年12月)
CT機の『アステカ』は、『ウルトラマン倶楽部3(以下、マンクラ)』と同様に万枚を軽く狙える爆裂機。『マンクラ』と比較するとすべての手順が圧倒的に簡単で、しっかり引けば低設定域でも戦えるスペックとなっていました。新宿グリンピース本店の大昔でもないのに、1フロア40台以上全部が『アステカ』というホールがあったほどの大人気に。
そして、年末には大量獲得タイプの歴史的代表機種『大花火』が登場します。キャッチーな絵柄のドンちゃん。その3連ドンちゃんを押せば75%でリプレイハズシができる。BIG1発ゆうに600枚を超える圧倒的な出玉。筐体上部の鉢巻(4th)リールによる演出。そして、しっかり引けば低設定域でも戦えるスペック(くどいけど大事・笑)。
『ニューパルサー』の約23万台に迫る20万台の大ヒットとなりました。これは大体『アイムジャグラー』系と匹敵する数字です。
▲『アレックス』(アルゼ:1999年6月)『ワードオブライツ』(瑞穂製作所:1999年8月)
それだけではなく、そこそこのヒット機種も輩出しています。『B-MAX』と同じ配列で、大量獲得ではなくゲーム性を追求した『アレックス』。また『アステカ』ど同配列で同じCT機の『ワードオブライツ』。アステカ派とワードラ派。オッサンたちの集まりでは、いまでも論戦している姿が見られます(笑)。
ほかにも『バイオメサイア』『ナイン』『次郎吉』『トゥインクルステージ』などなど。プチヒットしたものからそうでないものまで。売れなかったものもクソ台ではありません。良さに気付けない自分の力量不足なのです。そう考えるユニバ信者は数多く。私もその一人でした。
とはいえ、ユニバ一強に陰りが見え始めたのも、良さに気付けない機種たちだったりしました。同じようなリール制御なら、既に素晴らしい機種たちがある。演出だって『サンダーV』くらいで十分。『大花火』完璧すぎません? それ以上の大量獲得機を作れるの?
というので、ユニバ系から少し離れたのもこの時期。いや、収支の稼働は相変わらずユニバ系。『クランキーコンドル』『サンダーV』『タコスロ』に『エスプ』『B-MAX』『ドギージャム』が中心でしたけど。
☆山佐の変化が感じられたのも1999年。
4号機初期に『ニューパルサー』を大ヒットさせた山佐ですが、そこからパルサーシリーズを投入するもののヒットには恵まれず。ニューパルが残って、その後継機が先に外される状況が続いていました。それを打破しきれはしませんでしたが、1999年から“変わったな”とユーザーの目からは見えました。
▲『イプシロンR』(山佐:1999年5月)『シーマスターX』(山佐:1999年7月)
『イプシロンR』は、BIGが400枚タイプで技術介入効果が高く、小役減算値を使った設定推測も全設定できる仕様でした(確か、設定4判別やっていました)。山佐がユニバ系を意識して作ったことが伺えます。セグランプによる小役予告もあり、そのゲームは変則押しで1確や2確を狙う楽しさあり。また、ここから数々の名曲を送り出すこととなる山佐サウンドの周知にも繋がった隠れた名機です。
『シーマスターX』はテトラリールによる演出が特徴。『大花火』よりも先に、パチスロで初めて演出用リールを搭載した機種です。これぞ、緩和されたサブ基板の効果!
文字量を見ても熱さが違うように、私は『イプシロン』派でした。7枚交換店で高設定ツモれたんですね。一方の『シーマスター』は等価交換で設定1しかないようなところ。名機は環境が作るものでもあるんです。
ほかにもCT機の『ピンクパンサー3』。ノーマルも『ホースシュー』や『ヒート』。それにテトラ第2弾となった『コングダム』も1999年の山佐です。パルサーシリーズと決別する決意を感じました。
☆不穏な芽も伸び始める。
大量獲得機にCT機の登場。そしてサブ基板の搭載も認められ、鉢巻リール・テトラリール、ほかにも『ガイキッズ』(平和)では役物も乗りました。華やかな方向に向かっていくように見えるパチスロ界隈ですが、光が射すところには陰ができるもの。
ユニバ系以外の機種のセールスは推して知るべし。すると、3号機時代のアノ手法が増えてくるのです。そう“裏モノ”です。メーカーとは関係ありませんからねっ。販社とかいろいろな経由をしているうちにどこかで意図せぬ改造をされてしまうということで。
この1999年、私は稼働してソコソコの収支を確保すると、関西に行っていたんですね。関西でしか打てない裏モノのために。通っていたホールは片道650Kmでした(笑)。仕方ないでしょう。元々が裏モノ打ちなんですから。
3号機は、直前の2号機と比べてゲーム性も出玉も劣ったから裏モノとなりました。初期4号機はユニバ系と比較され売れずに裏モノとなったのです。とはいえ、3号機と比較すれば、非ユニバ系の超マイナー機でも面白いわけで。リプレイハズシやリーチ目はあったりします。
そして、何よりも面白かったのが、出玉推移以外でもありえない挙動を示したりもするところ。BIGの前にはチェリーが連チャン。最初のチェリーから10Gあたりにリーチ目が、とか。
そのような裏モノの発展は1999年から2000年がピークでした。このシステムを探りながら打つのが楽しかったですね。なんせ、遊技機規則や内規といったルールが通用しないのですから。通用したら裏モノではありません(笑)
個人的に言わせていただければ。ただ飲み込んで爆裂するのはコインの出る箱。普通に打っても面白いと感じる機種が、チューンナップされているからこそ、わざわざ関西まで行くわけです。これ重要。正直なところ、最適手順を調べるとかにマンネリを感じていたのかもしれませんね。
また、安定して収支を出していたA400に限界を感じつつあったのも確か。大量獲得機に合わせて等価交換のホールが増えていき、高設定台の絶対数が下がり始めました。あとは、パチスロで生活し続けることの限界も感じていました。
収支が右肩上がりになっているときは充実感ありますけどね。一定まで達すると頭打ちに。そして、いつまで続けられるかという不安が優ります。こんな生活をして誰のためになっているんだろう。そんな葛藤もあり、収支のためのホールに顔を出し続けるのもなんだかなあって。だから刺激を求めて旅打ちしていたのはあります。旅の資金のためなら少しはマジメに打ちますから。
そして2000年、また新たな刺激を求めて旅に出ることとなります。それはまた次回。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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