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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
2025.05.07
クソ台じゃないよ! ちょっとしくじっただけ! 元ホール店長が語る「カンパイRD2(NET)」のしくじり物語。
元・店長カタギリ
元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
パチンコやパチスロの新台が出るたびに「この機種は割と甘い」とか「この台はかなり辛い」みたいな評価がユーザー間で話題になるじゃないですか? ユーザーさんの場合だと何度か遊技した上での収支がその基準になるため個人差が出るのかなと思いますが、ホール関係者の場合は実際の営業数値で判断いたします。
私も想定より利益が取れていない機種にもかかわらず「今度の新台、メチャクチャ辛いっすね!」と常連客から愚痴をこぼされた経験も多々ありまして、 「いや、実はほとんど利益が取れてないんスよ……」と正直じいさんのように返答すると確実に「この嘘つき野郎が!」みたいな顔をされておりました。
このように実際の営業データとユーザーの体感に差異があるの致し方ない話ではありますが、 今回ご紹介する「しくじり機種」はホール関係者とユーザーの双方から激辛台と認定された故に数奇な運命を辿った、稀なパターンの台であります。 辛過ぎた故に記憶に残る迷機、さっそく振り返ってみましょう。
★今回のしくじり機種は『カンパイRD2(NET)』
▲カンパイRD2(NET)
4号機時代より異彩を放つ独自のキャラクターを採用した機種を続々と発表してきたネットさん。同メーカー初の液晶搭載機が本作でございます。その記念すべき導入時期は2000年3月。同年1月にサミーさんがリリースした『ゲゲゲの鬼太郎』が初の液晶付きパチスロとしてホールデビューした直後ですので、 これまで同メーカーが世に送り出した新台の中でもより強いインパクトを当時のユーザーに向けて放っておりました。
スペック的には平均純増枚数が約550枚のスーパーBIG、同じく約400枚のノーマルBIG、確率を抑えたレギュラーの3種類のボーナスを搭載したAタイプ、 ジャックイン持ち越し機能を搭載したビッグボーナスによって目押し不要で安定した獲得枚数となりやすい仕様でした。 デフォルメされた応援団員が液晶画面で繰り広げるユーモラスな数々の演出を含めて、幅広いユーザーをターゲットにしているメーカーの意図が感じられますね。
しくじり.1:激辛仕様の正体発覚! なんとリプレイの次ゲームはボーナス無抽選!
導入当初こそコミカルな演出と最高設定でビッグ確率227分の1という魅力的スペックで一定の支持を得た本機でしたが、後に攻略誌上でリプレイの次ゲームにはボーナス抽選を行なっていないバグの存在が公開され、瞬く間にユーザー離れが加速。最高設定の出玉率は本来113%とされていたものの、実際のホールデータでは10%以上も下落した数値になってしまうのですから当然の結果ですよね。
リプレイの次ゲームにはボーナス抽選を行っていないのでは、といった話題は昨今でも時々ユーザー間で議論されることもありますが、 そういった際の元ネタとして本機の名前が上がるほど、後世に残る大きな衝撃を与えた出来事でしたね。
余談ですが、本件を思い出すたびにリプレイの次ゲームでボーナスが成立するとリプレイランプが消灯するパイオニアの『パラディエンジェル』が頭に浮かびます。 現在のパイオニアさんとは真逆の「先告知が消灯」というのが何とも趣があって素敵ですよね。……はい、余談が過ぎますね。
しくじり.2:激辛スペックに追い打ちをかけた攻略法の発覚
辛い台であることがバレてしまった以上、稼働させるには高設定台を増やすしかない。本機を導入した多くのホールがそう考えて営業を行いました。
ところが、これまた泣きっ面に蜂。今度はノーマルBIGをビタ押し&逆押しを駆使することでスーパーBIGに変換させる攻略打法が攻略誌によって公表されてしまいます。
この攻略打法は手順通りに行っても100%成功する訳ではなかったためホールから即座に撤去されるまでには至りませんでしたが、 最終的に「甘く使ったところで上級者に抜かれるだけで一般ユーザーに還元できない」とホールが判断するにはじゅうぶんな出来事でした。
ま、当時のパチスロシーンを考えると本機を客寄せに使うより他の人気機種を大事に扱った方が手っ取り早いですからね、どう考えても……。
★元店長カタギリとカンパイRD2
乾杯がリリースされた2000年は前述の通り液晶搭載パチスロ元年。各メーカーがこぞって賑やかな演出を盛り込んだ液晶機を世に送り出していた年ではありますが、 2000年上半期にユーザーがこぞって遊技していたのはCT機や大量獲得機といった液晶非搭載のパチスロ機でありました。
今では考えられないことですが当時のパチスロ攻略誌のライター陣からは液晶付きパチスロに否定的な意見も多く、「パチスロは出目を楽しむもの、液晶画面など不要!」とバッサリ切り捨てるようなコメントも散見されておりました。
私もまさに攻略誌プロパガンダ(何それ?)に強く影響されたユーザーでしたので、液晶とかパチンコかよ、パチスロは予告音と出目だけで楽しむものだろうと、 硬派スロッター気取りで液晶付きパチスロを敬遠していたのであります。ま、なんせ私もまだ20代でしたからナイフみたいに尖っていたのでしょう。
ところが同年の末にリリースされた『ブラックジャック777』で手のひらクルリ。ビッグボーナス終了後のSTで液晶画面に777ゲームが表示された瞬間、私の頭上で紅白のクス玉がド派手に割れました。液晶非搭載機では味わえない初めての興奮。あの時、あの瞬間の感動は今も私の胸を熱くさせる、忘れ難い記憶のひとつです。
ブラックジャック777は奇しくも乾杯RDと同メーカー、ネットさんのリリース作。パチスロの醍醐味は出目だけにあらず、そんな未来のユーザーに向けたメッセージは既に乾杯にも込められていたのかも知れません。 そう考えると乾杯もしっかり打っておくべきだったのかな、と後悔の波が押し寄せてくるのです。
★まとめ~乾杯のしくじりを発端としたメーカーの躍進~
旧社名である日活興業時代にはパルサーXXやビッグバン、スペースバトル、ドラゴンエースを、 4号機初期に社名変更した後もネイバル802やクロスCTなど他社よりも硬派な台をリリースするメーカー、それがネットさんのイメージでした。
そんな同社が一転してコミカル路線に舵を切った液晶機をリリースした際には少なからず衝撃を受けましたが、その後もスーパーブラックジャック、エコトーフ、 賞金首、十字架、モグモグ風林火山と、4号機中期以降に同メーカーからリリースされたマシンは、どれも機種名を聞けば即座に脳裏にキャラクターが浮かんでくる名機であることは皆様ご承知の通り。 初の液晶搭載機で大きな「しくじり」こそあったものの、結果的にそれが転機となりメーカーのイメージを好転させるきっかけとなりました。
乾杯でのしくじりは、まさしく失敗は成功のもと。ことわざ通りに同メーカーの躍進の原点とも言える記憶に残る「しくじり機種」なのでした。
編集部からのお知らせ
「しくじり機種」をご愛読いただいている皆さま、誠に勝手ながら諸事情(ネタ切れ疑惑)により今回をもちまして「しくじり機種」最終回とさせていただきます。これまでの応援、誠にありがとうございました!
また、筆者である元店長カタギリ氏のコンテンツは形を変えてスタートする予定でございます。同氏のファンと言うやや奇特な同志は、少々充電期間をいただくこと、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
今後ともカタギリ氏、パチ7をよろしくお願いいたします。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。